PR

持続化給付金を不正受給しながら自首する人が続出している理由とは?

ニュース
記事内に広告が含まれています。

コロナの影響で前年度より収入が激減した個人事業主に対して、最大100万円が支給される持続化給付金で不正受給が相次いでいます。学生や無職など個人事業主でない人が偽の書類を作成し、架空の収入減を申請して給付金を騙し取ろうというパターンです。

不正受給が発覚すると返金額に延滞金や加算金が加わるだけでなく、悪質と判断された場合は刑事罰の対象となりかねません。実際に逮捕者も出ていることから、ここに来て不正受給後に警察へ自首する人が続出しています。国民の税金を使った制度が悪用されている実態について、自首する人が増えている理由や国の対応も含めた最新情報をまとめてみました。

スポンサーリンク

持続化給付金の不正受給が相次いだ理由

コロナ禍で深刻な打撃を受けた国民生活を支援するために、政府は特別定額給付金やGoToキャンペーンなどの経済政策を矢継ぎ早に打ち出してきました。事業者に対する支援策としては、5月に申請受付がスタートした持続化給付金が何かと話題を集めています。

持続化給付金は前年の同月比で収入が50%以上減った中小企業に最大200万円、個人事業主には最大100万円が支給される制度です。迅速な支給を目指すために申請は簡略化され、公式サイトからオンラインで申請するだけで給付金が受け取れる仕組みとなっています。

給付金の申請に必要な書類は、自分で作成したEXCEL文書や手書き帳簿のスキャン画像でも可です。他の給付金と比べて申請が簡単で審査も比較的緩かったことから、本来は受給資格がないのに給付金を不正に受け取ろうとする人が相次ぎました。その手法がSNSを通じて広がったのも不正受給が続出した一因ですが、その背景には元締めとも言える主犯格の存在が考えられます。

他の給付金よりは申請が簡略化されているとは言え、持続化給付金でも申請の際には煩雑な手続きや帳簿などの書類作成が欠かせません。依頼人に代わってうその申請書類を作成する対価として、給付金の中から20万円程度を手数料として徴収するのが申請代行の典型的な手口です。依頼する人が増えれば増えるほど申請代行業者の収益も増える計算だけに、持続化給付金の仕組みに関する知識に乏しい若者が狙われているという特徴も見られます。

持続化給付金詐欺とは?不正受給を持ちかける「申請代行」の闇を解説
新型コロナウイルスの影響で収入が激減した事業者を対象とする持続化給付金で、申請代行などの手法による不正受給の詐欺が相次いでいます。どのような人が騙されやすいのか、救済制度を悪用した持続化給付金詐欺の実態について最新情報をまとめてみました。

時給がいいバイトとして勧誘

SNSなどで持続化給付金の不正受給を持ちかける場合には、「時給がいいバイト」というような表現で勧誘されているパターンが多く見られます。実際には働いてお金を稼ぐ仕事と性格がまったく異なる行為のため、「バイト」と表現するのは適切でありません。

若い世代の間ではそのへんの区別があいまいになっている面もあって、どのような形であってもお金を稼ぐ行為であれば「バイト」と呼ばれるのが現状です。「バイト」と称すれば仕事でもしているような感覚になるため、違法性のある行為に対しても抵抗が薄れてしまいます。売上帳簿や確定申告書など偽りの申請書類を作成するだけで最大100万円の給付が受けられるとすれば、2割程度の手数料が引かれるとしても時給換算で効率的に高収入が稼げるのは確かです。

しかしながらそうした不法行為は国を騙して給付金を巻き上げるのと変わりはなく、経済活動に伴う労働の対価として得られる給料と同じではありません。特殊詐欺の受け子やアポ電強盗・名義貸しなど、いわゆる闇バイトも「バイト」という表現を使って似たような勧誘の仕方がされています。手っ取り早くお金を稼ぐ手段を総称した「バイト」という便利な言葉も、こうなっては違法行為を助長するとすれば大いに問題です。

不正受給後に自首する人が続出

持続化給付金を不正受給した人がどれだけいるのか、その実態は現時点で完全には明らかとなっていません。警察庁によると、10月14日の時点でこれまでに47人が不正受給の疑いで摘発されています。実際にはその何倍もの人が不正受給に手を染めているものと推測され、これまでに摘発された例は氷山の一角に過ぎません。

ここ最近の動向で目立っているのは、持続化給付金をいったんは不正に受給しておきながら警察に自首する人が増えているという意外な現象です。不正受給した人の多くは違法性を明確に認識しないまま、安易に虚偽申請していたものと見られます。持続化給付金の公式サイトを熟読すればわかるように、不正受給は刑事罰の対象になりかねない違法行為です。

悪質性が高いと認められた場合には、不正に受給した人の個人名も公表されて社会的信用が失墜しかねません。不正受給に誘い込んだ申請代行業者もそうしたリスクについてはろくに説明せず、「危なくない」などと安心させるような言葉で勧誘していた様子が見て取れます。

勧誘に乗ってしまった人は学生を含めた20代以下の若者が多く、そういう「うまい話」を持ちかけられると安易に乗ってしまいがちです。マルチ商法やアポイントメント商法・デート商法など、若い世代がターゲットにされやすい詐欺の被害も跡を絶ちません。今回の持続化給付金不正受給でも受給してしまってから「大変なことをした」と事態の重大さに気づき、警察に逮捕される前にと思って自首する人が続出しているのです。

逮捕者が相次ぎ不安が拡大

持続化給付金を不正受給した人が警察に自首する例が増えているのは、実際に逮捕者が出て大きく報じられたのも一因です。給付金の申請スタートから2カ月が経過した7月頃から逮捕者が出始め、月を追うごとに逮捕の報道が増えてきています。不正に受給したからと言って必ず逮捕されるとは限りませんが、不正受給を目的に虚偽の書類を作成して申請した事実が確認された場合は、詐欺罪として刑事罰の対象となり得る行為です。

今回の不正受給ではそうした違法性を認識しないまま、安易に虚偽の申請をしてしまった人も少なくありません。事件が大きく報じられたことで「自分も不正受給に該当するのではないか」と不安になり、警察に相談する人も増え続けています。警察だけでなく消費生活センターにも同様の相談が多く寄せられており、「返金したい」と申し出る人も珍しくないほど不正受給が広がっている実態が見えてきました。

他の給付金と比べて不正受給が飛び抜けて多いとは言え、違法性を知っていながら虚偽の申請をした悪質なケースはそれほど多くないとも見られます。これまでは給付金の不正受給や犯罪と無縁だった人が多く巻き込まれ、報道を知って青くなっているのが現状なのです。

農家の間にも広がる不正受給

持続化給付金の受給対象は中小企業とフリーランスを含む個人事業主ですが、不正受給の動きは農家の間でも広がりを見せています。農業法人に雇用されている農業バイトでもない限り、農家もまた個人事業主の一種に属するのは確かです。コロナの影響で前年同月から収入が2分の1以下に減った月があれば、農家でも持続化給付金を受け取ることはできます。

問題となっているのは、もともと農業収入がない農閑期の月をベースとして持続化給付金を申請するケースです。月によって収入に大きな差がある場合は前年の合計収入を12で割って計算した月平均の収入をベースに、それより50%以上収入が減った月があれば申請できる仕組みとなっています。

農業は1年の中で限られた収穫期に収入が集中する例が多いだけに、それ以外の月で収入がないという農家も少なくありません。こうした形での申請は必ずしもコロナの影響で収入が落ち込んだケースとは言えないだけに、不正受給に該当する可能性があります。不適切な申請を行って給付金を受け取った農家の中には不正受給の報道を受けて返還を申し出たり、商工会議所に相談する人も増えてきている状況です。

中小企業庁は厳しく対処

このように持続化給付金では過去に例がないほどのペースで不正受給が拡大していることから、中小企業庁でも厳正な対応を迫られています。「逃げ得は絶対に許さない」という厳しい表現で注意を促し、不正受給に対しては徹底的な対策を講じる方針を打ち出してきました。官公庁としては異例とも言える対応ですが、それだけ持続化給付金の不正受給が多いという証拠です。

持続化給付金を不正受給した場合は警察に逮捕される恐れがあるだけでなく、受け取った金額に延滞金や加算金をプラスして返還しなければなりません。金銭面でも重いペナルティが科される仕組みだけに、違法性を認識せず話に乗ってしまった人は少しでも早く申し出て返金の手続きを済ませるのが得策です。

中小企業庁もそのへんは柔軟に対応するとしており、調査を開始する前に自主返納すれば延滞金や加算金は科さない方針を発表しました。自主的に返金することで金銭面でのペナルティは免れても警察に捜査される可能性は残されますが、捜査が開始されてしまうと返金も受け付けられない場合があります。心当たりがある人は事態を放置せず、1日でも早く返還の手続きを開始した方がいいでしょう。

持続化給付金の不正受給まとめ

コロナで収入が減った個人事業主が最大100万円がもらえる持続化給付金で不正受給が相次ぎ、逮捕者が続出する事態となっています。スピード感を重視したために他の給付金よりも申請が簡単で、申請方法や申請代行の勧誘がSNSを通じて広まったのも不正受給が多い理由の1つです。

ほとんど罪の意識もなく儲け話にうっかり乗ってしまった人が多いせいか、今になって警察に自首したり相談したりする人が増えています。それまで違法行為とは無縁だった人も勧誘を通じて不正受給に多く加担しているものと見られ、逮捕者が大きく報じられたことでは不安が拡大しているのです。

中小企業庁でも「逃げ得は絶対に許さない」として厳正に対処する方針ですが、調査が開始される前に自主返納すれば延滞金などのペナルティは科さないとしています。警察の捜査が開始されてからでは返還も難しくなりますので、不正受給に該当する人は少しで早く返金を相談すべきです。

タイトルとURLをコピーしました