GoToイートで店従業員も錬金術?客を装ってポイントを架空請求か

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10月にスタートして以来何かと話題を提供してきたGoToイートキャンペーンで、今度は飲食店側の従業員が不正利用しようとしていた事実が明らかになりました。従業員が客を装って自分の店をグルメサイトから予約し、虚偽の利用確認でポイントを不正に取得しようとした形跡が見つかったのです。

GoToイートではすでに新規ポイントの付与が終了していますが、まだ使われていない発行済みのポイントも相当に残っているものと見られます。そんな中で飲食店の側からも発覚した不正利用の実態について、違法性の有無や背景事情をまとめてみました。

飲食店従業員が客を装ってGoToイート錬金術?

GoToイートをめぐってはキャンペーンがスタートした当初の10月にも、グルメサイトからの予約でトリキの錬金術と呼ばれる不適切な利用が問題となりました。夕食の時間帯なら1,000円分のポイントが一律で付与される仕組みだったため、会計を数百円で済ませて差額のポイントを貯める錬金術がSNSで広まってしまったのです。指摘を受けて制度が改められ、ポイント付与を1,000円以上の利用に制限することでこの手は使えなくなりました。

GoToイートのポイント付与で稼ぐ裏技とは?トリキの錬金術の実態
飲食店を支援する「GoToイート」キャンペーンでオンライン予約サイトを利用し、注文した品の代金以上にポイント付与を受けて稼ぐ裏技が話題となっています。「トリキの錬金術」とも呼ばれる儲けの手法について、違法性の有無や問題点を考察してみました。

主に利用客が店側の迷惑を顧みずにポイントを不適切に取得しようとしたのがトリキの錬金術でしたが、利用される側の飲食店でも従業員が別の手法による錬金術を試みた形跡があります。グルメサイト予約に伴うポイントは飲食店の側で来店を確認し、サイトに報告することで予約した利用客に発行される仕組みです。店の従業員が客を装って自店を予約したことにすれば、この仕組みを悪用したポイントの詐取が可能になってしまいます。

来店を確認してグルメサイトに報告する権限を持つ従業員は、自作自演でポイントを獲得しようと思えばできなくもない有利な立場です。飲食店の従業員と言えども1人の人間だけに、仕事以外の時間帯には他の飲食店を利用して食事をすることもあります。

飲食業界ではコロナの影響で収入が減ってしまった人も少なくない中で、悪魔の囁きに屈してしまった従業員がいても不思議ではありません。架空の飲食予約をでっち上げて来店したことにすれば、実際には1円も払わないままポイントだけを丸々自分のものにできるという計算です。

店の従業員だけではこうした不正を行うのが難しいケースでも、友人などと共謀すれば実行に移しやすくなります。友人にグルメサイトから予約してもらい、実際には来店していないのに虚偽の来店確認をサイトに報告すれば、予約人数分のポイントがその友人に付与されるという仕組みです。

グルメサイト側ではこのような事態も想定して不正を検出する仕組みがあるせいか、現時点では実際にポイントが詐取された事例は報告されていません。ポイントを不正に発行させようとした店の従業員がどうなったのかは定かでありませんが、立件された場合には逮捕される可能性もある犯罪行為です。

飲食店による架空請求が疑われる事例はポイント付与だけでなく、プレミアム付き飲食券でも報告されています。すでに終了したポイント付与と違って飲食券の新規発行は現在も継続されているだけに、不正利用の拡大が懸念される状況です。

電子計算機使用詐欺の可能性も

似たようなポイント詐取の例では、GoToトラベルの地域共通クーポンを騙し取った容疑で逮捕者も出ています。当ブログでも以前取り上げたように、GoToトラベルではクーポンの不正取得が目的と見られる宿泊施設の無断キャンセルが相次いでいました。

GoToトラベルで無断キャンセルが相次いでいる意外な理由とは?
GoToトラベルで宿泊施設に活気が戻っていますが、地域共通クーポンの不正取得が目的と見られる無断キャンセルも相次いでいます。宿泊業界を支援するはずのキャンペーンで何が起きているのか、根深い無断キャンセルの問題について取り上げてみました。

宿泊施設周辺の土産物店や飲食店・レジャー施設などで使える地域共通クーポンには、紙で発行されるクーポンとスマホアプリで使える電子クーポンの2種類があります。紙のクーポンは予約した宿泊施設でチェックインした際に受け取ることになっていますが、電子クーポンはチェックイン前に付与される仕組みです。

この電子クーポンを先に発行してもらって利用しておきながら、宿泊施設にはチェックインせずに無断キャンセルする不正が大きな問題となっていました。逮捕された男は東京都内の高級ホテルの予約を複数回にわたって無断キャンセルし、合計54万円分の電子クーポンを詐取した疑いがかけられています。

人を直接欺いたわけでなくても、このような不正行為に対しては電子計算機使用詐欺という犯罪が適用されます。人ではなくコンピューターを欺いた場合でも、人に対するのと同じく詐欺罪が成立する仕組みです。

飲食店の従業員が客を装ってGoToイートのポイントを不正に取得しようとしたケースでは、現時点でまだ逮捕者は出ていません。飲食店の側から不正な来店確認が行われた形跡はあるものの、不正を検知したグルメサイト側がポイントを付与しなかったために被害が立件されていない状況です。今後に被害が確認された場合には、GoToトラベルの地域共通クーポン詐取と同様に電子計算機使用詐欺容疑が適用されるものと見られます。

「実際にポイントが付与されたケースはない」は本当?

複数のニュースサイトがこの件について報じていますが、記事はどれも判で押したような内容です。共同通信社が取材して各社に配信した記事が基になっていると見られ、不正の詳細は明らかになっていません。

食べログやぐるなび、ホットペッパーグルメなどのグルメサイトでは、こうしたポイント不正取得を防いだ事例があった事実を認めています。その一方では不正行為を助長することにつながるとして、不正の詳細に関する回答は拒否しているのです。

読売新聞では「実際にポイントが付与されたケースはない」と報じていますが、今後は被害が発覚する可能性もあります。GoToイートキャンペーンを実施する農水省では不正検出をすり抜けた例もあると見て、悪質なケースについては警察に相談する方針です。

このような不正は誰でも簡単に思いつくという声がネット上で多く寄せられているだけに、性善説に基づいた制度設計に甘さがあったとも考えられます。実際にポイントが付与されたケースがあったと見られる事例について、日経電子版の記事に以下のような記述が見られる点は注目すべき事実です。

ある飲食店関係者は取材に対し「店を経営している知人が複数の名前を使って自分の店を何度も予約し、数万円分のポイントを得て、飲食代に充てたと言っていた」と話した。
(出典:「Go To イート」店が客装い不正 ポイント狙う日経電子版)

こうした報道を総合すると、現時点ではまだ「実際にポイントが付与されたケースはない」状況であっても、実際には不正取得が水面下で横行している可能性は否定できません。警察の捜査が進めば立件されるケースも出てくると見られ、電子計算機使用詐欺の容疑で逮捕者が出る事態もあり得ます。悪質と判断された場合には国が飲食店名を公表するとしており、世間からのバッシングは避けられません。

政府への不満が背景か

GoToイートで利用客の不適切なポイント利用が相次いだだけでなく、利用される飲食店の側でもこうした不正が横行しているとすれば由々しき問題です。こうもGoToイートの制度が食い物にされているのは、コロナの影響で世の中が殺伐とした空気に包まれているのも一因と見られます。

2011年に発生した東日本大震災の際には互いに支え合おうという空気が自然発生的に生まれしたが、今回のコロナ禍においてはそうした機運があまり感じられません。同調圧力や自粛警察などという言葉も囁かれる中で、互いを監視し合うような息苦しさを覚えている人は少なくないはずです。

米国など海外の国々と比べてコロナの感染状況が比較的抑えられてきたのは、日本人特有のこうした国民性に由来するとも考えられます。日本の社会がある程度自律的にコロナ感染を抑えてきた中にあっては、政府の無策ぶりが何かと目立つ結果となりがちです。

感染拡大を抑えながら経済も同時に回そうという目的で始まったGoToキャンペーンに対しては、すべての国民が心から賛同しているというわけではありません。お得なキャンペーンに釣られて利用してはいても、もっと他に支援の方法があるのではないかという割り切れなさを感じている人は少なくないはずです。

GoToイートで相次いだ不適切な利用や不正なポイント取得の背景には、政府に対するそうした不満があるものと考えられます。国の施策に賛成できない面があるからこそ、制度の欠陥を突いて自分だけが得をするような裏技にも走ってしまうのです。

今は誰か1人がそういう裏技を見つけ出すと、その手法がSNSを通じて瞬時に拡散してしまいます。今回発覚したポイント詐取の例は飲食店の優位性を悪用した手法だけに、客の立場でポイントを貯める手法よりもたちが悪い錬金術です。

飲食店従業員によるGoToイート錬金術のまとめ

主婦の間ではさまざまな手法を用いたポイント錬金術が人気を集めてますが、税金を財源としたGoToイートのポイント錬金術は決して褒められない裏技です。利用客の立場で試みられたトリキの錬金術は早々に終了となった一方で、飲食店従業員の有利な立場を悪用した錬金術はなかなか発覚しませんでした。それだけ成功率が低かった可能性もありますが、中にはポイント詐取に成功しながら素知らぬ顔で自分の飲食代に使っている従業員も存在するものと推測されます。

こうした不正が横行する背景にはコロナ政策に対する国民の不満もあるとは言え、特定の個人だけが得をするのは制度本来の趣旨に反する行為です。ネット上でも憤りの声が渦巻いている中では、コロナで打撃を受けた飲食業界を助けようという機運の低下が懸念されます。

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