ダイエットだけでなくや健康管理にも欠かせない体重計はたいていの家庭に備えられていますが、測るたびに体重が違うという現象も見られます。同じ人が同じ条件で測っても体重計によって数字が変わると言われるだけに、そうした誤差は無視できないレベルです。
そんな体重の測定で問題になる誤差はどれくらいなのか、正確に測るために知っておきたい4つのポイントと合わせて解説します。デスクワークの仕事で運動不足の傾向にあるという人は、この記事を体重管理の参考にしてみるといいでしょう。
安価な体重計は誤差が大きい理由
A社の体重計で測ったらB社の製品で測った場合と比べ、キロ単位で数字が違っていたというのはよくある話です。インターネットで口コミ情報を検索しても同様の声は数多く見つかり、体重計の誤差が周知の事実となっている様子も窺えます。
家庭用の体重計は医療現場などで使われている業務用と比べて価格がリーズナブルなだけに、1kgから2kg程度の誤差も想定の範囲内です。業務用は高精度で誤差が極めて小さい代わりに、体重のみを測れるシンプルな機能の製品でも価格は割高となってきます。
最近の家庭用体重計は単に体重を測るだけでなく、体脂肪計や体組成計としても使えるほどの多機能化が顕著です。そうした豊富な機能より体重測定データの正確性を重視する人は、精度等級が表示された業務用を選ぶという手もあります。
アナログ式はデジタル式より軽く測れる?
家庭用体重計は昔からあるアナログ式と、現在の主流となっているデジタル式の2種類に大きく分けられます。アナログ式とデジタル式を比較した場合でも数字が違ってくる面があり、アナログ式の方が軽く測れる例が多いものです
両方の体重計で測って比較したある検証実験によると、デジタル式の方がアナログ式より2kgも多いという結果となりました。すべてのアナログ式がデジタル式よりも軽く測れるというわけではありませんが、こういう違いが生じるのは両者の測定方式による違いが1つの原因です。
アナログ式の体重計にはバネが内蔵されていて、人が乗ってバネが伸びた割合を目盛板の回転に変換して体重を表示するメカニズムが採用されています。デジタル式には金属板のひずみを感知するセンサーが内蔵され、センサーの抵抗値を数値に変換して表示する仕組みです。業務用であればデジタル式でも高精度のセンサーを内蔵しているため、家庭用より誤差が小さいのです。
食事や排便・排尿による影響
人間の体重は常に一定というわけではなく、食事や時間帯などの条件に左右されながら絶えず変動しています。食事前と食事後で体重計に乗ったときの数字が違ってくるというのは、誰でも経験するだけにわかりやすい例です。食事をすると食べたり飲んだりした物の重量が加わっているため、食事直後に測った数値は決して正確とは言えません。
排尿や排便の前後でも体重が微妙に違ってくることが避けられず、特に便秘の人は1回の排便で1kg以上変動することもあります。ダイエットや健康管理を目的に体重を測る場合には、そうした測定条件による違いを排して正確を期すことが大切なのです。
1日の中でも体重は変動
食事の前後や排便の前後で体重に微妙な変化が生じるのはまだわかりやすい例ですが、それ以外の要因でも重さは1日の中で変動しています。運動に取り組んでいる人は大量の汗をかいたりエネルギーが消費されたりするため、運動の直後に体重が大きく減るというケースも珍しくありません。
体重計に乗る時間帯によっても数値が違ってくることが知られており、一般に朝より夜の方で重くなるのが普通です。朝は夜寝ている間に汗をかいた関係で体内の水分が不足している状態にあるため、重量も失われた水分だけ軽くなっています。
体重を測る時間帯が日によってまちまちだと1日の中で生じる体の変化が数値に反映されてしまい、正確性が低くなる点には注意が必要です。そうした数字の違いを体重計の誤差と勘違いしないためには、測る時間帯をできるだけ一定にする必要があります。
体重計の誤差を少なくするコツ
以上のように体重はさまざまな原因で微妙に変動しているため、正確に測るためにはできるだけ条件を等しくする必要があります。体重計に乗る時間帯を同じにしたり、食後を避けて空腹時や排便直後に測ったりするのが誤差を少なくする基本中の基本です。
そうした基本をしっかり押さえていてもなお誤差が生じるとしたら、体重計の選び方や使い方に問題があると考えられます。正確性の点では業務用よりどうしても不利ですが、家庭用の体重計でも工夫しだいでは誤差を少なくすることは可能です。時間帯などの条件を同じにするという注意点の他にも、正確に測るために心がけたいポイントは4つほど挙げられます。
- 体重計を正しく設置する
- 安定した姿勢で体重計に乗る
- 体重を左右の足に分散させる
- 精度の高い体重計を選ぶ
4つのポイントについて、それぞれ詳しく解説します。
体重計を正しく設置する
体重計そのものに測定誤差が生じて数字が正確でなくなっている例としては、置き場所に問題があるようなケースが挙げられます。体重計は平坦な場所に置くことで正確に測れる仕組みとなっているため、床が少しでも傾いていると誤差が生じてしまうのです。特にデジタル式は精密なセンサーを使って測定しているため、アナログ式以上に置き場所の影響を受けやすくなります。
体重計を立てかけたり裏返したりして保管したためにそうした調整機能が狂ってしまったというケースも、誤差が生じる1つのパターンです。製品によっては体重計を移動させたり上に物を載せたりするだけでも補正が必要になってきますので、購入したら説明書をよく読んでから適切に保管するように心がける必要があります。
安定した姿勢で体重計に乗る
バネを使ったアナログ式でもセンサーを使ったデジタル式でも、板にかかる力を利用して体重を測るという点で体重計は共通しています。体重計に乗るときの姿勢によっても板にかかる力が微妙に違ってくるため、姿勢が安定しないと数値の誤差として表れる可能性も否定できません。
爪先立ちのように不安定な姿勢で体重計に乗ると正確に測れなくなってしまうのは、重心のずれが主な原因です。重心が不安定な状態で体重を測ろうとすると、床がわずかに傾いた状態と変わりない測定条件となってしまいます。正確に測るためには、体重計に乗る姿勢を安定させることが大切なのです。
体重を左右の足に分散させる
ダイエットに取り組んでいると少しでも体重を軽く表示したいという心理が働くせいか、片足に重心を移したりして数字を変えようと試みる人もいます。そうやって0.5kgでも軽く表示されれば満足を得られますが、正確な数値でなければ意味がありません。
可能な限り正確な数値を出すには、左右の足に体重が均等に分散されるような安定した姿勢で体重計に乗るよう心がける必要があります。体重の正確な数値を把握することで自分の体に起きている変化にも気づきやすくなり、健康管理にもプラスに働くようになるのです。
精度の高い体重計を選ぶ
以上のような工夫をすれば体重計の誤差もだいぶ減らせますが、機種によって出る数字に微妙な違いが出ることは避けられません。家庭用体重計は前述のような理由で体重そのものの正確性よりも体脂肪率や筋肉量測定など、多機能性が重視される傾向にあります。
体組成計として売られているそうした製品の機能も決して無駄ではなく、上手に活用すれば本当の意味でのダイエットや健康管理に役立つデータを提供してくれます。体重データはもちろん体脂肪率や筋肉量といったデータも含め、誤差を小さくするには精度の高い体重計を選ぶことが大切です。多機能と高精度を両立させた体重計は価格も高くなりますが、正確なデータに基づいた体重管理と健康管理に取り組みたい人にはおすすめです。
体重計で誤差が生じる理由と対策まとめ
広く普及してる家庭用体重計で測定すると、1kgから2kgほどの誤差はどうしても避けられない面があります。測定条件を統一して置き場所や保管場所と正しい姿勢に注意していれば、誤差を少しでも小さくすることが可能です。
体重を可能な限り正確に測りたいという人には、精度の高い体重計の導入が欠かせません。アナログ式でもデジタル式でも体重計には一定の寿命がありますので、長く使っているうちに誤差が大きくなってきたと感じたら買い替えを検討してみるといいでしょう。