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マスク転売禁止と副業・起業ブームとの関連について考察

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新型コロナウイルス騒動による影響でマスクの品薄状態が続いていることから、ネットオークションやフルマサイトでは高額出品が相次いでいます。ドラッグストアやスーパーでマスクが手に入りにくくなっているのは、インターネットでの転売を目的として大量に買い占めをする人が増えているのも一因です。

需要と供給のバランスを崩すマスクの転売行為が問題視されているのを受けて、新型コロナ対策を次々と打ち出している政府も動きました。「国民生活安定緊急措置法」という法律に基づく新たな対策が3月中旬にも実施され、マスクの転売が禁止されるようになります。

国を動かすに至ったマスクの転売横行には、国が主導して進められてきた副業解禁の動きが背景にあるという点も見逃せません。働き方改革がマスクの転売とどう関係しているのか、正しいビジネスのあり方という観点から考察してみました。

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政府がマスク転売禁止に動くまでの経緯

新型コロナウイルスによる感染が日本で騒がれ出したのは、国内で初の感染者が確認された1月中旬頃のことでした。当初はマスクの極端な品不足も中国の国内に限られた話でしたが、感染拡大に伴って日本でも需要が急増するようになります。仕事でマスクを使用する医療や介護の現場では1月下旬くらいからマスクが手に入りづらくなり、ドラッグストアなどの店頭で販売される際にも制限がつけられるようになったのです。

未知のウイルスが引き起こした新たな感染症でワクチンや特効薬がまだ開発されていないだけに、報道もヒートアップして必要以上に人々の不安や恐怖を煽り立てている面もあります。普段はマスクをしない人まで一斉に使い始めたのが品不足の直接の原因ですが、そうした群集心理に付け込んだ高額転売目的の買い占めも品薄を招いている一因です。

転売目的のマスク買い占めと高額出品相次ぐ

マスクの品薄状態が大きく報じられるようになった少し前から、ヤフオク!やメルカリ・Amazonなどのサイトではマスクの高額出品が目立っていました。マスク1箱が通常価格の100倍から1000倍以上という高値で出品されたり、表面的な価格は安いように見えながら1万円近い送料を設定しているような例です。

このような形で高額出品しているのは、普段から花粉症などの対策としてマスクを多めに買い置きしていた人とは限りません。騒動発生直後でまだ店頭に売られていた商品を大量に買い占めたり、行列に並んで複数店舗から必要以上に買い集めたりした人も少なくないと見られます。混乱に拍車をかけるようなそれらの動きに規制をかける目的で、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えたい政府が転売禁止に乗り出したのです。

マスク転売禁止に適用される「国民生活安定緊急措置法」とは?

たとえ政府であっても特定商品の転売を禁止するからには、それなりの法的な裏付けが必要になってきます。マスクの転売禁止を実施するに当たって法的根拠とされるのは、国民生活安定緊急措置法という法律です。

この法律が成立した1973年当時は第一次オイルショックの影響で店頭からトイレットペーパーが消える騒ぎに発展し、物価の急激な上昇が大きな社会問題とされていました。騒動鎮圧後は同法も以後しばらく使われていませんでしたが、今回のマスク品薄やデマに基づくトイレットペーパー騒動はオイルショックの頃とよく似ています。今こそ伝家の宝刀を抜き、新型コロナ騒動で混乱を極めている国民生活の安定化を図る必要性が生じているのです。

同法はすでに生産・販売業者に対する売り渡し指示という形で実施され、政府が買い取っマスクが北海道で配布されました。同法を活用したマスク品薄対策の第2弾として今後は譲渡などを制限するた規定も適用され、転売を行った者に対して罰金刑や懲役刑などの罰則が適用されることになります。

副業・起業ブームもマスク転売に拍車か

オイルショック当時に制定された法律が存在するとは言え、マスクのような特定の品に対して政府がここまで厳重に転売を禁止するのは極めて異例の事態です。転売の対象となったマスクがそれだけ命を守るのに欠かせない医療・介護の必需品で、政府が介入しない限り重大な人道的弊害が生じると懸念されていることを意味します。転売そのものは必ずしも違法というわけではありませんが、扱おうとする物品の種類や手段によっては違法と判断されるケースもあるのです。

仕入れた商品の価格に利益を上乗せした売価を設定した上で販売するという行為は、一般的な小売業や卸売業でも基本的には転売と変わりありません。今回のマスク転売騒動で主役を演じているのはそうした業者とは限らず、個人で転売を手がけている人がマスクを出品している例も相当数あったものと推定されます。

ネットオークションやフリマアプリなどが普及した現在では、個人でも転売で手軽に稼げるようにななりました。匿名でも出品が可能なだけに倫理的に問題があるような転売の例が跡を絶たず、2019年に禁止法が施行されたチケット転売も大きな社会問題となりました。このように転売で儲けようとする人が増えている背景として、ここ数年の副業や起業ブームも無視できません。

副業解禁で転売を行う人が増加中

働き方改革の一環として2018年にモデル就業規則が改定されて以降、副業を解禁する企業が増えているのは周知の事実です。本業以外で収入を得る手段には飲食店アルバイトのような雇用による働き方と、フリーランスエンジニアやアフィリエイトなど雇用によらない働き方の2種類に分けられます。転売ビジネスは雇用によらない副業の代表格で、海外輸入などの手法で高収入を稼いでいる人も少なくありません。

転売ビジネスそのものは副業が解禁される以前から存在し、起業の一形態としても人気を集めていました。働き方改革が大きな話題となって副業が注目されるようになったせいか、本業の傍らで転売ビジネスを手がけようとする会社員も増えています。

参入者が多くなると脱線する人が出てくるのは、転売に限らずどの分野でも起こり得る話です。法外な価格設定や需要のある商品の買い占めで効率的に稼ごうとするのも、仕事のノウハウを転売の副業にも生かして収入を増やしたいという意識の表れだと考えられます。今回は人々の不安に付け込んだマスクの転売が行き過ぎたために規制の対象となってしまいましたが、需要と供給の差に着目して差額で利益を得る転売のビジネスモデル自体が否定されたわけではありません。

転売で稼ぐ起業にも節度が必要

転売は収益性が高い稼ぎ方だけに、副業で始めたビジネスが軌道に乗ってくれば本業の給料を上回る収入を稼げるようになります。そうなると会社を辞めて起業することも視野に入ってきますが、何事も収益性を最優先させるようなビジネスのあり方では長続きしません。

転売ビジネスで稼いでいる人は「転売ヤー」などと呼ばれて揶揄されているように、何かと悪いイメージで語られがちです。ビジネスは信用が第一ですので、短期的ではなく継続的に収益を得ていくには、転売という言葉に抱きがちな悪いイメージを払拭する努力も欠かせません。転売ビジネスで起業しようとする人はもちろん、たとえ副業であっても節度のある仕入れ方法と販売方法が求められるのです。

まとめ

マスクの転売禁止が決まって以降はオークションサイトでもの出品数が増加傾向にあり、禁止される前に在庫を売りさばいてしまおうという思惑が見て取れます。出品が増えれば価格も下がってくると予想されますが、それでも売れなければ不良在庫を抱える羽目になりかねません。当分はマスクの需要拡大が続くと見て大量に仕入れた人にしてみれば、政府の決定は大きな誤算だったはずです。

マスクの需要がこれだけ極端に増えるということは、少し前には誰も予想していませんでした。需要逼迫の可能性にいち早く気づいて高額転売に踏み切った人は、短期的には相当な先行者利益を計上したものと推定されます。

しかしながら社会通念上に見て問題がある転売行為は、いずれ規制の対象となることが避けられません。そういうリスクのある品には手を出さず、安定した収益につながる商品を見つけるよう努力する人の方が、転売ビジネスで成功しやすいと言えます。

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