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GoToキャンペーン見直しで日本はどうなる?経済への影響を考察

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GoToキャンペーンに関する話題は当ブログでも再三取り上げてきましたが、コロナ感染の再拡大を受けて見直されることが発表されました。経済重視の方針から見直しに慎重だった菅首相も、専門家からの強い提言を無視できなくなったのです。

観光業界や飲食業界ではGoToの効果で回復の兆しも見えていた矢先だけに、関係者からは「影響は避けられない」などと悲痛な声も聞かれます。当初は限定的と見られていたキャンペーンに意外な経済効果があった事実も浮き彫りとなっている中、GoTo見直しで日本経済が今後どうなるのか考察してみました。

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GoToキャンペーンがとうとう見直しへ

コロナ禍で打撃を受けた経済を活性化させる目的で7月にスタートしたGoToキャンペーンは、旅行や飲食にかかる費用が大幅な割引になることから大きな話題を呼んできました。当ブログでもキャンペーンには注目し、GoToイートとGoToトラベル・GoTo商店街に関する記事で話題を取り上げています。特にGoToイートは「トリキの錬金術」や「無限ループ」といった不適切な使い方が物議を醸しただけに、問題が起きるたびに対応を迫られました。

GoToイートの無限ループとは?実質無料で飲食できるカラクリ
話題のGoToイートで最初に1,000円を払えば次回以降は実施無料で飲食できる「無限ループ」の問題が新たに浮上しています。「トリキの錬金術」に続いて制度設計の不備が露呈されたGoToイートの問題点について、飲食店の立場から検証してみました。

一方ではGoToキャンペーンで人の行き来が活発になると感染リスクも増えることから、専門家の間では懸念する声があったのも事実です。GoToキャンペーンに対する根強い反対論を裏付けるように、11月に入ると全国で感染が拡大して第3波の様相を呈するようになりました。

全国有数の観光地として人気の北海道で1日の最多記録を連日更新するほどの感染者が出始めたのは、今にして思えばその予兆だったのでしょうか。これと歩調を合わせるかのように東京都や大阪府などでも感染者数が急増し、他の府県でも各地でクラスターも多発している状況です。

11月12日には全国の感染者数が1,651人に達し、8月7日の1,597人を上回って過去最多となりました。18日には初めて2,000人を突破するなど、以後も最多記録を連日のように更新する状況が続いています。都道府県単位で見ても東京都で第2波を上回る1日500人以上の感染者が連日報告される一方で、以前は全国で唯一感染者0が続いていた岩手県でもクラスターが発生し、累計感染者数が100人を突破しました。

全国で同時多発的に進行するコロナの第3波には、専門家だけでなく多くの国民が危機感を抱いています。科学的なエビデンスは定かでありませんが、専門家の間ではGoToキャンペーンが一因ではないかという声も少なくありません。

政府はこれまで感染防止と経済の両立を図るという立場から、GoToキャンペーンの見直しには否定的な姿勢を通してきました。感染症対策分科会や日本医師会など専門家サイドからキャンペーン見直しを強く迫られ、菅首相も従わざるを得なくなったというのが事の経緯です。それまで除外されていた東京都がGoToトラベルの対象に加わった10月にはGoToイートも全国で本格スタートしていましたが、それから2カ月も経たないうちに制度の見直しを迫られる事態となってしまいました。

どのように見直される?

現時点では菅首相もGoToキャンペーンの見直しに関して具体的な内容は示さず、対象地域や期間は明らかになっていません。NHKの番組に出演した西村経済再生担当大臣によると、数日中に見直しの方向性を示すとのことです。連休明けには何らかの形で概要が発表される見通しですが、首相や西村大臣の発言から推察すると以下のような内容が見直し案に盛り込まれるものと見られます。

  • GoToトラベルで感染拡大地域を目的とする旅行の新規予約を一時停止する
  • キャンセル料は国が負担する方針
  • GoToイートのプレミアム付き食事券も新規発行とポイント利用を一時停止する

GoToイートの食事券は都道府県単位で発行されているため、一時停止するには各自治体の協力が欠かせません。GoToトラベルの新規予約一時停止も、4段階のステージで表される対象地域ごとの感染状況を見て判断することになります。

感染状況が2番目に高いステージ3以上の地域が一時停止の対象になるものと見られ、東京都や大阪府などが想定される地域です。北海道は突出して感染者数が多い札幌市だけをステージ3として、対象地域に含める案も出ています。
東京都民が対象地域外の道府県に旅行へ出かけようというケースがどうなるのか、現時点では明らかになっていません。GoToイートに関しては4人以下での飲食に制限するよう政府の要請があったばかりで、東京都や大阪府など9つの都道府県で人数制限を設ける方針を発表しています。

【11月24日追記】札幌市と大阪市がGoToトラベル除外へ

北海道知事と大阪府知事からの要請を受け、政府は札幌市と大阪市をGoToトラベルから除外する決定を正式に発表しました。12月15日までの期間は両市を目的地とする旅行の新規予約が一時停止となり、GoToトラベル事業の対象外となります。対象地域に旅行予約を入れていた人がキャンセルした場合でも、キャンセル料はかからないようにするということです。

【12月1日追記】GoToイートも10都道府県で停止へ

GoToイートのプレミアム付き食事券は、東京と北海道・茨城・埼玉・千葉・神奈川・静岡・愛知・大阪・兵庫の10都道府県で新規発行が停止されています。北海道と東京都・埼玉県・大阪府では発行済みの食事券利用も控えるよう呼びかけており、グルメサイト予約で付与されたポイントの利用も自粛が求められている状況です。

【12月15日追記】GoToトラベルが全国一時停止へ

感染拡大が収まらない中で、菅首相は12月28日から2021年1月11日までGoToトラベルの全国一時停止を発表しました。札幌市と大阪市に関しては、12月15日までとしていた一時停止の延長がすでに決定しています。これに加えて感染状況が悪化している東京都と名古屋市でも、全国一斉に先立ってGoToトラベル一時停止される見通しです。

【12月16日追記】GoToイベントや商店街も一時停止へ

GoToトラベルに続いてGoToイベントでも、12月28日から2021年1月11日までに開催されるイベントのチケット割引停止が発表されました。イベントそのものが中止されるわけではありませんが、期間中はGoToイベントによる割引が適用されなくなります。

さらにGoTo商店街でも12月28日から1月11日までの間、集客を伴う催しが停止される見通しです。GoToイートの食事券は同じ期間中の新規発行停止に加え、発行済みの食事券とポイントの利用自粛が呼びかけられています。

【2021年1月12日追記】GoToトラベル停止が延長

GoToトラベルの全国一時停止は当初1月11日までとされていましたが、2月7日まで延長されることになりました。1月7日に4都県で緊急事態宣言が再発令されたのを受け、キャンペーンの再開も困難と判断されたのです。GoToイート食事券の販売再開時期は都道府県によって対応が異なりますが、緊急事態宣言が発令されている地域では販売停止期間が同様に延長されています。

観光業界や飲食業界からは悲痛な声も

対象地域以外ではGoToトラベルの新規予約も継続されることになりますが、こうした制限が加わることで混乱が懸念されます。キャンペーンで観光地にも賑わいが戻っていた矢先だけに、3連休の初日に首相がGoTo見直しの意向を発表したことで関係者の間には波紋が広がっている状況です。

感染の再拡大を受けて旅行代理店や宿泊施設では予約キャンセルが相次いでおり、GoToトラベルの一時停止に伴ってキャンセルがさらに増える可能性も出てきました。これまでは高額のキャンセル料がネックとなっていましたが、国が負担するとなればキャンセルの続出が予想されます。

GoToトラベルで無断キャンセルが相次いでいる意外な理由とは?
GoToトラベルで宿泊施設に活気が戻っていますが、地域共通クーポンの不正取得が目的と見られる無断キャンセルも相次いでいます。宿泊業界を支援するはずのキャンペーンで何が起きているのか、根深い無断キャンセルの問題について取り上げてみました。

飲食店でもGoToイートが見直されれば客足への影響が避けられず、「店がもう持たない」などと悲痛な声も上がっています。利用客も含めて「仕方がない」と理解を示す声も少なくはありませんが、GoToイートは開始からまだ2カ月も経たない中での見直しです。束の間の賑わいで売上が回復しつつあったとは言え、多くの飲食店ではコロナで受けた打撃から完全には立ち直っていない状況にあります。

GoToイートにはグルメサイトからの飲食予約でポイントが付与されるキャンペーンと、25%の割引が適用されるプレミアム付き飲食券の2種類がありました。このうち「無限ループ」などの不適切な利用が問題となったポイント付与の方は、予算の上限に達したという理由で新規ポイントの発行がすでに終了しています。取得済みのポイントとプレミアム付き食事券はまだ利用可能な状況ですが、GoToイートが一時停止されれば飲食店への打撃が避けられません。

観光業界や飲食業界以外でも、GoToキャンペーン見直しの影響で消費の冷え込みが懸念されています。感染の再拡大を受けてイベントの中止が相次いでいる中では、GoTo商店街の助成金を利用して今後実施されるイベントへの悪影響も懸念される状況です。GoTo商店街やGoToイベントはオンラインの活用も事業の対象に含まれていますので、今後はバーチャル方式でのツアーやイベントに活路を見いだすしかありません。

10月19日スタートのGoTo商店街とは?全国への経済効果を予想
GoToキャンペーンの一環として10月19日に開始したGoTo商店街は、コロナで打撃を受けた商店街を国が支援する経済政策です。他のキャンペーンとは違って消費者が直接恩恵を受けるわけではないGoTo商店街について、経済効果を予想してみました。

GoToキャンペーンの意外な効果

当初は経済への効果も限定的と見られていたGoToキャンペーンも、こうして見るとそれなりに効果が発揮されていたという意外な事実が浮き彫りにされてきます。先日発表された7~9月期のGDPも、年率換算で21.4%増へと大幅に改善されました。緊急事態宣言の影響もあって4~6月期のGDPが-28.1という歴史的な落ち込みとなった反動とも見られますが、景気がこれだけ急速に回復したのは、GoToキャンペーンが経済を牽引した結果と推測されます。

10月以降はGoToトラベルの東京都追加やGoToイートの開始など、さらにプラスの要素が加わりました。どちらもテレビの情報番組で大きく取り上げられたり、SNSで話題を集めたりして、国民の間で予想以上の関心を集めたのが効果発揮の一因です。

自粛生活が続いた中で消費に飢えていた人々がこれに飛びつき、「使わなければ損」という空気が一気に広まりました。制度設計が不十分なままキャンペーンが強行されたことでトラブルも相次ぎましたが、そうした話題性もまた「GoTo」の認知度を高める結果につながったのです。

遅れて開始されたGoTo商店街やGoToイベントの効果も合わさればさらにGDPを押し上げるところですが、その矢先の感染再拡大で日本経済の失速が懸念されます。それだけGoToキャンペーンの経済効果が無視できないという証拠でもあるだけに、キャンペーン見直しの影響がどこまで及ぶのか注目されるところです。

GoTo見直しの影響まとめ

何かと話題を振りまいてきたGoToキャンペーンも、感染再拡大を受けた制度見直しで大きな曲がり角に直面しています。これまでは経済活性化の牽引役を務めてきましたが、感染拡大地域での旅行予約一時停止など制限が加われば、回復の兆しが見えていた日本経済への悪影響も避けられません。

制限の対象に含まれない地域であっても、こうなるとキャンペーンが利用しづらくなってきます。GoTo見直しは「消費行動を控えるように」という国からのメッセージとも受け取られかねないだけに、直接的影響以上に国民全体の消費マインド冷え込みが懸念される状況です。

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