テレワークで地方移住した人がもらえる最大100万円の補助金とは?

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コロナ禍をきっかけに東京一極集中の弊害が改めて取り沙汰されるようになり、地方移住に関心を持つ人が増えています。地方への移住がなかなか進まなかった理由の1つに「仕事がない」という事情もありましたが、コロナ禍で普及が進むテレワークをうまく利用すれば今の仕事を続けながらの地方移住も可能です。

折しもテレワークで地方に移住した人を対象として、最大100万円が交付される政府の補助金が2021年にスタートする見通しとなりました。地方でIT関連事業を起業した場合には、補助金が最大300万円まで増額される仕組みです。地方創生に向けても絶好の機会となりそうなテレワーク移住補助金について、交付の条件や不正受給に関する注意点をまとめてみました。

テレワーク移住で最大100万円がもらえる補助金とは?

新型コロナウイルスの感染が広がったことで世の中の様相が一変し、経済活動にも大きな支障が出てきています。これまで人が集まることで成り立っていたさまざまな事業も、大幅な見直しを迫られているのが現状です。

仕事の進め方にしても例外ではなく、コロナ禍をきっかけとしてテレワークによる在宅勤務が急速に普及しました。テレワークでも十分に仕事が成り立つようになってくると、毎日満員電車に詰め込まれながら社員の密集するオフィスに通勤する働き方には戻れません。そうなれば家賃や物価の高い東京に住み続ける意味が薄れてくるだけに、テレワークを前提として地方への移住を検討する人が増えています。

そんな志向を持つ人にとって朗報となりそうなのが、テレワークで地方移住した人に最大100万円が交付されるという補助金です。従来から存在した支援制度の強化バージョンですが、東京の会社で仕事を続けながら移住する人も対象に含まれるという点が注目されます。

東京と比べて地方は家賃相場や物価が安いとは言え、実際に移住するとなれば転居先のテレワーク対応や引越しなどの費用発生が避けられません。ほとんどの会社では完全なテレワーク化が難しいのが現状で、在宅勤務ではできない仕事をするため定期的に出社する必要も出てきます。

そうした場合の交通費も含めた地方移住の金銭的負担を軽減させようというのが、テレワーク移住補助金を交付する目的の1つです。会社との連絡や生活面での不便さを懸念して地方移住に躊躇していた人も、最大100万円もの補助金が出るとなれば前向きに検討できるようになります。地方移住で最大のネックとなるのが仕事探しへの不安だけに、今の仕事を続けながら移住しようとする人も補助金の対象になるという点は見逃せません。

コロナ以前から実施されている移住推進事業

地方移住を推進させるために政府が実施している事業としては、2019年に始まるふるさと求人・移住支援金・起業支援金があります。この事業は地方公共団体が主体となって実施されるもので、交付金には移住支援金と起業支援金の2種類があります。

このうち移住支援金は東京23区に在住または通勤している人が対象となり、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県という東京圏以外の道府県に移住した場合に交付される補助金です。東京圏内であっても離島や山村・半島部などの条件不利地域に移住する場合は、補助金の対象に含まれます。内閣府地方創生推進事務局で定義している条件不利地域は以下の通りです。

「過疎地域自立促進特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」「半島振興法」
「小笠原諸島振興開発特別措置法」の対象地域を有する市町村(政令指定都市を除く。)
【一都三県の条件不利地域の市町村】
・東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
・埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、小鹿野町、東秩父村、神川町
・千葉県:館山市、勝浦市、鴨川市、富津市、いすみ市、南房総市、東庄町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
・神奈川県:山北町、真鶴町、清川村
(出典:内閣官房・内閣府総合サイト

東京23区から東京圏外へ移住する人のすべてが対象になるというわけではなく、補助金を受けるには一定の条件があります。移住までの10年間で通算5年以上にわたって条件不利地域を除く東京圏に在住し、なおかつ東京23区に通勤していた人が対象です。最低でも直近の1年は東京23区に通勤しているという条件も加わるとともに、移住の期間についても以下の条件があります。

移住先都道府県が移住支援事業の詳細を公表した後の転入であること。
支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること。
申請後5年以上継続して移住先市町村に居住する意思があること。等
(出典:内閣官房・内閣府総合サイト

以上の条件を満たした上でマッチングサイトに移住支援金の対象として掲載された求人に応募し、新規に就業した人が最大100万円の支援金交付を受けられる仕組みです。支援金は100万円を上限に都道府県が設定する金額となりますが、単身で移住する場合は60万円以内に制限されます。

対象となる求人も都道府県が選定する法人に限られ、期間を設けずに週20時間以上の雇用契約を結ぶ必要があるという点には注意が必要です。さらに以下のような求人は支援金の対象に含まれません。

就業者にとって3親等以内の親族が代表者、取締役などの経営を務めている法人への就業
官公庁等、資本金10億円以上の営利を目的とする企業(知事が特別に認める場合を除く)、みなし大企業、本店所在地が東京圏(条件不利地域を除く。)の法人(勤務地限定型社員を除く)、 雇用保険の適用外事業主、風俗営業者、反社会勢力又は反社会勢力と関係を有する法人 等
(出典:内閣官房・内閣府総合サイト

以上はコロナ以前に策定された移住支援金の対象要件で、2021年からは東京の会社で仕事を続けながらテレワーク勤務で地方に移住する人も対象となる予定です。

地方でIT関連事業を起業すれば補助金が最大300万円に

同じ事業には最大300万円が交付される起業支援金もありますが、これまでは子育て支援や地域産の食材を生かした飲食店・まちづくり推進などの社会的事業が対象でした。コロナ禍を受けた今回の改正で新たにIT関連事業も対象に含まれる見通しで、地方移住を想定した新規事業立ち上げの対象範囲が大きく拡大されることになります。2019年からすでに実施されていた起業支援金の対象者は以下の通りです。

  1. 東京圏以外の道府県又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと。
  2. 公募開始日以降、補助事業期間完了日までに、個人開業届又は法人の設立を行うこと。
  3. 起業地の都道府県内に居住していること、又は居住する予定であること。

(出典:内閣官房・内閣府総合サイト

対象に加わることになったIT関連事業を地方で起業する場合も、対象者の条件はこれに準ずるものと見られます。IT関連事業はテレワークとの相性がいいだけに、IT業界で独立開業を目指すなら支援金を利用して地方に移住するのも有力な選択肢です。

不正受給には要注意

国が実施する事業者への支援制度としては、コロナの影響で収入が前年比の半分以下に減った中小企業や個人事業主向けの持続化給付金があります。持続化給付金は法人に対して最大で200万円、個人に対しては最大100万円が支給されるという点でも移住支援金や起業支援金と似た制度です。

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当ブログでも2020年5月のスタート前から持続化給付金を取り上げてきましたが、受給資格のない人がうその申請をして不正に受給する事例が相次ぐという問題が発生しました。保険商品の販売自粛で収入が減った日本郵政グループの社員が、コロナの影響と偽って持続化給付金を受け取っていた件は典型的な例です。

中には受給資格があるはずのない学生までが不正受給に加担していた例もありますが、背後にはSNSを通じて不正受給の手口を組織的に広めていたグループが存在すると見られます。申請代行業者と称して高額の手数料を徴収する手口も見られ、不正受給に加担した人が逮捕された事例もありました。

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移住支援金や起業支援金では現時点でこうした事例は報告されていませんが、似たような制度だけに不正受給が懸念されます。条件に当てはまらない人が虚偽の申請書を提出して支援金の交付を受けた場合には、持続化給付金のケースと同様にペナルティが与えられる可能性があります。補助金の支給が取り消されて返還を要求されるだけでなく、罰則が設けられている場合には刑事告発されるリスクもあるのです。

移住支援金や起業支援金を申請する場合は条件をよく確認し、必要事項の記載に誤りがないかどうかしっかりとチェックする必要があります。実際には地方へ移住するつもりもないのに支援金を申請し、お金だけもらって東京で暮らし続けるという不正受給は論外です。

テレワーク移住の補助金まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大という未曾有の事態を受けて広まったテレワークは、東京など大都会のオフィスに人が集まるという働き方に疑問を投げかけるきっかけとなりました。システムが十分に整備されていなかった中で在宅勤務に不慣れな面もあり、完全なテレワーク化の実現にはまだまだ課題山積の状況です。現状では定期的に出社する必要があったりして、遠隔地への移住には依然として高いハードルがあります。

北関東や山梨県・長野県など、首都圏と比較的短時間で往復できる地方ならテレワークを活用した移住先として有望です。最大100万円の新たな補助金が2021年にスタートすれば、地方へ移住しようとする人が増えると予測されます。最大300万円の補助機を利用した地方での起業も含め、アフターコロナ時代に働き方がどう変わっていくのか注目されるところです。

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