傾聴できない人の4つの特徴とは?原因と克服方法について考察

耳を傾けている人の石像学び

医療や福祉の分野で重要な役割を果たしている「傾聴」は、ただ相手の話を聴くだけで簡単な仕事のように思われがちです。実際には相手がなかなか心を開いてくれなかったりして、この仕事には意外な難しさがあります。

筆者も以前の仕事で傾聴の必要に迫られながら、うまくできないことで悩んでいました。自分では聞き上手のつもりでいたのに、傾聴できないのはどうしてなのでしょうか?

原因と解決方法について調べてみましたところ、傾聴できない人には4つの共通した特徴が見られることがわかってきました。傾聴のスキルは医療・福祉や教育の分野だけでなく、あらゆる分野の仕事でも重視されるようになってきている状況です。傾聴できない人の特徴を把握した上で、傾聴を妨げている原因を克服する方法について考察してみました。

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傾聴できない人の特徴

「相手の話に耳を傾けて熱心に聴くこと」を意味する傾聴は、とりわけ医療や福祉の分野で働く人たちに求められるスキルです。教育の分野でも傾聴スキルは必須とされていますが、これらの仕事をしている人の全員が聞き上手とは限りません。生徒の話を聴くのが得意な先生もいれば、そうでない先生もいます。

傾聴を苦手とする先生に対しては、何か悩み事があっても相談しにくいという生徒が多いものです。医療や福祉の分野でも同様で、仕事をする上でどうしても傾聴がうまくできないという悩みを抱えている人たちがいます。

筆者が以前従事していたのは小売業ですが、店長職になると傾聴力が求められる場面も出てきます。来店客(特にクレーム客)や部下に対する「聴く力」があるのとないのでは、店の責任者として任務を果たすのにかなりの差が出てくるからです。

同じ悩みは小売業や接客業だけでなく、あらゆる業界の仕事にも当てはまります。日常生活においても夫婦や家族・友人などと良好な関係を維持していくためには、誰でも多かれ少なかれ傾聴力が必要です。

無愛想な看護師

職場も含めた人間関係でトラブルを抱えている人の中には、相手や自分自身にこうした傾聴力が不足している場合も少なくないと見られます。傾聴を妨げる要素がわかれば仕事に役立つだけでなく、人間関係の悩み解決にもつながるはずです。

筆者はそのように考えて、傾聴に関する本を読みあさってきました。古宮昇氏の著した『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』という本には、「傾聴を妨げる心の動き」という章があります。章の前半部分は傾聴の相手がなかなか話してくれない心理について取り上げていますが、後半部分は自分自身の傾聴を妨げる心理が解説されています。他の解説書に書かれてある内容も勘案した結果、傾聴できない人には以下のような4つの特徴があることがわかってきました。

  1. 自分が中心という思考回路から抜け出せない
  2. 「人はこうあるべき」という思いが強すぎる
  3. 聴き手自身が心に傷を抱えている
  4. 物事に集中するのが苦手

それぞれの特徴について、傾聴がうまくできない理由を考察してみました。

自分が中心という思考回路から抜け出せない

傾聴に当たっては相手を1人の独立した人格として尊重し、相手の立場になって共感することが最も大切です。傾聴の名人は共感の達人でもありますが、どこまでも自分本位の思考回路から抜け出せないという人もいます。このような人が傾聴をしようとしても、本当の意味で相手の立場に立って物事を考えることができません。

悩み事を相談された場合でも、相手を救ってあげようという意識が強すぎると傾聴にはかえって逆効果です。相手は必ずしも問題の解決を望んでいるとは限らず、単に愚痴を聴いてほしいという場合もあり得ます。そのような相手に対して「こうすればいいんじゃない?」などとアドバイスをしても、相手の心は満たされないままです。

ただひたすら話を聴いてあげることに徹するべき局面で、余計なアドバイスをしてしまう人にはどのような心理作用が働いているのでしょうか?

鏡に写った自分を見る犬

悩みを抱える人を救うことで、自分自身が救われるという面もあります。何らかの満たれない欲求を持つ人が誰かを救ってあげれば、「自分は役に立つ人間だ」という事実を確認できるというわけです。これでは相手のためにする傾聴ではなく、自分が満足を得るためにする行為になってしまいます。

傾聴の場ではNGとされるアドバイスや説得を自重したとしても、自分が中心という思考回路から抜け出せないうちはうまくいきません。そういう自分本位の姿勢は、何気ない態度や話しぶり・表情などに出てしまいます。
心から共感してくれていないと察知した聴き手に対しては、相手も心を開いてくれません。傾聴の場にあってはどこまでも相手ファーストに徹し、無私の心で相手の話に耳を傾けるのが理想です。

「人はこうあるべき」という思いが強すぎる

正論を掲げる人

傾聴できない人にありがちな2つ目の特徴は、「人はこうあるべきだ」という思いが強すぎる人の例です。正義感が強い人や倫理的に潔癖な性格の人ほど、傾聴の仕事では苦労する可能性があります。

傾聴とは相手の話に耳を傾けるのが目的で、指導や説得を試みる場ではありません。「話を聴いてほしい」という相手の欲求を満たしてあげることで、話す前よりも相手の気持ちを楽にしようとするのが目的です。

話の内容によっては倫理的に見て問題があると感じる場合や、生き方が間違っていると感じる場合があるかもしれません。そんな相手に対してもアドバイスや指導をせずに、ただひたすら話を聴くのが傾聴の基本です。

そういう場合に「人はこうあるべきだ」という思いが強すぎる人は、ついつい余計な一言を口にしてしまいます。その途端に相手は自分が否定されたと感じ、口を閉ざしてしまう結果に終わりがちです。たとえ話の内容が自分の倫理観や道徳観に反していても、傾聴の際には相手をありのまま受け入れる姿勢が求められます。世の中には多様な価値観を持つ人が存在することを認め、相手の身になって思いを共有しようとする心がけが大切なのです。

聴き手自身が心に傷を抱えている

傾聴の仕事をしていると、相手の話に恐れを抱いたり不愉快に感じたりするような場合もあり得ます。過去に自分自身が味わったつらい経験と重なる話を聴くのは、聴き手にとっても精神的な負担が大きいものです。

自身も似たような体験を持っていれば相手に共感できそうなものですが、その体験がつらすぎる場合は話を聴くどころでなくなってきます。こうなると自分の中にさまざまな感情が湧き出てしまってコントロールが難しくなり、相手の話も上の空になってしまうからです。過去のつらい経験に由来する心の傷が癒やされないまま今に至っている人は、相手の話に飲み込まれて冷静ではいられなくなってしまいます。

トラウマを引きずっている人のイメージ

傾聴を通じて話し相手に満足を与えられる人は、まず自分自身の心が健康であるというのが必要条件です。人は誰でも多かれ少なかれ心に傷を抱えているものですが、傾聴の仕事に耐えられるかどうかは傷の程度によります。
前述の『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』には、共感的理解ができない原因を以下のように表現していました。

自分が一緒に溺れてしまっては、他人を助けることはできません。
出典:古宮昇『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』(ナツメ社)

思い当たる節のある人は一度心療クリニックを受診し、心の傷を癒やしてから傾聴の場に臨むことをおすすめします。

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物事に集中するのが苦手

以上のような3つの特徴がいずれも当てはまらないという人でも、実際に傾聴の場に臨んでみるとうまくできなかったという場合はあり得ます。どちらかと言うと話し上手より聞き上手で、普段からあまり自己主張しないような人が必ずしも傾聴に向いているとは限りません。

傾聴はただ話を聴いているだけの仕事に見えて、実際には思ったよりもエネルギーを使う行為です。話を聴いている間は相手の一挙手一投足に絶えず集中している必要があるだけに、話が長くなってくると神経が疲れてしまいます。

疲れた女性

傾聴を始めて最初のうちはうまくいっても、相手が途中から話をしてくれなくなったという結果もあり得ます。このようなケースでは、聴き手の微妙な変化を相手が敏感に察知した可能性もあります。「あなたの話を聴いていますよ」というサインが鈍ってくると、せっかく開きかけた心の扉が再び閉ざされてしまうからです。

1つのことに集中するのが苦手な人は、同じ作業を長時間続けるのが苦痛で仕方がありません。そういう人が傾聴で聴き手の役目を務めるとしたら、相手に共感しながら耳を傾ける姿勢を維持するのに大変な努力を要するのは当然です。努力家であれば克服も十分に可能ですが、物事に集中するのが苦手でない人に比べればハンディがあります。

「傾聴できる人」になるには?

物事に集中するのが苦手な人以外でも、努力しだいでは「傾聴できない」という状態から脱却することは可能です。傾聴を妨げる他の3つの原因は、相手ファーストの姿勢に徹しきれないという点で共通します。自分を二の次にして物事を考えられないという根本姿勢さえ改めれば、3つの原因を一挙に克服することも可能になってくるはずです。

世の中には自分以外にも多くの人間が存在していて、1人1人違った価値観や道徳観を持っています。このことを絶えず念頭に置いていれば、どのような人に対してでも相手を尊重しようという意識が出てきます。

「人はこうあるべきだ」という考えを、持ってはいけないということはありません。そういう道徳観が強すぎる場合に、傾聴の妨げになるというだけの話です。自分なりの理想像を内に秘めていても、傾聴の場にあっては表面に出さないように訓練を積む必要があります。

「thinking of you」と書かれた絵

傾聴の妨げになるほどの心の傷を自分自身が抱えているかどうかについては、自分で自分の心を探ってみて確かめるしかありません。実話に基づくドラマやドキュメンタリー番組を視聴したり、他人が書いた体験記を読んだりしてみるのも1つの手です。

つらい経験を扱った作品を見たり読んだりしていて必要以上に感情が高ぶってしまう場合は、自分で気がつかないうちに心の傷を抱えている可能性があります。心の傷は心理療法で治療することも可能ですので、心当たりがある人は医師に相談してみるといいでしょう。

傾聴に必要な集中力を身につけることに関しては、仕事や趣味の活動に没頭した経験のある人ならそれほど難しくはないはずです。トップアスリートやプロ棋士などと違って、人並み外れた集中力を傾聴の活動に求められるわけではありません。

「うなずきや相づちを入れる」「相手の言葉を繰り返す」などといった傾聴の実践テクニックに関しては、傾聴力とはどんなスキル?仕事に活かす傾聴のコツを解説で詳しく解説しておきました。

「傾聴できない」を克服すれば副業にも役立つ!

スキルマーケットのイメージ

以上のような努力で「傾聴できない」状態から脱却すれば、医療や福祉関連の仕事にも取り組みやすくなります。収入を得るための仕事でなくても、傾聴ボランティアとして活動しながら社会の中で重要な役割を果たしている人たちは少なくありません。そうした専門職以外でもサービス業や小売業から営業職に至るまで、あらゆる仕事をする上で傾聴のスキルが役に立ってきます。

傾聴できる人になれば本業の仕事だけでなく、「話し相手を務めるだけのバイト」を副業の手段にすることも可能です。世の中にはお金を払ってでも「愚痴を聞いてほしい」「話し相手になってほしい」という人が数多く存在します。悩み相談の仕事になると解決方法まで示してあげるのが一般的ですが、相談を受ける過程で傾聴のスキルが大いに役立ちます。

話し相手を務める仕事でも、悩み相談を受ける場合でも、自分の都合がいい時間を指定することは可能です。空き時間を上手に活用することで、会社員や主婦の副業として収入が得られるようになってきます。

リスニングスタッフを募集している愚痴聞きサービスの中には、仕事を始めるのに初期費用が必要な場合があるという点には注意が必要です。そのへんの事情については、愚痴聞きサービスは危険なバイト?在宅で安全に稼げるかどうかを検証で詳しく解説しておきました。

傾聴できない人の特徴まとめ

傾聴の仕事がうまくいかない場合には、相手ではなく自分自身に原因がないかどうか疑ってかかる必要があります。その人の性格や考え方・過去の経験によって、傾聴に向いている人とそうでない人がいるからです。書籍から得た知識に基づいて筆者なりに考察した「傾聴できない人の特徴」は、以下の通りです。

  1. 自分が中心という思考回路から抜け出せない
  2. 「人はこうあるべき」という思いが強すぎる
  3. 聴き手自身が心に傷を抱えている
  4. 物事に集中するのが苦手

傾聴がうまくできない原因さえ自分でわかっていれば、努力しだいで克服も可能です。自分を二の次にして相手を最大限に尊重するよう心がけることで、傾聴できない状態からの脱却は大きく前進します。傾聴できる人になれば人間関係の改善や副業にも役立ちますので、自分のやれることからチャレンジしてみるといいでしょう。

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