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ひよこ鑑定士の年収が高い理由とは?高難易度の資格について解説

ひよこと卵 転職
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ひよこ鑑定士とは、生後間もない鶏のヒナの性別を鑑定するという珍しい職業です。単純そうに見える仕事なのに、年収は会社員の平均よりも高いと言われています。

ひよこ鑑定士の年収が高いのはどうしてなのか、資格の取得方法や求人の募集状況について情報を調べてみました。AIによる鑑定技術の進歩で仕事がなくなるという噂の真相についても、記事の後半で詳しく解説します。

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ひよこ鑑定士の平均年収

たくさんのひよこを背景にした「年収」の文字

ひよこ鑑定士はフリーランスの立場で大規模孵化場に派遣され、個別に仕事を請け負うのが一般的です。従業員として決まった給料を支給されるのではなく、1羽あたり4円程度の出来高制で報酬が支払われます。1時間に1,000羽の鑑定をこなせば、時給換算で4,000円ほど稼げる計算です。

鑑定に慣れたベテランの鑑定士ほど数を多くこなせるため、1日あたりに稼げる金額も増えることになります。中には1羽あたり100円稼げる仕事や、1羽1万円以上にも及ぶブランド鶏鑑定の仕事もあるという話です。

鑑定には98%から99%以上の精度が求められるため、正確さとスピードを両立させる必要もあります。経験の浅い鑑定士だと1時間あたりにこなせる数も少ないため、月の稼ぎが20万円程度で会社員の初任給と変わらない例も珍しくありません。

数を多くこなせるベテランになると、1,000万円以上の年収を稼ぐ人も出てきます。それらを平均すると、ひよこ鑑定士の年収は500万円から600万円の水準です。会社員全体の平均年収は400万円台ですので、平均よりは高い水準だと言えます。繁忙期とそれ以外の期間によっても月収に差があるせいか、副業の形で仕事を請け負っている人も少なくないと推定されます。

ひよこ鑑定士の年収が高い理由

たくさんのひよこ

一般に広く用いられている「ひよこ鑑定士」というのは通称で、鑑定の仕事をするのに欠かせない民間資格の正式な名称は「初生雛鑑別師」です。鶏はオスとメスで用途が異なり、卵を生むメスは採卵用に、生まないオスは一部が鶏肉用または種鶏用として飼育されています。それぞれの用途によってエサや飼育環境が違ってくることから、孵化後の早い段階でオスかメスかの鑑定が必要です。

ひよこの性別を知る方法として、以下のような鑑定法が考え出されています。

  1. ヒナの雌雄判別ができるようになるまで成長するのを待つ鑑定方法
  2. 羽の伸びる速さの違いを利用した羽毛鑑別法
  3. 羽の色の違いを利用した羽色鑑別法
  4. 肛門にある生殖器官のわずかな違いを利用した肛門鑑別法
  5. 孵化する前の卵をAIで雌雄判別する機械学習法
  6. 孵化する前の卵の染色体を調べる染色体マーカー法

小規模の養鶏場では、誰でも鑑定が可能な(1)の方法でひよこのオスとメスを判別しています。この場合は生まれてから4~6週ほど待たなければならないため、コスト的には合理的と言えない方法です。(2)と(3)の方法も訓練すれば素人でも鑑定は可能ですが、精度という点では課題があります。

現状で最も精度が高い鑑定方法は、専門教育を受けたひよこ鑑定士による(4)の肛門鑑定法です。AIによる機械学習法や染色体マーカー法も開発が進められてはいますが、まだ実用化のレベルには達していません。

一般に給与水準の低い仕事というのは、いくらでも代わりが見つかるような難易度の低い職種です。その点でひよこ鑑定士は資格取得の難易度が高く人材が不足しているため、給与水準も高めに設定されています。だからこそ、平均年収が会社員全体の平均より高い水準となっているわけです。

ひよこ鑑定士になるための資格「初生雛鑑別師」

手の中のひよこ

ひよこ鑑定士は年収の面で魅力のある職業ですが、この仕事をするには初生雛鑑別師の資格を取得する必要があります。初生雛鑑別師は国家資格ではなく、畜産技術協会という公益社団法人が認定している民間資格です。資格を取得するには受講試験に合格した上で、初生雛鑑別師養成所に入所して養成講習を受講する必要もあります。
試験の受講資格は以下の通りです。

  1. 満25歳以下で、高等学校卒業者またはこれと同等以上の資格がある人
  2. 身体強健で、視力1.0以上(矯正可)の人

出典:養成講習案内(公益社団法人 畜産技術協会)

試験は毎年2月に実施され、学科試験に加えて面接と書類審査が行われます。

ひよこ鑑定士を目指す学校

箱に入れられたたくさんのひよこ

初生雛鑑別師養成所の入所試験に合格後は5ヶ月間の初等科講習を経て、孵化場で鑑別研修生として研修を積むことになります。その上で高等考査に通過した人だけが、初生雛鑑別師としての資格を認定される仕組みです。

高等考査に合格するまでの年数には個人差が見られ、1年足らずで合格できる人もいれば、2年ほどかかる人もいます。この間に100万円以上の費用がかかるせいか、なかなか合格できずに辞めてしまう人も少なくありません。最終的な合格率は30%程度で、年間数人しか合格できないという狭き門です。

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ひよこ鑑定士の求人募集状況

パソコンに表示された「求人募集中」の画面

この記事を書くに当たって複数の求人サイトで募集状況を調査してみましたが、ひよこ鑑定士の求人は見つかりませんでした。国内で初生雛鑑別師の資格を持つ人は全国合わせても100名を少し超える程度で、主な勤務先となる大規模孵化場もそれほど多くないのが現状です。

資格を持つ人の高齢化で人員が不足気味の状況にあるのも事実ですが、ひよこ鑑定士はそもそも大量の人材を必要とするような職業ではありません。大半はフリーランスとして派遣登録し、大規模孵化場を持つ養鶏業者の仕事を請け負っています。そういう特殊な事情あるために、一般の求人サイトには募集広告が掲載されていないわけです。

全日本初生雛鑑別師協会という団体に登録すれば、国内外の養鶏業者で募集している鑑定の仕事を紹介してもらえます。ヨーロッパやアメリカ・ニュージーランドなどの海外では、日本以上にひよこ鑑定士の人材が不足している状況です。日本の初生雛鑑別師は技術力に定評があるため、海外の方が条件の良い仕事を見つけられる可能性があります。

日本で資格を取得した後にイギリスやフランスなどの海外に渡り、日本国内での平均より高額の年収を稼いでいる人も少なくありません。昔は現在よりも円安の状況にあったため、海外で数年ほどひよこ鑑定の仕事をしただけで家1軒が建つほど稼いだ人もいたようです。

ひよこ鑑定士の仕事がなくなる?

失業のイメージ

ひよこ鑑定士は動物好きの人に向いた仕事のように思いがちですが、生き物の命を扱う上では残酷な判断を下す面もある役割です。採卵用の鶏で性別鑑定を行う場合、必要とされるのはメスだけで、オスと鑑定されたヒナは処分される運命にあります。

海外ではこうした点が動物愛護の精神から問題視され、孵化する前の卵の段階で性別を鑑定する技術の開発が進められてきました。前述した鑑定方法のうち、機械学習法や染色体マーカー法がこれに該当します。

AIを活用した鑑定技術が確立されれば、現在の主流となっている肛門鑑別法が不要になるかもしれません。AIに仕事を奪われる可能性のある職種はひよこ鑑定士だけに限りませんが、一度資格を取得すればこの先何十年も安泰というわけではない点に注意が必要です。

ひよこ鑑定士の仕事が今すぐになくなるというわけではなく、現在の鑑定技術と置き換わるには越えるべき壁が多く存在します。海外でAIを使った鑑定技術が実用化されたとしても、導入には高額な費用がかかることが予想されます。日本国内すべての孵化場で最新技術を導入し終わるのはまだまだ先の話で、それまでは新旧両方の鑑定方法が併存する状況が続くと見るのが妥当です。

まとめ

手の上のひよこ

ひよこ鑑定士の平均年収は500万円から600万円ほどと推定され、会社員全体の平均を上回ります。国内で初生雛鑑別師の資格を持っている人は100人あまりしか存在せず、新たに資格を取得する人も年間で数人程度という大変な狭き門です。

養鶏業界では卵の孵化後にできるだけ早い段階で、性別鑑定を済ませる必要があります。ひよこ鑑定士の年収が平均より高いのは、資格取得のハードルが高く人材が不足しがちな点も理由の1つです。医師や弁護士などの国家資格と同様に、資格を取得するまでにかなりの費用と年数を要するという事情もあります。

報酬は1羽あたりいくらという出来高制で支払われるのが一般的だけに、鑑定の熟練度によっても年収が大きく変わってきます。将来的には仕事がなくなる可能性も否定できませんが、現状では高年収を稼げる可能性のある職業の1つです。

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