クリック代行ビジネスは違法?手を出してはいけないバイトの実態

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InstagramやTwitterなどのSNSでフォロワー数が不正に水増しされ、「いいね!」やコメントまでお金で売買されている実態があると言われています。クリック代行業者がそうした水増しを仲介し、大量のアカウントを作らせたバイトを雇ってクリックさせているのです。同じようなクリック代行はYouTubeやブログでも横行しており、動画の再生回数やブログのアクセス数が水増しされています。

情報の信頼性を揺るがすそれらの不正行為に違法性はないのかどうか、一種のビジネスとして確立されてしまっているクリック代行の実態について考察してみました。コロナ禍で収入の減った人も手を出していると見られるクリック代行バイトのリスクについても、記事の後半で詳しく解説します。

クリック代行ビジネスとは?

9月24日放送のNHKクローズアップ現代+では、多様化するクリック代行の問題が取り上げられました。SNSではフォロワー数や「いいね!」の数が人気の指標となっていると同時に、数字が多ければ多いほど収益につながりやすくなります。ブログやYouTubeでもアクセス数や動画再生回数に応じて広告収入が変動する仕組みだけに、クリックしてくれる人をいかに増やすかが大きな課題でした。

普通はそれらの数字を上げるのに多大な努力や卓越したセンスが必要とされるところですが、お金を払って第三者にクリックしてもらいながら手っ取り早く数字を獲得しようとする人も出てきます。そうした需要に応えるクリック代行業者も続々と登場し、1つのビジネスモデルとして確立されているのが現状です。

クリック代行を手がけているのは必ずしも会社組織を持った法人とは限らず、個人がSNSなどを通じて代行の依頼を募集している例も珍しくありません。SNS上ではクリック代行業者によるバイト募集もよく見られ、「クリックするだけで月に◯万円」「在宅で手軽に稼げる」などというセールストークで勧誘している実態があります。

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クリック代行が問題となっている分野

バイトを雇って不正にクリックさせる代行ビジネスの手法は今に始まったわけではなく、少なくとも10年近く前の2011年頃には存在が確認されています。その当時からユーザーが爆発的に増え始めたTwitterのフォロワー数水増しや、クリック保証型広告の報酬を不正に獲得する目的で利用されていました。

そうした動きもここ10年ほどの間でさらに多方面へと拡大し、近年は代行業者の数も増加傾向です。現在のクリック代行業者がターゲットとしている主なジャンルには、以下のような例が挙げられます。

  • SNSのフォロワー数や「いいね!」の数を水増しする
  • YouTubeの動画再生回数やチャンネル登録者数を水増しする
  • ブログのアクセス数を水増ししてランキングアップを図る
  • 通販サイトの商品ランキングアップを目的とした水増し行為
  • リスティング広告をわざとクリックしてライバルを妨害する

それぞれ詳しく見ていきます。

SNS

TwitterやFacebook、InstagramといったSNSでは、フォロワー数や「いいね!」とコメントの数が人気度を示す指標となっています。フォロワー数の多い人はSNSで絶大な影響力を持ち、企業の間でもインフルエンサーとして注目の存在です。自社の製品を宣伝してほしい企業は多くのフォロワーを持つインフルエンサーと専属契約を結び、多額の報酬を支払ってPR効果を得ています。

このようにフォロワー数が収益と結びつくようになってくると、不正な手段で数字を操作しようする人が出てくるのもある意味で自然な流れです。NHKのBS1で放送されたBS世界のドキュメンタリー「#フォロー・ミー インスタの偽り」で取り上げられたように、SNSのフォロワー売買は海外でも大きな問題となっています。指定されたSNSアカウントの「フォローする」や「いいね!」ボタンをクリックし、代行業者から報酬を得ているバイトは日本だけでなく世界各国に存在するのです。

実際に1万人のフォロワーが1万円で購入されているケースもあるだけに、「フォロワー数◯万人」などと称するインフルエンサーの信憑性にも疑問が生じてしまいます。フォロワーの人数に比べて「いいね!」とコメント数が少なすぎるのも不自然なため、それらの数字までクリック代行業者から購入して水増ししている人も少なくありません。こうした不正クリックの解析を行う団体の手にかかれば、フォロワー数などの推移を示すグラフが不自然に急増しているポイントで不正の事実を見破られてしまいます。

YouTube

同じようなクリック代行による水増し操作は、動画の再生回数に応じて広告収入が左右されるYouTubeでも大きな問題となっています。YouTubeにアクセスしてキーワードを入力すると関連動画の一覧がサムネイル表示され、普通は興味を持った動画を再生する目的でクリックするところです。クリック代行業者にバイトとして雇われた場合は自分の興味とは無関係に、指定された動画の再生回数を増やす目的でクリックし続けなければなりません。

このようなやり方を使えば簡単に動画の再生回数が稼げることから、お金を払ってでも第三者にクリックしてもらおうと考える人が出てきます。動画の広告収入が費用を上回れば収支は黒字となりますので、クリック代行も宣伝広告活動の1つだと考えられている節があるのです。

現在のYouTubeは規約変更によって、チャンネル登録者数が1,000人以上でないと広告収入が得られない仕組みとなっています。そのためクリック代行業者の間では動画再生回数を増やす目的のクリックだけでなく、チャンネル登録するためのクリックもサービスの対象です。

YouTubeに投稿された動画には。高く評価するボタンと低く評価するボタンがあります。そうした評価も再生回数に影響する上に、誰が評価したのかユーザーの側で知ることはできません。YouTuberの中には動画の評価さえもクリック代行業者から購入し、数字を操作している例があるものと推察されます。

ブログ

SNSやYouTubeより長い歴史を持つブログの世界でも、クリック代行業者を使ったアクセスアップの手法が常態化しています。ブログもまたアクセス数が増えれば増えるほど広告収入のアップにつながりやすいことから、アクセスランキングの順位アップを目的としたクリック代行が横行しているのです。

当然のことながらランキングの順位が高くなれば注目度が増し、アクセス数の増加が見込めます。アクセス数が多いブログは検索エンジンの評価も高くなり、検索結果で上位表示されやすくなるというメリットも見逃せません。たいていのブログには収益に結びつく広告が貼られていますので、クリック代行を使ってアクセス数が増えるほどに広告収入も増えるという仕組みです。

ブログの分野でこうしたクリック代行が常態化してしまっている背景には、真面目に取り組むだけでは思うようにアクセスが集まらないという厳しい現実があります。高品質の記事を毎日のようにアップし続けていけば検索エンジンの評価も少しずつ高まり、階段を1段1段上がっていくようにアクセスが増えていくはずです。

そういう地道なやり方では収益化に時間がかかりすぎることから、もっと手っ取り早くアクセス数を増やそうとクリック代行業者に頼るブロガーが跡を絶ちません。アクセスアップを実現することで得られる広告収入の増加分が経費を上回れば、十分に費用対効果があると考えられています。

もちろんこうした手段でアクセス数を増やそうとするのは決して正当なやり方とは言えず、アクセスランキング利用者や検索エンジンを欺く行為です。インターネットの健全化という観点でも推奨はされませんので、発覚してペナルティを受ける前に手を引くことをおすすめします。

通販サイト

Amazonや楽天市場などに商品を出品している販売業者の間でも、売上ランキングのアップを目的にクリック代行業者を利用している業者は少なくないと見られます。ネット通販サイトで購入する際には商品を直接手に取って見られないだけに、掲載された商品の評価を見て買うか買わないかを決めるのが普通の感覚です。

サイト内で検索して1つ1つの商品に表示された評価を確認するのも手間がかかることから、手っ取り早く商品ランキング上位の品を選ぶという人も多いはずです。最近はAmazonで偽レビューが横行している問題が大々的に報じられ、Amazon側でも不自然なレビューを削除するように対策を強化しています。

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独自のアルゴリズムに基づいたAmazonの商品ランキングは商品の売上数だけでなく、商品のキーワード検索件数も反映される仕組みです。そうした仕組みを利用すれば、クリック代行でランキングアップも可能になってきます。そうなると商品ランキングもあまり当てにならなくなってしまいますので、ブログのアクセスランキングと同じ弊害が生じるというわけです。

リスティング広告

以上のようなクリック代行は自分のSNSアカウントやYouTubeチャンネル・ブログに対して、直接的な形で有利に働くようなクリックを購入する手法でした。これに対して最近増えてきているのが、ライバルのサイトに不利な影響を与えるようなクリックにお金を出す行為です。具体的にはリスティング広告を出稿しているライバルサイトに対して、クリック代行業者を使って相手の広告を表示されなくしようとする手法が考え出されています。

リスティング広告というのは検索結果と連動して表示される「広告」枠のことで、キーワードごとに出稿された広告のクリック単価がオーディション形式で決まる仕組みです。同じキーワードで広告を出稿したライバル同士でも、クリック単価を高額に設定した方が上位に表示されます。

オーガニック検索の順位と同様に、リスティング広告でも順位の高い方がクリックされやすいのは当然の結果です。クリックされるごとに広告費用は発生しますが、広告から誘導されて成約に至れば収益に結びつきます。広告が多くクリックされればされるほど収益性が高くなるはずですが、リスティング広告はあらかじめ設定した予算の上限をオーバーすると表示されなくなる仕組みです。

クリック代行業者を使った不正クリックの手法はまさにこの状態を狙ったライバルへの妨害行為で、成果につながらない広告クリックを繰り返すことで相手の広告を排除してしまいます。その結果自分の広告が上位に浮上し、検索ユーザーの目に留まりやすくなって収益性が高まるというわけです。リスティング広告を運営するGoogleやYahoo!でも対策を講じてはいますが、最終的に代行業者や依頼者までたどり着くのは困難だと言われています。

リスティング広告を利用したアフィリエイトは、PPCアフィリエイトとも呼ばれて一時期は活況を呈していました。最近は広告を仲介するASPの審査が厳しくなっている影響もあって、以前より稼ぎにくくなっているのが現状です。そうした事情もあってライバルへの対策が過剰になり、悪質な妨害行為に走る企業が出てきているものと見られます。

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クリック代行ビジネスは違法?

結論から先に言うと、現状ではこうしたクリック代行の行為そのものが何らかの法律に違反するというわけではありません。ITやインターネットの急速な変化に法整備が追いついていない面もあって、今の法律ではクリック代行業者を取り締まることができないのです。

とは言えクリック代行が常態化してしまうと情報の信頼性が損なわれてしまうのも事実で、SNSやYouTubeを運営する側からすればビジネスモデルが根幹から揺るがされかねません。ブログを評価して検索順位を決めたりリスティング広告を運営したりしているGoogleやYahoo!にとっても、クリック代行業者が横行している現状は由々しき事態です。

そのためFacebookやGoogleなどはこうした行為を規約違反としており、違反が発覚した場合はアカウント停止など厳しい処分が下されます。違法でなくても企業の規約に違反するという点で言うと、クリック代行はクレジットカード現金化とも共通点があるグレーゾーンの行為です。

クレジットカードのショッピング枠を使って購入した商品を換金する行為は、他の手段で現金が用立てられない人の最終手段として使われています。近年の主流となっているキャッシュバック方式の場合は購入した商品が自宅に送られる限り、利用した本人が法律違反に問われるわけでありません。しかしながらそうした行為がクレジットカード会社の規約違反に当たるのは明らかで、違法性は薄くても決して推奨できない手法とされています。

クリック代行の場合でも依頼した本人が違法性に問われる可能性は高くありませんが、SNSや動画投稿サイト・広告サービスの規約違反に当たる不正行為です。こうした行為が大きな社会問題として取り上げられるようになれば将来的に法改正され、違法と判断されるようになる可能性もあります。

クリック代行バイトには手を出さないのが無難

現状では法的にグレーゾーンで必ずしも違法に当たらないとは言え、サイトの規約違反に該当するクリック代行に手を出すのはリスクがあります。自分自身が代行業者に依頼してフォロワー数やアクセス数を購入しようとするケースだけでなく、お小遣い稼ぎを目的にクリック代行業者にバイトとして雇われるのもおすすめはできません。

SNS上では「クリックするだけで◯万円稼げる」などと称してバイトを募集している例が多々見受けられますが、1クリックあたりの単価は低いため月に1万円以上を稼ぐには相当な回数のクリックをこなす必要があります。ポイントサイトでも同様に広告クリックやゲームなど普通のやり方ではたいして稼げず、リスクを伴う裏技を使わないとまとまった収入にならないのが現状です。

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クリック代行の「仕事」も時間をかけて根気よく続ければ、それなりの金額が溜まる可能性はあります。前述のクローズアップ現代+でも、月に40万円以上稼いでいるという人の例が紹介されていました。クリック代行の仕事はスマホ1つあれば時間や場所を問わずに稼げることから、在宅ワークのような感覚で手軽に取り組んでいる人も少なくありません。

とは言え仕事を与えるクリック代行業者の側で、雇ったバイトをどこまでも守ってくれるとは限らない点に注意が必要です。不正なクリックで違法性に問うのは困難とは言え、リスティング広告の例のように実害が生じた場合には被害者側が損害賠償を損害賠償を請求してくる事態も考えられます。

そうした場合に追跡できるのは、実際に不正なクリックを実行したバイトまでの話です。プロバイダが情報開示請求に応じた場合は、IPアドレスをたどることでバイト本人までは特定されてしまいます。仕事を依頼した代行業者に切り捨てられることも十分に考えられ、末端のバイトだけが責任を負わせられる事態も想定しなければならないのです。

同じような「トカゲの尻尾切り」の構図は、オレオレ詐欺や振り込め詐欺・架空請求詐欺などの特殊詐欺とも似ています、受け子と呼ばれる末端の構成員は摘発のリスクが最も高く、詐欺グループの上層部まで捜査の手が伸びた例は決して多くありません。

クリック代行は特殊詐欺と違って違法性を証明するのが困難とは言え、運営サイトの規約には明らかに違反する行為です。決して胸を張れるような「仕事」とは言えませんので、賢明な人はSNSでバイトの募集を見かけても手を出さないでおいた方がいいでしょう。

クリック代行の実態まとめ

クローズアップ現代+で取材に応じたクリック代行バイトの主婦は、コロナ禍で収入が減った中で養育費が賄えている点を「助かっている」と話していました。クリック代行業者からフォロワー数を購入している飲食店の経営者も、一種のマーケティング感覚で利用している様子が窺えます。いずれもクリック代行に対してそれほどの罪悪感は感じられず、情報通の人たちの間で便利な裏技として歓迎されているのが実状です。

中にはクリック代行に必ずしも収益性を求めず、フォロワー数を増やすことで単純に承認欲求を満たしたいという女性の例も番組で紹介されていました。さまざまな思惑が交錯する中でクリック代行ビジネスも手法も巧妙化しているだけに、法整備の方がなかなか追いつかない状態です。

Amazonなどの通販サイトで問題となっている偽レビューも含め、今やネット上では何が正しい情報なのか見分けがつかくなってきています。サイトを運営する企業の側でも手をこまねいているわけではありませんので、たとえ違法でばなくてもクリック代行には加担しないのが無難な判断です。

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