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週休3~4日制は新手のリストラ?働き方改革のモデルケースを解説

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3大メガバンクの1つとして知られるみずほフィナンシャルグループ(FG)で、希望者に対して週休3~4日制の導入が予定されています。みずほFGは銀行業界で売上げランキング3位に入る大企業でありながら、メガバンクで最初に副業を解禁したほど働き方改革に意欲的な企業です。

業界としては異例とも言える週休3~4日制を希望した場合には、基本給が60%から80%程度に減額される仕組みとなっています。それだけに「新手のリストラではないか」という声もありますが、週休3~4日制を導入すれば副業にもこれまで以上に取り組みやすくなるのは確かです。今後は他の業界や企業にも波及する可能性のある週休3~4日制について、働き方改革の観点から意義を考察してみました。

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希望者が選べる週休3~4日制の仕組み

みずほFGの母体となった共同持株会社のみずほホールディングスは、第一勧業銀行と富士銀行・日本興業銀行が合併して2000年に発足しました。その子会社として2003年に発足したみずほFGが親子関係逆転で親会社となり、現在はみずほグループの統括企業という位置づけです。

みずほFGの傘下にはみずほ銀行やみずほ信託銀行の他、みずほ証券・みずほ総合研究所・みずほ情報総研といった企業が所属しています。2020年12月のスタートが予定されている週休3~4日制は、親会社を含めたその6社の正社員が対象です。

他の業界では週休3日制を導入する企業も増えつつありますが、メガバンクのような大手金融グループでは初の試みとなります。週休4日制となれば他の業種でも前例が少ないとあって、まさに異次元の働き方改革と言える取り組みです。

みずほFGが打ち出したこの週休3~4日制はすべての正社員に一律で導入されるわけではなく、あくまでも希望する社員にしか適用されません。これで給料が同じなら誰もが飛びつくところですが、休日が増える分だけ基本給の方は少なくなります。週休3日を選んだ場合は基本給が80%程度になり、週休4日を選んだ場合は60%程度まで下がるという具合です。

有価証券報告書に記載された従業員の平均年収は親会社のみずほFGが968万円、みずほ銀行が736万円でみずほ信託銀行が860万円でした(いずれも2020年3月31日現在)。みずほ銀行の例だと週休3日にした場合は年収が589万円に下がり、週休4日にした場合は442万円まで下がるという計算です。週休4日まで勤務日数を減らした場合には、会社員全体の平均年収水準にまで下がることになります。

週休3~4日制を選ばなかった場合は週の勤務日数が5日ですので、休日が1日増えるごとに基本給が約20%ずつ下がるというのは妥当な数字です。いったん週休3~4日制を選んだ場合でも後から週休2日制に戻すことは可能ですが、社内には「一度減った給料が元に戻るかどうか不安」という声もあります。

副業には制約も

このようにみずほFGの週休3~4日制は減給とセットになっていることから、ネット上でも賛否両論が渦巻いている状況です。「新手のリストラではないか」という否定的な見方もありますが、あくまでも希望者だけが対象で会社から強制されるわけではありません。社員の中には休日が増えることを歓迎し、副業や起業にチャレンジしてみようという人が増えるものと予測されます。

週に最大4日を副業に当てられるとなれば、やり方しだいでは本業を上回るほどの高収入を稼ぐことも十分に可能です。とは言えみずほFGが認めている副業の範囲には制約があって、他社に雇用される形での働き方は想定されていません。飲食店や引越し業者・警備員などのバイトは手っ取り早くお金を稼ぐ副業の定番ですが、雇用を伴う仕事だけにみずほFG傘下の社員は不可ということになります。

そうした制約の中でもクラウドソーシングで募集されているような仕事やアフィリエイト・YouTuber・週末コンサルタントなど、雇用によらない自営型の副業なら可です。選べる副業の種類に限りがあるという点では中途半端な面もありますが、お堅いイメージがあった金融機関としては画期的な働き方改革だと言えます。

週休3~4日制を選ぶメリット

当ブログでもこれまで紹介してきたように、自営型の副業にも数多くの種類があります。すべて自己責任となる自営型の副業で高収入を稼ぐには、相当な時間を費やしながら地道な努力を続ける粘り強さが欠かせません。

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週休2日程度では中途半端な取り組み方になりかねないところを、週に3日も4日も休日があればじっくりと時間をかけて取り組むことが可能になってきます。それだけ本業の収入は減るわけですが、副業で本業並みの収入が得られるようになれば年収が倍以上に増えるという計算です。

「半沢直樹シリーズ」で知られる人気作家の池井戸潤氏は銀行を退職した後、小説家としてデビューするまでの間にM&Aや企業再生に関するコンサルタントとして起業していました。実際に銀行員からコンサルタント業へと転身する人は少なくありませんが、起業するに当たってはどのタイミングで銀行を辞めるかが問題です。銀行員としての安定した生活を捨てて独立するのは勇気が要る行動だけに、銀行在籍中から起業の準備を進めるのが無難だと言えます。

週末コンサルの形でプチ起業するのも1つの手ですが、週休3日や4日となれば顧客を獲得する上でも有利になってくるのは言うまでもありません。平日の日中にコンサルタント業務を行うことが可能になり、対応できる案件の範囲も大きく広がります。みずほグループの社員として会社に籍を置きながら、コンサルタント業などの副業に割く時間も十分に確保できるのは週休3~4日制のメリットです。

週休3~4日制で考えられるデメリット

副業に取り組む上でメリットが多い週休3~4日制にも、キャリアパスや生活の安定性という面ではデメリットもあります。高視聴率で話題を呼んだドラマ「半沢直樹」続編では、銀行内部の壮絶な権力闘争が過剰なほどの演出でもって描かれていました。メガバンクはそれだけ激しい出世競争が繰り広げられてきた巨大企業だけに、週休3~4日制を選んだ社員は出世レースからの脱落も懸念されます。

生き馬の目を抜くような会社で休日を重視する姿勢を示すということは、出世に興味がないと公言するのも同然です。週休3~4日を希望することで基本給が60~80%程度に減ってしまうだけでなく、昇級や昇格にも響いてくることが予想されます。

休日が増えれば副業に有利となるだけでなく、子育てや介護・家族サービスなどと仕事と両立しやすくなる点はメリットです。出世レースを勝ち抜くのはそうやって私生活を重視する社員よりも、家庭や趣味の活動を犠牲にしながら猛烈に働く社員の方が圧倒的に多いという現実もあります。

みずほFGは副業解禁など柔軟な働き方を取り入れる一方で、長期的な視野に基づいた人員整理の最中という事情も見逃せません。希望する社員の休日を増やすことで給料を減らすのも、表立ったリストラが難しい中で人件費を削減するための苦肉の策と解釈することも可能です。他の企業でも追従する動きが出てくれば、リストラに変わる新たな経営合理化のモデルケースともなり得ます。

みずほFGの週休3~4日制まとめ

メガバンクとしては初めて副業を解禁したみずほFGで、今度は希望者が週休3~4日制を選べる働き方改革が発表されました。週のうち3日または4日が休日となれば子育てや介護と仕事が両立しやすくなるだけでなく、コンサルト業などの副業を始めるにも有利となってきます。

みずほFGでは他社に雇用されるような副業は認められていませんが、自営型の副業や週末起業に成功すれば本業を上回る収入を稼ぐことも十分に可能です。日本型の終身雇用制度や年功序列の仕組みが崩壊しつつある中、週休3~4日制を利用した副業で「稼ぐ力」を身につけておけば将来にも役立ってきます。

とは言えみずほFGの週休3~4日制は基本給の60~80%減額とセットで、出世レースからの脱落が避けられないという点はデメリットです。影響力が大きいメガバンクでこのような制度がスタートしたことで、社会全体に同様の取り組みが広がるのではないかと注目されます。

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