NHKや民放のテレビ局では、番組制作の参考にする目的で番組モニターを定期的に募集しています。半年から1年の任期でモニターを務めれば謝礼がもらえるだけに、副業の手段として人気の仕事です。
採用の人数には限りがあるため、応募すれば誰でもモニターになれるわけではありません。そこで今回は番組モニターとして採用されるコツについて、募集状況や謝礼の相場と合わせて情報をまとめてみました。
番組モニターの仕事を副業にする方法
テレビを視聴していると、「番組モニター募集中」「社外モニター募集中」などというCMを目にすることがあるかと思います。番組モニターはテレビ局の社員ではないため、求人サイトで検索しても募集はなかなか見つかりません。
番組モニターの募集は番組間のスポットCMや、番宣と同じ扱いで流されるのが一般的です。テレビで募集されても、ほとんどの人は見逃してしまいます。
GoogleやYahoo!で「局名 モニター」のキーワードを入力して検索すれば、各テレビ局の公式サイトに掲載された番組モニターの募集ページが見つかります。
募集の時期は局によって異なる上に、短期間しか告知されない例も少なくありません。時期によっては募集が見つからない場合もありますが、定期的に検索していれば見つかりやすくなるはずです。
番組モニターの採用人数には定員が決められているため、募集を見つけて応募しても必ずモニターになれるとは限りません。応募の際には郵送またはWeb上の入力フォームで必要事項を記入し、自分で選んだ番組の感想・意見を書いて送ることになります。この番組レポートに年齢や性別・居住地域などの属性情報を加味して、定員人数の番組モニターが選ばれる仕組みです。
番組モニターの募集状況
番組モニターの採用人数が最も多いNHKの場合、以下のような3種類のモニターを毎年募集しています。
- 放送番組モニター(地上波)
- 若者番組モニター(29歳以下限定)
- BSモニター(BS1・BSプレミアムの番組が対象)
放送番組モニター(地上波)は総合テレビとEテレに加えて、ラジオ第1やラジオ第2・FMのラジオ番組もモニターの対象です。4月1日から9月30日までの前期と、10月1日から翌年3月31日までの後期に分けて募集されます。募集される人数は、前期と後期ともに700人程度です。
29歳以下の人に限定した若者番組モニターにも同じく前期と後期があって、採用人数はそれぞれ100人程度となっています。BSモニターだけは委嘱期間が10月1日から翌年9月30日までの1年間で、募集人数は200人程度です。いずれも委嘱期間さえ重ならなければ、過去にNHKのモニターをした人や現在モニター中の人でも応募は可能とされています。
民放各局では日本テレビやフジテレビなどキー局の他、各都道府県の地方局でも番組モニターを随時募集しています。募集人数や任期・応募方法は放送局によって異なりますので、放送を受信できる局でモニターを募集していないかどうか検索してみるといいでしょう。テレビ局だけでなく、FMラジオの地方局でも番組モニターが募集されるケースがあります。
番組モニターに採用されるコツ
せっかく番組モニターの募集を見つけて応募しても、限られた定員の1人に選ばれなければモニターの仕事ができません。番組モニターを副業の手段とするには、採用されるコツを知っておく必要があります。
モニターの選考に当たって年齢や性別・居住地域などが考慮されるのは、モニターの偏りをなくして幅広い意見を取り入れようという目的があります。人口の多い地域ほど応募者も多く、採用の実質的な倍率はどうしても高くなりがちです。NHKの場合はBSモニターの方が地上波より応募者が少ないため、倍率が低めと言われています。
同じ居住地域で年齢層や性別も共通する人同士が重複して応募した場合、モニターとしての資質が選考の決め手となってきます。モニターにふさわしいかどうかを判断する材料は、応募の際に提出する番組レポート(テストレポート)です。ライバルが多い中から番組モニターに採用してもらうためには、採用されやすいレポートの書き方を心得ておく必要があります。
レポートの書き方
レポートの対象となる番組は自分で自由に選べるのが一般的ですが、適当に選んだのでは落選する可能性が高くなってしまいます。採用されやすい番組は以下の通りです。
- 応募するテレビ局が独自に制作した番組
- 報道番組や情報番組
- ドキュメンタリー番組
特に地方局のモニターに応募する場合はキー局からの配信番組でなく、地方局で制作したオリジナル番組を選ぶのが鉄則です。バラエティのようなエンターテインメント性の高い番組よりも、少々お堅い感じの番組をレポートに取り上げた方が採用の確率が高いと言えます。
レポートの文字数は局によって異なり、NHKの場合は300文字以上600文字以下です。モニターに採用してもらうには、指定文字数いっぱいを使って最大限にアピールする必要があります。文字数が多ければ多いほど内容を豊富に盛り込めるため、少ない文字数で済ませた人よりも選考で有利になってくるからです。そうした点では番組モニターの応募レポートも、エッセイや小説の公募で受賞するコツと共通する部分があります。
改善すべき点を書くコツ
番組の良い点だけを書けば印象が良くなるように思いがちですが、改善すべきポイントもしっかりと書くのが採用されるコツです。改善点を指摘する際には「面白くなかった」「つまらなかった」などという単純な感想ではなく、「この部分をもっと深く掘り下げてほしかった」といったような具体性が求められます。番組の粗探しをするのではなく、「こうすれば番組がもっと良くなる」という観点で改善ポイントを見つけることが大切です。
レポートの書き方は「起承転結」の構成に沿って書くようにとよく言われますが、改善ポイントの書き方しだいで印象がだいぶ変わってきます。文章の構成が苦手という人は、以下のような雛形に当てはめて書いてみるといいでしょう。
- 起:簡単な自己紹介と、この番組を選んだ理由
- 承:番組を視聴して良かった点を挙げる
- 転:「ここをこうすれば番組がもっと良くなるのでは?」という観点から改善点を挙げる
- 結:良かった点にもう一度言及し、「期待しています」などと前向きな言葉で締めくくる
先に番組を褒めておいてから、改善すべきポイントを付け加えるのが普通の書き方です。その順番で問題はありませんが、「結」の部分を一工夫するだけで読後感が違ってきます。褒められた後でけなされるよりも、けなされた後で褒められた方が好感度がアップするからです。
テレビ局側では番組の改善すべき点を知りたいがために、わざわざ謝礼を払ってまでしてモニターを募集しています。だからと言って改善点をストレートに伝えすぎては、相手にマイナスの印象を与えかねません。選考する側も人間ですので、番組レポートを書く場合にこうした心理テクニックを応用するのが効果的です。
番組モニターの謝礼の相場
晴れて番組モニターに選ばれれば、番組レポートの提出で謝礼がもらえるようになります。モニターに選ばれた後で提出するレポートは応募時と違って、少しぐらい辛口の表現であっても構いません。
謝礼の金額は局によって異なりますが、レポート1本あたりの謝礼は1,500円前後が平均的な相場です。1本1,000円から2,000円の範囲に収まる例が大半ですが、中には2,000円を上回る局もあります。
NHK番組モニターの謝礼
モニターの募集人数が最も多いNHKの場合は、モニターの種類によって謝礼が違ってきます。地上波の放送番組モニターは謝礼が1ヶ月あたり15,000円で、民放各局のモニターと比べても高額の部類です。
ただし1ヶ月に12本のレポート提出というハードなノルマがあって、規定本数に満たない場合は減額される可能性があります。レポート1本あたりの謝礼は1,250円になる計算で、民放局のモニターと比べて必ずしも高い水準ではありません。
NHKでも若者番組モニターになると月の謝礼は10,000円で、レポートの規定本数は10本(1本あたり1,000円)で済みます。BSモニターの謝礼は地上波と同じく月15,000円ですが、規定本数は若者番組モニターと同じ10本です。1本あたりの謝礼は1,500円で比較的有利な条件とは言え、2時間物など長時間の番組を指定される場合もあります。
民放局のモニター謝礼
フジテレビの社外モニターは1ヶ月に提出するレポートの規定本数が5本程度で、NHKと比べて少なめです。1本あたりの謝礼も3,000円と高額のせいか人気が高く、採用人数がNHKより少ないので倍率も高くなっています。
テレビ朝日で過去に募集されたモニターは1年間のレポート本数が2~20回で、謝礼は1回あたり1,000円程度の商品券で支払われていました。地方局のモニターは月に3~4本程度の例が多く、謝礼は月に数千円から1万円超までさまざまです。
レポートを1本書くのに費やす時間は番組の視聴時間にも左右されるだけに、時給に換算すると最低賃金を下回る場合も出てきます。普通にアルバイトの仕事をした方が効率的に稼げますが、番組モニターは在宅でも収入を得られる点が魅力です。
フジテレビなど一部の局のモニターは、本社で開催されるモニター会議に出席する必要もあります。離れた地域に住んでいる人にとっては移動の負担が大きくなりますが、交通費は支給されるのが一般的です。
まとめ
番組モニターを副業にするには、短期間しか掲載されない募集情報をうまく見つける必要があります。募集期間が終了するとページが削除されてしまう例も多いため、過去を含めた募集の状況と謝礼の相場について紹介してきました。
いずれの局も募集人数が定員を大きく上回って倍率が高くなっているだけに、なかなか採用されないという人も少なくありません。応募の際に提出するレポートの書き方にはコツがありますので、番組の改善ポイントを上手に伝える工夫をしてみるといいでしょう。