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砂金採りで収入を得るには?儲かる副業になり得るかどうかを検証

砂金採り お金
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当ブログではこれまでに石や流木・貝殻など、野外で拾ったものを売って収入を得る方法を紹介してきました。今回取り上げるのは、文字通りの一攫千金も夢ではない「砂金」です。

日本は知る人ぞ知る金の産地で、そのへんの川でも注意深く探せば砂金が見つかる可能性があります。ここ数年は世界的な金価格の高騰が続いているだけに、砂金採りで収入が得られるのではないかと考えている人も少なくない状況です。

うまくすれば趣味と実益を兼ねた副業になり得ると期待されますが、川で採ってきた砂金を売っても雀の涙程度の金額にしかならないという声も聞かれます。実際のところはどうなのか、砂金採りの方法と実際に稼げる金額について基礎知識をまとめてみました。川から砂金を勝手に採取するのは違法ではないかと心配している人も、この記事を読めば合法の範囲内で採取する方法が理解できるようになります。

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砂金とは?

砂金

そもそも砂金というのは、砂のように小さな粒状になった金を意味する鉱物です。1粒の重さが0.4グラム以上の砂金はグレイン、1グラム以上の砂金はナゲットと呼ばれています。明治時代には北海道の川で、700グラムを超える大きなナゲットが発見された例もありました。グレインやナゲットクラスの砂金が見つかる例は稀で、ほとんどは1ミリ以下の粒砂金や粉砂金の発見が中心です。

海外では砂金採りが一種のスポーツになっていて、世界砂金堀り大会も開催されるほど多くの愛好家が存在します。日本ではマイナーな趣味ですが、小規模の砂金採り大会なら各地で随時開催されている状況です。

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砂金採りの歴史

日本で最初に砂金が採取されたのは、奈良時代の天平年間にまでさかのぼると伝えられています。当時は東大寺の大仏を造るのに大量の金が必要とされていた中で、現在の宮城県に当たる陸奥国で金が産出しました。岩手県の平泉でも平安時代に奥州藤原氏が黄金で葺いた金色堂を残したほどで、東北地方は古くから金の産地として知られていたのです。

江戸時代初期には当時蝦夷地と呼ばれていた北海道の川で砂金が見つかり、大勢の山師が押し寄せるゴールドラッシュに沸きました。明治時代にも開拓が進んでいた北海道の北見枝幸で砂金が発見され、1万人以上の人が押し寄せています。

『東方見聞録』の扉絵

火山列島の日本はかつて「黄金の国ジパング」と呼ばれるほど金が多く産出していた国だけに、かつて金鉱山だった場所が数多く存在します。日本を黄金の国として世界に紹介したのは、『東方見聞録』で知られる冒険家のマルコ・ポーロです。アメリカ大陸を「発見」した功績で有名なコロンブスも、黄金の国ジパングを探し求める目的で航海に出たと伝えられています。

日本にあった金鉱山の多くは採算が合わなくなったりして現在では廃坑になっていますが、金が完全に採り尽くされてなくなったわけではありません。残された鉱脈から金が少しずつ流れ出し、近くの川に砂金の形でひっそりと眠っている可能性は十分にあります。

砂金採りがブームに!

最近は落ち着いてきた感もありますが、2023年頃には砂金採りがちょっとしたブームとなりました。金の価格高騰を受けて砂金採りにも注目が集まり、テレビで盛んに取り上げられるようになったのがブームの一因です。休日ともなれば、砂金採り体験ができる施設に行列ができるほどの賑いを見せています。

砂金採りができる体験施設は全国各地にあるほか、川でも砂金が採れる可能性があります。「令和のゴールドラッシュ」とまで言われるほどの活況を呈していますが、砂金採りは過去にも繰り返しブームとなってきました。

米国では19世紀末にアラスカでゴールドラッシュが起き、チャップリンの映画「黄金狂時代」の題材にも取り上げられています。日本でも明治時代の北海道の歌登付近で金が発見され、大勢の砂金採取人が押し寄せるゴールドラッシュとなりました。

令和のゴールドラッシュは「静かなブーム」といった趣ですが、一攫千金を夢見る思いは今も昔も変わらないようです。

砂金を採取する方法

砂金採り

自然の川で砂金を採取する方法には、「パンニング」と「メガネ掘り」という2種類のやり方があります。パンニング皿と呼ばれる専用の丸い皿を使って不要な砂を洗い流すパンニングは、粒の小さな砂金を選り分けるのに向いた方法です。

水中メガネを使って川底から砂金を探すメガネ掘りは、ナゲットクラスの大きな塊を探すのに適してます。初心者はまずパンニングからスタートし、慣れてきたところでメガネ掘りにも挑戦してみるのが無難な始め方です。

用意する道具

粒の小さな砂金を他の土砂から選り分ける作業を行うには、パンニング皿か揺り板と呼ばれる道具が必要になってきます。日本で古くから砂金採りに使われていた揺り板は、まな板などを使って自作することも可能です。木製の桶と麻で編んだむしろを組み合わせた道具も、昔から砂金採りを生業とする人たちの間で使われてきました。

アメリカ由来のパンニング皿はプラスチック製または金属製の皿で、ネット通販でも手軽に購入できることから、砂金採りの道具として主流になっています。パンニング皿はサイズが大きいものほど一度に大量の砂を採取できますが、水と砂を入れた大きな皿を扱うには体力も必要です。直径約25センチから大きいもので40センチ程度の皿が売られていますので、自分の体力に合わせたサイズのパンニング皿を選ぶといいでしょう。新品のパンニング皿は表面が滑らか砂金が引っかかりにくいため、サンドペーパーや小石でわざと傷をつけておく人もいます。

Bitly

砂利を採取するためのスコップや移植ゴテも、パンニングには必須の道具です。とりあえずパンニング皿とスコップ、採取用の小瓶さえあれば、砂金採りを始められます。砂金を入れる小瓶は100円ショップでも買えますが、せっかく採った砂金をなくさないように、蓋がしっかりとしているものを選ぶのがコツです。

慣れてきて「もっと効率的に採取したい」と感じるようになったら、他の道具も使いたくなってきます。タコメガネと呼ばれる水中メガネを使用したメガネ掘りには、大きな粒の砂金を直接採取する際にピンセットや油差しなどの道具も必要です。大きな石を動かしたりする際には、カッサ(カッチャ)と呼ばれるクワ状の道具やバールがあると重宝します。砂金を回収するためのスナッファーボトルがあれば、1粒1粒指で回収するより効率的です。

砂金採りの上級者クラスになるとスルースボックスと呼ばれる道具を使用し、川の水流を利用して余計な砂を効率的に洗い流しています。川に入って砂金採りを行う際には長靴を履くのが普通ですが、メガネ掘りで釣り人が使っているようなウェーダーを着用している人も少なくありません。

砂金と間違えやすい鉱物

愚者の金

黄鉄鉱や黄銅鉱には光沢があって一見すると金色に見えるため、砂金と間違えないように注意が必要です。パイライトとも呼ばれる黄鉄鉱は昔から「愚者の金」と呼ばれるほど、金とよく間違えられてきました。

金雲母や黒雲母などの雲母も、水中ではキラキラして見えるため砂金と間違えやすい鉱物です。雲母は指でこすると割れてバラバラになってしまうので、砂金と判別できます。風化して変質した黒雲母は蛭石(バーミキュライト)と呼ばれ、金色に光って見えるのが紛らわしいところです。

パンニングの方法

皿にすくった砂金

砂金は普通の砂と比べると、重く沈みやすい性質を持っています。その特性を利用した比重選鉱の原理で選り分けるのが、皿を使ったパンニングの基本です。

まずは川底や川岸の周辺から砂金のありそうな場所に見当をつけ、スコップなどで砂をすくってパンニング皿に入れます。砂の表面から20センチほどの部分には砂金が含まれている可能性が低いので捨て、それより深い部分の砂をパンニングにかけると効率的です。

皿に砂を盛った状態で水に浸し、左右に回すように揺すって砂金を沈ませていきます。皿を傾けて水面から出しながら砂を回せば、余分な砂がかき出されるという仕組みです。

パンニング皿の溝に砂金が引っかかるように、残った砂を少しずつ慎重に取り除いていきます。砂金が見つかるような砂には砂鉄も含まれていますが、最後に残った細かな黒い粒を取り除けば砂金だけが残されるはずです。

首尾よく砂金が見つかったら、スナッファーボトルと呼ばれるスポイト状の道具で水とともに吸い取って採取します。最終的な選別作業は現地でなくてもできますので、砂鉄ごとスナッファーボトルで回収してから自宅で選別すればさらに効率的です。少々荷物にはなりますが、現地で集めた砂を袋に入れて持ち帰り、帰ってから家でゆっくりパンニングを行うという手もあります。

日本国内の砂金採りスポット

日本の川の9割で砂金採りが可能だとしても、残り1割の川では探しても砂金は見つからないはずです。砂金が出やすい川とそうでない川があるのも事実ですので、昔から砂金が出た実績のある場所の周辺を探した方が見つかる確率が高いと言えます。

北海道のウソタンナイ川には近くに砂金採掘公園があるくらいで、古くから国内有数の砂金採りスポットとして知られていました。同じ北海道のペーチャン川や歴舟川、今金町の川も、知る人ぞ知る砂金スポットです。東北地方では山形県の立谷沢川・寒河江川流域など最上川水系の川や、宮城県の気仙沼市・涌谷町の川でも砂金が多く発見されています。

揺り板を使った伝統的な砂金採り

関東地方では東京都の多摩川や埼玉県の荒川が人気の砂金スポットです。長野県の千曲川や愛媛県の銅山川、徳島県の吉野川でも砂金採りを楽しんでいる人は少なくありません。銅山川で集めた砂金を使って指輪を作った男性が話題を集め、ニュースになったのは2017年の出来事です。

この他にも全国各地には、過去に砂金が出た川が無数と言っていいほど数多く存在します。近くにある川の名前と「砂金」を組み合わせたキーワードをGoogleやYahoo!で検索し、砂金に関する情報がないかどうか調べてみるといいでしょう。

砂金採り体験ができる場所

砂金採り体験

パンニングにしてもメガネ掘りにしても作業にはコツがありますので、初心者が自然の川でいきなり砂金採りを試みてもなかなかうまくいかないのが普通です。まずは砂金採り体験に参加し、パンニングの練習をして要領を覚えてから川での砂金採りにチャレンジした方が成功の確率が上がります。

屋内の施設で砂金採り体験ができるスポットは、初心者が腕を磨くのに最適な場所です。自然の川で採取するのと違って天候の影響を受けない上に水の事故の危険がないため、親子でも安心して参加できます。

施設内には天然の砂金スポットを再現した水槽が設置されてあり、水が張られた水槽の中に砂金の含まれた砂が紛れ込んでいるという仕掛けです。水槽の上から見ても見えない砂金を採取するために、前述のパンニング皿を使用します。

砂金採り体験をするには料金も必要ですが、自分で採取した砂金は持ち帰ることが可能です。テントを含めた屋内で砂金採り体験ができるスポットには、以下のような施設があります。

砂金採り体験の料金は大人が700円前後で、小学生以下や中学生以下の小人料金が設定されている施設もあります。こうした体験施設を利用すれば初心者でも1回の砂金採り体験で平均5粒程度、中級者から上級者になると10粒以上採取することも可能です。

砂金を売る目的でこうした体験施設を利用する場合は、よほど大量に採取しない限り赤字になってしまいます。砂金採りで収入を得ようと思えば、料金を払わずに済む自然の川で探すのが常套手段です。

旧金鉱山に近い川は狙い目

金鉱山

砂金採りスポットとして紹介した川の中には近くに鉱山が存在しない場所も含まれますが、金の鉱山があった場所の下流にある川は特に狙い目です。歴史的に見ても先に川で砂金が見つかり、源流をたどった先で金の鉱脈が発見されて鉱山の開発につながりました。そういう場所では金を含む岩石が風化して川に流れ出し、川底などに堆積している場所が少なくありません。

戦国時代に武田氏が支配した甲斐国は黄金郷として知られ、武田信玄の埋蔵金が領内に眠っていると伝えられています。現在の山梨県にはかつて金鉱山として栄えた山が多く存在し、県内の下部川や早川は砂金採りスポットして有名です。

どの都道府県にもそうした旧金鉱山が存在しますので、鉱山跡近くの川を重点的に探してみるといいでしょう。近くに金の鉱山がない場所でも、温泉や火山の近くにある川では砂金が見つかる可能性があります。

砂金が眠っていそうな場所の特徴

初心者でも30分かそこらの砂金採り体験で平均5粒の砂金が採れるのは、料金を払った上での話です。砂金採り体験施設の水槽には、比較的高い確率で採れるよう砂の中に最初から砂金が仕込まれています。

自然の川で採取しようという場合はそういうわけにいかず、見当外れの場所を選んでしまうと収穫ゼロという結果に終わりかねません。砂金が溜まりやすいのは、底が岩盤になっているような川です。下流よりは上流の方が砂金を見つけやすいですが、上流部は砂が少ないため、初心者は上流より流れが緩やかで砂も多い中流域で採取を試みるといいでしょう。

岩だらけの川

川がカーブしたりしていて流れが淀んでいる場所の内側や、川の流れにある大きな岩の下が狙い目です。岩の割れ目や川が木の根とぶつかるような場所には砂金が沈み込んだまま、出られなくなっている可能性があります。川岸近くにある木の根本や草の根にも、川が増水した際に砂金が引っかかるというのはよくあるパターンです。

砂金は普通の砂よりはるかに重いため、以上のような場所でも上から見えるような上層部で見つかることはほとんどありません。目で見ても見つけにくい砂金を手にするためには、もっと深い層の砂をすくってパンニングする必要があります。

地名や植物もヒントに

上流に金鉱山があった場所や砂金が出た実績のある川は、めぼしい場所を採り尽くされている可能性があります。「金沢」「金山」など地名や川の名前に「金」がつく場所でも砂金が見つかる可能性がありますので、地図で探してみるといいでしょう。

山奥にある上流の川ばかりでなく、コンクリートブロックが敷かれているような市街地近郊の川で砂金が見つかった例もありました。堰堤と呼ばれる砂防ダムの下流付近にも、大きな石の下などに砂金が溜まっている可能性があります。

ジュウモンジシダ
Photo by keisotyo(2009) / CC BY-SA 3.0

ヘビノネゴザやジュウモンジシダといった羊歯植物は「金山しだ」とも呼ばれ、金の存在する場所に生えると伝えられてきました。金山しだに限らず、増水すると水中に没するような場所に生えている草の根元は探してみる価値があります。

草の根元に絡みついている土をパンニングして砂金を探す方法は「草根引き」と呼ばれ、砂金採りの初歩的な技法の1つです。土が固くて根が簡単に抜けないような草や、岩盤に直接生えているような草の根本からも砂金が見つかる可能性があります。

砂金採りの教科書

初心者が砂金採りを始める際には、経験者に同行してもらって砂金がありそうな場所を教えてもらうのが理想です。とは言え砂金採りを趣味にしている愛好家の中には、自分だけの秘密にして場所を教えてくれない人も少なくありません。自分ひとりでチャレンジしようという場合には、砂金採りの始め方について書かれた入門書があれば役に立ちます。

2003年に出版された『趣味の砂金採り入門』という本は今では絶版になっていて、Amazonの中古価格が3万円を上回っている状況です。『あなたの街でも砂金が採れる!?~令和時代の砂金採り入門~』という本は情報が新しく、インターネットでは得られない貴重な情報が電子書籍でも読めます。

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この本はKindle Unlimitedの対象書籍ですので、加入している人は追加料金なしで2,000円相当の本が読めることになります。まだ加入していない人は、この機会にKindle Unlimitedへの登録を検討してみるといいでしょう。

砂金を換金する方法

川で採ってきた砂金をお金に換えるには、大きく分けて2種類の方法があります。

  1. 業者に買取してもらう
  2. フリマサイトに出品する

それぞれ詳しく解説します

業者に買取してもらう

貴金属買取店舗など金の買取を行っている業者は数多く存在しますが、砂金を扱う店は決して多くありません。あおい商店は砂金採りを趣味としていた人が始めた砂金掘りグッズの通販サイトだけに、自然の川で採れた砂金の買取にも積極的です。

田中貴金属工業では「品位が特定しづら」いという理由で、粉末状・粒上の金は買取できません。貴金属を買取している業者の中には、砂金を扱う店舗もあります。店舗を利用する機会があったら、ついでに問い合わせてみるといいでしょう。

フリマサイトに出品する

業者に買取してもらう売り方では、安く買い叩かれるのではないかという不安もあります。砂金のコレクターに個人対個人で直接販売できれば、業者が間に入らない分だけ儲けが増えるはずです。フリマサイトやネットオークションに出品すれば、直接取り引きが可能になります。売上から10%程度の販売手数料は引かれますが、業者に買取してもらうよりは有利な販売方法です。

実際にメルカリYahoo!オークションには、自分で採取した砂金を出品している人が何人もいます。業者に買取してもらうのと違って、出品の手間がかかるという点はデメリットです。写真をきれい撮影したり詳しい説明文を作成したりして、少しでも売れやすくする工夫が求められます。

出品しても確実に売れるという保証はありませんが、砂金を高く売るならコレクターと接点を持つしかありません。メルカリやYahoo!オークションは、砂金コレクターの間でも人気のサイトです。上手に利用すれば、砂金採りが「儲かる副業」になる可能性もあります。

砂金採りは儲かる?

たくさんの10円玉

砂金採りはお金を稼ぐための手段と言うより、趣味として楽しんでいる人が多いと見られます。金の価格が世界的に高騰しているとは言え、川で採取した1~2ミリ程度の小さな砂金ではせいぜい数十円程度です。1g以上のナゲットクラスなら1万円以上の高値も期待できますが、そう簡単に見つかるものではありません。

砂金を普通に換金したのでは、時給換算で決して儲かるとは言えないのが現状です。最低賃金を大きく下回るのが当たり前で、普通にアルバイトの仕事をした方がよほど稼げます。事業としては採算が合わないからこそ企業が川での砂金採りにほとんど手をつけず、事実上放置されているわけです。

砂金を収集しているコレクターの人に売れば、川で採ってきた砂金をお金に換えられます。砂金採りを副業にすることも不可能ではありませんが、労力のわりに儲からないというのが正直なところです。趣味と実益を兼ねた副業という位置づけであれば、収益性度外視でやってみる価値はあります。

砂金の価値は純金以上?

以上の計算は金を普通に買取した場合の話で、天然の川で採取した砂金には鉱物標本としての価値があります。金貨や地金などと違って自然に存在する砂金は形や色などが1粒1粒異なり、1つとして同じものはありません。

川で採れる砂金は不純物が多く含まれるからこそ独特の風合いが生まれ、小さな粒でもルーペで拡大して眺めることで1粒1粒違った個性を楽しめます。熱心に収集しているマニアも世界に多く存在するため、希少価値のある砂金はそういう人たちに高値で購入してもらえる可能性が大です。

金のインゴット

そういう意味で言うと砂金の価値は相場で買取価格が決まる純金よりも、美術品などのコレクターズアイテムに近いと言えます。希少価値を重視する収集マニアにアピールするには、どの川で採れた砂金なのか産地を証明するラベルを付ける作業も欠かせません。

かつてゴールドラッシュで賑わった北海道の川や武田信玄の隠し金山が存在した場所など、歴史的なプレミアがついた砂金ほど高値で売れる可能性があります。1グラムあたりいくらという形で取引される地金より砂金が高値で取引されるのは、「一点物」としての価値を認められた場合の話です。

砂金1gあたりの値段

2023年8月には金1グラムあたりの価格が史上初めて1万円を突破し、経済界で大きなニュースとなりました。国際紛争や経済危機など有事の際には、安定資産とされる金の価格が上昇する傾向にあります。折からの円安に加え、中国経済への懸念も金の相場が上昇している一因です。

金の買取を行っている田中貴金属工業のHPによると、2024年7月現在で金1gあたりの店頭買取価格は13,579円でした。2016年の時点では金の買取価格が1gあたり4,800円ほどでしたので、7年ほどの間に3倍近くも値上がりした計算です。世界の経済情勢が不透明なため、安定資産の金は今後も価格上昇が続くと予想されています。

天然に存在する砂金には銀などの不純物が多く含まれているため、産地にもよりますが、金の純度は決して高くないのが普通です。純度の低い砂金を純金にするには精錬の工程が必要で、素人の手に負えるものではありません。

砂金の買取を行っているあおい商店のHPには、1gあたり5,000円前後で買取した取引の例が複数紹介されています。希少価値が高いと認められた砂金は、1gあたり7,000円以上で買取されている状況です。

他の貴金属買取店舗では、インゴットや金貨・宝飾品などの形に加工された金を買取の対象としています。川で採ってきた砂金は、買取してもらえないところが大半です。

メルカリやYahoo!オークションに出品する場合は、価格を自分で自由に設定できます。1gを超える砂金はめったに出品されませんが、1gあたりに換算して1万円以上で売れた例も少なくありません。価格設定が高すぎては売れませんので、他の出品の価格を調べた上で設定する必要があります。

メルカリの出品状況

メルカリに出品されている砂金を販売状況「売り切れ」で絞り込み、「価格の高い順」でソートした結果、1万円以上の高値で売れた例が多く見つかりました。2gを超える国産の砂金ナゲットが4万円超で売れた例や、北海道で採れた100粒以上の砂金を4品まとめて出品して合計2万円超で売れた例があります。

100粒以上の砂金が4品まとめて2万円以上で売れた出品は、100粒あたりの合計重量がわずか0.1g台です。合計重量が1gに満たない場合でも、複数の粒をまとめて出品して1万円以上で売れた例が複数あります。

中には砂金採り体験で採取した砂金が、1万円以上で売れた例もありました。わずか0.05gの砂金1粒でも、1,100円で売れている状況です。粉金をたくさん集めれば、合計重量が0.05gでも数千円で売れる可能性があります。

Yahoo!オークションの落札状況

Yahoo!オークションでは定額出品も合わせて、砂金が100件ほど出品されています。過去180日間に落札された砂金は約500件で、平均落札価格は約7,000円です。海外産の砂金を大量出品しているコレクターもいますが、国産の砂金が1万円以上の高値で落札された例も少なくありません。

過去180日間で最も高く売れたのは、合計重量1.28gの群馬県産砂金です。これには0.5gを超える大粒のグレインが含まれています。他に土肥金山の砂金採り体験で集めた合計3gの砂金が35,000円で落札された例や、群馬県の河川で集めた合計0.75gの砂金が3万円で落札された例も見られます。

過去には1粒0.13gの国産砂金が、17,000円で落札された例もありました。オークション形式で出品した場合には、メルカリに出品するより高く売れる可能性があるという証拠です。

砂金採りの注意点

ナゲット級の大きな金塊を発見すれば一攫千金も夢ではありませんが、自然の川で行う砂金採りにはいろいろと注意点もあります。日本の川の9割で砂金が採れる可能性があるとは言え、すべての河川で誰でも自由に採取できるというわけではありません。

水の事故や有害な生物など、山や川にはさまざまな危険も潜んでいます。野外で行動する際のマナーも含め、砂金採りを始める前に知っておくべき注意点についてまとめておきました。

砂金採りは違法?

ここから先は関係者以外立入禁止

料金を払って砂金採りの体験ができる場所であれば、採取した砂金を持ち帰っても問題はありません。一般の河川など、体験施設以外の場所で砂金採りを行う行為に違法性はないのでしょうか?

山や川から石や鉱物などを採取するのは、法的にはグレーゾーンの行為です。私有地に立ち入って砂金採りを行う際には、所有者の許可が必要になってきます。国立公園や国定公園の特別保護地区では、石ころ1個と言えども持ち帰りは許されません。

砂金の採取に関しては鉱業権もからんできますが、鉱業法は「業としての金採掘」が対象です。趣味の範囲で砂金採りを行う程度なら、採掘の出願をする必要はありません。機械を使った大規模な採掘を行うのでない限り、パンニングやメガネ掘りなど手作業での砂金採りは合法の範囲内です。

とは言え危険性があったり工事が行われてたりして、立入禁止となっている区域もあります。違法か合法か自分では判断がつかない場合には、河川の管理者や各都道府県の森林管理署に問い合わせしてみるといいでしょう。

砂金採りの基本的なマナー

きちんと許可を得て砂金採りを行う場合でも、基本的なマナーは守る必要があります。パンニングを行う際には川の周辺にある砂を掘り返すことになりますが、穴を掘ったら必ず元通りに埋め戻しておくのがマナーです。
パンニングやメガネ掘りをしていると、近くにいる魚が逃げてしまいます。近くに釣り人がいるような場所は遠慮し、他の人の迷惑にならないような場所を選ぶのが常識的な行動です。

草根引きを行った場合でも抜いた草は付近の土に植え直すか、ゴミ袋に入れて持ち帰るのが望ましいと言えます。砂金採りに限らず、ゴミはその場に放置せず持ち帰るのがアウトドアの基本的なマナーです。幸運に恵まれて大量の収穫があった場合でも、その場所を無闇に言いふらしたりしないのが砂金採りでは暗黙のルールとされています。

川の事故には要注意

増水した川の激流

大雨が降ったりして川が増水した後には、水が引くとそれまで川底に眠っていた砂金が岩の上などに現れる場合もあります。それだけに台風や梅雨前線などの影響で大雨が降った直後は砂金探しのチャンスとも言えますが、増水している川に近づくのは危険です。

水位が下がった後でも流れの速い川で足元をすくわれたり、深みにはまったりして思わぬ事故につながりかねません。天気が急変して途中で激しい雨に見舞われた場合には、川が急に増水して水深が一気に深くなる恐れもあります。雨の日は砂金採りをしないのが基本ですが、天気予報でにわか雨の可能性がある日もできれば避けた方がいいでしょう。

川では水深が膝ぐらいまでの範囲で行動し、それより深い場所には入らないように行動するのが安全に砂金採りを行うための基本です。川の周辺は足場の悪い場所が多いので、転倒したりしてケガをしないように注意する必要もあります。

熱中症や危険な生物にも注意

熱中症で倒れた男性

砂金採りは川に入って作業を行うことが多く一見涼しそうに見えますが、日を遮るものがない中での長時間の作業は熱中症の危険もあります。大きめの帽子をかぶったり水分をこまめに補給したりして、熱中症にならないための対策が欠かせません。

川の周辺には有害な生き物も潜んでいますので、砂金採りにばかり夢中になっていると思わぬ被害が生じる可能性があります。川沿いにはエサとなるカエルが多く住んでいるため、藪の中にマムシやヤマカガシといった毒ヘビが潜んでいるかもしれません。川の周辺にはヤブ蚊やブヨ・アブなど人を刺す虫もいますので、虫よけスプレーなどで対策を講じておく必要があります。

森林の中を流れる川で砂金採りを試みる場合でも、吸血生物のヤマビル生息地となっている場所は避けた方がいいでしょう。ウルシやイラクサなど、触れただけで肌がかぶれるような植物にも注意が必要です。長袖・長ズボン・長靴で行動して肌の露出を少なくしていれば、有害な動植物による被害の防止につながります。

砂金採りで収入を得る方法のまとめ

体験施設や自然の川で砂金を採取しても、普通に買取してもらったのでは期待したほど稼げないのが普通です。費やした労力に見合わない収入しか得られないとすれば、副業の手段としては成り立たなくなってしまいます。

それでも砂金採りは自然を楽しみながら一攫千金の夢が見られるという点が、他の副業にない魅力です。フリマアプリやネットオークションなどをうまく利用すれば、思わぬ高値で砂金を購入してくれる人が現れる可能性もあります。天然の砂金には一点物の希少価値があるだけに、熱心なコレクターも少なくありません。砂金採りで収入を得ようと思えば、場所選びや保管方法もそうしたコレクターを意識する必要があります。

まずは砂金採り体験から始めてパンニングの基本をマスターし、慣れてきたところで自分なりの穴場スポットを探してみるといいでしょう。日本全国には無数と言っていいほどの川がありますので、砂金がまだ採り尽くされていない場所がまだまだ眠っているはずです。

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