新型コロナ対策でイベントや大会の中止が相次ぎ、営業自粛を強いられる店舗や施設も続出しました。長引く自粛の影響で仕事がなくなった人の間では、激減した収入を補う目的でウーバーイーツ配達員の副業を始める人が増えています。収入が減った場合の副業としてはコンビニや飲食店などのアルバイトが定番でしたが、そうした状況もコロナ禍で大きく様変わりしているのが現状です。
若い世代を中心にウーバーイーツ配達員が人気を集めている理由について、副業としての新たな可能性という観点からまとめてみました。配達員の数が増えたことで「以前より稼げなくなった」という声も出てきていますので、今後の見通しと対策についても記事の後半で解説します。
【2021年6月17日追記】新報酬体系に関する情報を追加しました。
ウーバーイーツ配達員の副業が人気を集めている理由
ウーバーイーツを利用すればネット通販から商品を購入するのと同じような感覚で、料理や飲み物を自宅までスピーディーに届けてくれます。最近は新型コロナウイルスの感染を恐れて外出を控えている人が増え、緊急事態宣言下では多くの飲食店が営業自粛を余儀なくされました。飲食店だけでなくライブハウスやスポーツジムなどの従業員も仕事がなくなり、大幅な収入減に直面しています。
減ってしまった収入を補うために行う副業の選択肢は、コンビニなどのアルバイトから在宅ワークまでさまざまです。そうした中でもウーバーイーツの配達員は特別なスキルを必要とせず、誰でも気軽に取り組める仕事として人気を集めています。
ウーバーイーツ配達員は新型コロナウイルスが感染拡大する以前から話題を集めてはいましたが、緊急事態宣言下でも需要が絶えないという点では最強の副業です。飲食店のアルバイトと違って特定の店に縛られない自由な働き方ができる点に加え、短時間で効率的に稼げる点も人気の一因として見逃せません。
ウーバーイーツ配達員の報酬
従来の出前は飲食店と雇用契約を結んだ従業員が料理を配達するスタイルでしたが、ウーバーイーツ配達員はあくまでも個人事業主として配達を行います。配達員は注文1件ごとにウーバー側と業務委託契約を結んで配達を行う形となるため、決められた出勤時間やシフト・休日などの概念がありません。好きな時間に好きなだけ働いてお金を稼げる自由さが、ウーバーイーツ配達員にとって最大のメリットです。
配達員に支払われる報酬の基本料金は受取料金と受渡料金・距離料金を合計した金額で、ウーバー側の手数料を引いた残りが自分の収入になります。このうち受取料金と受渡料金はサービスエリアによって異なり、東京都の場合は265円+125円で合計390円が1回の配達で最低限もらえる金額です。
距離料金は受取店舗から配達先までの距離で変動し、1kmあたり60円が加算されます。平均すると1回の配達で稼げる報酬は500円前後で、1時間2件こなせば時給換算1,000円前後になる計算です。
注文の多い時間帯やエリアで報酬率が上がるブーストの仕組みもあり、上手に利用することでさらに収入を増やすことができます。配達する人が少なくなる雨の日などはクエストと呼ばれるインセンティブが付けられ、指定回数の配達をこなすことで追加報酬が加算される仕組みです。
【2021年6月17日追記】新報酬体系が全国に拡大
ウーバーイーツでは2021年3月から4月にかけて、京都市・福岡市・神奈川県・那覇市で配達員に対する新報酬体系を先行的に適用していました。配達員の中には従来より収入が減ってしまった人が出るなど、報酬システムが変わったことで混乱が広がっています。
5月には新報酬体系が全国に拡大され、基本料金の内訳が表示されないシステムに統一されました。配達時間や距離・ピーク時間帯などを考慮してAIがベースとなる料金を算出し、新たに導入された「配達調整金」を加算して基本料金が決まる仕組みです。新報酬体系ではベース料金が300円に達しないケースも出てくるため、最低配達料の300円になるよう配達調整金が導入されたものと見られます。
旧報酬体系では配達する地域ごとに基本料金が異なり、東京などの大都市では地方都市より稼げる状況でした。新報酬体系では全国一律のベース料金が適用されるようになったため、都市による優位性が薄れています。逆に言えば地方の配達員でもベース料金は東京などと変わらず、大都市圏で活動する配達員並みの報酬を稼ぐことも可能です。
配達に自転車を使えば健康にもプラス
ウーバーイーツの配達には事業登録された軽自動車や125cc以上のバイクも使用可能ですが、ほとんどの人は125cc以下のバイクか自転車を使って配達しています。自転車と違って自分の足で漕ぐ必要がないバイクは配達が楽になる反面、ガソリン代や車両保険代が必要です。バイクは配達の際に駐車場所を探す必要もありますが、自転車なら駐輪禁止の場所でない限りどこにでも置いておけます。
ウーバーイーツでは2019年11月の料金改定で1kmあたりの距離料金が150円から60円に下がり、バイクを使った長距離配達の優位性が低くなりました。逆に言えば距離に比例した報酬の割合が少なくなったことで、自転車でも稼ぎやすくなったことを意味します。
ペダルを漕ぐのにある程度の体力も必要ですが、配達に自転車を使う最大のメリットは有酸素運動を兼ねられるという点です。有酸素運動は20分以上続けることで体脂肪がエネルギー源として使われ始めるため、脂肪燃焼効果が高まってくると言われています。最近になって女性の配達員が増えているのも、ダイエットへの効果が期待されている証拠です。
ウーバーイーツ配達員の副業は今からでも稼げる?
ウーバーイーツ配達員は副業の新しい選択肢として人気が高まっていますが、登録者が増えるにつれて競争も激化しつつあります。緊急事態宣言下では営業を自粛する飲食店が続出したため、東京エリアなどは「以前より稼げなくなった」という声が出ていたほどです。
これからウーバーイーツ配達員を始めようとしていた人にとっては不利な情勢ですが、感染拡大が落ち着いてくれば配達依頼件数も増加に転じると予測されます。緊急事態宣言が解除されてもしばらくは外食を控える人が多いと予想されるだけに、ウーバーイーツ特需はまだまだ当分続くはずです。
コロナ以前とコロナ後では、人々の生活様式が大きく変わるとも予測されています。これまで飲食店の従業員が担ってきた役割を、ウーバーイーツ配達員が代わりに果たすようになるのが外食産業の新しいあり方です。とは言え配達パートナーは時給が決まっているわけではありませんので、効率的に稼ぐには自分自身で配達の仕方を工夫する必要もあります。
短時間で効率的に稼ぐコツ
ウーバーイーツが配達員に仕事を割り振りする際には、パートナー専用のスマホアプリが使われます。GPSやナビゲーションで導いてくれる便利なアプリがあるからこそ、知らない場所でも目的の家を探し出して料理を配達できるのです。
配達の効率化に欠かせないスマホアプリをサクサク動かすには、スマホの通信制限やバッテリー切れを防ぐ対策も欠かせません。いざというときに備え、ポケットWiFiやモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。
時給換算で1,500円から2,000円を稼ぐにはよほど効率よく配達をこなし、ブーストやクエストも最大限に活用する必要があります。都心部はウーバーイーツと提携している飲食店が多く、配達依頼が頻繁に入るホットスポットです。飲食店と注文客の自宅が密集しているような都心エリアはブーストの対象になる場合も多く、ランチタイムやディナータイムの配達を多くこなすことで効率的に稼げます。
都心エリアは競争激化の様相
ウーバーイーツ対象エリアの中でも東京都心部は最も稼げるスポットと言われてきましたが、最近は新型コロナウイルスの影響と見られる異変が生じています。東京で配達員をしている人の間では、緊急事態宣言が発令されて以降にかえって「稼げなくなった」という声が出てきているのです。
飲食店の営業自粛や外出自粛の動きが広がっている中では、ウーバーイーツの需要が増えている点に変わりはありません。東京では需要拡大を上回るペースでウーバーイーツ配達員の数そのものが急増しているため、1人当たりに割り当てられる配達量が減るという皮肉な結果が生じているのです。
東京都内でも郊外エリアは都心部より配達員が少ない可能性もありますので、電車で移動して自転車シェアサービスを利用しながら現地で配達して稼ぐという手もあります。ドコモシェアのウーバー特別会員プランなら、月額4,000円で電動アシスト自転車が1日4時間まで乗り放題です。
大阪エリアなど他の対象地域では東京ほど配達員が極端に増えていないため、ウーバーイーツ需要増の恩恵を受けられる可能性があります。ただし東京都以外のエリアは受取料金と受渡料金が低めに設定されていますので、効率的に稼ぐには数をこなす戦略も必要です。
現金払いの受け付けをONにした方が稼ぎやすい?
ウーバーイーツ配達員はクレジットカードまたはデビットカードを登録することで、現金払いの配達にも対応できるようになります。カードを登録していない人でも、配達を100件以上こなしていれば現金払いの受付が可能です。
大阪エリアでは現金払いを受け付ける設定にした方が配達依頼も多く入り、効率よく稼げる傾向が見られました。東京エリアでも配達員が急増して1人あたりに割り当てられる配達依頼が減っているだけに、現金払いをONにした方が稼げるようになる可能性があります。
現金払いの配達に対応する際にはお釣りの受け取りを伴うため、釣り銭の準備も欠かせません。釣り銭が足りなかったりするトラブルも発生しているせいか、現金払いをONにすると評価が下がりやすいという口コミも見受けられます。
新型コロナウイルスへの感染を警戒して、最近は配達員と顔を合わせずに済む置き配を選ぶ依頼客も少なくありません。そうした事情もあって、現金払いをOFFに設定している配達員が全体の5割以上に達する地域もあります。配達件数がなかなか伸びないという場合は、現金払いを敢えてONにしてみるのも1つの手です。天候などの条件で注文の多い日や時間帯は現金払いをOFFに設定し、少ない日のみONにして配達数を増やしている人もいます。
ウーバーイーツ配達員の副業まとめ
当初のウーバーイーツ対象エリアは東京や大阪などの大都市が中心でしたが、2021年5月時点で35都府県に拡大中です。このままのペースでサービス拡大が続けば、いずれは全国を幅広くカバーするようになる可能性があります。配達パートナーとして登録していればどのエリアでも働けますので、引越し先でも副業を続けられるのがウーバーイーツの強みです。
東京都心などは配達員の急増で稼ぎにくくなったとも言われていますが、生活様式の変化に伴って今後も加盟店の拡大が予想されます。競争相手が増えた中で稼ぎを維持していくには、ブーストやクエストを上手に利用しながら効率よく配達をこなす工夫が欠かせません。これまでは飲食店のアルバイトが副業の定番とされてきましたが、これからの時代はウーバーイーツ配達員が主役になりそうな予感がします。
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