デジタル一眼レフカメラが普及したおかげで、プロ並みの腕を持つアマチュアカメラマンが増えています。普段から趣味で写真撮影を楽しんでいる人の中には、撮影スキルを生かして収入を得たいと考えている人も少なくないはずです。
そんな人たちの間で、出張撮影の副業が人気を集めています。出張カメラマンの需要は年々拡大しているだけに、「もっと収入を増やしたい」というフリーランスのカメラマンやフォトグラファーにもおすすめの仕事です。
最近ではカメラマンの派遣サービスに加え、出張撮影のマッチングサイトも増えてきました。各サービスにカメラマンとして登録しておけば、依頼を引き受けることで出張カメラマンとして稼げるようになります。
そこで出張カメラマンを募集している24のサービスを厳選し、それぞれの特徴と報酬の目安について情報をまとめてみました。今回紹介する中にはビデオ撮影を行う仕事も含まれますので、動画撮影で収入を得る方法を知りたいという人にも必見の内容です。
出張撮影・出張カメラマンとは?
今では誰でもデジタルカメラやスマートフォンのカメラ機能を使って、写真や動画を手軽に撮影できるようになりました。昔と比べてプロに撮影してもらう場面は減っていますが、記念撮影や行事の撮影になると素人の腕では心もとないものです。失敗が許されない大事な場面では、プロに依頼して撮影してもらうことになります。
指定された場所にカメラマン(フォトグラファー)が赴き、依頼主に代わって記念写真や行事の場面を撮影するのが出張撮影の仕事です。スタジオ撮影の仕事と区別し、出張撮影の仕事を行う人は出張カメラマンと呼ばれています。
ちなみに「カメラマン」というのは写真撮影だけでなく、ビデオ撮影の仕事も含めた職種名です。写真撮影を職業とするカメラマンは、「写真家」を意味するフォトグラファーと呼ばれています。出張カメラマンには写真撮影を行うフォトグラファーもいれば、運動会や結婚式などのビデオ撮影を行うカメラマンもいるという具合です。
出張撮影は会社員や主婦などが副業にすることも可能で、必ずしも本業の仕事とは限りません。これまでは街の写真館がこうした出張撮影に応じてきましたが、インターネットの普及を背景として状況に変化が生じています。出張カメラマンの派遣サービスやマッチングサイトが数多く登場したことで、撮影を趣味とする一般の人でも出張撮影の仕事で収入が得られるようになったのです。
カメラマンが出張撮影を行う場面
出張撮影の仕事には、個人からの依頼と法人からの依頼の2種類に大きく分けられます。個人からの依頼が圧倒的に多く、さまざまなライフイベントに伴うファミリー撮影の仕事が中心です。出張カメラマンが活躍する場面としては、以下のような例が挙げられます。
- 家族写真やペットの撮影
- お宮参りや七五三・ニューボーンフォトなど子どもの記念撮影
- 運動会や学芸会・修学旅行などの学校行事
- 入学式・入園式や卒業式などの記念行事
- 成人式や結婚式などの記念撮影
- 発表会や演奏会・コンクールなどのイベント撮影
企業や団体からの依頼は会社案内や建物の撮影など、広報活動に伴う撮影の仕事が中心です。セミナーやイベントの撮影に加え、インタビュー取材に伴う写真や商品写真を撮影する仕事も含まれます。
出張撮影の市場規模
出張カメラマンのマッチングサイトfotowaによると、子どもの成長に合わせたイベント撮影の市場規模は約700億円にも上ると試算されています。
成人の撮影需要も含めると、出張撮影の市場規模はさらに大きな数字になるのは確実です。同じく出張カメラマンのマッチングを行うOurPhotoでは、写真館が担ってきたスタジオ撮影の市場規模を2,000億円としています。
マッチングサービスが普及したことで日常の撮影ニーズが掘り起こされ、出張撮影全体の市場規模は数千億円に達するものと予測されています。
出張カメラマンになるには?
出張撮影にこれだけの市場規模があるとなれば、撮影を担うカメラマンの人材が不足する事態も考えられます。写真撮影やビデオ撮影の仕事を本業としている人は、出張カメラマン全体の一部に過ぎません。撮影の仕事だけでは食べていけない人も少なくありませんが、撮影スキルを生かした副業の手段には十分になり得る仕事です。
出張カメラマンとして実際に仕事の依頼を獲得し、収入を得るには大きく分けて2通りの方法があります。1つは出張カメラマンの派遣サービスに登録し、運営会社からの指示に従って出張撮影を行う方法です。雇用契約ではなく業務委託契約となるケースが大半ですが、撮影の仕事は運営会社が手配してくれます。
出張カメラマンになるもう1つの方法は、個人として活動して自分で集客を行うスタイルです。この場合は依頼客を自分で探す必要もありますが、最近は集客に利用できるサービスもいろいろと存在します。ブログやSNS・YouTubeなどとうまく併用しながら宣伝していけば、個人でも出張カメラマンとして活動することは十分に可能です。
出張撮影ビジネスに活用されているマッチングサイト
出張撮影ビジネスを開業しても個人では顧客からの信頼が得にくく、仕事の依頼がなかなか獲得できないという事態も考えられます。そんなフリーの出張カメラマンが集客の手段に利用しているのが、個人で登録できる出張撮影のマッチングサイトです。
マッチングサイトにカメラマンとして登録しておけば、出張撮影を依頼したい個人客や企業担当者の目に触れるようになります。プロフィールや実績を見て気に入ってもらえれば、撮影の仕事を依頼されるという仕組みです。
出張カメラマンの派遣サービスは運営会社と依頼客との間で契約が結ばれ、登録カメラマンが依頼客の指定した場所に派遣される形で仕事が入ります。マッチングサービスを利用して仕事を獲得した場合は、登録カメラマンが依頼客と個人対個人で直接契約を結んで撮影の仕事を引き受ける仕組みです。派遣サービスに登録するよりも活動の自由度は高くなりますが、依頼客に選んでもらえなえれば仕事を獲得できません。
派遣サービスでも雇用契約を結ぶわけではありませんが、運営会社への依存度が高いという点ではアルバイトに近い働き方です。マッチングサイトを利用した活動のスタイルは派遣サービスより自由度が高いだけに、副業に向いた働き方だと言えます。
出張カメラマンの求人募集状況
求人検索エンジンのIndeed で出張カメラマンの求人を検索した結果、以下のような業種で専属カメラマンやフォトグラファーの募集が見つかりました。
- 専属カメラマンやアシスタントを募集するフォトスタジオ
- 結婚式場などウェディング業界のブライダルカメラマン
- ヘアサロンや貸衣裳店併設の撮影スタジオ
- 出版社やWebメディアの運営会社
- 撮影代行会社
- ECサイト企画会社
- ペットショップやドッグカフェ
雇用形態は正社員や契約社員・アルバイト・パートといった雇用契約だけでなく、業務委託契約の求人も少なくありません。出張カメラマンは撮影の依頼があった日時だけ撮影を行う仕事だけに、完全出来高制で報酬が支払われる例が増えてくるからです。
フォトスタジオや結婚式場・出版社などは以前からカメラマンを募集していた業種ですが、必ずしも副業に向いた求人ばかりとは限りません。ここ10年ほどの間で急増しているのが、以下で紹介するような出張撮影の派遣サービスやマッチングサイトです。副業カメラマンとして活動している人の多くは、それらのサービスを集客の手段として活用しています。
出張カメラマンの主な派遣サービス
出張カメラマンとして活動を始めようとした場合に、まず考えられるのはカメラマンの派遣サービスに登録する方法です。出張撮影の各サービスには顧客の依頼に応じて人材を派遣できるようにするため、地域ごとに複数のカメラマンが所属しています。派遣サービスにカメラマンとして登録していれば、出張撮影の依頼に応じて仕事が割り当てられる仕組みです。
誰でも登録できるというわけではなく、人物撮影の経験や撮影機材などの条件を満たしている必要があります。審査に通過して正式採用されれば、登録カメラマンとして出張撮影の仕事ができるようになるというわけです。この記事を書くために調査を行った中で、カメラマンの募集が確認された派遣サービスを紹介します。
Lovegraph(ラブグラファー)
2015年に設立されたLovegraph(ラブグラファー)は結婚式や七五三など、「Love」をテーマとした出張撮影を展開しているカメラマンの派遣サービスです。2021年9月の時点で、「ラブグラファー」と呼ばれるカメラマンが300名ほど在籍します。
約300名のうちフリーランスのカメラマンは3割ほどで、会社員の副業カメラマンが最も多い37%を占める状況です。学生や主婦も含め、さまざまな立場の人がラブグラファーとして活躍しています。Lovegraphにカメラマンとして登録されるには書類審査とオンライン面接を経て、ラブグラファーコースと呼ばれる研修を受ける必要があります。
正式採用までの期間は最短1カ月とされていますが、平均すると3カ月ほどかかります。月額21,780円の研修費用に加え、22,000円の入会金も必要です。初期費用がかかる点はデメリットですが、採用までに3カ月かかった場合でも、出張撮影の仕事を9回ほどこなせば初期費用を相殺できる計算となります。
撮影報酬は実績や評価・技術レベルに応じて、1件あたり10,000円から14,000円が支給される仕組みです。最高ランクになると撮影報酬に加え、指名料も受け取れるようになります。
エントリー時や正式採用時にはカメラボディやレンズ・PC・編集ソフトなど、用意すべき機材にも要件があるという点には注意が必要です。詳しい応募要件については、以下の採用ページで確認することをおすすめします。
LIFESNAP(ライフスナップ)
さまざまな家族の記念日にカメラマンが同行するLIFESNAP(ライフスナップ)は、2012年に事業を開始した出張撮影のサービスです。撮影メニューには七五三やお宮参り・ニューボーンフォトの他、成人式や長寿の記念日・家族の記念日・フォトピクニックがあります。家族のライフイベントに同行する出張撮影の他にも、公園で家族撮影会を開催しています。
LIFESNAPのカメラマンは東京・神奈川・千葉・埼玉という4都県在住で、2年以上の実務経験を持つ40歳くらいまでの人が対象です。出張撮影の報酬は経験やスキルによって決まる仕組みで、60分から90分の撮影で1件あたり14,000円から、90分から120分を費やす撮影は17,000円からとなっています。撮影会には4時間から5時間を費やし、撮影件数に応じた報酬は1回あたり15,000円から30,000円です。
INFOTO(インフォト)
株式会社アマナが運営するINFOTO(インフォト)は、写真撮影や動画制作・フォトブック制作などの事業を展開しているサービスです。INFOTOでは取材や記事執筆を行うライターの他に、インタビューやイベント・取材撮影を担当するカメラマンも募集しています。広告撮影の分野で3年以上のキャリアを持つ人が対象で、エントリー後に作品を提出して審査に通過すれば契約クリエーターとして登録される仕組みです。
家族写真やライフイベントの記念撮影を行うLovegraphやLIFESNAPと違って、INFOTOの出張撮影は企業からの依頼が中心となってきます。他のカメラマン派遣サービスに登録している人でも、INFOTOへの登録は可能です。個人からの依頼だけでは十分な収入が得られない場合は、INFOTOに登録して企業案件にも対応できるようにしておくといいでしょう。
JIP(ジップ)
スタジオキャドル株式会社が運営するJIP(ジップ)は、出張撮影で9,500件以上の実績を持つカメラマン派遣サービスです。15年以上にわたってサービスを展開してきた出張写真撮影に加え、インタビューや講演会・発表会・スポーツ大会・結婚式などの出張動画撮影にも対応しています。運動会や入学式など個人からの依頼だけでなく、建築物や店舗・クリニック・サロンなど企業からの撮影依頼も少なくありません。
カメラマンの募集はスチールカメラマンとムービーカメラマンの2種類があって、それぞれの場面に応じた撮影経験と画像編集または動画編集のスキルも必要です。JIPのネットワークは全国規模に拡大しているため、カメラマンも全国の都道府県で募集しています。
deltaphoto(デルタフォト)
株式会社デルタクリエイティブの運営するdeltaphoto(デルタフォト)は、東京・大阪・名古屋・福岡から全国にカメラマンを派遣している出張撮影のサービスです。スタジオ写真や商品写真なども撮影していますが、インタビュー撮影や建築物の写真・イベント記録などビジネス用の出張撮影にも対応しています。
deltaphotoでもフォトグラファーとビデオグラファーの両方を募集中です。フォトグラファーは東京都・大阪府・愛知県・福岡県在住または近隣エリア在住で、プロとして生計を立てている20代から40代のフリーカメラマンが対象となっています。動画撮影・動画制作を担当するカメラマンは、東京都・大阪府・愛知県在住または近隣エリア在住のフリーカメラマンが主な対象です。
いずれも作品審査に通過した人がdeltaphotoにカメラマンとして登録され、業務委託の形で仕事を割り当てられるようになります。撮影を趣味とする人の副業にするのは難しい仕事ですが、プロのカメラマンが仕事を獲得する手段としては選択肢の1つです。
PIXTA オンデマンド
国内最大級のストックフォトサイトPIXTAでは、後述するようにfotowa(フォトワ)という出張カメラマンのマッチングサービスを展開しています。
個人客を対象としたfotowaとは違って、PIXTA オンデマンドは法人向けの出張撮影サービスです。全国各地に登録フォトグラファーが存在するため、サービスの提供エリアに限定はありません。
フォトグラファーに支払われる報酬率は65%で、撮影時間ごとの報酬は以下の通りです。
- 1時間 27,885円
- 2時間 35,035円
- 3時間 42,185円
- 撮影延長 1時間ごとに7,150円
- 1時間 14,300円
- 2時間 21,450円
- 3時間 28,600円
- 撮影延長 1時間ごとに7,150円
通常撮影には撮影提案やレタッチが含まれ、1時間につき10枚以上納品するためのセレクト作業も欠かせません。ライトプランになるとセレクト作業なしで撮影データを納品する上に、補正やレタッチ作業も不要です。
報酬には交通費や宿泊費・撮影にかかる諸々の実費も含まれるとは言え、時給換算では高収入が稼げる仕事です。それだけにPIXTA オンデマンドは登録カメラマンの審査基準が厳格で、撮影スキルだけでなくコミュニケーション能力やディレクション能力も問われてきます。
ベイビースマイル
東京・神奈川・千葉・埼玉を中心に全国でカメラマンを募集しているベイビースマイルは、お宮参りや七五三・誕生日などのファミリー写真に対応した出張撮影サービスです。子どもを撮影する仕事だけでなく、結婚式の撮影やペット撮影の仕事もあります。雇用形態は完全出来高制の業務委託契約で、土日祝日の仕事が中心です。
募集されているのは家族写真の撮影経験を持つフリーカメラマンが主な対象ですが、平日の夕方や夜間に出張撮影を依頼される場合もあります。必要経験と必要機材の条件を満たしていれば、会社員の副業にもなり得る仕事です。子どもと接するのが好きなカメラマンは、ベイビースマイルへの登録も検討してみるといいでしょう。
トリニティーフォト
トリニティーフォトは法人ではなく、カメラマンの内藤洋司氏が個人事業として展開している出張撮影のサービスです。神奈川県と東京都を対応地域としていて、事業開始は2010年にさかのぼります。事業の拡大に伴って、撮影業務を引き受けてくれる外注カメラマンも募集中です。
撮影メニューには個人向けと法人向けの両方があり、法人向けの商業撮影は写真と動画にそれぞれ対応しています。出張撮影の対象は神奈川・東京とその近県に限られますが、神奈川県や東京都在住でない人でもカメラマンになることは可能です。応募資格にはカメラマン業務で生計の半分以上を占めているという条件もありますので、会社員の副業よりはフリーカメラマン向けの仕事と言えそうです。
はいチーズ!
千株式会社が運営するはいチーズ!は、24時間の利用が可能な幼稚園・保育園向けのインターネット写真販売サービスです。幼稚園や保育園の撮影負担を軽減させる目的で、カメラマンの派遣サービスも実施しています。園での行事撮影を中心に、スポーツ大会や企業イベントなどが出張撮影の主な対象です。
はいチーズ!では年間10,000件以上の出張撮影が依頼される中で、業務委託で働いてくれるフォトグラファー・カメラマンを全国で募集しています。1件あたりの撮影報酬は10,000円から20,000円ですが、試用期間の報酬は3,000~5,000円で、研修期間中は交通費のみの支給です。
必要機材の条件を満たしていて子ども好きの人であれば、カメラマンとしての経験は問われません。会社員や主婦の副業にもなり得る仕事ですので、撮影を趣味としていて子どもが好きな人は応募を検討してみるといでしょう。
撮っても楽だ
栃木県小山市のはるの写真工芸株式会社が運営する撮っても楽だも、保育園や幼稚園向けの写真販売代行サービスです。撮っても楽だでは首都圏・関東エリアの保育園や幼稚園を対象に、運動会・発表会・遠足など園内イベントに契約カメラマンを派遣しています。写真カメラマンとビデオカメラマンに加え、「パパ、ママカメラマン歓迎」のサブカメラマンも募集中です。
いずれも報酬とは別に、交通費は全額支給されます。写真カメラマンの報酬は1日あたり12,000円から20,000円で、ビデオカメラマンは日給20,000円から40,000円、サブカメラマンの日給は5,000円から12,000円です。出張撮影の仕事は土日が中心ですので、平日に会社の仕事がある人の副業にも向いています。
Photojoy
株式会社アルファブルが運営するPhotojoyは、マッチングアプリ用のプロフィール写真に特化した出張撮影サービスです。現在は東京・神奈川・愛知・大阪・兵庫・京都・広島の各エリアに、約40名のカメラマンが登録されています。
今後は業務拡大に伴って全国47都道府県での出張撮影対応を目指しており、拡大予定のエリアでもカメラマンを募集中です。Photojoyのカメラマンは必ずしもプロである必要はなく、ハイアマチュアはもちろん学生や副業カメラマンでも応募できます。
1件あたり2,200円からの報酬は登録エリアによって異なり、雇用形態は業務委託契約です。カメラマンとして登録するには撮影機材やPCなどが必要ですので、応募を検討している人は以下の募集要項を確認してみるといいでしょう。土日に稼働できる人は大歓迎となっているだけに、Photojoyも副業に向いた出張カメラマンの仕事です。
個人で登録できる出張撮影のマッチングサイト
以上で紹介した出張撮影のサービスは、いずれも特定のサービスにカメラマンとして採用された上で指定場所に派遣される働き方でした。アルバイトやパートではなく業務委託の形で仕事を行うスタイルが大半ですが、仕事内容や時間などは派遣サービスを運営する会社に依存する面もあります。審査基準を満たしてカメラマンとして登録されれば安定収入につながるとは言え、もっと自由な働き方を求めて個人で活動したいという人も少なくありません。
そんな人に向いているのが、個人で登録できる出張撮影のマッチングサービスです。出張撮影を依頼したい利用客と撮影の仕事がしたいカメラマンをマッチングするだけでなく、料金のやり取りなどもサイトが仲介してくれます。
マッチングサイトの登録カメラマンは基本的に個人として活動を行い、依頼客と個人対個人で取引を行うのが特徴です。出張撮影のマッチングサイトも数が多く存在しますので、以下に代表的なサイトの概要を紹介します。
fotowa(フォトワ)
ピクスタ株式会社が運営するfotowa(フォトワ)は、家族写真など個人向けの出張撮影サービスです。七五三やお宮参り・誕生日など子どもの記念写真を撮影する仕事が多く、結婚式の前撮りや成人式の記念写真などさまざまな出張撮影の需要に対応しています。
書類選考による1次審査と面談・撮影による第2次審査に通過すれば、fotowaのフォトグラファーとして登録される仕組みです。交通費や宿泊費・撮影実費・指名料を含む報酬は通常だと撮影料金の60%ですが、2021年中は65%になるキャンペーンが実施されています。
fotowaの撮影料金は曜日によって異なり、平日は21,780円で土日祝日は26,180円です。キャンペーンが適用されると、2021年中は平日の報酬が14,157円、土日祝日は17,017円ということになります。
利用客は各撮影エリアから出張カメラマンを選べるようになっているため、fotowaに登録しても必ず仕事の依頼があるとは限りません。fotowaは登録フォトグラファーと利用客を仲介する場を提供し、料金のやり取りなども代行するマッチングサービスです。
fotowaを集客の手段と位置づけることで、出張カメラマンとして自由な活動が可能になってきます。応募要件としてデジタル一眼レフカメラまたはミラーレス一眼の撮影機材に加え、写真編集用のPCも必要です。
OurPhoto(アワーフォト)
50分8,800円からというリーズナブルな撮影料金で人気を集めているのが、2015年にサービスが開始された出張撮影マッチングサービスのOurPhoto(アワーフォト)です。fotowaと同様に家族写真や七五三・お宮参りなど個人向けの出張撮影が中心で、利用客とフォトグラファーをサイト上でマッチングしています。利用客はOurPhotoのサイトでフォトグラファーを検索し、プロフィールや評価・過去の作品を見て気に入った人を選べる仕組みです。
利用客との連絡はサイトのチャット機能を使って行われるため、個人の連絡先を教える必要はありません。出張撮影の仕事は50分間で1枠となっており、撮影後10日以内に30枚の写真を納品する必要があります。
fotowaと違うのは、撮影料金をフォトグラファー側が自由に設定できるという点です。撮影報酬は利用客が支払う料金から35%の手数料を引いた残りの金額で、最低価格の8,800円に設定した場合は報酬が5,720円ということになります。
交通費は報酬に含まれますが、時給換算では普通にアルバイトの仕事をするより効率的に稼げる仕事です。OurPhotoでもフォトグラファーとして登録されるには、書類選考による一次審査とオンライン面接による二次審査に通過する必要があります。撮影機材や編集機材などの応募要件もfotowaと同様ですが、詳しい募集要項は以下のフォトグラファー募集ページで確認しておくといいでしょう。
Famm(ファム)
株式会社Timersが運営するFamm(ファム) は、子どもの写真や動画を家族で共有してアルバムやカレンダー・DVDなどのグッズを制作できるアプリです。Fammは全国で無料の撮影会を開催している他、七五三やニューボーンフォト・お食い初めなどの出張撮影も実施しています。
Fammで出張撮影を依頼する際には、利用客がフォトグラファーを選べる仕組みです。Fammアプリは全国に120万人以上の会員を持つだけに、個人で活動する出張カメラマンの集客手段として効果を発揮します。
1時間1コマあたりの撮影料金はfotowaと同じく平日が21,780円で、休日は26,180円です。フォトグラファーに支払われる報酬の割合はfotowaより高めの66%に設定されているため、報酬の金額は平日が14,375円、休日が17,279円ということになります。いずれも1時間1コマの撮影で、75枚以上の写真データ納品が必要です。
Fammでもフォトグラファーとして登録するにはポートフォリオなどの審査に通過する必要がありますが、応募要件の中には「プロカメラマンとして3カ月以上活動した経歴」が含まれています。撮影機材や編集機材の要件は、fotowaやOurPhotoと同等です。
PHOTORU(ふぉとる)
東晶貿易株式会社が運営するPHOTORU(ふぉとる)は、利用客が全国のフォトグラファーを検索できるオンラインのマッチングサービスです。家族写真や結婚式・記念日・運動会など、主に個人客相手の出張撮影が想定されています。ふぉとるに登録しているフォトグラファーは約500名を数え、スマホ1つで予約や連絡のやり取りができる仕組みです。
ふぉとるにフォトグラファーとして登録するには審査を受ける必要もありますが、20歳以上で応募要件を満たしていればプロ・アマを問いません。フォトグラファーが受け取る報酬は撮影プランによって異なり、いずれも依頼客が支払う料金から30%の手数料を引いた残りの金額です。
ふぉとるの撮影プランには以下の3種類があります。
- 撮影時間1時間以内で納品枚数15枚までのサクッと撮影プラン 10,780円(報酬7,546円)
- 撮影時間2時間以内で納品枚数75枚までの満足撮影プラン 21,780円(報酬15,246円
- 撮影時間5時間以内で納品枚数無制限のよくばり撮影プラン 52,800円(報酬36.960円)
(報酬はいずれも交通費込みの金額)
詳しい募集要項は以下の募集ページで確認することをおすすめします。
CELEBABY(セレベビー)
株式会社RETAIL INNOVATIONが運営するCELEBABY(セレベビー)は、出張撮影とスタジオ撮影の両方に対応したカメラマンのマッチングサービスです。赤ちゃんや子どもの写真撮影に特化している点が特徴で、利用客はサイト上でお気に入りのカメラマンを選べるようになっています。
他のマッチングサービスと違ってカメラマン登録するのに審査はありませんが、登録当初は独自のスターター制度で撮影の仕事を行う仕組みです。スターターの段階では、以下のようなデフォルトの料金プランに従って撮影を行う必要があります。
- 平日60分16,200円(報酬11,340円)
- 土日祝日60分19,440円(報酬13,608円)
- 平日45分10,800円~(報酬4,860円)
- 土日祝日45分12,960円(報酬5,832円)
出張撮影の場合は30%の成約手数料を引いた残りの金額が報酬となりますが、交通費はその中に含まれません。報酬とは別枠で、撮影当日に現金にて受け取ることになっています。
通算3回の撮影でユーザーのレビューが平均4点以上に達すれば、オリジナルの撮影プランを作成できるようになる仕組みです。スターターを脱すれば料金や撮影時間・納品枚数などを自分で自由に決められる上に、有料オプションも設定できるようになります。
自分でスタジオを所有していない人でも、セレベビーには登録カメラマン用のシェアスタジオが用意されています。シェアスタジオの使用料は、利用客が支払う料金の25%です。出張撮影以外にも仕事の選択肢があるという点は、セレベビーならではのメリットと言えます。
AMI
aMi Inc.が運営するAMIは、国内外の出張撮影に対応したフォトグラファーのマッチングサービスです。AMIにフォトグラファーとして登録してオリジナルページを作成すると、AMIが運営する以下の3サイトに自動で掲載される仕組みです。
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- ビジネス関連の出張撮影や商品撮影などを扱うAMI(アミ)
- ウェディング撮影を扱うFamarry(ファマリー)
- 家族写真の出張撮影を扱うemily(エミリィ)
3つのサイトには旅行先の記念撮影や海外ハネムーンの後撮りなど、それぞれ多彩な撮影プランが用意されています。日本国内だけでなく、海外での出張撮影にも対応できる点がAMIの特徴です。
出張撮影のマッチングサイトとしては知名度がそれほど高くありませんが、AMIのHPには「年間約1万件の撮影マッチングを行っています」という記述も見られます。世界を視野に入れた活動を考えている出張カメラマンは、AMIへの登録も検討してみるといいでしょう。
出張カメラマンの集客に使えるその他のサービス
出張撮影を専門とするマッチングサービス以外にも、カメラマンが集客に利用できるサイトはいくつか存在します。スキルを売り買いできるサイトを利用しながら、個人で出張撮影のサービスを出品している人も少なくありません。新たな副業の手段としても定着しつつあるスキルシェアサイトの中から、出張カメラマン向けのサービスを紹介していきます。
タイムチケット
スキルを時間単位で売り買いできるタイムチケットでは、出張撮影が人気サービスの1つとなっています。オンラインでのサービス提供も可能とは言え、タイムチケットに出品されているサービスの大半は対面でスキルを提供するスタイルです。
ココナラミーツと比べて出張撮影の出品数は少なめですが、1時間30分で1万円超の価格設定ながら70件近い販売実績を持つカメラマンも存在します。需要が多いのはプロフィール写真や赤ちゃん写真・ペットの写真など、個人向けの出張撮影です。ECサイト向けの商品撮影や、企業の店舗物件撮影も出品されています。
ココナラミーツと同様に、タイムチケットでも出品価格は自分で設定することが可能です。他のカテゴリでは30分2,500円や1時間5,000円といった価格設定が多いですが、出張撮影は1万円以上に価格設定している例も目立ちます。売上から引かれる手数料は5万円以下の部分が27.5%で5万円超~10万円までの部分は22%、10万円を超える部分は17.5%です。
くらしのマーケット
家事代行やハウスクリーニングなどさまざまなサービスが出品されているくらしのマーケットにも、出張撮影のカテゴリが用意されています。この記事を書いた時点では、出張撮影・カメラマンのカテゴリに8,000件以上のサービスが出品されていました。各サービスは「店舗」「店長」という形で紹介されていますが、法人ではなく個人でサービスを出品している人も少なくないものと見られます。
家族写真や子どもの写真・ペット写真・ウェディング撮影といった個人向けのサービスが中心で、出品価格は1万円前後が平均的な相場となっている状況です。売上から20%の予約手数料を引いた残りの金額が出品者の収入となります。出張撮影カテゴリはライバルも非常に多い状況ですので、「コロナ対策」「ワクチン接種済」マークで安心感をアピールするような対策も効果的です。
ミツモア
暮らしからビジネスまでさまざまなサービスの見積もりを依頼できるミツモアにも、「カメラマン」のカテゴリが存在します。結婚式やプロフィール写真・家族写真といった個人向けの出張撮影はもちろん、商品撮影や店舗・施設の撮影も見積もりの対象です。
ミツモアの見積もり応募方法には依頼に対して手動で応募する方式と、事前に見積を登録しておいて依頼があった場合に自動で応募する方式の2通りがあります。見積もりの依頼客と電話やチャットで連絡を取り合い、最終的に選んでもらえば成約となる仕組みです。
手動応募方式だと見積もりが採用されなかった場合でも、165円分以上のポイントが消費されます。自動応募なら応募手数料は0円で、実際に成約が成立した場合に売上から16.5%~38.5%の成約手数料が引かれる仕組みです。
出張撮影の成約手数料は35%で料金も自分で自由に設定できますが、手数料は税込2,200円が下限となっています。料金をそれ以下に安く設定しても収益が残りませんので、ライバルを意識して価格設定する際には注意が必要です。
Zehitomo(ゼヒトモ)
2015年にサービスを開始したZehitomo(ゼヒトモ)は、2人のアメリカ人が設立した外資系のマッチングサービスです。住宅関連や暮らし関連・習い事・ビジネス・イベントなど、さまざまな分野のプロと依頼客のマッチングを行います。
Zehitomoに登録している各分野のプロは約15万人にも及び、案件の依頼数は月に25,000件以上に達する状況です。リフォームや修理・コンサルティング・パーソナルトレーニングといったサービスが多い中で、サイトには出張カメラマンも数多く登録されています。
Zehitomoへの事業者登録そのものは無料で、仕事の依頼者に見積もりを送る際に300円の応募費用が発生する仕組みです。見積もりの提案に少額の費用がかかる点ではミツモアと似ていますが、サービス料金から引かれる仲介手数料はありません。
依頼客が複数の見積もりを比較して最終的に選ばれなければ300円が無駄になるとは言え、集客コストと考えれば許容範囲内です。他のマッチングサービスだと撮影料金の30%前後を手数料として引かれるのが一般的だけに、利用客が支払う料金のほぼ全額を報酬として受け取れるのはZehitomoのメリットと言えます。
Skillots(スキロッツ)
最後に紹介するSkillots(スキロッツ)https://www.skillots.com/は、2006年にサービスが開始されたスキルシェアサービスです。イラストや写真・動画・音楽・文章など、さまざまな分野のクリエイターやスペシャリストが9,000人以上登録されています。
写真撮影のカテゴリには約1,400人のカメラマンが登録されており、サイトを通じてカメラマンから見積もりを募集できる仕組みです。見積もりを募集する方式だけでなく、カメラマンが考えた定額の撮影パックを利用する方式も用意されています。商品撮影や不動産写真撮影・インタビュー撮影などビジネスユースはもちろん、七五三や結婚式・家族写真・学校行事など個人向けの出張撮影でも利用されている状況です。
Skillotsではクラウドワークスやランサーズのようなクラウドソーシングと同様に、エスクロー決済と呼ばれる仮払いシステムが採用されています。依頼客が発注時に料金をSkillots側に仮入金し、取引に問題がなければクリエイターに報酬が支払われる仕組みです。
出張カメラマンになる方法まとめ
以上で紹介してきたサービス以外にも、出張カメラマンを募集している企業や店舗は数多く存在します。つまり出張カメラマンになる方法は、ほとんど無数と言ってもいいくらいに数多く用意されている状況です。それらを整理すると、以下のような4つのパターンに大きく分けられます。
- 出張カメラマンを募集しているフォトスタジオや結婚式場などの求人に応募する
- 出張カメラマンの派遣サービスに登録して仕事を紹介してもらう
- 出張撮影のマッチングサイトを集客の手段として利用する
- 総合型のスキルシェアサイトを利用して出張撮影の利用客を募集する
1つのサービスに登録するだけでは思うように稼げないという場合でも、複数のサービスにカメラマンとして登録していれば仕事を獲得できる確率が少しでも高くなります。
1回の出張撮影で稼げる金額は登録サービスや案件によって異なりますが、1時間の撮影で1万円以上稼げる仕事も少なくありません。月に複数件数の出張撮影を引き受けることで、月収10万円以上を稼ぐことも十分に可能です。売上から引かれる手数料の割合や審査の基準はサービスごとに違ってきますので、この記事を参考にしながら自分に合ったサービスを選んでみるといいでしょう。