GoToイートの無限ループとは?実質無料で飲食できるカラクリ

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先に「トリキの錬金術」の問題で制度設計に不備が露呈されたGoToイートで、今度は「無限ループ」と呼ばれる手法が話題を集めています。グルメサイトから飲食店を予約して最初に1,000円以上の飲食代を払えば、次回以降にジャスト1,000円で飲食代を済ませれば実施無料で飲食できるようになるという仕組みです。利用者にとってはお得なGoToイートの無限ループは飲食店にとってメリットがあるのかどうか、国民の税金を使ったポイント付与の是非について検証してみました。

GoToイートとは?

新型コロナウイルスの感染が拡大した時期には、会食が原因で発生したと疑われる「飲食店クラスター」が問題となりました。飲食をする際にはどうしてもマスクを外さなければならず、3密の環境で会食を行うことで感染リスクが高くなってしまうのです。

飲食店クラスターが続発したことで外食を敬遠する人が増え、自治体の休業要請に従う店や営業を自粛する店も相次ぎました。売上が大きく落ち込んだ飲食業界を救済する目的で政府が考え出したのが、グルメサイト予約のポイント付与とプレミアム付き飲食券からなるGoToイートキャンペーンです。

自治体単位で実施されるプレミアム付き飲食券は地域によって開始時期に違いがありますが、グルメサイト予約のポイント付与は10月1日からスタートしています。ランチタイムに当たる午後3時までの食事には500円分、ディナーの時間帯に当たる午後3時以降の食事には1,000円分のポイントが一律で付与される仕組みです。

付与されたポイントは、次回以降に予約した食事で利用できるようになります。ポイント付与のタイミングはグルメサイトによって異なり、食べログ一休.comレストランは来店日の翌月10日でないと付与されません。ぐるなびHOTPEPPERグルメはポイント付与のタイミングが早く、来店から7日から8日後となっています。

トリキの錬金術は利用不可に

GoToイートキャンペーンが始まってすぐにSNS上で話題となったトリキの錬金術とは、飲食代をグルメサイト予約で付与されるポイントより少ない金額で済ませてポイントを貯めようという手法でした。メニュー全品が税抜298円均一の居酒屋チェーン鳥貴族で1品だけ注文して会計を済ませれば、税込み価格が引かれても1回の来店で673円分のポイントがもらえるとして話題を集めたのです。

「トリキの錬金術」として紹介されたこの裏技も、飲食店に対する弊害が指摘されたことで政府も制度の見直しを迫られました。付与されるポイント未満の飲食代についてGoToイートの対象外となり、ディナーの時間帯は1,000円以上の飲食がポイント付与の対象です。鳥貴族の複数店舗を回ってポイントを荒稼ぎするトリキの錬金術も、スタートから短期間で無効ということになりました。

トリキの錬金術については、こちらの記事で詳しく解説しています。

GoToイートのポイント付与で稼ぐ裏技とは?トリキの錬金術の実態
飲食店を支援する「GoToイート」キャンペーンでオンライン予約サイトを利用し、注文した品の代金以上にポイント付与を受けて稼ぐ裏技が話題となっています。「トリキの錬金術」とも呼ばれる儲けの手法について、違法性の有無や問題点を考察してみました。

実質無料で飲食できる無限ループ

トリキの錬金術が使えなくなったことでGoToイートも健全化されたかに見えましたが、今度はジャスト1,000円分の食事で次回以降も実質無料にする「無限ループ」の手法が新たに考え出されました。1,000円分ならGoToイートのポイント付与対象となり、早いグルメサイトだと1週間程度でポイントが使えるようになります。

付与された1,000円ポイントでまたジャスト1,000円分の食事をすれば、実質無料で飲食代を賄えるのが無限ループの仕組みです。このときの飲食にも1,000円分のポイントが付与されるため、同じ手を使い続ければ新たな自己負担が発生しないという計算になります。

もちろんGoToイートのキャンペーンも永遠に続くわけではなく、ポイント付与は2021年の1月31日まで、付与されたポイントの利用は同3月31日までが期限です。ポイント付与のタイミングを考えると1カ月に利用できる回数も限られてくるため、最初に1,000円を払うだけで毎日の食事を実質無料にできるほど甘くはありません。

来店から7日後にポイントが付与されるHOTPEPPERグルメで予約した場合でも、最初の1週間に1日1,000円ずつ飲食することで毎日の食事が実質無料になるという計算です。つまり最初に7,000円分の飲食代をかけることで、GoToイートの予算が続く限りは2週目以降に追加の食事代が発生しないということになります。

無限ループでも飲食店にはメリットあり?

GoToイートの制度設計の盲点を突いたとも言える無限ループの手法は、対象となる飲食店にとって迷惑でないのでしょうか?

GoToキャンペーンの財源は当然のことながら国民の税金ですので、食事代を実質無料にする手法に血税が使われるのは決して好ましい話ではありません。グルメサイト予約のポイント付与から先行スタートしたGoToイートキャンペーンは、コロナ禍で苦しい経営状況が続く飲食店を支援するのが本来の目的です。トリキの錬金術や無限ループで利用客側が得をする手法がSNSを通じて広まってしまい、飲食店の支援という本来の趣旨から外れてしまっている感も否めません。

トリキの錬金術に利用された鳥貴族の店舗では、少額の飲食代で席が埋まってしまうという弊害も生じました。肝心の飲食店側にメリットが少ないことから制度がスピーディに見直されたわけですが、無限ループでも同様の弊害は考えられます。

オンラインで予約した客が来店し飲食した場合には、サイトごとに異なる送客手数料が店側の利益から引かれる仕組みです。グルメサイトからオンライン予約してもらうことで集客力の強化にはつながりますが、その分だけ利益は減ってしまいます。

コロナで大きな打撃を受けた飲食店にとっては、利益率は多少下がってもキャンペーンで店に賑わいが戻るのは1つのメリットです。GoToイートの盲点を利用して実質無料で飲食を続ける来店客が出てきたとしても、国の予算が使われて損失分が補填されるということになります。無限ループで最終的に損をするのは、GoToイートの予算に税金を投入することになる国民の方です。

GoToキャンペーン全体で総額1兆円以上の予算が組まれていますが、国債を発行することで全額を賄う仕組みとなっています。新たな国債発行は将来の国民に対して借金を残すことになるため、今は無限ループで得をしている人も負担がまったく発生しないというわけではありません。いろいろと問題点があることから、無限ループもトリキの錬金術と同様に見直される可能性があります。

GoToイートの無限ループまとめ

コロナで苦しんでいる飲食業界を救うはずだったGoToイートキャンペーンが、制度設計の不備を突く形で利用客が得をする手法に使われています。付与されるポイント未満に飲食代を抑えることでポイントを貯めるトリキの錬金術は、店側にも迷惑がかかるというので早々に見直しされました。

GoToイートの対象が1,000円分の飲食代に限定されるようになった後にも、今度は最初に1,000円分だけ飲食をして次回以降の飲食代を実質無料にする無限ループが広がっています。実質無料でも飲食店にとっては国の予算で売上が賄えるため損失はありませんが、その財源に国民の税金が使われている点はやはり問題です。トリキの錬金術と同様に、今後は無限ループについても見直される可能性があります。

【11月13日追記】

必ずしも無限ループ対策というわけではないようですが、予想以上に盛り上がっていたGoToイートもポイント付与の方は農水省から近日中の終了が発表されました。616億円とされていた予算の半分以上に当たる400億円がすでに使用されており、予約が増え続けている状況から予算を使い切るものと判断されたようです。当初の予定では2021年の1月末までポイントが付与されるはずでしたが、国の予算がなくなれば早めに終了する可能性もあるとされていました。

終了となればグルメサイトから予約しても、GoToイートの新たなポイントが付与されなくなります。付与されたポイントは2021年3月末まで使用可能とは言え、新たなポイントが付与されなくなることで無限ループも短命に終わりそうです。プレミアム付き食事券の方はまだ終了が発表されていませんので、今後はこちらに絞られる形となります。

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