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手作りクッキーは営業許可のいらない食品?販売の注意点を解説

手作りクッキーは営業許可のいらない食品?販売の注意点を解説 副業
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インターネット上のフリマサイトやハンドメイドマーケットを見ると、手作りクッキーを出品している人が結構います。個性的な商品の数々を眺めていて、「自分も手作りクッキーを売ってみたい」と考えている人は少なくないのではないでしょうか?

クッキーのように常温で保存できるお菓子なら、販売するのに営業許可がいらないように思いがちです実際には自分で作ったものを売るには、やはり保健所の許可が必要になってきます。

そこで今回は、保健所に申請して菓子製造業の営業許可を得る方法をまとめてみました。費用の目安も調べておきましたので、「趣味のクッキー作りで収入を増やしたい」という人にとっては有益な記事になるはずです。

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手作りクッキーの販売に営業許可は必要?

食品衛生法

手作りクッキーやケーキなどのお菓子を販売しようとする場合に、法律上の壁となってくるのが食品衛生法の存在です。手作りのお菓子は同法に規定された加工食品に当たるため、販売するには保健所に申請した上で「菓子製造業」の営業許可を得る必要があります。

クッキーのような加工食品の販売で対応が分かれてくるのは、以下のような3種類の業種です。

  1. 保健所の営業許可が必要な業種
  2. 営業許可は不要でも保健所への届出が必要な業種
  3. 営業許可も届出もいらない業種

食品衛生法は平成30年に改正され、令和3年6月1日には新たな営業届出制度がスタートしました。以下の業種は公衆衛生に与える影響が少ないことから、営業許可も届出も不要です。

  1. 食品又は添加物の輸入業
  2. 品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍・冷蔵倉庫業は除く。)
  3. 常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
  4. 合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
  5. 器具容器包装の輸入又は販売業

●上記のうち、①~③及び⑤の営業者については、法第50条の2第2項に基づく衛生管理計画及び手順書の作成も不要です。
●このほか、学校・病院等の営業以外の給食施設のうち、1 回の提供食数が20 食程度未満の施設や、農家・漁家が行う採取の一部と見なせる行為(出荷前の調製等)についても、営業届出及び衛生管理計画・手順書の作成は不要です。
出典:営業届出制度の創設(厚生労働省)

コンビニやスーパーで売られているクッキーは常温で長期保存が可能な状態だけに、3番目の例に当てはまりそうなものです。自分で焼いたクッキーを販売する場合も営業許可がいらない食品に入ると思いがちですが、手作りだと常温でおいしく食べられる目安は3日程度と言われています。そのへんは工場で製造されて密封包装される製品と、自宅のキッチンで手作りしたクッキーの大きな違いです。

それ以前に菓子メーカーでは営業許可を得た上で、クッキーなどの製造・販売を行っています。そうしたメーカーから仕入れた品を販売するのでない限り、自分で手作りしたクッキーを売るには許可が必要だと考えた方がいいでしょう。

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手作りクッキーの販売で営業許可を得る方法

シェアキッチンのシンク

保健所から営業許可を受けるとなれば、ハードルが高いイメージもあります。営業許可を得るまでの大まかな流れは以下の通りです。

  1. あらかじめ食品衛生責任者の資格を取得しておく
  2. 食品加工施設のレイアウトを作成する
  3. レイアウトの図面を携えて保健所に相談する
  4. 食品加工施設を施工する
  5. 保健所に改めて営業許可を申請する
  6. 保健所の視察を受ける

この中でポイントとなるのは、「食品衛生責任者の資格」と「食品加工施設」の2点です。この2つのハードルさえクリアできれば営業許可も見えてきますので、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

食品衛生責任者の資格を取得

保健所の営業許可を得る上で最初のハードルとなるのが、加工食品の製造に欠かせない食品衛生責任者の資格取得です。

菓子メーカーの工場や洋菓子店などに雇われて働く場合には、職場内に食品衛生責任者が配属されています。1事業所に1人いれば食品衛生法の基準を満たすようになりますので、従業員の1人1人が食品衛生責任者の資格を取得する必要はありません。

自宅で作ったクッキーを販売しようとする場合は、食品衛生責任者を務める人が自分しかいません。資格を持つ人と共同作業で手作りクッキーを販売するのでない限り、食品衛生責任者の資格を事前に取得しておく必要があります。

資格と言っても6時間程度の養成講習会を受講するだけの話で、合格不合格を分ける試験はありません。受講料は教材費を含めて12,000円という例が多いようです。最近は決まった日時に会場まで行かなくても、eラーニング形式によるオンラインで受講できる講習会が増えています。

栄養士や調理師・製菓衛生師など所定の資格を持っている人は、講習会を受講する必要もありません。保健所に届出するだけで食品衛生責任者になれます。

食品加工施設の確保

菓子製造業の営業許可を得る上で最大の関門は、菓子の製造を行う専用の場所を用意しなければならないという点です。食品衛生法が改正されたことで食品加工施設に関する規制が厳しくなり、自宅のキッチンで手作りした菓子の販売はできなくなりました。

手作りクッキーを販売するには、普段使っているキッチン仕切りをした場所を別に用意する必要があります。その場所も食品衛生法の規定に従って、排水設備や冷蔵冷凍設備・トイレなどの施設基準を満たしていなければなりません。

一般の主婦が副業で手作りクッキーを販売しようという場合、基準を満たした加工施設を用意するのはなかなか大変です。自宅をリフォームして加工場所を新設するとしても、高額の費用がかかってきます。

集合住宅に住んでいる人の場合は、リフォーム自体が困難でしょう。自宅にこだわらなければ、基準を満たしたシェアキッチンを借りることで営業許可を得る道が開けてきます。

シェアキッチンも利用できる!

シェアキッチンは複数の飲食店同士で1つの場所を共有する厨房施設です。シェアキッチンを利用しているのは飲食店が多いですが、決められた料金さえ払えば個人でも利用できないことはありません。

お料理教室などに使われるレンタルキッチンと比べ、シェアキッチンは営業許可の施設基準を満たしている点が特徴です。個人で菓子製造業の営業許可を得ようという場合でも、シェアキッチンの利用を前提とすれば、申請手続きが比較的簡単に済みます。

利用料金はシェアキッチンによってさまざまですが、1時間あたり2,000円前後から借りられるケースが多いようです。月額プランと契約することで、1時間あたりの料金がスポット利用より安くなるところもあります。「シェアキッチン 地域名」で検索し、近くに利用できる場所がないかどうか調べてみるといいでしょう。

営業許可の申請方法

以上の条件を満たすようになったら、「菓子製造業」営業許可の申請を行います。自宅をリフォームしたりして加工施設にする場合は、後日保健所の視察を受けることになります。施設基準を満たしていることが承認されれば、営業許可書が交付される仕組みです。

自治体によっても金額が変わってきますが、菓子製造業の場合は15,000円前後の申請手数料がかかります。営業許可には有効期限がありますので、5年から8年ごとに更新する場合も10,000円前後の継続手数料が必要です。

営業許可を申請する方法には、以下の2種類があります。

  1. 保健所の窓口で申請する
  2. インターネットで申請手続きをする

保健所の窓口で申請を行う場合には、必要書類を持参の上で管轄の保健所まで足を運ぶ必要があります。改正食品衛生法が施行された令和3年6月1日からは、営業許可の申請や届出がインターネット経由でもできるようになりました。厚生労働省の食品衛生申請等システムにアクセスし、アカウントを作成した上で営業許可や届出の申請手続きを行います。

「食品衛生責任者の資格を証明する書類」などの必要書類は、画像ファイルを用意して添付する仕組みです。食品衛生申請等システムのサイトには利用マニュアルも用意されていますが、インターネットが苦手な人は保健所の窓口で手続きすることをおすすめします。

手作りクッキーの販売方法

手作りクッキーの売り場

保健所に申請して営業許可が降りたら、自分で作ったクッキーを販売する道が開けてきます。高額な費用をかけて店舗を開業しなくても、手作りクッキーを売る手段はいろいろと考えられます。知り合いの店に依頼して、手作りクッキーの販売コーナーを設けてもらうのも1つの方法です。

筆者も先日街の電気屋さんを訪れた際に、店内に洋菓子を販売するショーケースが置かれているのを見て驚きました。隣町の洋菓子店から頼まれて商品を置いているという話でしたが、個人から頼まれて手作りクッキーなどの商品を陳列している店もあるはずです。

こうした委託販売だと店を訪れた人にしか売れませんが、インターネットを利用すれば販路が大きく広がってきます。個人が手作りクッキーをインターネットで販売する主な方法は以下の通りです。

  1. フリマサイトで売る
  2. ハンドメイドマーケットで売る
  3. ネットショップを開業

フリマサイトで売る

手作りクッキーを売るのに最も手軽な方法は、メルカリラクマなどのフリマサイトを利用した売り方です。実際にメルカリで「手作りクッキー」を検索すると、非常に多くの出品例が見つかります。洋菓子店などの店舗で出品している例が多いと見られますが、主婦が営業許可を取得して手作りクッキーを出品しているような例も少なくないはずです。

「SOLD」となっている手作りクッキーの価格は1,000円以上が多く、メルカリに出品される商品としては単価が高い部類と言えます。出品の際には商品の説明文やプロフィール欄に、「保健所で営業許可を得ています」と明記しておくといいでしょう。

ハンドメイドマーケットで売る

手作りクッキーのような加工食品は、minneCreema(クリーマ)のようなハンドメイドマーケットでも販売は可能です。手の込んだ手作りクッキーはハンドメイド作品と言えるだけに、メルカリのようなフリマサイトに出品するより高く売れる可能性があります。

実際にminneの食品カテゴリで出品されている手作りクッキーを見ると、価格設定はメルカリよりもさらに高めの水準です。クッキー作りの腕に自信があって「少しでも高く売りたい」という人は、minneのようなハンドメイドマーケットに出品してみるといいでしょう。



ネットショップを開業

フリマサイトやハンドメイドマーケットを利用したネット販売が軌道に乗ってきたら、手作りクッキー専用のネットショップを開業するという手もあります。既存のプラットフォームに出品した場合は集客に有利な反面、商品が売れるごとに以下のような手数料が売上から引かれます。

自分だけのネットショップを開業して手作りクッキーを販売すれば、商品が売れた場合に引かれる手数料を低く抑えることも可能です。各ネットショップ作成サービスで、初期費用・月額料金無料のフリープランを利用した場合の手数料は以下の通りです。

BASEの例では、無料プランと有料プランで以下のような違いがあります。

  • スタンダードプラン 月額料金0円/手数料6.6%+40円
  • グロースプラン 月額料金5,980円/手数料2.9%+0円

月額料金5,980円は「高い!」と思うかもしれませんが、月の売上が17万円以上になると、グロースプランの方がトータルで安くなります。まずは月額料金無料のスタンダードプランからスタートして、売上が軌道に乗ってきたところでグロースプランに移行するのがおすすめです。

STORESカラーミーショップの有料プランでも、フリープランより手数料が低く設定されています。売上が増えれば増えるほど、自分の収入になる金額の割合が多くなる仕組みです。

販売時には食品表示も必要

包装された手作りクッキー

コンビニやスーパーで売られている食品には、賞味期限や原材料名などが記載されたラベルが貼り付けられています。これらは食品表示法の表示義務に従った措置です。

営業許可を得て手作りクッキーを販売する場合でも、食品表示法に従ったラベル表示が必要な点には変わりありません。手作りクッキーのような加工食品の場合は、原則として以下の項目について明記したラベルの貼り付けが必要です。

  • 名称
  • 保存の方法
  • 消費期限又は賞味期限
  • 原材料名
  • 添加物
  • 原料原産地名
  • 内容量又は固形量及び内容総量
  • 栄養成分の量及び熱量
  • 食品関連事業者の氏名又は名称及び住所
  • 製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称等

出典:早わかり食品表示ガイド(消費者庁)

条件しだいでは表示を省略できる項目もありますので、引用元の文書で確認しておくといいでしょう。消費者庁では食品表示に関して、お問い合わせ受付フォームを設置しています。

営業許可を受けて食品加工を行う際には、HACCPと呼ばれる基準に従った衛生管理も必要です。従業員数50人未満の場合は小規模営業者に該当し、簡易版の衛生管理でも認められます。

まとめ

手作りクッキーの詰め合わせ

手作りクッキーを販売するには食品衛生責任者の資格を取得した上で施設要件も満たし、保健所の営業許可を得る必要があります。加工施設を用意するところが最大の関門となりますので、シェアキッチンが近くにある場合は利用も検討してみるといいでしょう。

営業許可を得てからも、実際に手作りクッキーを販売するには食品表示法に基づくラベル表示も必要です。以上のような法律を守っていれば、趣味のクッキー作りでお金を稼げるようになります。

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