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10月19日スタートのGoTo商店街とは?全国への経済効果を予想

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コロナで打撃を受けた商店街を支援する目的で、GoTo商店街の事業が10月19日にスタートしました。他のGoToキャンペーンとは違って消費者が直接恩恵を受けるわけではありませんが、事業に参加する商店街がイベントなどを実施することで需要が喚起されるものと期待されています。

事業に参加する商店街にとってはコロナの影響で減った売上を挽回するチャンスですが、申請を見送る商店街も少なくはありません。現時点では限定的とも見られているGoTo商店街の経済効果について、費用対効果という観点から考察してみました。

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GoTo商店街とは?

新型コロナウイルスの感染が広がったことで、観光業界や飲食業界・イベント業界が深刻な打撃を受けました。政府が実施するGoToキャンペーンとはそれらの業界を支援し、感染拡大を抑えながら経済を活性化しようとする4つの事業の総称です。

観光業界を支援するGoToトラベルが7月に先行スタートしたのに続き、10月には飲食店を支援するGoToイートも開始されました。トラブル続きで制度設計の不備も指摘されていますが、コロナで疲弊した業界にとっては新たな需要喚起に役立っているのも確かです。

GoToキャンペーン全体については、以下の記事で詳しく解説しておきました。

GoToキャンペーンの効果は限定的?4つの分野で経済効果を予測
国の経済政策GoToキャンペーンはGoToトラベルが先行する形で実施されていますが、観光業界の中には効果が限定的との声もあります。10月中には4つの事業が出揃う予定のGoToキャンペーンについて、どれだけの効果があるのか考察してみました。

コロナの影響は宿泊施設や飲食店だけでなく、全国各地の商店街にも波及しています。10月19日にスタートしたGoTo商店街は、外出自粛やイベント中止の影響で売上が大きく落ち込んだ商店街を支援するのが目的の事業です。感染防止を徹底させながらの集客イベント実施や新商品開発など、商店街の良さをアピールする目的に使われる予算を国に申請できることになります。

消費者が受ける恩恵は限定的?

GoTo商店街と他のGoToキャンペーンで最大の違いと言えば、ポイント還元などの形で一般の消費者が直接の恩恵を受けられるわけではないという点です。GoToトラベルは宿泊料金が割引になったり、滞在先の飲食店や土産物店で使えるクーポンがもらえたりするお得なキャンペーンでした。GoToイートでもグルメサイトから飲食店を予約することで次回以降に使えるポイントの還元や、登録店舗で25%の割引が受けられるプレミアム付き食事券が利用できます。

10月下旬にスタート予定のGoToイベントもチケット代が割引されるお得なキャンペーンですが、GoTo商店街だけは消費者個人が直接利用できる割引やポイント還元の仕組みがありません。キャンペーンを利用できるのはあくまでも商店街の単位となっているせいか、現時点では他のGoToキャンペーンと比べて関心度が今ひとつの印象もあります。キャンペーンが適用されれば参加する商店街でイベントが開催されたり特別セールが行われたりして、訪れた消費者にも間接的な恩恵が及ぶという仕組みです。

GoToイートでは「トリキの錬金術」や「無限ループ」など、飲食店よりも利用客の方が得をする裏技の利用方法がSNS上で話題を集めました。

GoToイートのポイント付与で稼ぐ裏技とは?トリキの錬金術の実態
飲食店を支援する「GoToイート」キャンペーンでオンライン予約サイトを利用し、注文した品の代金以上にポイント付与を受けて稼ぐ裏技が話題となっています。「トリキの錬金術」とも呼ばれる儲けの手法について、違法性の有無や問題点を考察してみました。
GoToイートの無限ループとは?実質無料で飲食できるカラクリ
話題のGoToイートで最初に1,000円を払えば次回以降は実施無料で飲食できる「無限ループ」の問題が新たに浮上しています。「トリキの錬金術」に続いて制度設計の不備が露呈されたGoToイートの問題点について、飲食店の立場から検証してみました。

キャンペーンの対象が商店街組織や商工会議所などの団体に限られるGoTo商店街の場合は、そうした裏技的手法が考え出される余地も少ないものと見られます。消費者が受けられる恩恵も限定的とならざるを得ませんが、GoTo商店街にも総額50億円程度の予算が投じられるのは確かです。

参加する商店街には1件あたり300万円を上限にした予算が配分され、複数の商店街が連携すれば500万円分が加算されます。予算の使い道しだいでは大きな話題を集めることも可能で、上手に活用すればコロナで停滞しがちだった地域経済の起爆剤となるのは間違いありません。

対象となる事業

GoTo商店街はどのような事業でも国から予算をもらえるというわけではなく、事務局に申請して提案した事業内容が審査で採択されることで予算を獲得できる仕組みです。商店街が独自にプレミアム付き商品券や金券を発行するような事業は対象外で、施設の整備やパソコンなどの備品購入にもGoTo商店街の予算を使うことができません。

GoTo商店街の公式サイトには、キャンペーンの対象となる費用として以下のような経費が掲載されています。

  • 地元パフォーマー等の出演費
  • 感染予防用品等の購入費用
  • アルバイト雇用費用
  • ウェブサイト等構築費用
  • 宣伝・広告に要する費用
  • テント等のレンタル費用
  • ソフトウェア等のライセンス料
  • 商品開発等のコンサルティング費用
  • 地域産品を活用した景品・販促品費
  • 広告物等の印刷・製本に要する費用
  • デリバリープラットフォーム等への掲載料
  • イベント実施に必要な運送料

出典:Go To 商店街事業の概要(GoTo商店街事務局)

地域の商店街でGoTo商店街に参加するとなった場合、地元で活動をしているミュージシャンや歌手などはイベント出演などの形でキャンペーンの恩恵を受けられることになります。商店街で集客イベントが実施されればアルバイトの雇用も新たに生み出され、Web制作会社や広告代理店にとっても仕事獲得のチャンスです。イベントの企画や商品開発などをプロデュースするコンサルティング会社も含め、多方面の事業者にGoTo商店街の恩恵が及ぶものと期待されます。

GoTo商店街の公式サイトには「地元の怖~いお化け屋敷」「商店街御朱印」「商店街オンライン日曜朝市」など具体的な取組事例としてさまざまな事業が紹介されています。興味のある人は一度のぞいてみるといいでしょう。

Go To 商店街事業 事例集(GoTo商店街事務局)

申請を見送る商店街も少なくない理由

GoTo商店街は街の活性化につながる予算を国から交付してもらえる点で魅力的なキャンペーンですが、現時点では申請を見送る商店街も少なくありません。10月19日からスタートしたキャンペーンの第1弾では、50団体の34事業にとどまっています。

大半の商店街がキャンペーンに申請せず様子見としている例が多いのは、予算の補助が後払いとなっている制度上の理由も一因です。イベントなどを実施する際には銀行などかから先に融資を受けるなりして資金を準備し、実施後に精算書を提出して費用を回収しなければなりません。キャンペーンを適用することで後から精算できるにしても、事業に使う予算は商店街の側でいったん用意する必要があります。

他のGoToキャンペーンと比べてGoTo商店街がそれほど盛り上がっていないように見えるのも、費用を立て替えなければならないという制度上の不備が理由の1つです。申請を見送る商店街が多いという現状を受けて、キャンペーンを行う経済産業省では先払い制への変更も検討しています。

提案した事業が採択されることで国から予算があらかじめ支払われる仕組みであれば、資金に余裕のない商店街でもキャンペーンに参加しやすくなるはずです。コロナ関係では持続化給付金で不正受給が相次いでいますが、GoTo商店街でも不適切な申請が見つかれば現地調査が実施されることになっています。

GoTo商店街の経済効果まとめ

総額50億円ほどの税金を投じて実施されるGoTo商店街は、コロナの影響で売上が落ち込んでいる全国の商店街を支援するために考え出された国の経済政策です。10月19日から具体的な取り組みがスタートし、第1弾には50団体の34事業が採択されました。GoToトラベルやGoToイートと比べて話題性が今ひとつのように感じられるのは、キャンペーンの対象が商店街で消費者が直接恩恵を受けられるわけではないという点が一因です。

それでもGoTo商店街が実施されれば地元のミュージシャンやWeb制作会社・広告代理店・コンサルティング会社など、さまざまな業種が事業の恩恵を受けられるようになります。GoTo商店街は集客イベントの実施に伴ってアルバイトなどの雇用創出にもつながると期待されますが、国からの補助が後払い方式のせいか、現時点では申請を見送る商店街も少なくありません。今後に検討されている先払い方式への変更が実現すれば、申請を行う商店街も一気に増えるものと予想されます。

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