都会で地方に貢献するふるさと副業とは?ふるさと納税との違いも解説

副業

生まれ故郷など思い入れのある自治体に寄付を行うことで税金が控除され、豪華な返礼品をもらえるふるさと納税はすっかり定着した感があります。「ふるさと副業」はふるさと納税と名前が似ていてコンセプトに共通点もありますが、あくまでも副業の一形態を意味する言葉です。東京などの都会に居住して本業の仕事を続ける中、休日などを利用しながら地方の中小企業で副業を行う働き方がふるさと副業と呼ばれています。

そんなふるさと副業の推進を目的に個人と企業とを結ぶマッチングサイトも増えており、副業の新たな可能性が拡大されるようになりました。案件数はまだまだ少なめという課題もあるふるさと副業の現状について、ふるさと納税との違いを含めた基本情報を解説します。

ふるさと副業とは?

一般に副業と言えば自宅近くや通勤圏内にある店でアルバイトをしたり、在宅ワークの形で収入を得たりする仕事というイメージがあります。個人で企業にアドバイスを行う週末コンサルも副業の一形態ですが、都会で働いている人が都会にある企業のコンサルティングを行うケースが大半でした。

そうした従来の固定概念を覆し、都会の企業で働きながら地方の企業にスキルやノウハウを提供する新たな副業のあり方が注目されています。働く場所にとらわれないふるさと副業の仕組みを利用すれば、本業の仕事を辞めたり地方に移住したりせずに地方の企業に貢献できるようになります。休日などを利用して地方の企業とコンタクトを取りながらプロジェクトに参加することで報酬を受け取れるため、従来の週末コンサルと同様に副業の手段となり得るのです。

そうした動きを受けて地方での兼業や副業を推進させるために、国や自治体が交通費の一部を助成する制度も始まりました。コロナ禍においては会議や商談をオンラインで行う新たな仕事のスタイルも定着しつつあるだけに、ふるさと副業に取り組む上でもテレビ会議システムなどを利用して遠隔地の企業と交信する方式が想定されます。ふるさと副業は生まれ故郷や地方に貢献したいという思いを持つ都会の人材と、人材不足に悩む地方の中小企業双方にとってメリットの大きい働き方です。

ふるさと納税との違い

地方に貢献する仕組みと言えば、豪華な返礼品の数々が話題となったふるさと納税が知られています。行き過ぎた返礼品競争の弊害が問題となり、国が規制に乗り出す事態となったのは周知の通りです。

返礼品のお得感ばかりが何かと強調されがちですが、もともとはふるさと納税も寄付金を通じて地方に貢献しようという狙いで創設された制度でした。地方に貢献するという点ではふるさと副業も似たようなコンセプトを持ちますが、ふるさと納税のように国の制度として確立されているわけではありません。総務省のふるさと納税ポータルサイトには、この制度について以下のように定義されています。

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限はあります。)。
例えば、年収700万円の給与所得者の方で扶養家族が配偶者のみの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)が所得税と住民税から控除されます。(出典:総務省ふるさと納税ポータルサイト

ふるさと納税は寄付金の形で地方に貢献し、見返りとして地域特産品などの返礼品がもらえる仕組みです。ふるさと副業の場合は自分の持つスキルや技術・ノウハウなどを企業に提供する形で地方に貢献し、見返りとして報酬を受け取るという違いがあります。企業に提供するスキルや経験にしても、自治体に寄付するお金にしても、都会で生み出された価値を個人レベルで地方に分配して地域活性化に役立てるという点では共通します。

ふるさと副業のマッチングサイト

実際にふるさと副業を始めようと思ってみても、貢献したいと思う地方の企業と接点を持たなければ始まりません。すべて自分の力で地方の企業に営業をかけ、副業に結びつくような仕事を獲得するのはなかなか大変です。

そうしたハードルを取り払って副業先の会社を見つけやすくするためには、クラウドソーシングのようなマッチングの仕組みが欠かせません。近年はふるさと副業に注目が集まるようになったのを受けて、都会で働く個人と地方の企業とをマッチングするサービスも次々と登場してきています。NPO法人G-netが2018年に開設したふるさと兼業は、そうしたマッチングサイトの中でも代表的な存在です。

ふるさと兼業のサイトは求人サイトと似たようなスタイルで全国の兼業プロジェクトを検索できるようになっており、エリア別やテーマ別・職種別で案件を絞り込むこともできます。「スキマ時間」「週1日~OK』「リモート可」「プロボノ」などの条件を指定した検索も可能で、自分に合った働き方でふるさと副業を選べる仕組みです。

この他にSkillShiftYOSOMON!JOB HUB LOCALなども、ふるさと副業の案件探しができるマッチングサービスです。こうした動きに人材大手のリクルートグループも着目し、今の会社を辞めずに他の会社のプロジェクトに参画できるサービスサンカクで「ふるさと副業会議」を開催してきました。福岡をテーマとして2018年に開催された第1回のふるさと副業会議に続き、現在は第2回に向けた事前登録の募集中です。

案件数をどう増やすかが課題

東京一極集中を是正するという意味でもふるさと副業は注目される動きですが、以上に挙げたマッチングサイトでも案件数はまだまだ少なめです。クラウドワークスランサーズのようなクラウドソーシングは案件数が豊富なことから、在宅ワークで収入を得ようとするフリーランスや主婦層から圧倒的な支持を得てきました。

ふるさと副業サイトにはクラウドソーシングにはない魅力的な案件が多いとは言え、全体の案件数が少ないとマッチング率が下がってしまいます。クラウドソーシング並みに普及するかどうかは、今後の案件数しだいです。

自分の出身地や思い入れのある地域でふるさと副業を始めたいと思っていても、案件の募集が見つからないのでは始めようがありません。企画から営業まで何もかも自分で進め、地理的に離れた地方の企業から副業の範囲でこなせる仕事を獲得するのは至難の業です。

間にマッチングサービスが入ることで、人材不足に悩む地方の企業と都会の優秀な人材とを結びつけられるようになります。都市部には多種多様な副業の選択肢が存在するだけに、地方ならではの魅力的なプロジェクトを考案しない限りは都会の人材に興味を示してもらえません。ふるさと副業の仕組みもまだまだ認知度不足の面があって、地方から参画しようという企業も決して多くないのが現状です。

お得な返礼品が話題となったことで認知度が一気に高まったふるさと納税の先例に学べば、ふるさと副業も普及への道が見えてきます。全国の返礼品を掲載したふるさと納税サイトが人気を集めているように、ふるさと副業も案件の横断検索が可能なポータルサイトの登場が待ち望まれる状況です。

ふるさと副業の現状まとめ

マッチングサイトの案件数がまだ少なめで選べる仕事は限られていますが、実際にふるさと副業で地域に貢献しようという人が増えています。ふるさと副業は単に収入を増やすための仕事という以上に、本業で得られない貴重な経験とやりがいが重視される仕事です。思い入れのある地域への貢献が自分自身のキャリア形成にもつながっていけば、人間としての成長に役立てることもできます。

コロナ禍でテレワークの定着率が高まったせいもあって、感染リスクの高い都会から地方への移住を検討し始めている人も少なくありません。本業の仕事に縛られる身では地方移住も簡単な話ではありませんが、ふるさと副業であれば移住しなくても地方との関わりを持つことができます。そうした中で将来的な地方への転職と移住を実現可能にする足がかりを築いておけば、人生設計にも多様な選択肢を持てるようになるのです。

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