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ヤフーが募集した副業人材とは?ギグパートナーが秘める可能性を考察

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世の中で副業の解禁が着々と進む中、大手IT企業のヤフーがギグパートナーの副業人材100名を募集した件が話題を集めています。全国の都道府県に加えて海外からも多数の応募があり、定員をはるかに上回る4,500人の中から人材が選ばれました。ヤフーは社員の副業も容認しているほど働き方改革に前向きな会社だけに、コロナ禍をきっかけに発想されたという先進的な取り組みが注目されるところです。

ヤフーで現在も募集が継続されているギグパートナーについて、仕事内容や報酬に関する情報をまとめてみました。こうした副業人材を登用する動きは他の業界にも拡大する可能性がありますので、ヤフーの取り組みが及ぼす影響についても記事の後半で解説します。

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ヤフーが募集したギグパートナーとは?

ギグパートナーの「ギグ」とは、1回きりの単発ライブ演奏を意味する英語の「gig」に由来します。街で最近よく見かけるようになったウーバーイーツ配達員は飲食店に直接雇用されたアルバイトではなく、注文1件ごとに業務請負契約を結んで配達を引き受ける個人事業主です。

特定の会社に縛られずに単発の仕事を請け負うこうした働き方は、音楽用語のギグにちなんでギグワーカーと呼ばれています。ウーバーイーツ発祥の地となった米国はライドシェアや民泊・代行業など、料理配達以外にも単発の仕事で稼ぐ人たちが多いギグエコノミー先進国です。

ギグエコノミーは日本における副業のあり方にも大きな影響を及ぼしつつありますが、ヤフーが募集したギグパートナーはギグワーカーとビジネスパートナーの中間のような人材だと言えます。「ワーカー」と呼んでしまうと労働者という意味合いが強くなって雇用に近い関係を想起させるのと比べ、「パートナー」の方は対等の関係にあることを示す言葉です。

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ヤフーのギグパートナーは1回きりの業務委託と言うよりは、ある程度の継続性を前提とした働き方を想定しているものと見られます。原則として出社はせずにオンラインで業務を行い、契約形態もアルバイトや契約社員ではなくウーバーイーツ配達員と同様の業務委託契約です。

ヤフーがこのような形で副業人材を募集するに至ったのは、もともと本社内に設けられていたコワーキングスペースに由来します。社内外の人材が自由に交流できる場として活用されてきたそのスペースも、コロナの影響で閉鎖を余儀なくされてしまいました。同じ機能を持つ場をオンラインに移行する形でギグパートナーの登用が企画され、100人という規模での募集が実施されたことで大きな話題を集めたのです。

ギグパートナーの仕事内容と報酬

7月に先行して100名が募集されたギグパートナーは、戦略アドバイザーと事業プランアドバイザーという2つの職種に分かれます。いずれもヤフーが手がけようとする事業に対してアドバイスを行うのが主な仕事で、さまざまな考え方やスキル・経験を持つ社外の人材から幅広く意見を取り入れようというのが狙いです。

7月に募集されたギグパートナーはオンラインで月に5時間勤務し、報酬は5万円という待遇でした。時給に換算すれば1万円になる計算で、副業に利用されることの多い一般的なアルバイトの仕事と比べると高額に思われます。とは言えギグパートナーとよく似たスポットコンサルの例を見ると、1時間あたり数万円の報酬を受け取っている人も珍しくありません。

それと比べては1時間1万円も決して高額な報酬とは言えませんが、ヤフーでは引き続き複数の職種でギグパートナーを募集中です。知的財産戦略立案の報酬は月15~20万円、社会貢献サービス企画と管理会計・予算管理ERPシステム刷新プロジェクト企画は月10万円となっています。いずれも月6~8時間程度のオンライン勤務が想定されていますので、時給換算の金額は1万円を上回る計算です。

この他にも職種を限定しないオープンポジションの副業人材が募集されていますが、報酬については面談を通じて調整するとしています。エントリーの際に入力した情報に応じて、適した職種の募集が開始された場合に応募可能となるのがオープンポジションの仕組みです。

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副業の新しい可能性を示唆

企業が経営や事業内容に関してアドバイスを受けようという場合には、高額な料金を支払ってコンサルティング会社と契約を結ぶのが一般的でした。最近はビジネスに関する知見を持つ人が個人として企業の相談に応じ、ビジネス上の課題解決に貢献することで報酬を受取るスポットコンサルも普及しつつあります。ビザスクに代表されるスポットコンサルのプラットフォームを利用すれば、自分の持つビジネススキルや経験をお金に換えられるようになるというわけです。

本業とは別に他社の経営領域にまで踏み込んだアドバイスの仕事を経験すれば、将来的な出世や起業にも役立つのは間違いありません。副業と言えば何らかの作業や労働の対価を得て収入を増やす行為を想像しがちですが、スポットコンサルのような仕事は労働集約的な働き方の対極に位置します。

プラットフォームを介さずに企業と業務委託契約を直接結ぶという違いがあるとは言え、ヤフーが募集するギグパートナーもこれに近い働き方です。応募した人の中には報酬の金額以上に、知名度の高いヤフーと関わる仕事に魅力を感じている人も少なくありません。

採用された104人の顔ぶれは実に多彩で、若干10歳という小学生や現役の高校生もいれば、80歳の高齢者も含まれるという具合です。医師や芸人・主婦などさまざまな職業の人が選ばれた中に、匿名掲示板として一時代を築いた2チャンネルの創始者・西村博之氏も104名の中に含まれいる点は注目されます。

スポットコンサルの副業で稼いでいる人と言えば、30代前後でバリバリのビジネスマンというイメージを抱きがちです。ヤフーのギグパートナーでも30代が40%以上を占めるとは言え、消費者向けのサービスを展開する企業だけにアドバイザーには多種多様な人材が選ばれています。幅広い年代の人からの意見を取り入れることで、既成概念にとらわれないビジネスのアイデアに結びつけていこうという姿勢が見て取れる選考結果です。

他の業界にも拡大する可能性

ヤフーのこうした取り組みが今後他の企業にも拡大していけば、副業のあり方も大きく変わる可能性があります。近年はフリマサイトやスキルシェアサイトなどのサービスが普及し、個人対個人の取引で副業収入を得る動きが広がっているのは周知の事実です。個人間の取引では財源に限りがあるため、企業が相手の取引に比べると必ずしも効率的に稼げるとは限りません。

アフィリエイトやYouTube動画など広告収入に依存した副業は難易度が高めだけに、それれまでは副業収入の財源も雇用関係に基づいて企業から支払われる賃金が中心でした。すでにスポットコンサルの形で他社から報酬を得る副業のスタイルも試みられていますが、コンサルティングの品質は高額の報酬に見合う必要があります。

そうした中でヤフーがギグパートナーの名称で副業人材を幅広く募集し、10代から80代までの多彩な人材が採用された意義は決して小さくないはずです。同様のサービスを展開する企業がヤフーに追従して副業人材を広く募集するようになれば、企業へのアドバイスや企画立案の仕事が副業の選択肢に加わります。

プラットフォームに依存せずに企業から報酬が直接支払われるという形で副業収入の財源が確保されれば、案件の獲得状況に左右されない安定収入につながります。ギグパートナーの提供するアイデアが新たなビジネスの開発に役立ってヤフーの躍進に大きく寄与すれば、これに追従しようとする企業も必ず出てくるはずです。ヤフーのようなIT企業のみならず、家電メーカーや食品メーカー・エンタメ業界など、消費者向けの製品やサービス提供を事業としていればどの企業にも同じ可能性があります。

ヤフーの副業人材ギグパートナーまとめ

長く日本のIT業界をリードしてきたヤフーは、副業に関する取り組みという面でも時代の一歩先を行く先進的な企業です。そのヤフーが新たに打ち出してきたギグパートナーの副業人材登用制度には、以上のような注目すべき点が多くあります。

現時点ではまだ実験的な取り組みという段階ですが、業務委託契約による報酬を対価として社外から広く意見を募る方式は、今後の主流となる可能性を秘めたスタイルです。ヤフーの取り組みが成功すれば副業のあり方が大きく変わると予想されるだけに、しばらくはギグパートナーを巡る動きから目が離せません。

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