マリンスポーツを愛する人にとって、ダイビングインストラクターは憧れの職業です。機会があったら自分もやってみたいと考えている人も少なくないのではないでしょうか。
一方でダイビングインストラクターは、他の仕事と比べて年収が低いとも言われています。そのわりに体力を要する仕事できつい部分もあるため、海がよほど好きな人でないと長続きしません。給料の安定したサラリーマンから転職するにはリスクもありますが、土日や夏場の繁忙期に限定した働き方も考えられます。
そこで今回はダイビングインストラクターの年収が低い理由について、副業にする方法と合わせて情報をまとめてみました。この記事を読めば本業の仕事を続けながら、趣味のダイビングで収入を増やす道が開けてきます。
ダイビングインストラクターは年収が低い?
求人サイトでダイビングインストラクターの募集を検索してみると、月給15万円前後という求人が目立ちます。学歴不問の求人が多いせいか、初任給は12万円前後という例が多い状況です。ベテランのインストラクターで月給はようやく20万円程度に上がり、大卒初任給並みの給与水準となってきます。
インストラクターの求人を募集しているのは、ダイビングショップを運営している店舗や会社が大半です。ダイビングショップは沖縄県など地方のリゾート地に多いだけに、給料は都市部と比べてどうしても低めの水準です。
ダイビングショップを運営している会社に大企業は少なく、中小企業や個人経営の店舗が多くを占めています。大手企業と比べて経営基盤が弱いところが少なくないために、人件費にも余裕がないわけです。
離島のダイビングショップだと月給は10万円から15万円ほどにとどまりますが、寮が完備されていて食費がかからないという店舗も少なくありません。東京など都市部のダイビングショップで募集している求人になると、月給15万円から20万円にインセンティブがプラスされる例も出てきます。全国平均では月給17万円程度で、年収は250万円前後と推定されます。
ダイビングインストラクターでも給与水準の高い都市部の企業に雇われた場合は、年収が300万円を上回る例も出てくるはずです。それにしても会社員全体の平均年収が443万円という中では、年収の水準は低めと言わざるを得ません。高収入を稼げる仕事ではないのに人気があるのは、お金以上の魅力があるという証拠です。
ダイビングインストラクターは海外の方が稼げる?
冒頭から少々ネガティブな表現になってしまいましたが、ダイビングインストラクターの年収が低いのは日本で働いた場合の話です。海外では日本以上にダイビングが盛んな国があるだけに、インストラクターが高収入を稼げる求人が見つかる可能性もあります。
そのせいか「ダイビングインストラクターは海外の方が稼げる」とも言われていますが、海外であればどの国でも高収入を稼げるとは限りません。タイやインドネシア・マレーシアといったアジアのリゾート地で働く場合、給料は現地の通貨で受け取るのが一般的です。為替レートが日本円より低い国だと、日本で働くより給料が安くなる場合もあり得ます。
欧米各国やオーストラリアのように、為替レートが高い国で働いた方が稼ぐのに有利です。ハワイやグアム・サイパンのようなアメリカ合衆国の領土はもちろん、パラオでも米ドルが法定通貨として流通しています。
特に海外のダイブクルーズ船で働くインストラクターは、給料面で恵まれた待遇にあります。初任給でも40万円以上稼げる求人がある上に、住む場所も用意されていて食事も賄えるからです。
海外のリゾート地にあるダイビングショップで働いた場合の給料は、月に15万円から25万円という例が多くなっています。ワーキングホリデーを利用して働いた場合は、時給1、000円前後が給料の平均的な相場です。海外の方が稼げるというのは、為替レートの高い国でダイブクルーズ船のインストラクターとして雇われたような場合に限られます。
ダイビングインストラクターの仕事内容
求人を募集している店舗や企業によっても仕事内容は違ってきますが、一般にダイビングインストラクターは以下のような仕事をこなしています。
- ダイビングツアーでガイド役を務める仕事
- ライセンス講習で指導を行う仕事
- ダイビングショップの店舗業務
海外のダイビングクルーズ船で働く場合は、ガイド役の仕事が中心となります。同じようなダイビングツアーは日本国内でも開催されていますので、ガイドの仕事がしたい人にとっては稼ぐチャンスです。
ガイド役を務めるダイビングインストラクターの仕事は、ファンダイブと体験ダイビングの2種類に大きく分けられます。ファンダイブはダイビングライセンスを持っているお客さんを対象に、ダイビングスポットに案内してガイド役を務める仕事です。体験ダイビングはライセンスを持っていない初心者が対象となります。
ダイビングライセンスの取得を希望する人を対象として、ライセンス講習を開催する仕事もインストラクターの貴重な収入源の1つです。リゾート地の海だけでなく、都内など市街地にあるプールで指導を行う場合もあります。
ダイビングインストラクターの求人を募集しているのは、大都市やリゾート地に多いダイビングショップが大半です。店舗のスタッフとして採用された場合は、ガイド役やライセンス講習の仕事だけやっていればいいというわけではありません。店舗の運営に関わるさまざまな仕事もする必要があります。
ダイビングの予約手続きやダイビングスポットへの送迎に加え、ダイビング器材の点検・整備や接客販売も店舗スタッフの仕事です。店舗ホームページやSNSの運営など、デスクワークが仕事内容に加わる場合もあります。
ダイビングインストラクターの仕事はきつい?
実際にダイビングインストラクターとして働いてみた人の中には、「仕事がきつい」という声も少なくありません。潜水を行う仕事で体力を使うという点に関しては、ダイビングが好きな人なら想定内のはずです。
ダイビングツアーの仕事は夏場の繁忙期が非常に忙しいのと比べ、冬場は仕事が極端に減ってしまいます。繁忙期はほとんど休日も取れずに働き詰めで、勤務時間も長時間になりがちです。どんなに海が好きな人でも毎日海に潜ってばかりの仕事では、体力的にきついと感じるのも無理はありません。
ダイビングインストラクターの仕事は海に潜るだけでなく、ダイビング器材を用意したり重いタンクを運搬したりと、さまざまな雑務にも時間を取られます。人の命を預かる仕事で重い責任を伴うため、「精神的にきつい」という声も少なくありません。
そのわりに給料は決して高いと言えない上に、自前でダイビング器材一式を揃えるのに50万円前後の費用がかかります。インストラクターの仕事をするのに必要な資格の取得費用に加え、所属する指導団体に支払う会費や保険料にも年5万円ほどの費用が必要です。ダイビングそのものが「お金のかかる趣味」ですので、インストラクターの仕事は「手っ取り早くお金を稼ぎたい」という人には不向きと言えます。
ダイビングインストラクターの仕事を副業にするには?
繁忙期のダイビングインストラクターは休日もろくに取れず、毎日のように長時間働かされる点が仕事のきつい一因となっています。そういう意味での仕事のきつさは、常勤のスタッフとしてダイビングショップなどに雇われた場合の話です。
ダイビングインストラクターの仕事をするには、必ずしも常勤のスタッフとして働かなければならないというわけではありません。普段は会社員の仕事をしていて、副業でインストラクターの仕事をするような働き方も可能です。
ダイビングショップに就職せず、フリーランスとして個人で活動しているダイビングインストラクターも少なくありません。そんなフリーのインストラクターが副業で収入を得るには、以下のような2つの稼ぎ方が考えられます。
- ダイビングショップの非常勤のスタッフとして働く
- 個人でライセンス講習を開催する
ダイビングショップの非常勤のスタッフとして働く
ダイビングインストラクターを募集している求人の多くは正社員で、常勤スタッフとしての勤務が想定されています。夏場の繁忙期になると常勤スタッフだけでは対応しきれなくなり、非常勤のダイビングインストラクターを募集する店舗も増えてきます。
フリーランスの立場であれば、夏場の繁忙期や土日だけ仕事を請け負うような働き方も可能です。毎日海に潜ってばかりの生活ではきついですが、土日限定の副業なら絶好の気分転換になります。
非常勤のインストラクターは、日給いくらという形で給料を受け取るのが一般的です。1日働いて8,000円から15,000円ほど稼げる求人が多く、中には日給2万円という求人も見られます。1年を通して安定して稼げるというわけではありませんが、副業としては結構稼げる仕事ではないでしょうか?
ライセンス講習や体験ダイビングを開催
ダイビングインストラクターの仕事を副業にするもう1つの方法は、資格を生かしたライセンス講習の開催です。講習で指導を行う仕事はダイビングショップでも募集されていますが、フリーランスでもやってできないことはありません。ライセンス講習でなくても、プールを利用したダイビング教室を開催することも可能です。
教室集客サイトのストアカには、そうしたダイビング講座の生徒を募集しているフリーのダイビングインストラクターがいます。出品数は少なめですが、タイムチケットもライセンス講習の生徒募集に使えるサイトの1つです。オンラインでダイビングに関するアドバイスをする副業であれば、利用ユーザー数が多いココナラを使うという手もあります。
まとめ
ダイビングインストラクターの年収が高くない理由と、副業のインストラクターとして稼ぐ方法について解説してきました。
インストラクターを募集しているダイビングショップには離島など地方の求人が多いせいか、給与水準は全般に低めの状況です。東京や大阪にもダイビングショップはありますので、給料面を重視するなら都市型の店舗で募集している求人を探してみることをおすすめします。
ダイビングインストラクターは夏場の繁忙期に休みが取りにくい点で、「きつい仕事」とも言われてきました。フリーランスとして土日だけ非常勤で働けば、1日あたり10,000円前後のまとまった金額を稼げる副業になり得ます。趣味のダイビングを仕事にしたいという人は、副業からのスタートも検討してみるといいでしょう。