管理職を中心とする会社員の間で、スポットコンサルと呼ばれる仕事が副業として人気を集めています。スポットコンサルは週末コンサルタントとも呼ばれているように、休日や夜間などを利用してコンサルティングを行う仕事です。高収入を稼ぐことも可能と言われるスポットコンサルとはどんな副業なのか、仕事の始め方や報酬の相場に関する情報をまとめてみました。
スポットコンサルとは?
「場所」や「点」などを意味する英語のspot(スポット)は、単発の仕事という意味で求人用語としても使われてます。「コンサル」は企業や公共機関に対してアドバイスを行う「コンサルティング」の略語です。つまりスポットコンサルとは主に企業を顧客として、単発でコンサルティングを行う仕事を意味します。
年単位で企業の顧問を務めるような従来型のコンサルティングとは違って、スポットコンサルは半年以内の超短期間だけ診断や助言・指導などの業務を行う仕事です。最短1時間程度という短時間の契約で、コンサルティングの業務に当たる例も珍しくありません。
数年単位の長期にわたって企業の経営顧問を務めるような仕事は、コンサルティングファームと呼ばれる専門の会社や専門家が担っています。スポットコンサルが担当するのは特定プロジェクト型と呼ばれる超短期間の案件が中心だけに、担い手はコンサルティング会社の社員とは限りません。クライアントの求める専門の知見さえ持っていれば、一般の企業に勤務する会社員でもスポットコンサルの仕事をすることは可能です。
週末コンサルがサラリーマンの副業に最適な理由
スポットコンサルは週末コンサルとも呼ばれているように、サラリーマンの副業になり得る仕事です。平日の日中は本業の会社で働き、夜間や土日を利用してスポットコンサルの仕事をするようなスタイルが考えられます。
本業の仕事に支障のない範囲で働く必要はありますが、副業をするために新たな仕事を覚える必要はありません。本業で得た知見や経験を生かせる仕事ですので、サラリーマンの副業には理想的だと言えます。
副業でスポットコンサルの仕事をしている人の多くは、本業の会社で管理職や経営に携わっている人たちです。ビジネスに関する高度な知識や経験が求められる仕事だけに、20代の若手会社員だと信頼を得るのが難しい面もあります。むしろ定年退職したようなシニア層で、現役時代の経験を生かしながらスポットコンサルとして活躍中の人は珍しくありません。
若い世代の会社員でも絶対に無理というわけではなく、必要な知見さえ持っていれば工夫しだいで顧客を獲得することも可能です。経営や販売戦略・人事・労務管理・ITに関する相談に加え、ヘルスケアや外食産業・農業など幅広い分野の知見に需要があります。
スポットコンサルの仕事を探せるサービス
実際にスポットコンサルの仕事をするには、どうやって依頼を獲得するかが問題となってきます。コンサルティングの需要がありそうな企業をターゲットに、自分で営業して依頼を獲得するのは大変です。
今はそうした営業を代行し、スポットコンサルと企業との間を仲介しているサービスが多く存在します。スポットコンサルのサービスにアドバイザーとして登録しておけば、自身のスキルに合った依頼内容の企業とマッチングしてもらえる仕組みです。
国内最大級のスポットコンサルサイトビザスクの他、サーキュレーションやi-commonといったプラットフォームがあります。クラウドソーシングやスキルシェアの各サイトにも「コンサルティング」のカテゴリが用意されていますので、スポットコンサルの仕事を見つける手段として利用することは可能です。それぞれのプラットフォームごとに概要を解説します。
ビザスク
副業でスポットコンサルの仕事を始めようという場合に、第一の選択肢となるのがビザスクです。この記事を書いた時点での登録アドバイザー数は約40万人にも及び、国内最大級のスポットコンサル仲介サービスとして高い知名度を誇ります。ビザスクを利用しているクライアントにはトヨタ自動車やパナソニック・三菱UFJ銀行など、日本を代表する大企業も名を連ねている状況です。
ビザスクにはフルサポート方式でスポットコンサルを行う通常プランと、低料金で利用できるビザスクliteという2種類のプランが用意されています。ビザスクliteはセルフマッチング方式でコンサルティングを行う方式で、公開アドバイザーへの依頼に絞り込むことで1時間あたりの料金が低く抑えられています。
フルサポート方式の利用プランは公開アドバイザーだけでなく、非公開アドバイザーや海外アドバイザーへの依頼もサービスの対象です。同方式には1時間単位で企業からのインタビューを受ける「ビザスク interview」や、Webアンケート調査に回答する形でコンサルティングを行う「ビザスク expert survey」など、多彩なサービスプランが用意されています。
ビザスクでアドバイザーの仕事をするにはサイトに登録した上で、指名相談を受ける方式と公募案件に提案する方式の2通りがあります。指名相談はクライアント側から依頼されるのを待つ形となりますが、公募案件に提案して採用されれば自分でスポットコンサルの仕事を獲得することも可能です。対面や電話で相談に応じる方式に加え、ZoomやSkypeなどを使ったオンラインでの面談にも対応しています。
謝礼金額はアドバイザー自身で価格設定できる仕組みですが、支払金額の30%に当たる手数料を引いた残りが報酬となります。サイトには毎月500件ほどの新規公募案件が掲載されていますので、アドバイザーとして登録の上で案件を検索してみるといいでしょう。
ビザスク以外のスポットコンサルサービス
サーキュレーションが運営するプロシェアリングは、プロ人材を複数の企業がシェアできるようにしたサービスです。サイトにプロ人材として登録することで、ビザスク同様に月1時間からのスポットコンサル提供が可能になります。高い専門性が求められるだけに登録のハードルは高めですが、現時点で約17,000人ほどのプロ人材が登録されています。
アドバイザー紹介サービスのi-commonも、スポットコンサルのマッチングに利用されているサービスの1つです。i-commonを運営しているパーソルキャリア株式会社は、転職サイトdoda(デューダ)の運営会社としても知られています。M&A検討や基幹システム導入から研究開発・IoT戦略構築まで、多様な分野を専門とする17,000人ほどのアドバイザーが登録されている状況です。
株式会社ミーミルの運営するNewsPicks Expertは、経済分野を中心とした専門家のマッチングプラットフォームとして2020年にスタートしました。サイトにエキスパートとして登録することで、知見を求める企業に経験知を提供することが可能になります。
コンサルタントに特化した転職サイトを手がけるアクシスコンサルティングからも、コンパスシェアというスポットコンサルサイトがリリースされました。スポットコンサルのマッチングサービスとしては後発組ですが、コンサル業界に強みを持つ運営会社のサービスだけに動向が注目されます。
以上のようにビザスク以外にもスポットコンサルのマッチングを行うサービスは多くありますが、アドバイザーとして登録する際に審査があったりして、登録のハードルはビザスクより全般に高めです。謝礼金額から引かれる手数料を非公開としているサービスが多いだけに、手数料を30%と公開しているビザスクの方が利用しやすい面もあります。
クラウドソーシング
スポットコンサルの仕事を副業にする手段は、以上のような特化型のマッチングサービスだけではありません。在宅ワークの副業として多く利用されているクラウドソーシングにも、「コンサルティング」のカテゴリが用意されているサイトがあります。ランサーズとクラウドワークスの2大サイトが代表的な例です。
スポットコンサル特化型のサービスと比べて報酬の金額は全般に低めですが、1万円以上の案件も少なくありません。固定報酬制(一部時間単価制)のプロジェクト方式で募集されている例が多く、単発の案件単位でコンサルティングの依頼を引き受けるスタイルです。
両サイトには広告運用に関するコンサルティングや不動産物件の現地調査など、多種多様な案件が掲載されています。報酬から引かれる手数料の割合も5%~20%(報酬の金額によって変わります)で、ビザスクよりは低めの水準です。いきなりスポットコンサルサイトに登録するのは「ハードルが高い」と感じている人でも、副業の手段として定着したクラウドソーシングなら気軽に取り組めます。
スキルマーケット
クラウドソーシングと並ぶ副業の手段として人気を集めているのが、ココナラに代表されるスキルマーケットです。クラウドソーシングとは逆にスキルを生かしたサービスを自分で出品し、仕事を依頼したい人からの応募を待つスタイルとなります。
ココナラはイラスト作成や占いなど個人向けのサービスに強いイメージがありますが、「ビジネス代行・コンサル・士業」も需要の多いカテゴリの1つです。その中の「事業・経営・起業コンサルティング」カテゴリには4,000件あまりのサービスが出品されていて、「営業コンサル・代行」「ECコンサル・運用代行」のカテゴリもあります。個人の副業サポートや仕事の悩み相談も含まれるため企業向けに特化しているわけではありませんが、企業の経営者や担当者からの依頼を想定したサービスの出品例も少なくありません。
ココナラ以外ではタイムチケットにも「ビジネス/コンサルティング」のカテゴリが用意されています。どちらもサービスが購入されれば単発でコンサルティングの仕事を引き受けることになりますが、高評価を獲得すればリピート購入にもつながります。
スポットコンサルの料金相場
スキルシェアサイトへのサービス出品で価格設定する際には、スポットコンサルの料金相場を知っておく必要もあります。ビザスクのような特化型のマッチングサービスと比べ、ココナラやタイムチケットは「コンサルティング」カテゴリでも低めの価格設定です。企業と言うよりは企業で働く個人からの依頼が中心だけに、料金をリーズナブルに抑えた方が依頼を獲得しやすくなります。
ビザスクの依頼主には企業の経営者が多いせいか、料金の相場は1時間あたり1万円から5万円と高めの水準です。高めの料金設定に見合うだけの知見を提供しなければ、依頼主に納得してもらえません。スキルシェアサイトにコンサルティングのサービスを出品する場合でも、1万円以上に価格設定するなら相応のスキル提供が求められます。
ココナラの「事業・経営・起業コンサルティング」カテゴリを見ると、最低価格の2,000円から10万円以上まで価格設定はさまざまです。ビザスクの料金相場より安い1万円以下に価格設定している人が全体の80%以上を占め、5,000円以下が半数以上に達する状況です。電話相談やビデオチャットでのサービス提供を前提に、「1分100円」「30分3,000円」などと従量制の価格設定にしている例も見られます。
タイムチケットの「ビジネス/コンサルティング」カテゴリでは、30分500円から2~3時間で数十万円という例までかなりの幅が見られます。6,000円以下のチケットでカテゴリ全体の75%を占め、10,000円以上のチケットは10分の1以下に過ぎません。タイムチケットも企業向けと言うより個人向けのコンサルティング案件が多いせいか、価格設定はビザスクよりかなり低めの状況です。
ちなみにクラウドソーシングの「コンサルティング」カテゴリでは、60分数千円という案件が目立ちます。高額の報酬を提示してある案件は平日の日中にオフィス常駐が必要だったりして、必ずしもサラリーマンの副業に適した案件ばかりではありません。クラウドソーシングもココナラやタイムチケットと同様に、報酬の相場はビザスクより低めの水準にあります。
スポットコンサルの副業まとめ
最短1時間程度の単発で企業のコンサルティングを行うスポットコンサルは、高い知見を持つビジネスマンの経験知を最大限に生かせる副業です。ビザスクに代表されるスポットコンサルのマッチングサービスは報酬の相場も高いだけに、短時間の副業でも高収入を稼ぐことが可能になってきます。
コンサルティングの仕事に対してハードルの高さを感じている人は、クラウドソーシングやスキルシェアサイトを利用したサービス提供も可能です。気軽に利用できる分だけ報酬の方は低めの水準ですが、数をこなせば副業の手段になり得ます。自分に合ったサイトを選び、ビジネス知見を生かせる依頼主を探してみるといいでしょう。
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