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持続化給付金詐欺とは?不正受給を持ちかける「申請代行」の闇を解説

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新型コロナウイルスの影響で前年度からの収入が激減した中小企業や個人事業主に対して、国からの救済制度として持続化給付金が5月にスタートしました。当ブログでもスタート時にはいち早くこの話題を取り上げ、申請の仕方や受給対象となる要件について解説しています。

フリーランスでも最大100万円がもらえる持続化給付金を徹底解説
フリーランスを含む個人事業主を対象とした持続化給付金が、5月から申請できるようになります。申請方法が複雑なため自分は対象に含まれるのかどうかわからないというフリーランスに向けて、給付の条件と金額の目安・必要書類の種類について解説します。

そんな持続化給付金で不正受給による逮捕者が出ているという報道を目にしたため、記事の続編を書く必要に迫られました。持続化給付金詐欺という言葉まで登場するほど不正受給の例が相次いでいる現状について調査してみると、詐欺の手口や騙されやすい人の特徴が見えてきます。コロナ禍の混乱に乗じた持続化給付金詐欺の実態について、現在わかっている最新情報をまとめてみました。

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持続化給付金詐欺とは?

委託先業者の選定過程が不透明だったりして、持続化給付金に関しては何かとネガティブなイメージで語られがちです。追い打ちをかけるように今度は不正受給の相次いだ事実が明らかになり、実際に逮捕者まで出してしまいました。スピード感が求められた制度の趣旨を受けて簡単に済むよう配慮された申請方法が悪用され、誰でもその気になれば架空の事業収入に基づく受給が可能な状態だったのです。

個人事業主でない学生や会社員・無職の人でも、収入が減ったという偽りの事実を自己申告すれば申請書類が出来上がります。不正が発覚すれば支給額に年率3%の延滞金をプラスした金額の20%を加算され、返還請求に応じなければなりません。悪質と判断されれば逮捕されるような不正が広がってしまったのも、SNSや友人からの誘いを介した「人と人とのつながり」が一因でした。

SNSを使って申請代行に誘い込む手口

持続化給付金を申し込む際にはわざわざ役所の窓口まで赴く必要がなく、必要書類さえ用意すれば電子申請で手続きが完了します。それですら慣れない人にとっては手続きが複雑だと思いがちで、確定申告書の控えや対象月の売上台帳なども簡単には作成できません。ましてや架空の数字を使って不正に受給しようとしている人にとっては、それらの書類作成に大きなハードルがあります。

普通なら不正を働こうなどと考えもしないような人たちでも、誰かの誘いがあれば心が揺れ動いてしまうものです。逮捕された学生のケースでは、「友人に誘われた」のがきっかけとなった例が多く見られました。SNSもそうした詐欺の温床となっている面があり、TwitterやInstagramで知り合った人から誘いを受けたという事例も見受けられます。

実際にSNSでは「申請代行」の勧誘が多く見られる中で、「無職や主婦でも可」などという文句には要注意です。申請書類の作成を請け負う代わりに、支給された給付金100万円から50~80万円程度の手数料を徴収するのが常套手段とされています。

面倒な書類作成を代行業者に任せるだけで残りの20~50万円が手に入るのですから、後先を考えずに飛びついてしまう人が続出したのは無理もありません。申請代行を請け負う業者にしてみれば、うまい話に飛びつく人が増えれば増えるほど儲かるという仕組みです。

背後に特殊詐欺グループが存在する可能性は?

このように持続化給付金で不正受給が相次いでいる背後には、特殊詐欺グループが黒幕として関わっているのではないかという見方もあります。

今回の一連の不正受給は、振り込め詐欺などのノウハウを注ぎ込んで行われたものだとみています。いくつかの共通点をあげますと、特殊詐欺では、高齢者からキャッシュカードを騙し取り、そのカードでATMからお金の引き出し役を担うのが「出し子」といわれる人たちで、その多くはSNSを通じて集められます。同じように、今回の不正受給への誘いもSNSから行われています。(引用:「騙した者はダマされる。持続化給付金詐欺に仕掛けられた二重の罠。真の狙いとは!?」多田文明https://news.yahoo.co.jp/byline/tadafumiaki/20200822-00194472/

現時点で真相はまだ明らかとなっていませんが、実際に逮捕者が出ている学生らがすべて自分たちで考えて不正受給を行ったとは限りません。以前から社会問題となっている特殊詐欺にしても、黒幕と見られる組織のトップが摘発された例は決して多くはないと見られます。逮捕されているのは大半が末端の人員に過ぎず、詐欺で得た収益もほとんどは顔の見えない黒幕に吸い上げられているのが現状なのです。

今回の件では持続化給付金の不正受給を目的とした申請代行で、実質1時間程度の作業で高収入が稼げる「バイト」の名目で誘っている例も見られる点が少々気になります。組織的に行われる特殊詐欺の現場でも会社のように役割分担がされていて、1人1人は「仕事」をする感覚で電話をかけたりATMから現金を引き出したりしています。

結果的に収入が得られるという点では仕事とよく似ていますが、人を騙して巻き上げたお金は労働で得た報酬と決して同じではありません。何らかの形で人の役に立つ行為をした対価として労働報酬を得るのが仕事の定義だとすれば、持続化給付金詐欺も特殊詐欺も仕事に当てはまらない点では共通しています。世の中があまりにも複雑になってお金を稼ぐ目的がわかりにくくなっているせいか、本来の意味での仕事と詐欺でお金を稼ぐ行為とを混同している人も増えているのです。

持続化給付金詐欺に乗ってしまう人の特徴

本来であれば新型コロナウイルスの影響で深刻な状況にある個人事業主を救うはずの給付金を、架空の帳簿で騙し取ろうとしたのはどういう人たちでしょうか? 事情を知らないと「いかにも悪そうな人」を思い浮かべてしまいがちですが、実際に逮捕されたのはごく普通の学生が多いと言われています。

 

実際に逮捕者はまだ出ていないと見られますが、無職の人や専業主婦などもそうした誘いについつい乗ってしまいやすい人たちです。持続化給付金の支給対象に当たらない普通の会社員でも、楽をしてお金を稼ぎたいという思いが強すぎる人は誘いに乗ってしまう可能性があります。いずれも何らかの事情でお金に困っている人や、日頃から生活費の不足に悩まされているような人ほど誘いに乗りやすい傾向が見られるのです。

社会人経験がない学生が狙われやすい理由

特に学生の場合は今回のコロナ禍でアルバイトの仕事がなくなったり、シフトを減らされたりして収入が激減してしまった人が続出しています。緊急事態宣言の際には多くの飲食店で営業自粛を余儀なくされましたが、それらの店を支えているホールスタッフやキッチンスタッフには学生アルバイトも少なくありません。外出自粛の動きが広がることで飲食店の売上が落ち込めば、真っ先に人員整理の対象となってしまうのは立場の弱い学生アルバイトです。

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感染拡大を防ぐために全国各地でイベントや音楽ライブの中止も相次いだため、イベントスタッフのバイトで生計を立てていた学生にとっても大きな痛手となりました。今回のコロナ禍で最も大きな打撃を受けたのは観光業界ですが、住み込みで働くリゾートバイトも学生に人気を集めていた仕事の1つです。

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宅配バイトのようにコロナ禍で需要が拡大した業種もありますが、学生のアルバイトとして定番だった仕事の多くは新型コロナウイルスの影響で収入激減のピンチに直面しています。6月に県をまたいだ移動が解禁されると、一人暮らしを維持するのが難しくなった学生が地方の実家に帰るという動きが見られるようになったほどです。

そんな窮地に追い込まれていた学生にとっては、楽をして数十万円稼げるという持続化給付金の申請代行は魅力的な「バイト」に思えてしまいます。世の中の仕組みをよく知っていれば違法な行為かどうかの判断もできますが、社会人経験に乏しいと誘いを受けた際に必ずしも冷静な判断ができるとは限りません。今回の詐欺も給付金の仕組みをよく知らなかった学生が主なターゲットにされた面があり、口コミやSNSを通じて勧誘の輪が広まってしまったために逮捕者まで出してしまったのです。

収入が不足しがちな会社員も要注意

社会人としての経験を持つ一般の会社員ならそうした誘いには乗らないのかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません。ある程度の人生経験があってさまざまな詐欺や不正の摘発例を見てきた人であれば、受給資格がないのに持続化給付金を受け取ろうという危険な行為には手を染めようとしないはずです。

とは言え持続化給付金の制度はなかなか複雑で受給要件もわかりにくい面があるだけに、巧妙な誘い文句を目にすれば普通の会社員でも心が揺れ動いてしまう可能性があります。年功序列の会社で給料が安く抑えられている20代の若手会社員はもちろん、住宅ローンや教育費などで家計が苦しい30代の中堅社員なども要注意です。

何らかの理由で前年度より収入が減ってしまったという個人事業主やフリーランスでも、その理由が新型コロナウイルスの影響でなければ持続化給付金の受給要件に当てはまりません。実は当ブログを運営するYAMATO自身も前年度より収入が減った月があるため申請を検討しましたが、コロナの影響ではなかったこともあって申請せずに見送りました。安易に申請していれば不正受給と判断されかねなかっただけに、今になって背筋が凍る思いをしているという次第です。

会社員の中には飲食店やイベント関係・観光業など、コロナの影響が大きかった業種の仕事で副業収入を稼いでいるという人も少なくありません。個人事業主を対象とした持続化給付金はあくまでも本業としての収入を対象としているため、そうした副業の収入が減った場合でも申請の対象外となってしまう点には注意が必要です。

持続化給付金詐欺の実態まとめ

制度の趣旨を考えるとコロナの影響で副業収入が減った人も給付対象に入れてほしかったという思いはありますが、国民の税金を財源としているだけに受給要件が厳しく設定されているのも当然です。飲食店や宿泊施設などを経営する個人事業主の中には、収入が大きく減って廃業の危機に直面している人も少なくありません。イベント関係の仕事で生計を立てていたフリーランスなども含め、持続化給付金のおかげで急場をしのいだ人は多いはずです。

そんな救済制度を悪用して不正にお金を稼ぐ手段にしようとするのは、コロナ禍の混乱に乗じた火事場泥棒のような行為だと言えます。お金のある場所にはどうしても悪い輩が集まるのが世の常とは言え、無知が原因で詐欺の片棒を担いでしまう場合もあり得ます。SNSがそうした勧誘の温床となっているのも、「在宅で簡単に高収入が稼げる」などと称する怪しい求人に通じる部分がありそうです。

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