オンラインゲームやスマホアプリを利用するには登録してアカウントを作成する必要がありますが、このアカウントが以前から売買の対象とされてきました。RMT(リアルマネートレーディング)とも呼ばれるアカウントやゲーム内アイテムなどの売買は、ゲーム会社やWebサービス運営会社の規約に違反する行為です。
アカウント販売が発覚した場合はアカウント停止になるリスクはあるとは言え、必ずしも法律に違反するというわけではありません。一歩間違えると詐欺罪などの罪に問われる可能性があるアカウント販売のリスクについて、犯罪にも悪用されている実態を解説します。
アカウント販売とは?
WebサービスやSNS・オンラインゲームなどを利用するのに欠かせないアカウントを作成するには、最低でもメールアドレスとパスワードの登録が必要です。Webサービスによっては住所や氏名・電話番号など、個人情報の登録を求められる場合も少なくありません。1人で1つのアカウントしか登録できないサービスもあれば、複数のアカウントが持てるサービスもあります。
特にゲームの分野ではプレイに飽きたら他人にアカウントを売却し、お金に換えるという行為が以前から行われてきました。基本のレベルが高く限定キャラやアイテムも揃っているゲームのアカウントほど価値が高く、高値で売れる可能性があります。世の中にはゲームのレベルを上げたりアイテムを揃えたりするのが面倒だという人も少なくないだけに、お金を払ってでもレベルの高いゲームのアカウントを購入したいという人が出てくるというわけです。
同じようなアカウントの売買はSNSなどのWebサービスでも横行しており、フォロワー数の多いアカウントほど高く売れています。ゲームのレベルを上げるにもSNSのフォロワー数を増やすにも、普通なら地道な努力が必要です。他人のアカウントを購入すればそうした努力も省略できることになるため、付加価値を高めたアカウントを売ってお金を稼ごうとする人も出てきます。
RMT.clubのようなサイトにはゲームやSNS・YouTube・フリマアプリ・フリーメールなど、さまざまなWebサービスのアカウントが出品されています。アカウント販売は副業の一種にも数えられていますが、以下で説明するように運営会社の規約違反になるケースが多いという点には注意が必要です。
アカウントBANのリスク
大半のオンラインゲームではアカウントの売買を認めていないため、規約違反に当たる行為としてペナルティを受けるリスクがあります。ゲームばかりではなくX(旧Twitter)やInstagramなどのSNSでもアカウントの売買は禁止されており、発覚した場合はアカウントが凍結されることになる違反行為です。
メルカリやヤフオク!でもゲームなどのアカウント売買は利用規約違反に該当するため、たとえ出品したとしてもすぐに削除されます。YouTubeなどの動画投稿サイトで著作権侵害や不適切な表現に当たる動画を繰り返し投稿すると、無期限のアカウント停止となってすべての動画が削除されます。このような状態はアカウントBAN(垢バン)と呼ばれていますが、オンラインゲームやSNSでアカウント売買を行った場合にも同様の措置が取られているのです。
アカウント販売は違法?
規約違反とアカウントBANのリスクはあるものの、アカウント販売自体を禁じる法律は現時点で存在しません。アカウントというのは物販の対象となるような実物を伴わないインターネット上の権利だけに、法整備がまだ追いついていないのが現状です。したがってゲーム会社やSNS運営会社の規約に反する行為であっても、ただアカウントを売却しただけで刑事告発されたり損害賠償の訴訟を起こされたりすることはありません。
運営会社にとっては売買の対象となったアカウントを凍結する程度が関の山ですが、売却に伴って詐欺行為が行われた場合は違法性に問うことも可能です。購入したアカウントが使えなかったり、ゲームのデータが違っていたりするようだと詐欺罪が成立し得ます。
実在しない架空のアカウントを販売した場合も同様ですが、ハッキングに類する手段で入手した他人のアカウントを転売するのは不正アクセス禁止法に抵触する犯罪行為です。プログラムを不正に改ざんしてアカウントを販売した場合には、私電磁的記録不正作出や著作権法違反・商標法違反に問われる可能性があります。
ここまで来ると単なるアカウント販売とは次元の異なる明らかな犯罪ですが、不正に入手したり改ざんしたりしたアカウントが高値で売れやすいのも事実です。裏技的な不正を施してアカウントの価値を高め、価格を釣り上げて転売し収益を得る闇の副業も横行しています。単なるアカウント販売は運営会社の規約違反に該当しても違法ではありませんが、販売に至るまでの過程で不正行為に手を染めるようになると一線を越えてしまうのです。
犯罪に悪用される危険性も
正しいプロセスで登録した自分のアカウントを販売するだけなら合法の範囲内ですが、他人に譲り渡した後も犯罪とまったく無縁でいられるとは限りません。わざわざお金を出して他人のアカウントを購入する人の中には、入手したアカウントを良からぬ目的に利用しようとする輩も珍しくないのです。
販売の際にはアカウントと紐付けられているメールアドレスや個人情報も相手に渡すことになるため、それらの情報が犯罪行為に悪用される恐れもあります。合法的に入手したアカウントを使って詐欺などの違法行為が行われる可能性も否定できず、身に覚えのない罪を着せられる危険性があるというのは怖い話です。
特にSNSのアカウントは犯罪に悪用されやすく、違法行為に使われることを知りながら販売した場合は刑法上の幇助に該当します。自分自身では犯罪に直接手を染めていなくても、アカウントを販売した時点で従犯になるリスクが生じるという点には注意が必要です。
フォロワー数の多いアカウントほど高値で売れやすいのも確かですが、販売したアカウントがどのような目的で使われるのかわかったものではありません。違法行為に関わりたくないのであれば、悪用リスクを排除しきれないアカウント販売には手を出さないのが無難です。
安全面に力を入れたRMTプラットフォームも登場
ゲームアカウントやアイテムの売買には以上のようなリスクもありますが、健全な取引であれば合法の範囲内です。個人対個人のRMTを仲介するプラットフォームも続々と誕生していて、取引が活発に行われています。ゲーム好きの人にとっては、趣味を生かして稼ぐ副業にもなり得ます。
どうせRMTプラットフォームで取引するなら、少しでも安全性の高いサイトを利用したいものです。2023年9月に正式版がリリースされたRMT・アカウントの売買プラットフォームトレジャムには、「あんしん・あんぜん保証」という全額返金の仕組みが用意されています。売買に当たってアカウント情報が送付されない場合は、取引された代金が全額返金される仕組みです。
トレジャムで成立した取引の決済にはエスクロー方式が採用され、運営会社が間に入って代金の決済を代行してくれます。トレジャムには24時間のパトロール体制や違反報告機能・レビュー評価機能も含め、RMTの個人間取引を安全に行う仕組みが整備されています。その上で取引に当たってアカウント情報が送付されないようなトラブル発生時には、全額返金を保証するという安心のシステムです。
2023年6月のβ版リリースから正式版リリースまでの間に、トレジャムではすでに1,000件の取引が成立しています。スタートしたばかりの新しいプラットフォームではありますが、安全性を前面に打ち出したRMTプラットフォームとして注目の存在です。
アカウント販売の実態まとめ
RMTとも呼ばれるアカウント販売はオンラインゲームなどの分野で以前から行われてきましたが、ゲーム会社やWebサービス運営会社の規約違反に当たる行為です。それでも現時点ではインターネット上の権利の売買に関する法律が整備されていないため、アカウント販売単体では違法になりません。
規約違反でアカウントが凍結されるリスクに加え、販売されたアカウントが何らかの犯罪に悪用される可能性も考慮する必要があります。ゲームのレベルを上げたりSNSのフォロワー数を増やしたりして付加価値を高めれば、そのアカウントが高く売れやすくなるのも確かです。そうやって高収入を稼いでいる人も存在しますが、一歩間違えると自分自身も刑事罰に問われるリスクがあるという点は肝に銘じておく必要があります。
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