GoToイートのポイント付与で稼ぐ裏技とは?トリキの錬金術の実態

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10月1日からスタートしたGoToイートキャンペーンのオンライン予約ポイント還元で、「トリキの錬金術」と呼ばれる手法を使って儲ける裏技が広まっています。次回以降の来店時に使えるポイントが一律の金額で付与されるというGoToイートの仕組みを利用し、少額の会計で済ませて差額を利益にしようという裏技です。

飲み会などの幹事として予約を引き受ければ最大10人分のポイントを総取りできる仕組みだけに、GoToイートのオンライン予約で儲ける手法がさらに拡大しそうな情勢となっています。1日で最大6730円分の利益が得られる可能性もあるトリキの錬金術について、違法性や問題点はないのかどうか考察してみました。

GoToイートの仕組み

コロナの影響で売上が大きく落ち込んでいる飲食店を支援するため、政府のGoToイートキャンペーンが10月にスタートしました。旅行やイベントなどの対象も含めたGoToキャンペーン全体については、こちらの記事で詳しく解説しています。

GoToキャンペーンの効果は限定的?4つの分野で経済効果を予測
国の経済政策GoToキャンペーンはGoToトラベルが先行する形で実施されていますが、観光業界の中には効果が限定的との声もあります。10月中には4つの事業が出揃う予定のGoToキャンペーンについて、どれだけの効果があるのか考察してみました。

GoToイートにはプレミアム付き食事券と、オンライン予約サイトのポイント還元という2つの事業があります。都道府県単位で実施されるプレミアム付き食事券については地域によって開始時期が異なり、全国のトップを切って新潟県での販売が10月5日に開始されました。オンライン予約サイトを利用して来店した場合のポイント付与も、10月1日からすでにスタートしています。

プレミアム付き食事券は登録店舗で食事をした場合に25%分の代金を国が負担してくれる仕組みで、1回あたり2万円分まで購入が可能です。プレミアム付き食事券は購入した地域でしか使えませんが、ポイント還元の方は地域に関係なく利用できます。ぐるなび食べログYahoo!ロコなど、現時点で13の予約サイトがGoToイート事業者として認定されています。

それぞれのサイトで予約して登録店舗に来店すると、15時までのランチ時間帯で500円分、15時以降のディナー時間帯は1,000円分のポイントが還元される仕組みです。還元されたポイントは、同じ予約サイトを利用することで次回以降の食事に使えるようになります。利用回数には制限がなく、GoToイートの予算が続く限りは2021年1月末までポイントが付与され、還元されたポイントは3月末まで利用が可能です。

このポイント還元はあくまでも予約した人に対して付与される仕組みのため、例えば飲み会を予約した場合は幹事が人数分のポイントを総取りできることになります。1回の予約で最大10人分までという制限もありますが、キャンペーンが始まってからは幹事をやりがたる人が増えているほどの人気ぶりです。ディナーの時間帯に上限の10人分を予約した場合には、幹事が1人で合計10,000円分ものポイントを獲得できるという計算となります。

トリキの錬金術とは?

GoToイートのオンライン飲食予約は、注文した品や会計の金額に関わらず一律でポイント還元される仕組みです。付与されるポイントの金額より会計が少なく済めば、差額分のポイントが丸々懐に入る形となります。支払った金額が少なければ少ないほど差額が大きくなることから、298円均一の低価格メニューで知られる居酒屋チェーン「鳥貴族」がポイント還元に利用されているのです。

「トリキ」の愛称で人気を集めている鳥貴族のメニューはドリンクも含めてどれも298円ですので、1品だけ注文すれば会計は税込み327円で済みます。普通は1品だけ注文して帰る人はほとんどいないところですが、GoToイートが始まってからは本当に1品だけで済ませる人が出てきました。午後3時以降のディナー時間帯なら1,000円分のポイントバックが受けられるため、1品で税込み327円だけの会計なら673円分の差額ポイントが転がり込むというわけです。

同じように低価格のメニューを1品だけ注文して済ませれば他の店でも可能な裏技ですが、全国に600以上の店舗を展開する鳥貴族は知名度が高いためにターゲットとされている面もあります。SNS上では実際に鳥貴族で1品だけ注文したレシートの画像をアップしたり、鳥貴族の複数店舗を次々に回ってポイントを荒稼ぎする「鳥貴族マラソン」を自慢する人まで出ている状態です。

GoToイートと鳥貴族を利用してポイントを効率的に稼ぐ裏技は、錬金術にもたとえられて注目の的となっています。錬金術とは鉄や鉛などの卑金属から金のような貴金属を生み出そうとする秘術のことで、古代から中世にかけて世界中で流行しました。GoToイートを使った錬金術はそこまで高価な価値の生成を狙っているわけではありませんが、裏技を使って新たな価値を生み出そうとする点では共通する部分もあります。

トリキの錬金術は合法?

まさに制度の盲点を突いたようなトリキ錬金術のポイント荒稼ぎに、法的な問題はないのでしょうか?

利用された鳥貴族の側ではオンラインで予約が入ると席を確保しておく必要があり、来店した予約客が帰るまでその席は他のお客さんに提供できません。298円均一のメニュー1品だけで何時間も粘られてしまっては、店の売上的には好ましいと言えなくなります。オンライン予約サイトを利用する際には店側が1人あたり数百円程度の手数料を支払っているため、298円から手数料が引かれればたいした売上が残りません。

飲食業界はコロナの影響が特に深刻で、一時期は休業を余儀なくされた店も少なくありませんでした。営業を再開してからも客足がなかなか戻らず店に閑古鳥が鳴いていた点を考えると、店に賑わいが戻るだけでもGoToイートの恩恵を受けられると考えることは可能です。

とは言えすべての来店客にトリキ錬金術のような使い方をされたのでは、店側に利益がほとんど残らない結果となってしまいます。付与されたポイントで注文の品数を増やしてくれるならまだしも、他の店でポイントを使われてしまう可能性も否定できません。

いろいろと問題がありそうなトリキ錬金術ですが、GoToイートの事業を手がける農林水産省では「合法」と見なしています。「理論上、問題ない」としてこのような事態も想定されていたように受け止め、どのような形であっても店に足を運んでもらえば需要喚起につながると考えているのです。それで店側に弊害が生じるとすれば、そもそもGoToイートキャンペーンの事業計画そのものに欠陥があったという話になってきます。

今後は制限が加えられる可能性も

鳥貴族は1品298円の激安価格が売りとは言え、従来はさすがに1品だけの最低価格で済ませるという人はあまり見かけませんでした。他の店より1品あたりの単価が安いため、トータルの予算が同じなら品数を多く注文できるというイメージです。満足のいくように飲み食いしても、鳥貴族なら他の店より合計金額が安く済みます。

そういう中で1品だけ注文して粘るのは相当に勇気の要る行動ですが、GoToイートが始まってからは敢えてそうした行動に走る人が出てきました。1人が試して成功すれば今はSNSを通じて情報が瞬時に拡散する世の中ですから、我も我もとばかりに追従しようとする人が出てきます。そうやってトリキ錬金術に走る人が増えるようだと、飲食店を支援するはずのGoToイートキャンペーンも本末転倒に陥りかねません。

現時点では「問題なし」としている農林水産省も、これが大きな問題としてクローズアップされるようになれば再考を迫られるはずです。制限が必要になれば対応すると回答している農林水産省だけでなく、店側や予約サイトの側でポイント還元に独自の制限を加える可能性も出てきます。

とは言え鳥貴族で1品だけ注文して帰るという行為を延々と繰り返すのも根気が要りますので、この現象がいつまでも続くとは限りません。トリキ錬金術で1店舗に1時間程度を費やすとすれば、普通は1回で最大673円分しか儲からないとも考えられます。この間は仕事をしているわけでないため単純比較はできませんが、時給換算で673円にしかならない稼ぎ方です。

673円ではどの都道府県でも最低賃金を下回りますので、お金を稼ぐ目的としてはあまり効率的とは言えません。10人以下のグループで予約来店した場合はその限りでありませんが、幹事がポイントを総取りできるなら注文の品数を増やしても十分に元が取れるはずです。

【10月8日追記】GoToイートの錬金術問題が大きく報じられたのを受け、事業を行う政府も動きました。付与ポイントを下回る低額の飲食はGoToイートの対象外となり、今後はランチタイムが500円以上、ディナータイムは1,000円以上がキャンペーンの対象となる見通しです。

錬金術に使われた鳥貴族の側でも対応に乗り出し、キャンペーンの対象は3つのコースに絞られるということです。席のみの予約はキャンペーンの対象外となりましたので、政府の対応策が実施される前に「トリキの錬金術」が使えなくなります。

GoToイートとトリキの錬金術まとめ

トリキ錬金術のような裏技が考え出された背景には、コロナ禍で多くの人が収入を減らしているという現実があります。観光業界やイベント業界と並んでコロナの影響が深刻だった飲食店を支援しようと、政府の考え出したのがGoToイートのお得な制度です。

先行して始まったオンライン飲食予約のポイント還元には、ディナーの時間帯で一律1,000円分のポイントが付与されるという見逃せない仕組みがあります。会計を1,000円未満で済ませれば、差額分のポイントが丸々利益になるというわけです。

安い店ほど差額分のポイントを増やせる計算となるため、298円均一を売りにする鳥貴族がポイント獲得の手段に選ばれてしまいました。GoToイートを手がける農林水産省が「理論上、問題ない」と回答しているぐらいですので、店側にとってはメリットの少ないトリキ錬金術も違法ではありません。

そうなればますます真似をする人が増えると予想されますが、あまり調子に乗ると制限が加えられる可能性もあります。今のお得な状態を長く続けてもらうためにも、制度を活用してポイントを荒稼ぎ行為はほどほどにしておいた方がよさそうです。

【10月8日追記】GoToイートの盲点を突いた裏技も予想通り短命に終わり、政府や飲食店側が対応に乗り出したおとで錬金術が使えなくなりました。今後はキャンペーン適用の対象が付与ポイント以上の飲食に制限されることになりますが、それでもGoToイートは十分にお得な制度です。国の予算がなくなれば早めに終了する可能性もありますので、感染対策を徹底させた上で利用してみるといいでしょう。

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