InstagramやTwitterなどのSNSでは、何万人ものフォロワー数を誇る人が尊敬を集めてきました。そういう人物はインフルエンサーとして絶大な影響力を持つだけに、企業から商品のPRを依頼されたりすることで収入を得ている人も少なくありません。
フォロワー数を増やすには地道な努力も必要ですが、今の時代はお金さえ出せば簡単に増やます。フォロワー購入はユーザーや提携する企業を欺くことになるため、InstagramやTwitterでも規約違反に当たる行為です。
今もなお横行していると見られるフォロワー購入の実態について、どういう仕組みで数字を増やしているのか調べてみました。フォロワー購入は違法に当たらないのか、発覚した場合にどういうリスクがあるのかという点についても記事の後半で解説します。
フォロワー購入の実態
InstagramやTwitterでプロフィールに表示されるフォロワー数は、必ずしも現実の数字を反映しているとは限りません。海外でインフルエンサーと呼ばれる人たちの中にも、お金を出して数字を水増ししている例は少なくないと言われています。実際に販売業者が多く存在するため、日本でもお金さえ出せば簡単にフォロワーを増やせてしまう状況です。
フォロワー数「○万人」などという表面的な数字を見ただけでは本物の人数なのか、それとも購入した偽の人数なのか区別がつきません。見る人が見ればフォロワー数が多いわりに「いいね」の数やコメント数が少なかったりして、不自然な点から購入した事実がバレてしまいます。購入した痕跡を解析するツールが開発されたことで完全に隠し通すのは困難になりましたが、それでも今なお少なからぬSNSユーザーがフォロワー購入の誘惑に屈しているのが現状なのです。
フォロワーを購入してしまう理由
SNSでフォロワーが少ないのは格好がつかないという単純な理由で購入している人も少なくないと見られますが、フォロワー販売ビジネスが成り立つほど利用者が多い理由は別にあります。特にInstagramではフォロワー数の多いインフルエンサーに企業から声がかかり、投稿で商品を紹介してもらう見返りに報酬が支払われているという実態があるのです。
当然のことながら「#PR」などとハッシュタグをつけて投稿しないとステマに該当してしまいますが、こうした企業との提携で月に100万円以上稼いでいるインフルエンサーも存在します。Instagramではフォロワー1人あたり1円が報酬の相場とも言われていますので、100万人のフォロワーを持つ人には1案件につき100万円の報酬が支払われても不思議ではありません。フォロワー数が数万人程度の人にも企業から声がかかる場合はありますので、悪くない副業になり得ます。
そうやってお金が絡んでくると、不正な手段でフォロワーを獲得しようとする人が出てくるのも当然の流れです。そういう需要を見込んだビジネスも成り立つようになり、SNS上でフォロワー水増しが横行しているのが現状なのです。
フォロワー購入の仕組み
本来であれば自分が支持する人物や面白い投稿をしている人に対して行うフォローという行為を、お金で買えるようにするには巧妙なカラクリが必要です。SNSでフォロワーや「いいね！」が売買されている実態については、これまでNHKクローズアップ現代＋やBS世界のドキュメンタリーなどの番組でも取り上げられてきました。
販売用のフォロワーを集めるには複数の方法がありますが、アカウントを開設した本人が気づかないうちに知らない相手を勝手にフォローしてしまっている例も少なくありません。開設しておきながらほとんど投稿せずに放置されていた休眠アカウントは、そういう目的に悪用されやすいという傾向も見られます。休眠アカウントを乗っ取って本人になりすまし、詐欺サイトに誘導する目的に利用するのが典型的な悪用のパターンです。
知らないうちにフォローしてしまうカラクリ
そうした休眠アカウントだけでなく、アクティブなアカウントでも知らないうちにフォロワー販売に利用されている場合があります。Instagramはスマホアプリ版でないと投稿できませんが、海外のフリーソフトを使えばPC版でも投稿は可能です。
ソフトを無償で利用できる代わりに意図しないフォローが行われるようプログラムされており、その点はソフトの利用規約にも記載されています。ほとんどの人は利用規約をよく読まずにインストールしてしまうため、知らないうちに知らない相手をフォローしてしまう結果になるのです。
一方では指定された相手のフォローボタンや「いいね！」ボタンを意図的にクリックし、仲介業者から報酬を受け取っている人も存在します。そういう仕事が「クリック代行」ビジネスとして存在し、在宅でも手軽に稼げるバイトとして主婦や学生の間に広まりつつあるのが現状です。
フォロワー1人あたりの価格相場
以上のような方法以外にもbotと呼ばれる自動プログラムを使って大量のアカウントを開設し、機械的にフォローを行う仕組みもあります。こうしたさまざまな手段で集められたフォロワーが仲介業者を通じて販売され、お金を出してでもフォロワー数を増やしたいという人の要望に応えているのです。
集められたフォロワーはインドや中東・南米など、海外のアカウントも少なくありません。日本語で投稿されているアカウントなのに海外のフォロワーが不自然に多い場合は、購入されている可能性が大です。日本人のフォロワーは1人あたりの単価が高くつきますが、自然に装いやすいことから人気があります。
この他にもヤフオク！にはInstagramやTwitterのフォロワーが多数出品されていて、買おうと思えばいくらでも購入できる状況です。ヤフオク！でも外国人のフォロワーは1人あたり数円が平均相場ですが、日本人のフォロワーになると1人数十円ほどに上がります。
フォロワーを購入するリスク
販売業者やネットオークションで購入すればSNSのフォロワーはいくらでも増やせますが、そういう裏技的な手法にはリスクが付きものです。現時点ではSNSに関連した法整備が追いついていない関係もあって、フォロワー購入そのもののは違法というわけではありません。
逮捕されたり刑罰の対象となったりすることはありませんが、InstagramでもTwitterでもフォロワーや「いいね！」等の購入は規約違反に当たります。フォロワーを購入した事実が運営側に発覚した場合はアカウントが凍結され、これまで築き上げてきた努力が水の泡になるという点には注意が必要です。SNSのアカウントはいくらでも作り直せるという人もいますが、凍結と復活を何回も繰り返しているうちには永久に凍結されてしまいます。
規約違反以外のリスク
たとえ運営側にフォロワー購入の事実がバレなくても、本物のフォロワーに気づかれるリスクはあります。フォロワー数のわりにリツイート数やコメント数・「いいね！」の数が少なすぎる場合は、フォロワー数を水増ししているのではないかと疑われても仕方がありません。
フォロワー数だけ水増しすると「怪しい」と思われてしまうため、「いいね！」やコメントも同時に購入している人もいます。そうやって数字の上だけ帳尻合わせをしても、どこかに不自然な点が残りがちです。勘のいい人はそういう不自然さにも気がつきますので、フォローを解除されて本物のファンを失う可能性があります。勘がいい人でなくてもフォロワー購入を見破るツールを使えば、購入した事実が簡単に知られてしまいます。
詐欺のリスクも
細心の注意を払って巧妙にフォロワー数を水増しした結果、数字を信じた企業から商品PRの話を持ち込まれた場合はどうでしょうか？
結果的には企業を騙して報酬を得ることになるわけですから、万が一発覚した場合には報酬の返還を求められる可能性があります。現時点ではまだ立件されたケースはありませんが、悪質と見なされた場合は詐欺罪にも問われかねません。
フォロワーを購入するもう1つのリスクは、自分自身が詐欺に遭う可能性があるという危険性です。フォロワーを販売しているサイトの中には代金を支払っても実際にフォロワーや「いいね！」が提供されることがなく、お金を騙し取られた上に個人情報も盗まれるという被害も過去にはありました。
フォロワー購入がNGの理由まとめ
有名インフルエンサーの中にも購入疑惑を囁かれる人は少なくないという具合で、フォロワー数水増しは根が深い問題です。それだけSNSのフォロワーの人数が収益に結びつく重要な指標となっている証拠ですが、偽の数字がまかり通るようになってしまっては何を信じたらいいのかわからなくなってしまいます。
購入に頼らず地道な努力でフォロワーを増やしていくのが理想とは言え、すでに名前が売れている有名人でもない一般の人が万単位のフォロワーを獲得するのは大変です。だからこそ本物のフォロワーを多く持つ人の投稿にはそれだけの価値があり、インフルエンサーとして絶大な影響力を発揮しているのだと言えます。
