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給料ファクタリングは違法?審査が甘い理由と隠れ闇金の実態を解説

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給料を前借りするような感覚でお金が手軽に借りられることから給料ファクタリングの利用が増えていますが、返済が滞る人や取り立てに遭った人も少なくありません。事実上の貸金業に該当しながら法定利息を大幅に超えた手数料を徴収するビジネスモデルだけに、給料ファクタリングは違法ではないかという声もあります。コロナの影響で収入が激減し、利用を検討している人にとっては見過ごされない問題です。

実際に裁判で給料ファクタリングは貸金に当たるという判決も出され、「隠れ闇金」も同然の実態が明らかになってきました。出資法違反で逮捕者まで出した給料ファクタリングについて、消費者金融より審査が甘い理由と合わせて実態を調査してみました。同じように闇金業者の隠れ蓑として利用されがちなクレジットカード現金化業者との違いついても、記事の後半で詳しく解説します。

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給料ファクタリングとは?

そもそもファクタリングというのは15世紀頃に起源を持つ意外に古い金融サービスで、日本で普及し始めたのは比較的最近の話です。手形割引と似た資金調達方法ですが、何かとコストがかかる手形を発行する必要がないというメリットがあります。ファクタリングの一般的な定義は以下の通りです。

一般に「ファクタリング」とは、事業者が保有している売掛債権等を期日前に一定の手数料を徴収して買い取るサービス(事業者の資金調達の一手段)であり、法的には債権の売買(債権譲渡)契約です。
(出典:ファクタリングの利用に関する注意喚起:金融庁

ファクタリングを利用した資金調達が企業間で普及してきたのを受け、個人でも同じようにして現金を調達できる仕組みが考え出されました。給料日まで待たずに現金を手にすることができる点では便利なサービスですが、手数料が引かれるため実際に受け取る金額は目減りしてしまいます。

給料ファクタリングの仕組み

売掛債権を早期に現金化するファクタリングは企業間で行われるのに対して、給料ファクタリングは個人と業者の間で契約を交わすのが特徴です。決められた期日に支給される給料を一種の債権と見なし、これを買取してもらうことで手数料を引いた残りの金額を手にすることができます。

売掛債権を持つ企業と業者だけで契約を交わす2社間ファクタリングは、取引先企業に知られることなしに売掛金の現金化が可能です。3社間ファクタリングになると取引先企業を加えた3社間で話し合う必要も出てきますが、2社間より手数料が安くなる点がメリットです。

給料は労働者が雇用主から直接受け取るのが原則となっているため、3者間ファクタリングは法的に成立しません。そのため給料ファクタリングを利用した場合には自分自身で給料を受け取り、手数料を上乗せした金額を業者に支払うのが一般的です。

消費者金融より審査が甘い理由

給料ファクタリングで最大の特徴と言えば、消費者金融などと比べて審査が甘いという点が挙げられます。建前上は債権と見なした給料の「買取」という形になっていますが、給料ファクタリングを利用する目的はお金を借りることに他なりません。

雇用主に直接依頼する形での給料の前借りは、お金が足りなくなった場合に急場をしのぐ手段として昔からよく行われていました。給料ファクタリングは第三者を通して同じ目的を果たそうとするサービスですが、雇用主を通さずに給料を先取りした場合には業者に返済する必要があります。実質的な貸金業に当たるのであれば、返済能力があるのかどうか厳重に審査されるのが普通です。

しかしながら多くの給料ファクタリング業者は審査が甘く、消費者金融やクレジットカードの審査が通らない人にも利用されています。「ブラックでも利用できる」というのが給料ファクタリングの売りとなっており、他の方法で現金が調達できない場合の最終手段としても利用されているのです。

給料ファクタリング業者によっても審査の甘さには差が見られ、甘い業者はきちんと審査を行っていない可能性もあります。その代わり手数料は他の業者より全般に割高で、返済が滞ったりすると厳しい取り立てを受ける可能性も否定できません。

真っ当な貸金業として事業を営んでいる業者ほど手数料や金利は低く抑えられている代わりに、事前の審査も厳重に行われる傾向があります。例えば銀行は個人が相手だと簡単にはお金を貸してくれないと同時に、審査も厳重を極めます。消費者金融は個人でも手軽にお金を借りられるイメージで宣伝されている一方、利用の際にはそれなりの審査が必要です。

闇金業者の場合は積極的にお金を貸し付けるくらいですから、まともに審査していないと見られます。その代わり法律の上限を大きく上回る法外な利息を請求され、返済が滞ると恐ろしいことになるのは周知の通りです。そうした中にあって審査が甘いと言われる給料ファクタリング業者がどのへんに位置するのか、想像するまでもありません。

給料ファクタリングは違法?

ここからが本題で、給料ファクタリングは違法ではないかという疑惑が以前から指摘されていました。建前上は翌月の給料を「買取」するということになっていても、その実態が貸金業である点は誰もが気づいている事実です。

そうやって巧妙に隠れ蓑を着ながら営業を続けてきた業者も、現在では違法性が認められるようになって存亡の危機を迎えつつあります。給料ファクタリングの返済が滞った被告に対する2020年3月の裁判で、支払いを求めた原告側の業者の請求が棄却されたのです。

この裁判では給料ファクタリングが貸金業に当たると判断され、貸金業者として登録していなかった点に違法性があると認定されました。実質的な貸金業と認定されたのですから、法定を超える以上の利息を払う必要がないのも当然です。

金融庁でも給料ファクタリングは貸金業に当たるとする見解を発表したのに続き、7月には出資法違反の疑いで業者の中から社員の逮捕者も出ました。同じような営業を続けている限り、今後も摘発例の相次ぐ可能性があります。

違反する可能性のある法律

給料ファクタリング業者は現状のままだと、貸金業法と出資法という2つの法律に違反することになります。貸金業法は消費者金融や信販会社など、銀行以外に金銭の貸付や金銭貸借の媒介を行う事業者について定めた法律です。

貸金業を行う事業者は国や都道府県に申請して登録する必要がありますが、これまでの給料ファクタリング業者は「貸金業に当たらない」と称して登録していませんでした。お金を貸すのではなく、あくまでも翌月の給料を「買取」するだけだというのが業者の主張です。

しかしながら買い取った給料は雇用主側から直接受け取るわけにはいかず、利用者自身が返済するしかありません。そのため実質的な貸金業に当たると判断され、無登録営業として摘発されるに至ったのです。

出資法は金銭貸借を媒介した場合の手数料や金利について規制する法律で、金銭の貸付に伴う法定利息が規定されています。金融業者の場合は年利20%、金融業者以外の者は年利109.5%が利息の上限です。

買い取った給料に一定割合の手数料を上乗せして返済する給料ファクタリングも貸金業と認定されれば、当然このことながら出資法の規制を受けることになります。この場合は手数料が実質的な金利と見なされますが、その平均相場は40%から50%ほどです。手数料が50%というのは1カ月以内に返済した場合の話で、年利に換算すれば12倍の600%にも達します。

これは出資法に定められた法定利息の20%と比べ、法外とも言えるほど高い数字です。闇金業者でよくある10日で一割の利息「トイチ」で計算すると、年利は365%ということになります。給料ファクタリングの手数料は平均相場でもこのトイチを上回り、実質的な貸金業と認定された場合の出資法違反は明らかです。

クレジットカード現金化業者との違い

他の手段で現金が用意できない場合に利用される裏技的な調達方法として、クレジットカード現金化業者も以前から存在します。法律的にグレーゾーンという点で給料ファクタリングとの共通点も見られますが、クレジットカード現金化はカードのショッピング枠を利用した現金調達方法です。こちらもカード会社の利用規約には明確に違反するため、決しておすすめできる方法ではありません。

とは言え最近の主流となっているキャッシュバック方式は入念に考えられたやり方で、現金還元の対象となる商品が自宅に送られてくる限りは違法に当たらないと主張されています。キャッシュバック方式のクレジットカード現金化業者でも出資法違反で逮捕者が出ていますが、これは商品の発送を怠ったために実質的な貸金業と見なされた事例です。

クレジットカード現金化業者も40%前後という高い手数料を徴収している例は少なくないだけに、年利に換算すると出資法で規定された上限をはるかに超えてしまいます。給料ファクタリングとの最大の違いは、借りたお金を返済する相手が現金化業者ではなくクレジットカード会社になるという点です。

とは言えクレジットカード現金化業者の中にも、偽装された闇金業者が紛れ込んでいる可能性があります。ブラックリストに載った人でも利用できる点では給料ファクタリング業者と共通しますが、どちらも関わらないでおくのが賢明です。

最近は「後払い・ツケ払い現金化」などという新手の手法もSNSで見かけるようになりました。翌月の給料を担保にして現金を調達する点では給料ファクタリングとよく似た手法ですので、同じ業者が姿を変えて運営している可能性もあります。

給料ファクタリングの実態まとめ

一見するとお金に困っている人を救済するための新たな金融サービスのようでいながら、給料ファクタリングには以上のような暗黒面もあることがわかりました。一番の問題点は何と言っても、年利に換算すると闇金業者並みになる高額な手数料です。

貸金業登録を済ませた上で手数料も法定利息の範囲内に低く抑えた業者が存在するなら、給料ファクタリングもまだ使いようがあります。それでは業者の側で旨味が少なくなってしまうため、審査を厳しくして普通に現金を貸し付ける消費者金融業を営んでいた方が無難です。

法律の網目をすり抜ける形で「貸金業ではない」という名目のもと、違法性が認定されるまでの間に先行者利益を得ていたのが給料ファクタリングの実態だと言えます。実質的な貸金業に当たるという判決が下されて実際に逮捕者も出ている以上は、今のままのビジネスモデルとしては給料ファクタリングも衰退に向かうはずです。給料日前に生活費がなくなってしまった場合には、日払いの単発バイトで副業収入を稼ぐという手もあります。

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