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菅総理が8年前に出した本が10万円?『政治家の覚悟』の希少価値

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長らく総理大臣を務めてきた安倍晋三氏の後継として、菅義偉氏が第99代の内閣総理大臣に就任しました。にわかに時の人となった菅総理大臣は官房長官として安倍長期政権を支えてきた実績を持つとともに、秋田の農家出身という異色の経歴でも注目された人物です。

そんな菅義偉氏が8年前に出版した『政治家の覚悟』という本の中古価格が、今になって極端な値上がりを見せています。定価1,430円だった本がAmazonやメルカリでは3万円前後の価格で取引され、10万円を上回る高値で出品された例もあったのです。

本の価格がこれほどまでに高騰したのはどうしてなのか、菅総理の政治信条が窺える本の内容と合わせて解説します。現在は入手困難となっている『政治家の覚悟』とは別に、第三者の立場から菅義偉氏の人物像に迫ったもう1冊の本についても記事の後半で紹介します。

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著者・菅義偉氏の人物像

安倍晋三氏の後任として総理大臣に就任した菅義偉氏は、第2次安倍政権で歴代最長となる7年8カ月にわたって官房長官を務めてきました。危機管理や広報役を担う官房長官は内閣の要と言われるほど重要な役職で、総理大臣に次ぐ事実上のナンバー2とされる存在です。

内閣の主要閣僚に2世や3世の世襲議員が目立つ中、新たな総理大臣となった菅義偉氏は農家の長男として生まれ育ちました。平成の大合併で現在は湯沢市となっている秋田県の旧雄勝町秋ノ宮地区に実家がある菅氏は、高校時代まで過ごした故郷に自らの原点があると語っています。

イチゴ農家として新品種を開発した父親は農協を頼らない独自の流通ルートを築き上げるため、東京や大阪の市場にも出かけて積極的に売り込んできました。イチゴ栽培で実績を上げた父親は雄勝町の町議会議員も務めた人だけに、長男の義偉氏も政治とまったく無関係だったわけではありません。将来の進路を巡って父親に反発し、高校卒業後は家出同然に上京した経緯を考えると、政治的にはゼロからスタートしたも同然です。

集団就職して段ボール工場に住み込みで働きながら、苦労して大学を出た後に政治の世界へと飛び込んだ菅氏の経歴については、メディアでも繰り返し取り上げられてきました。議員秘書から横浜市議を経て1996年に衆議院選挙に初当選し、2006年に発足した第1次安倍内閣では総務大臣も務めています。野党時代の2012年には安倍晋三氏を支援して自民党総裁に返り咲かせ、政権奪還後は第2次安倍内閣の官房長官として辣腕をふるってきたのは周知の通りです。

これまではナンバー2として女房役に徹してきた菅氏も、「令和おじさん」として一躍有名になってからはポスト安倍候補の1人として数えられるようになりました。とは言え安倍前総理の辞意表明を受けて急遽実施された自民党総裁選での圧勝劇を、1年前の時点で予想した人は皆無と見られます。

安倍前総理が突然の辞任に至った理由については、こちらの記事で詳しく解説しておきました。

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突然の辞任表明で世間を驚かせた安倍首相は潰瘍性大腸炎の持病があり、コロナ対応のストレスが再発につながったとも言われています。国民が想像する以上の壮絶なストレスにさらされていた首相の辞任劇から、会社員が学ぶべき教訓について考察してみました。

『政治家の覚悟』の中古価格が高騰している理由

菅氏が岸田氏や石破氏と争った自民党総裁選に当たっては、「秋田の農家出身」「集団就職で上京し苦労して大学を卒業」といった異色の経歴に注目が集まりました。まさに豊臣秀吉や田中角栄にも通じるような出自と立身出世ストーリーの持ち主だけに、その人柄や政治哲学にも大きな関心が寄せられています。

菅氏は自民党が下野していた民主党政権時代の2012年3月に、『政治家の覚悟』という1冊の本を出版しました。第1次安倍政権時代の総務大臣とは言え当時はまだ知名度が高いとは言えず、本もそれほど売れなかった模様です。

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現在は絶版となっているこの本が、著者の総理大臣就任に伴ってにわかに脚光を浴びるようになりました。出版部数が少ない状態で突然の特需が発生したことから、需要と供給の法則に従って本の中古価格が高騰するに至ったのです。この記事を書いた時点でAmazonでの『政治家の覚悟』の最低価格は30,000円、メルカリでも30,000円前後の出品が目立ちます。

一時は10万円以上の高値で出品された例もあるほど価格が高騰した背景には、「官僚を動かせ」というサブタイトルも無関係ではありません。安倍政権と官僚との関係については森友・加計問題以来何かと取り沙汰されてきただけに、官房長官として安倍政権を支えてきた菅氏の過去の著作にヒントがあるのではないかと考えた人も少なくないはずです。

『政治家の覚悟』で語られた官僚の動かし方

菅氏がまだ内閣官房長官に就任する以前に書かれた『政治家の覚悟』は4章構成で、第3章と第4章は当時の民主党政権に対する批判が中心です。「大臣の絶大なる権限と政治主導」と題した第1章は、「官僚を動かせ」というサブタイトルのテーマが集約された個所として見逃せません。

官僚は変革を好まず融通がきかない存在であると認めつつも、国益を最大化させるためには彼らをうまく使いこなす必要があると菅氏は説きます。実際に国交省政務官時代や総務大臣時代の菅氏は官僚と激論を交わし、東京湾アクアラインETC割引やふるさと納税の実施を実現させてきました。前例主義に凝り固まった官僚を動かすのは容易なことではありませんが、ひとたび指示に従うようになれば優秀な手腕を発揮するというのが菅氏の持論です。

官僚を味方につけるための手法として、人事権という伝家の宝刀を取り上げている点もこの本の見逃せないポイントです。「大臣の絶大なる権限」というのは大臣に与えられたこの人事権のことで、実際に総務大臣時代の菅氏も政策に反対する官僚を更迭させた事実を明かしてます。

安倍長期政権を通じて政治主導の体質が強化されたと言われていますが、その結果として官僚の過剰な忖度も生み出してきました。メリットとデメリットの両面を持つ官僚支配の政治信条を理解するためにも、『政治家の覚悟』は読んでおきたい一冊です。

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菅総理大臣の人物像がわかるもう1冊の本

『政治家の覚悟』は菅義偉氏という特異な政治家の本質を知るには格好の本ですが、あまりにも価格が高騰しすぎて簡単には手が出せません。各地の図書館でも軒並み貸出中の状態で予約が埋まっており、読むのが難しい状態です。

もっとリーズナブルな価格で菅氏の人物像を理解できる本としては、現在でも新刊や電子書籍で購入できる『総理の影:菅義偉の正体』という本が挙げられます。ノンフィクションライターの森功氏が2016年に出版したこの本は、第三者の立場から菅氏の実像に迫った重厚な一冊です。安倍内閣の官房長官として総理をもしのぐほど絶大な権力を握った男の半生が克明に描かれ、清濁両面を持つ人物として紹介されている点に興味を引かれます。

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ポスト安倍の自民党総裁選では苦労人としての顔が強調されがちだった菅氏にも、生き馬の目を抜くような政治の世界を渡り歩く中では別の顔があったとして不思議ではありません。菅氏自身の言葉で書かれた『政治家の覚悟』だけでは信頼できないという人でも、『総理の影:菅義偉の正体』を合わせて読めば視野が大きく広がります。

菅総理大臣に関する本まとめ

大臣が官僚を動かすことが国民の利益につながるという政治信条を説いた『政治家の覚悟』は、菅義偉氏という異色の政治家の本質を理解するのに欠かせません。絶版となっている本で発行部数も少なかったため現在は価格が異常に高騰しており、大枚をはたいてでも手に入れようという人でない限りは入手困難な状況です。

まずは手に入りやすい『総理の影:菅義偉の正体』で菅氏の半生を把握しておき、『政治家の覚悟』は中古価格が落ち着くのを待ってから購入するという手もあります。世間の反響がこれだけ大きいとなれば、版元も復刊や電子書籍化を検討するはずです。

普通に考えると『政治家の覚悟』の中古価格は菅氏が総理大臣に就任した現在がピークで、今後は時間とともに下がっていくものと予想されます。価格がここまで高騰しないうちにこの本の価値に気づいて仕入れに走った人がいれば、転売で高収益を得たのは間違いありません。このように本の価値は絶えず変動しており、世の中の動きひとつで一気に何十倍にも高騰することがあり得るのです。

(2020年9月19日追記)予想通り『政治家の覚悟』の復刊が決まり、10月19日に文春新書として出版されることになりました。そのせいかAmazonでの中古価格は下落傾向で、メルカリでも2万円を切る出品が目立ち始めています。

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