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化石ハンターになるには?プロ・アマ2つの目指し方を解説

化石ハンターになるには?プロ・アマ2つの目指し方を解説 学び
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ここ数年は各地で化石ハンター展が開催され、大きな反響を呼んできました。テレビでも取り上げられたことから、化石ハンターと呼ばれる人たちが注目を集めています。ロマンをかき立てる仕事ぶりを見て、「自分も化石ハンターになりたい」と思った人も多いのではないでしょうか?

当ブログでは以前、「隕石ハンター」と呼ばれる職業について取り上げたことがありました。隕石ハンターはビジネスの色彩が濃い仕事ですが、化石ハンターは学術的な仕事というイメージもあります。「化石ハンター=古生物学者」と紹介されている一方、趣味で化石を採集している人も少なくありません。

そこで今回は化石ハンターをプロとアマチュアの2種類に分け、それぞれの目指し方について情報をまとめてみました。

プロの化石ハンターにはそう簡単になれませんが、アマチュアであれば思い立ったその日から名乗ることも可能です。テレビなどに登場する化石ハンターがどうやって今の地位を築いたのか、この記事を読めば理解できるようになります。

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化石ハンターとは?

恐竜を狙うハンター

化石ハンターになるには、どういう仕事なのか理解しておく必要があります。化石ハンターは「古生物学者」と同じ意味のように定義されることもありますが、両者は必ずしもイコールではありません。

化石ハンターと呼ばれている人たちのバックグランドを調べてみたところ、以下のような2つのタイプに大きく分けられることが判明しました。

  1. 学術機関に所属する研究者
  2. 個人で活動しているアマチュア

学術機関に所属する研究者を、この記事では「プロの化石ハンター」と定義します。プロの研究者が所属する研究機関は、大学や博物館などの学術施設です。

化石の採掘や研究をするには、多額の費用が必要になってきます。プロのハンターは、研究施設の予算が使える点で恵まれた立場です。

大学や博物館などの研究施設に所属せず、私費で化石の採掘や収集をしている愛好家も少なくありません。日本は他の国と比べて、アマチュアの化石ハンターが多いとも言われています。古生物学上で重要な化石の発見も、多くはアマチュアによる地道な活動の成果です。

発見した化石を詳しく分析したり論文を発表したりするのはプロの仕事ですが、化石の発掘そのものではアマチュアのハンターが大きな役割を担っています。どちらも太古に生きていた生物のロマンに魅了され、貴重な化石を探し求める活動をしている点では変わりありません。

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化石ハンターになるには?

ハンマーと化石

一口に化石ハンターと言っても、学術機関に所属する研究者と所属しないアマチュアでは立場が異なります。化石ハンターになる方法も、プロとアマチュアで違ってくるのは当然です。

プロの化石ハンターにはそう簡単になれませんが、アマチュアの化石採集家なら誰でも目指せます。研究者コースとアマチュアの化石採集家コースに分けて、化石ハンターになるための方法を見ていきましょう。

研究者コース

古生物学や恐竜など、化石を研究する学者の一般的な出世コースは以下の通りです。

  1. 大学で古生物学を専攻する
  2. 大学院に進んで博士号を取得
  3. 博物館や大学など研究機関に就職
  4. 化石発掘や調査・研究に従事
  5. 推薦を得て日本古生物学会に所属
  6. 学会誌に論文を掲載
  7. 年会で研究成果を発表
  8. 古生物学者として認められる

就職先で必ずしも希望する部署に配属されるとは限りませんが、研究機関に所属していれば予算を使って研究に従事できるようになります。

日本古生物学会の会員になるには、所属会員による推薦が必要です。研究の成果を論文にまとめたり学会で発表したりする必要はありますが、他の研究者と接点を持てば共同研究や情報共有にもつながります。

化石の発掘や調査など、現場でのフィールドワークも研究者がすべき大切な仕事の1つです。大学や博物館などで働く中では、後進の指導や来館者への対応など研究以外の仕事もこなす必要が出てきます。

川原で化石を発見した化石ハンターの男性

「化石ハンターになりたい」という人がまだ高校生以下であれば、研究者コースを選べる余地が残されています。すでに社会人となっている人や、古生物学と関連のない学部に所属する大学生は、今からプロの化石ハンターを目指すのは厳しいかもしれません。大学に入り直すなどして、これまでの人生を大きく変える必要が出てきます。

サラリーマン生活を続けながら大学院に通い、博士号を取得した人もいないではありません。本業の仕事と両立させるのは、大変な努力が必要となってきます。挫折した場合のリスクも考えると、アマチュアの化石採集家コースを選ぶのが無難な選択肢です。

アマチュアの化石採集家コース

近年は日本国内で貴重な恐竜化石が続々と発見されていますが、発見した人の多くは研究機関に所属しないアマチュアの化石ハンターです。普段は会社員の仕事をしている人もいれば、定年退職をきっかけに化石採集を始めた人もいます。さまざまなバックグランドを持つ人たちが化石の魅力に取り憑かれ、学術的にも貴重な発見に貢献するようになったというわけです。

そんなアマチュアの化石採集家になるには、研究者コースと違って決まった道があるわけではありません。独学で化石や古生物学について勉強をしながら、私費を投じて化石の探索・発掘をしている人が大半です。

化石を発見して喜ぶ化石ハンターの男性

「サラリーマン化石ハンター」として知られる宇都宮聡氏も、普段は大手家電メーカーで化石とは関係のないの仕事をしています。会社員の傍らで趣味の化石採集に取り組み、大学の博士課程に社会人入学したほどの人です。現在は博物館の外来研究員も兼務していますので、アマチュアと言うより研究者に近い存在と言えます。

秋川流域ジオの会に所属する長岡徹氏が化石ハンターになったのは、犬の散歩中に化石をたまたま発見したのがきっかけでした。化石採掘やクリーニング作業に従事するほか、化石発掘体験の講師も務めている人です。

全国各地で活動している無名の採集家を数に入れれば、アマチュアの化石ハンターはプロの研究者より数が多いと推定されます。研究機関や学会による制約がない分だけ、アマチュアの方が自由に化石採集の活動がしやすいからです。その代わり化石採集にかかる費用は、基本的に自分で支払う必要があります。

研究機関に所属する専門家と違って、アマチュアの化石ハンターは給料をもらってする仕事でもありません。副業の手段にはならないのが普通ですが、自分で発掘した化石を欲しい人に売れば副収入になります。メルカリやYahoo!オークションにも、個人が採集したものと見られる化石が出品されている状況です。

化石が見つかる場所

化石が露出した地層

一般に化石が見つかりやすいのは、山や川・海岸などで地層が露出しているような場所です。地層が露出していない場所でも、川原では上流から流されてきた化石が見つかる可能性があります。海に流された化石が打ち上げられることもあり得るだけに、海岸も化石が発見されやすい場所の1つです。

海外では砂漠や山岳地帯で、貴重な化石が見つかる場合もよくあります。恐竜の例で言えば、恐竜が生息していた2億5千万年前から6千万年前にかけての地層付近が、化石の見つかる場所です。恐竜化石は北米大陸やモンゴルの砂漠が主要な産地とされてきましたが、近年は日本国内での発見例が相次いでいます。

日本で恐竜化石が多く発見されているスポットは、以下の各道県です。

  • 北海道
  • 福井県
  • 兵庫県
  • 岐阜県
  • 熊本県
  • 鹿児島県

北海道では国内初となる大型恐竜の全身骨格化石が発掘され、カムイサウルスと名付けられました。福井県は恐竜の化石が多い点で全国一と言われる場所です。

兵庫県では有名な丹波竜の化石が発見され、岐阜県でも恐竜の卵としては日本最古の化石が見つかっています。日本で初めてティラノサウルス科の恐竜化石が発見された熊本県や、恐竜化石の産地が密集する鹿児島県も、化石ハンターにとっては注目のホットスポットです。

恐竜化石などの有名な産地では、博物館や地層で化石の発掘体験が開催されています。過去には発掘体験に参加していた小学生が、学術的に貴重な化石を発見した例もありました。

まとめ

化石の発掘

テレビ番組に出演する有名な化石ハンターの多くは、大学や博物館などの学術機関に所属する「プロ」の研究者です。プロの化石ハンターになるには大学で古生物学を学んで博士号を取得し、研究機関に就職するのが典型的なコースとなっています。研究施設の予算を使って、仕事として化石の採掘や研究ができるようになります。

化石ハンターと呼ばれる人の中には、研究機関に所属しないアマチュアも少なくありません。自分で費用を負担しながら、趣味で化石の採掘をしている人たちです。

化石が多く見つかる地域には、地元のアマチュア化石ハンターが地道な活動をしています。数の上では専業の研究者より多いと推定されるだけに、貴重な化石を発見した例の多くはアマチュアの人たちです。

プロの方が何かと有利なのは確かですが、アマチュアのハンターにも自分のペースで好きな化石を探せるという利点があります。今からプロの研究者を目指すのは難しいという人でも、志さえあれば化石ハンターになることは可能です。休日などを利用して時間を見つけ、化石探しを始めてみるといいでしょう。

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