シール貼りの仕事は特別なスキルが不要で作業も簡単なだけに、学生やフリーターに人気のアルバイトです。その一方ではあまりにも簡単にお金が稼げるせいか、「危ない仕事なのではないか」という不安の声も聞かれます。特に在宅のシール貼りは悪徳業者が紛れ込んでいる可能性がある上に、「実際にやってみたけれどたいして稼げなかった」という声も少なくありません。
そんなリスクも考えられるシール貼りのバイトについて、在宅型では稼げないと言われる理由を調べてみました。この記事を読めばシール貼りバイトの現状が理解できるようになり、求人を検討する際にも役に立ちます。
シール貼りバイトの仕事内容
食料品や化粧品・雑貨・衣料など、店で売られている商品にはさまざまな形でラベルやロゴなどのシールが使われています。成分を表示する義務がある食品や化粧品はパッケージに直接印刷するよりも、シールに印刷して貼り付けた方がコストダウンにつながりやすいものです。商品のバーコードやタグ・値札・封筒の宛名などに貼られているシールも含め、機械を使って貼るのではなく人の手で貼るのが現在でも主流となっています。
大量に印刷されたシールをそれらの商品や封筒などに貼り付けていくのが、シール貼りバイトの主な仕事です。仕事は基本的に単純作業の繰り返しで、限られた時間内に数をこなす必要があるため、とにかくスピードが求められます。1分間に15枚のペースでシールを貼り付けるとすれば、4秒間に1枚のスピードで作業をこなさなければなりません。それも指定された位置からはみ出さないように貼る正確さも求められるため、簡単なようでいて手先の器用さが求められる仕事です。
派遣や単発バイトのシール貼り
一般にシール貼りバイトとして募集されている求人には工場や倉庫に人を集めて作業を行うケースと、在宅で作業を行うケースの2通りがあります。前者の求人は派遣会社で募集されるか、または単発バイトとして募集されるのが普通です。
いずれもシール貼り作業だけを行う例は少なく、検品や仕分け・箱詰め・梱包などの作業と合わせて任せられるケースが多くなっています。求人によっては倉庫内のピッキング作業や荷物運びが加わる場合もありますので、シール貼りは数ある作業の中の1つという位置づけです。
工場や倉庫に勤務するシール貼りバイトの仕事はチームで作業を行うのが基本で、ある程度のコミュニケーション能力は必要になってきます。女性が多い職場とあって、同僚との人間関係に悩む人も少なくありません。接客や力仕事がない点では楽な仕事ですが、一人で黙々と働くのが好きな人は在宅ワークとして行うシール貼りの方が向いています。
在宅のシール貼り
シール貼りバイトを募集する求人の中で数は決して多くありませんが、在宅で作業が完結する仕事の募集も見られます。いわゆる内職の1つとしてもシール貼りは以前から知られていただけに、年配の人の中にも経験者は少なくないはずです。
工場や倉庫で働く派遣・単発バイトは必ずしもシール貼り作業だけをするとは限らず、検品や仕分けなど他の仕事をさせられる可能性もあります。在宅型はシール貼りだけで済むケースが多く、報酬もシール1枚あたりいくらという形で支払われるのが一般的です。
工場や倉庫へ出勤する場合は決められた勤務時間に拘束されますが、在宅なら自分で都合のいい時間帯に仕事ができます。決められた納期の範囲内であればスキマ時間でも稼げるようになるため、子育て中で外へ働きに出られない主婦の内職や、空いた時間で収入を増やしたい会社員の副業にもなり得る仕事です。
シール貼りバイトは危ない仕事?
実はシール貼りの仕事について検索している人の中で、「シール貼りバイト 危ない」というキーワードを入力している人が1,000人ほど存在します。「シール貼りバイト 怖い」というキーワードで検索してくる人も少なくないほどで、この仕事に対する警戒感の高さが窺える数字です。
特に派遣や単発バイトで募集されているシール貼りバイトの求人は、誰でもできる簡単な仕事でありながら時給1,000円前後の給料がもらえます。他のアルバイトと比べても極端に時給が落ちるわけではないことから、何か裏があるのではないかと不安になってしまうのも無理はありません。
大手の派遣会社が募集する求人であれば上場企業が募集しているため、違法な働かせ方をしたり法に触れるような仕事をさせたりすることはないので安心です。派遣バイトとして働く場合は、事前に派遣会社と雇用契約を結ぶことになります。
工場や倉庫を運営している会社に雇用される短期バイトも含め、雇用契約を結ぶ働き方なら地域の最低賃金に基づいた時給単位で給料が支払われます。仕事内容が簡単か難しいかという点に関わらず、最低限守るべき時給が都道府県ごとに決められているのです。
地域の最低賃金を下回るような時給で求人が募集されているとしたら、ブラック企業の可能性が高いので応募するのは避けた方がいいでしょう。雇用契約を結ぶ形の求人だからと言って、シール貼りバイトを募集する企業のすべてが安心して働ける会社とは限りません。求人を選ぶ際に給料以外の条件面で問題はないか、悪い評判がないかどうかといった点を見極める目も必要になってきます。
在宅のシール貼りは単価が低い理由
出勤型のシール貼りバイトの場合は以上のような基準で求人の良し悪しを判断できますが、在宅型の場合は同じ基準が必ずしも当てはまりません。在宅型は決められた納期までに仕上げさえすれば、いつ働いても構わないという自由度の高さが一番の魅力です。それだけに出勤型と違って勤怠管理が難しく、時給単位で給料を支払うというところはほとんどありません。
そういう事情から在宅型のシール貼りバイトの場合は、1枚あたりいくらという形の出来高制で報酬を支払うのが一般的です。報酬の単価はシール1枚につき1円以上という例もありますが、0.1円など1円未満の求人も少なくありません。
熟練した人でもシール貼り作業は1分に15枚程度が限界で、1時間に800枚から900枚もこなせば上出来の部類です。1枚あたり1円とすると、1時間に900枚をこなしてようやく時給900円相当を稼げる計算となります。
慣れないうちはその半分以下のペースでしかシールを貼れないのが普通で、時給換算では500円も稼げません。改定された最低賃金では最も低い県でも790円ですので、仕事が遅いとその水準を大きく下回ることになってしまいます。
これが雇用契約を結ぶ形の求人であれば大いに問題ですが、在宅型の求人は完全出来高制の業務委託という形で募集されるのが一般的です。シール貼り「バイト」と称していても、その実態は個人事業主として企業と契約を結ぶ形となります。
完全出来高制の業務委託は仕事を多くこなせばこなすほど高収入を稼げる反面、雇用契約と違って最低賃金の保証は受けられません。そうした点もあって在宅のシール貼りバイトは「危ない仕事」と見られがちですが、出勤型と比べて単価が低いのには理由があります。
シール貼り作業のような仕事は大量の商品を扱う必要があるだけに、アルバイトを1カ所に集めて働かせた方が何かと効率的です。アルバイトの1人1人がそれぞれの自宅で作業を行うとなれば、商品の移動や作業の連携にも大きな無駄が生じてしまいます。
そうした事情もあって在宅のシール貼りバイトを募集している会社の多くは、商品を工場や倉庫まで取りに来るよう指示するのが普通です。車を持っている人でないと家まで荷物を持ち運ぶのが難しい上に、たいていは往復のガソリン代も出ません。それだけ在宅ワーカーにシール貼り作業を委託するのはコスト面での無駄が大きくなるため、シール1枚あたりに支払われる単価も低く抑えられているのです。
それでも在宅で自分の好きな時間に働けるという気楽さは大きなメリットですので、出勤型と比べて効率的に稼げないとしても仕方がないと言えます。在宅で高収入が稼げる仕事と言えば、在宅勤務のコールセンター業務やエンジニア向け案件などに限られてしまうのが実状です。
悪徳業者には要注意
何かと危ない仕事のように見られがちなシール貼りバイトも、以上のような事情があるため必ずしも業者が不当に儲けているというわけではありません。そもそも大量の商品を扱うような仕事を在宅ですること自体に無理があるとも言えますが、子育てや介護などさまざまな事情で外になかなか働きに出られない人は多く存在します。
そんな人たちをターゲットにした「内職商法」は以前から問題となっていて、これまでにも主婦を中心に多くの被害者を出してきました。シール貼りバイトの仕事でも「在宅で簡単に稼げる」という甘い売り文句で誘いをかける業者がいるとすれば、罠が仕掛けられている可能性があるので注意が必要です。
仕事をするのに必要だからという名目で最初に高額な教材や資材を購入させておいて、実際には仕事がほとんどないというのがそうした悪徳業者の典型的な手口でした。規制が厳しくなったことで最近は内職商法も影を潜めつつあるようにも見えますが、まだまだ油断はできません。
「在宅」「稼げる」という言葉にはどうしても飛びつきやすいだけに、現在でも詐欺まがいの手法で求人を募集している業者が紛れ込んでいる可能性はゼロではない状況です。派遣や単発バイトのシール貼りバイト求人を検討する場合と同じく、在宅型の求人でも募集している業者に怪しい噂がないかどうか検索してみることをおすすめします。
シール貼りバイトの安全性まとめ
主婦や学生を中心に人気を集めているシール貼りバイトの仕事は、信頼できる会社が募集する安全な求人と、素性の知れない業者が募集する怪しい求人が混在している面があります。仕事を始めるのに初期費用を請求されるような求人は悪徳業者の可能性が高いので、関わらないでおくのが賢明です。
シールを貼るための商品や封筒などを自宅まで持ち運ぶ手間がかかることから、在宅型の仕事は出勤型と比べて給料の面ではどうしても不利になってしまいます。それでも在宅で収入が得たいという場合は効率的に稼ぐよりも、自由度の高い働き方を選ぶという点にメリットを見いだすしかありません。
テレワークのようにパソコンを使って作業を行うタイプの仕事と比べ、シール貼りバイトはもともと在宅勤務に向かない仕事でした。それでも商品を自分で持ち帰ることを条件に在宅でも仕事ができるようになったのですから、外へ働きに出るのが難しい事情を抱える人にとっては数少ない貴重な仕事の1つとなります。
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