ジャパンライフ事件で繰り返されたオーナー商法とは?被害実態を解説

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2017年に倒産して破産手続きに入っていたジャパンライフ社で、2020年9月には元会長ら14人が詐欺容疑で逮捕される事態となりました。磁気ネックレスや磁気ベストなど健康器具の預託販売を手がけてきたジャパンライフ社の運営実態は、いわゆる自転車操業で配当金を捻出していたものと見られています。

このような預託販売はオーナー商法やペーパー商法とも呼ばれ、悪徳商法の温床となって数多くの被害者を生み出してきました。ジャパンライフ事件で改めて浮き彫りとなったオーナー商法の闇について、過去に起きた類似の事件や自転車操業の実態と合わせて解説します。今後はこうしたオーナー商法が違法となるよう法整備が進められる予定ですが、この記事を読んでおけばその前に自衛策を講じるヒントが得られます。

ジャパンライフ事件の経緯

数年前から報道を騒がせてきたジャパンライフ事件とは、同社が手がけていたオーナー商法による大規模な詐欺が疑われている事件のことです。逮捕された山口元会長が1975年に創業したジャパンライフ社は、代替医療機器を主力商品としてマルチ商法を展開してきました。

同社はネックレスやベストなどの磁気治療器の販売でレンタルオーナー契約と呼ばれる方式を駆使し、6,000人以上の顧客から2,000億円もの預託金を集めたとされています。集めた出資金で磁気治療器のレンタル事業を行い、生み出された収益の一部が出資者に還元されるというのが勧誘の題目です。度重なる業務停止命令を受けてモニター契約やリース契約へと方式を変えながらも経営が悪化し、倒産した翌年には破産手続きを開始しました。

ジャパンライフ社が手がけてきた事業の運営実態はほとんど自転車操業も同然だったと見られ、債務超過を隠しながら顧客を勧誘し続けてきた点が問題視されています。預託販売の対象となった磁気治療器そのものも契約した顧客全員分を保有していなかったものと疑われ、倒産によって出資金の返還が困難になっていることから詐欺容疑での関係者逮捕に至ったのです。

オーナー商法の手口

ジャパンライフ事件が報じられたことで関心が高まっているオーナー商法とは、販売した商品を顧客に渡さずに預かる形で運営されるビジネスモデルです。この場合の商品は必ずしも物品とは限らず、ゴルフ会員権や和牛の繁殖事業などさまざまな権利が対象となります。

預託商法や現金まがい商法とも呼ばれるオーナー商法は詐欺の手口によく用いられ、過去にも数々の被害を出してきました。何らかの物品や権利を顧客に販売しながらも、商品そのものは事業者側が預かるという名目で顧客に渡さないのがオーナー商法の特徴です。物品を扱う場合でもわずかな現物を用意するだけで顧客を信頼させることが可能になり、実際には預かっている物品が存在しなくても高額の出資金を集められるようになります。

和牛の飼育など事業の出資金を募るケースでは、事業に伴って収益の還元が受けられる権利そのものが販売の対象です。集めた出資金を元手にして本当に事業を進めていけば、出資者に還元できるだけの収益も計上される可能性はあります。すべてのオーナー商法が詐欺行為だとは限りませんが、集めた出資金が実際にはどのように使われているのか不透明なケースが大半です。

ジャパンライフ社は預かり金を利益として不正に計上していた実態があり、実際には新たな収益を生み出すような事業が行われていなかった可能性が濃厚となってます。新たな預かり金が途絶えると経営が行き詰まってしまうのは明らかで、完全な自転車操業の状態に陥っていたのです。

自転車操業の実態

今回騒がれているジャパンライフ事件では1点あたり100万円以上の光学な磁気治療器が販売対象でしたが、購入した商品は自分で使用するのではなくレンタルやリースに出すことで利益が出る仕組みでした。ジャパンライフ社はレンタルやリース事業を代行する形で商品を預かり、年率6%の利益が得られる上に元金も保証されるとして新たな顧客が次々と勧誘されていた実態があります。

実際には新規顧客からの預かり金に頼った自転車操業の状態で、6%の利益も新規預かり金の中から捻出されていました。不正な経理処理によって経営状態が健全だと装いつつ、疑惑の渦中でも新規顧客を勧誘し続けていたのです。

集めた預かり金は既存の顧客に分配する配当金や役員報酬・社員の給料などに消えていったものと見られ、元金保証を謳いながらいつでも返金できる状態にはありませんでした。ジャパンライフ社の経営破綻に伴って預け入れ金を回収できない人が続出しており、被害総額は2,000億円にも上ると見られています。このような自転車操業はマルチ商法や投資詐欺・ネットワークビジネスの常套手段で、新たな顧客勧誘が途絶えてしまえば経営破綻に陥るのは明らかです。

こうした収益構造は古くから存在したねずみ講の仕組みに似ていますが、名目だけ商品を扱うように見せかけることで法律違反を免れようとするのが悪徳業者の常套手段でした。ジャパンライフ事件でも契約者数を大きく下回る数の磁気治療器しか見つかっておらず、実質的なねずみ講だった可能性があります。

繰り返されてきたオーナー商法の被害

ジャパンライフ事件が報じられたことでオーナー商法の持つ深い闇に改めて光が当てられましたが、こうした事件は過去にもたびたび繰り返されてきました。古くは1980年代に大きな社会問題となった豊田商事事件に始まり、近年では安愚楽牧場事件やケフィア事件が記憶に新しいところです。豊田商事事件を受けて1986年には特定商品預託法が制定されましたが、現時点では以下のような特定商品にしか法律が適用されません。

一 貴石、半貴石、真珠及び貴金属(金、銀及び白金並びにこれらの合金をいう。)並びにこれらを用いた装飾用調度品及び身辺細貨品
二 盆栽、鉢植えの草花その他の観賞用植物(切花及び切枝を除く。)
三 哺乳類又は鳥類に属する動物であつて、人が飼育するもの
四 自動販売機及び自動サービス機
五 動物及び植物の加工品(一般の飲食の用に供されないものに限る。)であつて、人が摂取するもの(医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第一項の医薬品をいう。)を除く。)

出典:特定商品等の預託等取引契約に関する法律施行令(消費者庁HP)

過去に発生したオーナー商法による被害としては、以下の事件が代表的な例です。

豊田商事事件

顧客に金の地金を購入する契約を結ばせながら現物は豊田商事側で預かり、代わりに証券を引き渡す形で広まった現物まがい商法。実際には金の延べ棒に見せかけた偽物で、被害者の大半が一人暮らしの高齢者だったことから大きな社会問題となりました。

ワールドオーシャンファーム事件

フィリピンのエビ養殖事業を装って出資者が募集されながら、実際には集めた資金が配当に回されるという自転車操業の状態だった2000年代後半の事件。東京ドーム450個分と称していた養殖場も実際には存在せず、ワールドオーシャンファーム社の会長以下十数人の関係者が詐欺容疑で逮捕されました。

茨城カントリークラブ事件

ゴルフ会員権を利用したオーナー商法の例としては、1991年に発覚した茨城カントリークラブ事件が最も有名です。5万人以上もの会員から合計約1,000億円もの会費を集めたゴルフ場は完成せず、開発会社は倒産して建設予定地もその後売却されてしました。

安愚楽牧場事件

栃木県や北海道などで牧場を運営していた安愚楽牧場によるオーナー商法で、2011年に発覚した大規模な詐欺事件。繁殖牛を購入することで年3%から8%の配当金が得られ、契約終了後に購入額が払い戻されるとしてオーナーが勧誘されていました。実際には繁殖牛の頭数は契約者数を大幅に下回り、架空の繁殖牛を販売しながら自転車操業が続けられていたのです。

ケフィア事件

干し柿やメープルシロップなど加工食品のオーナーを募集し、多額の資金を集めていたケフィア事業振興会の元代表らが2020年に出資法違反で逮捕された事件。1口あたりの出資金は数万円ほどで、半年後には約10%の利益を上乗せして買い取るという勧誘内容でした。このケースでも実際には自転車操業の状態で、集めた資金は既存契約者の配当に回されていたのです。

ジャパンライフ事件とオーナー商法の実態まとめ

オーナー商法は1980年代の豊田商事事件から始まり、40年近くを経た今もなお形を変えながら社会の片隅で横行しているのが現状です。うまい話には必ず落とし穴があるという法則を心得ていればそう簡単に騙されないはずですが、人間心理を巧妙にくすぐる謳い文句にはついつい心を惑わされてしまいます。特に残りの人生への不安を抱える高齢者ほど騙されやすく、老後の資金をすべて失ってしまう人が跡を絶ちません。

今回のジャパンライフ事件では時の政権が広告塔として利用された面もあって、過去に繰り返されてきたオーナー商法の餌食にされしまいました。手を変え品を変えして年々巧妙化されるオーナー商法に対しては、近い将来に法律が改正されて全面的に禁止される見通しです。ジャパンライフ事件は歴史的な法改正のきっかけとなった詐欺事件として、長く記憶されることになるでしょう。

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