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仮想通貨マイニングで稼ぐ副業とは?儲からないと言われる理由も解説

お金
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2020年秋頃から暗号資産(仮想通貨)のビットコイン価格が高騰を続けているのを受け、2021年に入ってからは第2次マイニングブームの様相を呈しています。2017年に広まった第1次ブームの頃には、副業の手段としてもマイニングが注目されました。

今は多くの企業がマイニング事業を展開するようになっているだけに、個人が対抗しようとしても「儲からない」と言われています。それでもマイニングが副業としてまったく成り立たないというわけではありません。

やり方を間違えると一攫千金どころか赤字に転落するリスクもあるマイニングについて、第2次ブームに対応した稼ぎ方を紹介します。「今どきマイニングなんて個人レベルでは無理」と諦めている人でも、この記事を読めば希望が持てるようになるはずです。

2021年9月18日追記

この記事を書いた後でビットコイン価格が暴落し、暗号資産(仮想通貨)とマイニングを取り巻く状況にも変化が生じています。マイニングの副業が儲からないと言われる理由も変わってきていますので、最新の動向を踏まえた上での見解も記事の最後に追加しておきました。

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暗号通貨(仮想通貨)のマイニングとは?

そもそもマイニングというのは、ビットコインに代表される暗号資産(仮想通貨)の取引を承認することで報酬を得る作業を意味します。暗号資産はブロックチェーンと呼ばれる分散型ネットワークの仕組みで成り立っているだけに、取引に不正がないと認められるには第三者による検証作業が欠かせません。この検証作業にはPCを使った膨大な計算が必要になるため、作業の対価として新規発行される暗号資産を報酬として支払う仕組みがあります。

マイニング(mining)は「採掘」を意味する英語で、暗号通貨の新規発行を金鉱山での鉱石採掘にたとえた名称です。ビットコインの場合はマイニングに参加した人の全員が報酬を得られるわけではなく、新たなブロックの作成に伴う複雑な計算を一番早く解いた人にのみ報酬が支払われます。

高度な演算能力を備えたマシンを持つ人ほど有利になってくるだけに、第1次マイニングブームの頃には高性能グラフィックボードが品薄となって価格が高騰する事態となりました。マイニングの報酬は暗号資産の新規発行分で支払われることになるため、コイン価格が値上がりすればするほど実質的な報酬金額が増えることになります。暗号資産の価格が伸び悩んだ2018年から2019年にかけての時期は、マイニングブームも一段落の様相を呈していました。

2020年に入ってからビットコイン価格が再び上昇に転じ、2021年には過去最高額を次々と更新している状況です。1BTCあたりの価格は2020年4月の時点で約100万円でしたが、この記事を書いた2021年4月の時点では650万円前後で推移しています。1年前と比べてビットコインの相場が5倍以上にも高騰しているのを受けて、マイニング市場が再び盛り上がってきているのです。

マイニングで得た報酬は暗号資産で支払われるため、日本円などの法定通貨と両替するにはコインチェックGMOコインDMM Bitcoinなどの取引所に口座を開設する必要があります。国内の取引所で扱っていない暗号資産のマイニングで得た報酬でも、海外の取引所を利用すれば法定通貨と交換することが可能です。

ブロックチェーンの仕組み

マイニングで報酬が得られる暗号資産(仮想通貨)は、どれもブロックチェーンを使って取引情報を管理しています。これは暗号資産の取引を記録した台帳のようなものですが、誰か特定の個人や企業・国家が集中管理しているわけではありません。ネットワークでつながった複数のコンピュータで取引情報を互いにチェックし合い、台帳を分散させる形で管理しているのが特徴です。

1つ1つのブロックにはトランザクションと呼ばれる取引データが集められていて、全体が鎖のようにつながった構造をしています。今回の記事のテーマとして取り上げたマイニングというのは、まさにこのブロックを作るために欠かせない作業です。

ブロックチェーンは通常の取引と違って、会計ソフトやEXCELを使って台帳を作成しているわけではありません。1つ1つのブロックには、それぞれを順番につなぎ合わせるためのハッシュ値というデータが組み込まれています。前のブロックに記録されたトランザクションと次のブロックに記録されたハッシュ値が正しく対応することで、データが正しくつながっていく仕組みです。

前後のブロックに記録されたデータ同士の関連性を証明するための情報は、ハッシュ関数を使って第三者に推測できない数列に変換されています。ナンスと呼ばれる使い捨てのランダムな数値を複雑な数式に当てはめ、膨大な回数の計算を繰り返してこのハッシュ値を発見するのがマイニングの作業なのです。

マイニングで報酬が得られる仕組み

ブロックチェーンに記録されたデータを過去にさかのぼって改ざんするのは、以上のような仕組みがあるために事実上不可能だと言われています。前後に並んだデータの整合性を証明して新たなブロックを作成するマイニングの作業は、コンピュータを使って超難解な数学の問題を解こうとするようなものです。時間さえかければ問題を解けないこともありませんが、正しいハッシュ値を導き出した人の全員に報酬を支払っていてはきりがありません。

そこでビットコインのような暗号資産においては、マイニングの報酬を支払うためにPoWやPoSといった手法が考え出されてきました。PoWはプルーフ・オブ・ワーク(Proof-of-Work)の略で、正しいハッシュ値を最初に発見した人に報酬を支払う方式です。

ビットコインはこのPoW方式が採用されているため、マイニングの報酬を得るには誰よりも早く数式を解いてハッシュ値を見つけなければなりません。膨大な計算を伴うマイニングで成果を出すには、ライバルを圧倒するだけの高度な演算能力を備えたコンピュータが必要です。

アルトコインで採用例が多いPoSはプルーフ・オブ・ステーク(Proof-of-Stake)の略語で、PoWと違ってコンピュータの演算能力は問われません。ハッシュ値を見つけ出すための数式を解くスピードではなく、暗号資産を保有している割合に応じて報酬が支払われます。

マイニングの方法

一口に暗号資産(仮想通貨)のマイニングと言っても、個人で行うのか組織として行うかによってやり方が違ってきます。個人が1人でマイニングに成功すれば報酬を独り占めにできますが、高額な費用を必要とする点を考えるとあまり現実的とは言えません。
現在では企業が主導して行う方式が主流で、個人でも組織的なマイニングに参加することは可能です。マイニングを副業の手段として位置づけた場合の参加方法には、以下のような3種類のスタイルがあります。

  1. ソロマイニング
  2. プールマイニング
  3. クラウドマイニング

それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきます。

ソロマイニング

現在では非主流的な手法となっていますが、暗号資産が登場した初期の頃は1人でマイニングを行う人も少なくありませんでした。当時は今と違ってライバルが少なかったため、1人でブロックの作成を行うソロマイニングでも収益化が可能だったのです。

PoW方式を採用しているビットコインの例で言えば、2020年の途中まではマイニングの報酬が12.5BTCでした。ビットコインは総発行数が2,100万枚と決まっており、およそ4年に1回のペースで発行数が半分に減らされる半減期を迎えます。2020年はそのタイミングに当たっていたため、5月には発行数が半減した上にマイニングの報酬も半分の6.25BTCに減らされました。

マイナーにとっては以前より不利な状況になるわけですが、これで法定通貨に換算した実質的な報酬額が減ってしまうとは限りません。発行数が減らされることでビットコインの希少価値が高まり、価格相場の高騰につながりやすくなるからです。

実際にビットコイン相場は2020年5月以降上昇に転じ、およそ1年間で5倍以上も値上がりしています。1BTCあたり100万円だった頃に換金すると12.5BTCの報酬は1,250万円ですが、現在は6.25BTCでも約3,750万円分に相当する計算です。ビットコイン相場がこれまでにないほど高騰しているからこそ、第2次マイニングブームの様相を呈しているとも言えます。

資金力に勝る企業が相次いで参入している中では、一般の個人がソロマイニングで太刀打ちするのはほとんど絶望的な状況です。電気料金が日本の半分以下という中国企業が多く参入している状況だけに、日本でビットコインのソロマイニングを行うのは圧倒的に不利な立場だと言わざるを得ません。

ビットコインのようにメジャーな暗号資産を避け、参加者が少ない草コインでソロマイニングに挑戦するならまだ勝ち目もあります。この場合でもマイニング機材を用意するのに相応の投資が必要ですので、電気代も含めたコストを上回る収益が確保できるかの判断が難しいところです。ソロマイニングはある程度の先行投資が可能な人に向いた方法で、マイニングに関する専門知識も求められます。

プールマイニング

企業が多く参入するようになってからは、マイニング工場と呼ばれる専用の施設を建設して大規模な採掘作業が行われるようになりました。マイニング工場では膨大な数の専用機器が24時間フル稼働し、巨大なファンを使って大量に発生する熱が冷却されています。

このように中国を中心とした企業同士で激しい競争が繰り広げられている中でも、互いに協力し合いながら組織的にマイニングを行えば個人でも対抗することは十分に可能です。実際にインターネット上ではマイニングプールと呼ばれる団体が数多く存在し、それぞれ複数のマイナーが参加してチームプレイによるマイニングが行われています。

プールマイニングと呼ばれるこの方式は、自分に割り当てられた範囲だけナンスとハッシュ値を探索するだけで済むやり方です。参加者がそれぞれ分担された範囲でナンス探しの作業を一斉に行えば、ソロマイニングよりも成功の確率が高くなります。マイニングに成功した場合には、獲得した報酬が貢献度に応じて参加者に分配される仕組みです。

現状では個人がマイニングを行う方式として、こうしたプールの利用が主流となっています。報酬が分割されることで1人1人の取り分はソロマイニングより少なくはなりますが、機材の購入費用や電気代も少なく済むのはプールマイニングのメリットです。報酬を得るための費用対効果を考えると、副業の手段としてもプールマイニングが最も稼ぎやすい方式だと言えます。

クラウドマイニング

個人がマイニングを行う3つ目の手段として挙げられるのは、企業が運営するマシンを遠隔で利用するクラウドマイニングです。一見するとプールマイニングと似ていますが、他の方式と違って自分で機材を用意する必要はありません。マイニング事業を行う企業に出資することで、収益の分け前にあずかるという仕組みです。

マイニングに必要なハードウェアを提供する企業は、クラウドマイニング・サービス・プロバイダと呼ばれています。プロバイダ任せのマイニングだと自分でマシンを調節したりする醍醐味は味わえませんが、資金力で優位に立つ企業のマシンパワーを個人で利用できる点はメリットです。

クラウドマイニングの契約者はハードウェア購入費用の一部を負担し、収益の一部を配当金として受け取る形となります。高価なマイニング専用機材を購入せずに済むだけでなく、電気代を自分で負担する必要もありません。

一見いいことずくめのように思えるこの方式にも、他の方式と比べて初期費用が高額になりやすいというデメリットがあります。過去には虚偽のマイニング事業に勧誘し、不正な収益を得ようとした業者が摘発された例もありました。詐欺に引っかかるリスクも考えると、本当に信頼できる企業が運営してるのかどうかという点を慎重に見極める必要があります。

3種類のマイニング技法

マイニングには参加形態によって以上のような3種類のやり方があるわけですが、使用する機器の違いでも次のような3つのパターンに大きく分けられます。

  1. CPUマイニング
  2. GPUマイニング
  3. ASICマイニング

初期の頃は競争相手が少なかったため、普通のパソコンを使うCPUマイニングでも十分に通用していました。暗号資産(仮想通貨)の知名度が上がって価格が上昇するようになると、マイニングに参入する人も増えて競争が激化するのは当然の流れです。CPUよりも計算が速いグラフィックボードを使った手法が流行し、2017年の第1次ブームにおいてはGPUマイニングが主流となりました。

高性能GPUコアを備えたグラフィックボードが品薄状態になるほどブームは加熱しましましたが、マイニング用途に特化したASICというマシンが登場したことで勢力図にも変化が生じています。現在は企業が中心となって高価な機材を駆使したASICマイニングが主流となっていますが、暗号資産の中にはASICを使っても意味がないようにアルゴリズムを変更している銘柄も少なくありません。そういう暗号資産の銘柄を対象としたGPUマイニングやCPUマイニングも、個人の間で今なお続けられている状況です。

CPUマイニング

3種類に分けられるマイニング技法の中で最も古い歴史を持つCPUマイニングは、普段から仕事や日常生活で使っているパソコンを流用可能な点が最大の特徴です。CPUマイニングはその名の通り、ブロックチェーンのハッシュ値を見つけ出すための計算をCPUで行います。CPUであればどのパソコンにも内蔵されているため、理屈の上ではPCを持つ人の誰にでもマイニングで報酬を獲得するチャンスがあるわけです。

スマホやタブレット端末にもCPUは内蔵されていますので、専用のアプリをインストールすればマイニングは可能です。ただしビットコインのようにASICに有利な暗号資産はライバルが多すぎるため、個人がCPUマイニングで対抗しようとしても到底かないません。そもそもビットコインでは、ハッシュ値を見つけ出すために単純な計算を繰り返すようなアルゴリズムが採用されています。そのような演算はCPUよりGPUの方が得意で、GPU以上にPoWマイニングに特化したASICも数多く開発されている状況です。

今でもCPUマイニングが通用するのは、ASIC耐性と呼ばれる仕組みが導入されてる一部の暗号資産に限られます。モネロ(Monero)で採用されているCryptoNighというアルゴリズムは、ハッシュ値を見つけるために複雑な計算を伴うのが特徴です。このようなアルゴリズムを持つ暗号資産では、ASICを導入しても優位性を発揮できません。

Yescryptのアルゴリズムを採用したBitZenyやKotoも同じようにASIC耐性があるため、モネロとともにCPUマイニングによく利用されています。いずれもビットコインほど高額な報酬は望めませんが、将来的な値上がりに期待するならマイニングの対象として悪くない銘柄です。

CPUマイニングは特別な機材の購入を必要とせず、電気代も他の方式より少なく済みます。報酬が少なめでもコストを低く抑えられば、マイニングの収支をプラスにすることは十分に可能です。

GPUマイニング

個人レベルのマイニングで現在の主流となっているのが、グラフィックボードを使って演算を処理するGPUマイニングです。あらゆる演算を行うCPU(中央演算処理装置)と違って、GPUはもともと画像処理を分担させるために作り出された演算装置でした。

ノートPCや省スペース型のデスクトップPCでは、マザーボードにGPU機能が統合されたオンボード型が主流です。GPUマイニングに使われるグラフィックボードは主にゲーミングPCやワークステーションなど、高性能のパソコンに独立したパーツとして搭載されています。画像処理を担当するパーツを追加することで動作の重いゲームが滑らかに表示され、グラフィックソフトや動画編集ソフトも快適な操作できるようになるのです。

グラフィックボードで画像処理を行うGPUは単純計算を高速で繰り返すような演算処理を得意とするだけに、ビットコインのようなPoW型のマイニングで威力を発揮します。1台のPCに複数枚のグラフィックボードを装着した上で24時間フル稼働させるのが、GPUマイニングの常套手段です。

高性能のグラフィックボードは大量の電力を消耗する上に発熱量も大きいため、電気代とともに効率的な冷却方法が課題となってきます。GPUマイニングに使われるパソコンは電源の強化も不可欠で、1,500W以上にも及ぶハイエンド電源を外部接続で使用している人も少なくありません。

冷却効率を考えると寒冷地の方が有利な条件ですが、冷房をガンガン効かせれば温暖な地域や夏場でもGPUマイニングは可能です。そうなると冷房に必要な分だけ電気代が増えてしまうため、マイニングの報酬が低いと電気代が上回って赤字になってしまいます。

高性能のグラフィックボードはマイニングブームで品薄状態で価格高騰が著しいだけに、必要な機材を調達するにも高額な費用が必要です。可能な限り電気代を抑えながらマイニングでハイパフォーマンスを発揮するには、グラフィックボードのチューンナップも欠かせません。GPUのコアクロックやメモリクロックを変更したり、ファンスピードが最適になるように設定したりする必要があります。

そうした点を考えるとGPUマイニングはPC自作を趣味としている人や、ゲームが趣味で高性能のゲーミングPCを持っているような人に向いた方式です。ゲーム用のグラフィックボードとして一番人気のGeForceは、マイニングでも対応できる銘柄が多いという特徴があります。

ビットコインは後述するようにASICを持つ企業が優勢なため、個人レベルのGPUマイニングではイーサリアムやモナコイン・モネロといったアルトコインを選ぶのが無難です。イーサリアムやモネロといった銘柄なら、Radeonシリーズのグラフィックボードでもマイニングに威力を発揮します。

ASICマイニング

2017年以降のブームでマイニングが儲かると知れわたってからは、事業として参入する企業が急増しました。そうした企業の大半は、ASICと呼ばれる専用の機器を導入して組織的なマイニング事業に取り組んでいます。

ASICにはマイニングに特化した集積回路が搭載されているため、パソコンのように他の用途には使えません。ただひたすらマイニングの膨大な計算をこなすための目的で設計された専用マシンだけに、ASICマイニングはハッシュ値を導き出す能力という点で他の2方式を上回ります。特にビットコインのようなASIC耐性のない暗号資産のマイニングでは、GPUマイニングですら劣勢に立たせられているほどです。

高価なASIC機器を潤沢に使ったマイニングができるのは、ある程度の資金力を持つ企業に限られます。最近は省エネタイプのASIC機器も登場していますが、高ハッシュレートを誇るマシンは消費電力も高いのが一般的です。ASICは騒音も大きいため、一般の住宅で24時間稼働し続けるにはマイニング専用の部屋を設ける必要があります。

以上のようなデメリットを考えると、個人でASICを使ってソロマイニングを行っている人はほとんどいないはずです。マイニング事業を手がける企業に出資してASIC購入資金の一部を負担し、クラウドマイニングに参加する方法なら個人でもASICを利用できることになります。

銘柄別のマイニング事情

ブロックチェーンの仕組みを持つ暗号資産(仮想通貨)は、ビットコインとそれ以外のアルトコインに大きく分けられます。このような分類がされているのは、あらゆる暗号資産の中でもビットコインが最も広く普及しているという証拠です。

ビットコインは時価総額が100兆円以上にも達し、約27兆円で2位に入ったイーサリアム以下を大きく引き離しています。この記事を書いた時点でビットコイン平均価格は、1BTCあたり約650万円です。発行数に差があるので単純比較はできませんが、ビットコインはマイニングに成功した場合の収益性が最も高い暗号資産だと言えます。

そのためマイニング市場は完全なレッドオーシャンと化している状況で、潤沢な資金を投入する企業でないと勝ち目はありません。多くの個人マイナーはイーサリアムやモネロ・モナコインなど、アルトコインのマイナーで細々と収益を得ている状況です。

ビットコインのマイニング

企業が圧倒的に強いビットコインのマイニング市場に個人マイナーが参入するには、電気代の安い地域に移住した上で相応の設備を整えて臨む必要があります。日本は電気代が高く夏場はかなりの高温になるため、ビットコインのマイニングには適していません。電気代の安い中国や、北欧のように気候が冷涼な国の住民が有利な状況です。

日本でも北海道や東北地方などは冬場の平均気温が低いため、季節限定でマイニングに適した気候にもなり得ます。安い電力プランに加入した上でそういう寒冷地に居住し、冬場に集中してマイニングを行うという手も考えられなくはありません。

個人でソロマイニングに成功すれば莫大な報酬を得られますが、そのためには企業並みにASIC機器を導入して理想的な環境を整備しなければなりません。個人の財力でそれが実現できる人は限られますので、ビットコインを扱うマイニングプールを見つけて参加するのが現実的な方法です。

アルトコインのマイニング

ビットコインには以上のような厳しい事情があるため、個人が副業レベルでマイニングを行う場合はアルトコインを利用するのが無難な選択です。アルトコインというのはビットコイン以外の暗号資産を総称した呼び方で、「アルト=alt」は「Alternative=代替の」という意味を持ちます。

サトシ・ナカモトが2008年に発表した論文に基づいてビットコインが作られた後に、同じようなブロックチェーンの仕組みを持つ暗号資産が次々と誕生しました。草コインと呼ばれる無名の暗号資産まで含めると、今ではアルトコインが1,500種類以上にまで増えています。

時価総額で2位のイーサリアムはビットコインと同じPoW方式でマイニングが行われていましたが、現在はコインの保有量に応じて報酬が決まるPoS方式へと移行しつつあるところです。個人マイナーの間で人気が高い銘柄としてはイーサリアムの他、CPUマイニングも可能なモネロやBitZeny、モナコインやジーキャッシュなどが挙げられます。

アルトコインの中には、アルゴリズム更新でASIC耐性を強化してきた例も少なくありません。そのようなコインでは高価なASIC機器を使っても優位性がないため、ほとんどの企業はマイニング事業の対象としていないのです。

マイニングの副業が儲からないと言われる理由

本業だけでは不足しがちな収入を増やす副業の手段として利用しようとしても、マイニングで確実に稼げるという保証があるわけではありません。ソロマイニングに成功すれば一攫千金につながるとは言え、個人が企業の組織力に対抗していくのは大変です。複数人で分担して演算を行うプールマイニングならソロマイニングより成功確率が高くなりますが、1人1人に分配される報酬の額はそれだけ少なくなってしまいます。

マイニングで大きく稼ごうとすれば、ライバルより早く計算問題を解けるような機材を揃えるのに相応の設備投資も必要です。マイニングの稼働中は電気代もばかにならないことから、報酬が少なすぎては費用の方が上回って赤字に転落してしまいます。

マイニングが儲からないと言われているのは、個人レベルで得られる報酬に比べて費用がかかりすぎるというのが主な理由です。マイニングに必要な機材の購入費用と電気代に分けて、実際にかかるどれだけの費用がかかるのか想定してみました。

マイニング機材の購入価格

最も収益性が高いビットコインのマイニングは、高価なASIC機材を数多く保有する企業が圧倒的に強い状況です。個人がマイニングで収入を得るには、収益性が下がってもアルトコインを利用するのが無難な選択肢となってきます。

マイニングで得られる収入は報酬とイコールではなく、報酬から電気代などの経費を引いた残りの金額です。電気代が全般に高い日本では、よほど上手に運用しないと収支がマイナスになってしまいます。高性能の機材を使えばマイニングの成功確率も高くなるため収益性は向上しますが、機材の購入費用が加算される分で赤字に転落するリスクも出てきます。

グラフィックボードにしてもASICにしても次々と新製品が発売されている中では、最新機能の機材を購入すれば何年も安泰というわけにはいきません。特にASICは短いサイクルで次から次へと新製品が発売され、モデルチェンジのたびに性能が大きく向上している状況です。

古いモデルのASICでは激化する競争に勝てないため、ASICマイニングを制するには絶えず新機種に買い換える必要があります。最新ASIC機器の購入価格は1台70万円以上に及び、100万円以上の製品も珍しくありません。

GPUマイニングで必須となる高性能グラフィックボードも、マイニングブーム再燃で品薄となっているため価格が高騰中です。グラフィックボードの平均価格は2020年の2月時点で3万円を切っていましたが、現在は5万円近くまで上昇しています。

PCパーツを扱う通販サイトでもGeForce RTX 3080やRTX 3060 Ti搭載モデルなど、マイニングに適した10万円前後のグラフィックボードは品切れ続出の状況です。ヤフオクなどのネットオークションサイトでは、グラフィックボードの人気モデルが20万円以上の高値で出品されている例も見受けられます。

電気代はどれくらいかかる?

マイニングを収益化して副業として成り立たせるには、電気代をどれだけ抑えられるかが最大の課題です。CPUマイニングなら特別な機材を用意する必要はなく、普段から使っているパソコンやスマホでも流用できます。普通に使用するよりは電気代がかかると予想されますが、安いプランだと消費電力100Wのパソコンで月の電気料金は1,500円程度です。

大量の電力を消耗するGPUマイニングの場合は、消費電力が1,000W以上に達する例も珍しくありません。GeForce RTX 3080をフル稼働させた場合の消費電力は500W近くにも達し、複数枚の同時稼働を想定するならその何倍もの電力が必要になる計算です。消費電力1,000Wと仮定しても、100Wのパソコンを使ったCPUマイニングと比べて10倍の電気代がかかってきます。

ビットコインのマイニングによく使われるASICは省エネ化が進んでいるとは言え、1台で1,000Wから2,000Wにも達する機種も珍しくありません。2,000Wで1ヶ月間フル稼働させた場合の電気料金は、安いプランでも1台で3万円ほどかかる計算です。

以上のような電気料金は加入している電気プランによっても大きく変動しますので、マイニングで赤字にならないためには可能な限り安い料金プランを選ぶ必要があります。日本では1kWあたり20円程度でも比較的安い方ですが、お隣の中国は電気料金の平均が10円前後です。中国でマイニングを行う企業が増えている背景には、電気代が日本の半値以下で済むという事情があります。

GPUマイニングやASICマイニングでは冷却効率によっても消費電力が左右されるため、気温の低い地域ほど有利な条件です。日本でも年間の平均気温が低い北海道のような寒冷地では、東京などと比べて冷房代も含めた電気料金をかなり節約できるものと予想されます。

【2021年9月18日追記】ビットコイン暴落の原因は?

2021年に入ってから高騰を続けていたビットコイン価格は4月中旬に史上最高値を更新し、1BTCの価格が日本円にして700万円を突破しました。5月に入ると暴落に転じ、一時はピークの半値近い1BTC300万円台にまで価格を下げました。このときの暴落は、米テスラ社CEOのイーロン・マスク氏による発言が引き金になったと言われています。

電気自動車大手のテスラ社で代表を務めるイーロン・マスク氏は、Amazon創設者のジェフ・ベゾス氏と並ぶ世界有数の大富豪としても有名な人物です。マスク氏はビットコイン投資にも積極的な人物でしたが、5月に入ってテスラ社製電気自動車のビットコイン決済を停止すると発表しました。

ビットコインはマイニングに膨大な電力を消費するだけに、環境への悪影響を懸念されていたのも事実です。世界経済に絶大な影響力を持つマスク氏の発言を受けて暗号資産に対する不安が広がり、ビットコイン価格の暴落につながったものと推定されます。

2021年9月の時点でビットコイン価格は暴落前の水準には戻っていませんが、1BTC500万円を上回る水準までは回復してきている状況です。底は脱した感もあるとは言え、インフルエンサーの発言一つで価格が大きく乱高下するという教訓も残されました。

中国のマイニング禁止による影響は?

この間にはマイニングを取り巻く世界的な状況にも、1つの大きな変化が生じています。2021年6月に中国当局が声明を出し、暗号資産(仮想通貨)のマイニングを禁止する方針を発表しました。

前述の通り中国は電気代が安いことから、世界でも有数のマイニング大国です。最近は50%前後に下がっていたとは言え、ピーク時には世界のマイニング市場で4分の3を中国のマイナー企業が占める状態でした。

その中国でマイニングを禁止する方針を打ち出したのは環境への悪影響を懸念する理由に加え、ビットコインなどの暗号資産がデジタル人民元と競合するのを懸念しての措置と見られます。デジタル人民元は中国の中央銀行が発行を予定している暗号資産で、ビットコインなどと違って中国政府の主導で管理される点が特徴です。

マイニングを禁止する当局の声明を受けて、中国の国内ではマイニング工場の海外移転が相次いでいます。資源が豊富で電気代の安い隣国のカザフスタンや、アメリカ・カナダといった国々が主な移転先です。

中国のマイニング禁止によってライバルが減り、マイニングの報酬を獲得するのに必要なハッシュレートも半分程度まで下がってきています。日本でマイニングを行う個人のマイナーにとっては、強敵のライバルが少しでも減るのは朗報です。

とは言えビットコインのマイニングは依然として難易度が高く、ソロマイニングで対抗するのは厳しい状況に変わりありません。プールマイニングに参加して他のマイナーと報酬を分け合うか、または難易度の低い草コインのマイニングに活路を見いだすのが現在でも無難な選択肢となってきます。

マイニングで稼ぐ副業まとめ

一口に暗号資産(仮想通貨)のマイニングと言っても、以上で紹介したようなやり方の違いや対象とする銘柄によって収益性に差が出てきます。最も広く流通していて知名度が高いビットコインのマイニング市場は、資金力を持つ企業の草刈場と化してる状況です。

時価総額がビットコインより低い代わりにライバルも少なめのアルトコインなら、副業レベルの個人マイナーにもまだまだ付け入る隙があります。GPUマイニングの方が収益性は高くなりますが、機材の購入費用や電気代で赤字にならないように工夫が必要です。

マイニングは単に収入を増やすための副業と言うよりは、ゲーム的な部分や投機性も魅力の1つに数えられます。必ず収益が出るとは限りませんが、報酬として受け取った新規発行分の暗号資産が将来的に大きく値上がりすれば、巨額の利益を得ることも夢ではありません。一方では普及しないまま消えていく暗号資産も少なくありませんので、副業としてマイニングを始める際には銘柄の選び方もポイントとなってきます。

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