民泊ではもう稼げない?コロナで激減したインバウンド需要の代替案

副業

マンションや一戸建て住宅などを宿泊施設として貸し出す民泊が世界的な盛り上がりを見せ、宿泊のスタイルが大きく変わろうとしています。近年は日本でも特区民泊や民泊新法などの法整備が進み、副業の新たな手段として定着しつつありました。

そんな矢先に新型コロナウイルスの感染が拡大し、訪日観光客が激減したことで国内の民泊施設も大きな打撃を受けています。回復には時間がかかると予想される中で、インバウンド需要に頼っていた民泊のあり方も大幅な見直しを迫られている状況です。

当面は国内需要の掘り起こしが存続の鍵を握ると見られる民泊業界について、インバウンドの代替案として考えられる用途をまとめてみました。話題のGoToトラベルキャンペーンで民泊が劣勢となっている現状についても、記事の後半で苦戦の理由を解説します。

特区民泊と民泊新法

日本では以前から民家を宿泊用に提供する民宿が存在しましたが、営業するには旅館業法で定められた条件を備えた上で行政の許可を得なければなりません。海外では個人対個人の契約で一般の民家を宿泊施設として貸し出す文化があり、Airbnbの登場によって民泊のスタイルが急速に広まりました。

世界のそうした盛り上がりを受けて日本でも民泊施設が増えてきたのを受けて、近年は法整備が進められてきています。2013年には旅館業法の特例として特区民泊が制定され、対象エリア内で旅館業法の規制を受けずに民泊事業を行うことが可能になりました。2020年9月の時点で特区民泊に指定されている自治体は以下の通りです。

  • 東京都大田区
  • 福岡県北九州市
  • 新潟県新潟市
  • 千葉県千葉市
  • 大阪府
  • 大阪府大阪市
  • 大阪府八尾市
  • 大阪府寝屋川市

特区民泊以外の地域にも民泊施設は存在し、法的にはグレーゾーンの状態でした。2018年には民泊新法とも呼ばれる住宅宿泊事業法が施行され、現在では全国で民泊事業が可能になっています。

特区民泊には最低宿泊日数が2泊3日以上というルールもありますが、年間の営業日数に制限はありません。それ以外の地域では民泊新法が適用されることになるため、最低宿泊日数の制限がない代わりに年間180日までしか営業できない決まりです。

民泊を副業の手段とする場合は、宿泊に提供する部屋の稼働日数が多ければ多いほど収入が増える計算となります。それも特区民泊以外の地域では180日までに限定され、1年のおよそ半分は貸し出せない点には注意が必要です。

コロナ禍で民泊バブルが崩壊

以上のような制約があるとは言え、法整備によって合法的に民泊事業ができるようになったのは大きな前進です。空き家を所有している人や使っていない部屋があるという人にとっては、遊休資産を活用して収入が得られる道が開けます。ある程度の資金を持つ人の間では民泊用にマンションを購入し、賃貸に提供するより高収益が見込める民泊投資も盛んに行われるようになりました。

2020年に予定されていた東京オリンピックも民泊業界にとっては世紀の一大イベントでしたが、新型コロナウイルスの感染が広がったことで人の移動が大きく制限されてしまったのは承知の通りです。コロナ禍で宿泊業界は大きな打撃を受け、全国の観光地でもホテルや旅館で予約キャンセルが相次ぎました。

感染の終息が見通せない中で訪日外国人観光客が激減し、インバウンド需要に大きく依存していた民泊施設も存亡の機に直面しています。手持ちの空き部屋や空き家を有効活用して民泊を始めていた人はまだしも、多額の資金を投じて民泊用の物件を購入した人にとっては死活問題です。

不動産を利用するビジネスはバブルの様相を呈する例がよくあるだけに、必要以上に価格が釣り上がる現象も珍しくありません。1980年代から90年代初頭にかけてのバブル景気においても、地価の極端な高騰に伴うリゾート開発や高級マンションの建設ラッシュが相次ぎました。

再開発を背景に地上げなどの弊害も生んできたバブルが1991年頃に崩壊した後には、価格が暴落して放置された不動産と巨額の借金が残された実態があります。ここ数年にわたって異常なほどの盛り上がりを見せてきた民泊も似たような経緯をたどっているだけに、コロナでバブルが崩壊したような具合になっている点が心配されるところです。

インバウンドに代わる需要

主に訪日外国人観光客の利用を当て込んでマンションなどの不動産を購入し、民泊に投資していた人の中には赤字に転落してしまった人が続出しています。民泊の運営には清掃や管理にもかなりの費用がかかるだけに、利用がゼロになってしまうと赤字を垂れ流す状態になりがちです。

資金が尽きてしまって廃業に追い込まれた人が少なくない中で、インバウンドに代わる需要を掘り起こすことで生き残りを画策する人も出てきています。コロナの影響で海外から日本を訪れる外国人が激減してしまったのであれば、国内向けの需要に着目するというのも1つの打開策です。

国内の利用客が近場の民泊施設を予約しようとする場合には、訪日外国人のように観光だけが目的とは限りません。これまでは電車で長時間をかけて通勤していた人が車内で密な環境にさらされるのを嫌い、会社の近くにある民泊施設を借りてそこから通勤しようとする需要が考えられます。京都など人気の観光地にある民泊施設なら、休暇を過ごしながら旅先でテレビ会議などに出席して仕事もこなすワーケーションの場としても最適です。

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インバウンド需要が回復するまで貸し会議室や家具付きマンスリーマンション、シェアハウスとして運用し、立地条件の良い物件を確保しておくという手も考えられます。現在の利用低迷は一時的な現象と見て、感染が一段落した後の需要回復に向けて物件のリノベーションに踏み切る人も出てきました。今の厳しい時期をどう乗り切るかによって、コロナ禍で淘汰された後の民泊ビジネスが大きく左右されてくるのです。

GoToトラベルでは劣勢

コロナの影響で深刻なダメージを受けているのは民泊施設だけでなく、旅館業法の規制を受けるホテルや旅館・民宿などの宿泊施設も変わりありません。そうした業界の苦境を救う目的で、2020年7月には政府のGoToトラベルキャンペーンがスタートしました。遅れて10月から開始される地域共通クーポンと合わせれば、旅行代金が最大で半額になるお得なキャンペーンです。

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コロナ禍で青色吐息の状態だった宿泊業界にとっては歓迎すべき事業ですが、民泊施設の多くはGoToトラベルで苦戦を強いられています。GoToトラベルは1人1泊あたり最大2万円までの割引が受けられる仕組みとあって、1泊数万円以上の高級ホテルや旅館ほどお得感が高くなってくるのです。

もともと民泊はそうしたホテルや旅館よりも安く泊まれるのが魅力だった面もあるだけに、利用回数や日数に制限がないGoToトラベルが実施されれば料金的にどうしても不利になってしまいます。同じ料金であれば元の宿泊料金が高額だった方を選びたいと思うのが普通の感覚ですので、低料金だけを売りにしていた民泊施設の劣勢は避けられません。

一方では古民家を宿として提供したり高級マンションの一室を民泊に貸し出したりして、料金以外の部分に魅力が感じられる施設の場合は対抗できる可能性があります。ホテルや旅館より安く泊まれるだけが民泊のメリットではありませんので、料金以上の付加価値をどうアピールするかがGoToトラベル攻略の鍵です。

民泊の現状まとめ

ここ数年は政府が主導して観光立国化が進められ、その中で民泊も推進されてきた面があります。コロナの影響で大きく落ち込んだ観光需要の振興を目的としてGoToトラベルキャンペーンが打ち出されましたが、その内容はどちらかと言えば高級ホテルや高級旅館に有利な制度でした。民泊施設に対しては現時点で有効な支援策が出ていない現状があるだけに、法整備が進んだことで積極的な投資を行ってきた人にとっては「はしごを外された」感もあります。

とは言えこれで民泊が一気に廃れてしまうとも考えにくいことから、今後は生き残りをかけた競争の激化が必至です。コロナで激減したインバウンド需要をどうカバーしていくか、創意工夫を凝らしながら事業を継続した人が最後に勝ち残るものと見られます。

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