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GoToキャンペーンには税金がかかる?課税所得が生じる条件を解説

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旅行や飲食などがお得になるGoToキャンペーンは多くの人に利用され、予想以上の盛り上がりを見せていました。そんな矢先にGoToキャンペーンの利用で得をした分に税金がかかるという事実が明らかとなり、利用しまくっていた人の間で波紋が広がっています。

GoToキャンペーンの「給付」が課税対象になる一時所得とはどのような種類の収入なのか、実際に課税所得が生じる条件と合わせて情報をまとめてみました。GoToトラベルやイートを徹底的に利用し、これまで50万円分以上も得をしてきたという人にとっては必見の内容です。

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GoToキャンペーンの給付は一時所得扱い

コロナ対策として打ち出してきた政府の施策は何かと迷走ぶりが目につきますが、大々的に展開されているGoToキャンペーンもまた例外ではありません。GoToトラベルで東京都が除外されてスタート時点から混乱を招き、GoToイートでトリキの錬金術や無限ループが問題となったのも記憶に新しいところです。

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どちらも旅行や飲食がかなりお得になる制度だけに歓迎の声も少なくありませんでしたが、得をした分は給付金と同じ扱いで税金の対象となるという意外な事実が発覚しました。11月に入ってからGo Toトラベル事業Q&A集の中に、以下のような記述が加わったのです。

Q157:Go Toトラベル事業を利用して旅行した場合、国による支援額(旅行代金の2分の1相当額)は課税対象になるのか。
A:Go To トラベル事業は国内旅行を対象に、旅行業者等を通じて、宿泊・日帰り旅行代金の2分の1相当額の給付を旅行者に対して行うものであり、この給付は税務上、旅行者個人の一時所得として所得税の課税対象となります。
(出典:Go Toトラベル事業Q&A集

GoToイートに関するQ&Aにも同様の記述が見られ、オンライン飲食予約サイトの利用で付与されたポイントとプレミアム飲食券がそれぞれ一時所得として課税対象になると書かれています。またGoToイベントを利用してチケットを購入した場合でも、割引やクーポン相当額は一時所得として課税の対象です。GoTo商店街に関しては事業を利用する商店街のイベント等を通じて消費者が間接的に恩恵を受ける仕組みのため、現時点では課税の対象とされていません。

一時所得とは?

GoToキャンペーンの利用に伴って発生する一時所得というのは10種類ある所得区分のうちの1つで、文字通り一時的に発生した所得を意味する用語です。利益を得るため継続的に取り組む行為から生じた所得は給与所得や事業所得に、投資によって得た所得は利子所得や配当所得・不動産所得のいずれかに該当します。

一時的な所得であっても退職金は退職所得に、山林の伐採などで得た所得は山林所得にそれぞれ該当し、事業用または家庭用の資産を売却した場合の所得は譲渡所得です。一時所得はそれらのいずれにも該当しない一時的な所得に適用される概念で、以下のような例が想定されています。

(1)懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2)競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
(3)生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4)法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
(5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
(出典:No.1490 一時所得|国税庁

クイズで賞金が当たったりゴルフコンペで賞金をもらったりした場合は、(1)の懸賞や賞金品に該当することになります。競馬や競輪の払戻金と同じくパチンコやパチスロで得た利益も一時所得扱いですが、サッカーくじのtotoや宝くじが当たった場合の当選金には税金がかかりません。

国から支給される給付金に関しては税金がかかる場合とかからない場合があって、非課税とする法律があれば一時所得の対象外です。国民に一律10万円が配られた特別定額給付金は新型コロナ特措法に規定がされているため、非課税とされました。

中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円が支給される持続化給付金は課税対象で、申請した人によって所得区分が異なるという点には注意が必要です。事業者に支給された場合は事業所得となりますが、持続化給付金は途中で制度が改定され、給与所得者でも要件を満たせば受給の対象に含まれることになりました。この場合は事業所得ではなく、懸賞や賞金などと同様に一時所得となります。

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この他にふるさと納税の返礼品も課税対象となり、金額相当分が一時所得として計上される仕組みです。心身に被害を被った場合に受け取る損害賠償金や慰謝料に加え、借家からの立ち退き料なども一時所得に含まれます。

GoToキャンペーンで課税所得が生じる条件

コロナ対策で国から支給された給付金でも課税対象となる場合とならない場合があるとなれば、国民としては頭が混乱してしまいます。GoToキャンペーンは特別定額給付金と違って課税対象となるわけですが、すべての利用者が必ず税金を払わなければならないということはありません。

一時所得には50万円という控除枠があるため、ほどんどのケースは控除の範囲内に収まるはずです。キャンペーンをよほど使いまくって50万円以上も得をしたという人でもない限り、普通はGoToトラベルやGoToイートの利用で税金を払う必要はありません。

GoToトラベルとイートは当初の予定が変更され、2021年の6月末まで継続される見通しです。確定申告は前年の1月1日から12月31日までに発生した所得が対象となりますので、年が変わったタイミングで課税対象の金額も2つに分割されることになります。2021年6月末までのトータルで50万円分以上を利用した場合でも、2020年12月31日までの分が50万円に達していなければ税金を払う必要はありません。

ただしGoToキャンペーンの利用だけでは50万円に達していない人でも、他に一時所得がある場合は税金が発生する可能性もあります。懸賞金や賞金などの一時所得とGoToキャンペーンで得た一時所得の年間合計が50万円以上なら、税金を払う覚悟を決めなければなりません。

事業所得などと同様に一時所得でも必要経費の計上が認められ、収入を得るために支出した経費を引いた残りの金額が所得となる仕組みです。詳しいことは税務署に聞いてみなけければわかりませんが、GoToイートの飲食予約で付与されたポイントであれば飲食代が経費として認められる可能性があります。

そうした点を考えるとGoToキャンペーンの利用で実際に税金を払わなければならない人は、ごく一部にとどまるというのが現時点での推測です。賞金を得るような活動をしている人やギャンブル好きの人で年間の一時所得が50万円に迫っている場合には、GoToキャンペーンでわずかな金額分を得しただけで課税ラインを超えてしまうこともあり得ます。

「後出しジャンケン」の批判も

GoToキャンペーンがスタートしてしばらくはメリットの面ばかりが強調されがちでしたが、課税対象になるという点について話題になり始めたのは11月に入ってからでした。この時点ではGoToトラベルがスタートしてから4カ月ほどが経っており、遅れて10月にスタートしたGoToイートも利用が拡大していた矢先でした。

ここまで広く普及した後になってから「実は税金がかかりますよ」などと明かした点については、国民の間で批判の声も少なくありません。キャンペーンのスタート当初からアナウンスされていたとしたら、ここまでの盛り上がりはなかったとも思えます。実際に課税される人はごく一部にとどまるとは言え、税金を払う羽目になる人は確定申告が面倒なことになりそうです。

2020年度はコロナ対策で巨額の補正予算が組まれた影響から、国債の発行が初めて100兆円を突破する見通しとなっています。それだけ将来の国民に多くの借金を残すことになるわけですから、国としては少しでも税金を回収して財政悪化を抑えたいというのが本音なのでしょう。

GoToキャンペーンが課税対象となったのも苦しい財政事情を考えると致し方ない面もありますが、国民にキャンペーンを利用させるだけ利用させた後で課税の件を明かすというのはアンフェアな気もします。同じコロナ対策でも特別定額給付金は当初から非課税とアナウンスされ、持続化給付金は課税対象になると明記されていました。GoToキャンペーンだけ後出しジャンケンのような格好になってしまったのは政府の手落ちなのか、それとも意図的にそうしたのか、一介の国民には知る由もありません。

GoToキャンペーンの税金まとめ

言うまでもなく納税は国民の義務ですが、GoToキャンペーンにまで税金がかかるというのは正直に言って予想外でした。コロナで深刻な打撃を受けた観光業や飲食業・イベント業界に救いの手を差し伸べようというキャンペーンで、制度に賛同して利用した人から税金を取る是非については意見が分かれます。理想を言えばこの手のキャンペーンも非課税として後顧の憂いなく大勢の人に利用してもらい、1日も早い経済の立て直しに役立てるのが理想です。

GoToキャンペーンが課税対象だという事実が発覚した11月には、GoToイートのポイント付与事業も予算上限に達したという理由で終了の方針が決定されました。課税の方針は当初から決定されていたものと見られますが、このタイミングで明らかにされたのは偶然の一致でしょうか?。大半の利用者はGoToキャンペーンで税金を払わずに済むとは言え、何かすっきりしないという印象を持った人も少なくないはずです。

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