読書好きの人にとっては天職とも言える仕事の1つに、「読書代行」のサービスがあります。2017年頃にテレビで取り上げられて話題になりましたが、少なくとも2011年頃から存在していました。普通はお金を払ってする読書で逆にお金を稼げるとすれば、まさに夢のような仕事です。
ところが現実はそれほど甘くはありません。いざ読書代行の仕事をしたいと思っても、アルバイトの求人がなかなか見つからないからです。
当ブログではさまざまな副業を紹介してきた中で、代行の仕事も30種類以上取り上げてきました。インターネットで求人が募集されていなくても、その気になれば自分で仕事を作り出すことは可能です。
そこで今回は、数ある代行業の中でも変わり種に属する読書代行の求人募集状況をまとめてみました。読書代行を副業にする手段は2パターンほど考えられますので、記事の後半でやり方を詳しく解説です。三度の飯より本を読むのが好きな読書家なら、記事で紹介する方法を実践することで収入が増やせるようになります。
読書代行バイトの求人募集状況
この記事を書くに当たって、主要なアルバイト求人サイトで「読書代行」の求人を検索してみました。求人広告型のサイトで募集が見つからなかったのは、筆者としても想定の範囲内です。
Indeedや求人ボックスなど求人情報に特化した検索エンジンですら、条件と完全に一致した求人は見つかりませんでした。サービス内容に読書感想文代行を含む宿題代行業者はいくつか存在しますが、現在も代行スタッフを募集している会社はないようです。
結婚式代理出席や家族代行・サクラ代行など多種多様な代行サービスを提供しているファミリーロマンスでも、HPの「代行サービス一覧」に読書代行は見当たりません。無料掲示板のジモティーには「アルバイト」のカテゴリもありますが、やはり「読書代行」を募集する投稿は見つかりませんでした。
在宅ワークに強いクラウドワークスやランサーズですら、読書代行の案件は掲載されていない状況です。残念ながら「アルバイトの求人」という形では、企業が読書代行のスタッフを募集することはないものと結論付けるしかありません。
読書代行のアルバイト求人が見つからない理由
アルバイトの求人が見つからないわりには、読書代行の仕事で収入を得ている人は存在する模様です。ホームページで読書代行の仕事を募集している個人や、仕事をした経験についてブログで投稿している人がいます。
そもそも読書代行とは、依頼主から指定された本の要約文や感想文などを納品する仕事です。オプション次第で仕事内容は変わってきますが、依頼主の代わりに本を読むところは共通します。
運転代行や家事代行など代行業として確立されているのは、一般に「仕事」と見なされている作業を代わりにする仕事です。読書のように「趣味」と見なされている活動に関しては、代行業が確立されていません。「プラモデル製作代行」や「ジグソーパズル作成代行」などと比べても、読書代行はマイナーな代行業だと言えます。
ビジネスモデルとして確立されていないせいか、読書代行を事業として手がけている企業はほとんど存在しない状況です。アルバイトの求人は企業や店舗が募集するものですので、読書代行のバイトを求人サイトで検索しても見つからないことになります。
一方で世の中には、「読みたい本はあるけれど、忙しくて読んでいる暇がない」「難しい専門書を代わりに読んで内容を教えてほしい」などという隠れた需要は存在するはずです。読書代行を仕事にして収入を得ている人は個人で活動しながら、そうした需要を持つ人とコンタクトを取っています。読書代行の仕事だけで食べていけるほどの金額を稼ぐのは難しいことから、ほとんどの人は副業でやっているものと推定されます。
読書代行を副業にする方法
企業が募集するアルバイトの求人はなかなか見つかりませんが、個人で活動して読書代行の仕事をすることは可能です。本業の仕事にするほどの収入は稼げなくても、副業の手段には十分になり得ます。個人事業主として読書代行の仕事を募集し、お客さんと直接契約を交わして依頼を受けるスタイルです。
読書代行の需要が豊富にあるなら、企業が放っておくはずがありません。企業が扱っていないということは、個人のレベルでも仕事獲得の難易度は高いと予想されます。簡単に稼げる副業とは言えませんが、手段がないわけではありません。
実際に読書代行を仕事にしている人のやり方を見ると、以下のような2つのパターンに分けられます。
- スキルマーケットにサービスを出品
- ブログやSNSで依頼人を募集
それぞれのやり方について、詳しく解説していきます。
スキルマーケットにサービスを出品
「スキルマーケットって何?」という人でも、ココナラと言えばCMで目にしたことがあるかと思います。
スキルマーケットはモノではなくスキルを商品にして、ネット上のフリーマーケットで販売できるサイトです。ココナラが代表的な存在で、ほかにタイムチケットやSKIMA(スキマ)といったサイトがあります。
アルバイト求人サイトで見つからなかった「読書代行」の検索結果が、スキルマーケットでは何件かヒットします。この記事を書いた時点ではココナラで57件、タイムチケットでも4件がヒットしました。SKIMAには「読書代行」の出品はありませんが、「読書感想文」の検索結果は17件ほど表示される状況です。
ココナラの57件には、読書代行以外の関連サービスも検索結果に含まれています。実質的な件数は半分程度に減りますが、読書代行のサービスを出品している人が実在するのは間違いありません。
ココナラのようなスキルマーケットは、基本的に個人対個人の取引でサービスを提供するのが基本です。企業がカバーしきれない隠れた需要にこたえていくには、またとないプラットフォームだと言えます。
料金設定は2,000円~3,000円前後が多く、指定された本の購入代金は別に請求するのが一般的です。納期は1週間程度という人が多いですが、3倍や5倍といった特急料金を設定している例も見られます。
ただし、スキルマーケットにサービスを出品さえすれば必ず稼げるというわけではありません。「読書代行」の出品が最も多いココナラですら、販売実績がある出品者は全体の半分以下です。
単に「あなたの代わりに本を読みます」「読書代行いたします」というだけでは、お金を払ってまでして仕事を依頼してくれる人はなかなか現れません。ココナラで販売実績があるのは、以下のようなオプションを付けている人たちです。
- 読書感想文のアドバイスをする
- 依頼人が書いた小説の下読み
- 書評ブログ掲載用の記事を代わりに執筆
読書感想文のアドバイスをサービス内容に入れる際には、スキルマーケットの規約に注意が必要です。ココナラの利用規約で、以下の行為は出品が禁止された「公序良俗に反するサービス」に該当します。
出品禁止行為
・学校の課題(宿題、レポート等)を代行するサービス
自らがやるべきものを対象とした個人の能力を証明する宿題・課題・試験・レポート等の代行サービスは出品できません。また、例文や解答例であっても「そのまま提出が可能な納品物を提供する行為」は違反行為に該当します。
[NG例]
・「夏休みの宿題で出された読書感想文を代行します」
・「大学の課題で出されたレポートを作成します」
・「学生向けサービス!課題の回答例を書きます」
(出典:公序良俗に反するサービス ? ココナラヘルプ)
タイムチケットやSKIMAでも、公序良俗に反するチケットやサービスは出品禁止となっています。学校の宿題で出された読書感想文を代理で執筆するようなサービスは、スキルマーケットで出品NGと考えた方がいいでしょう。読書感想文が想定される場合は、あくまでもアドバイスやサポートの範囲内にとどめるのが無難です。
ブログやSNSで依頼人を募集
読書代行の仕事を副業にするもう1つの手段は、自身のブログやSNSを通じて依頼人を募集するやり方です。ココナラやタイムチケットのような既存のプラットフォームに頼らず、まったくの自力で集客する必要があります。
上場企業が運営するココナラはかなりの集客力を持つだけに、個人のブログやSNSはどうしても不利な立場です。フォロワーを多く持つインフルエンサーでもない限り、個人が相手でも簡単には仕事の依頼を獲得できません。
依頼人さえ見つかれば、スキルマーケットを利用するより有利な部分もいろいろと出てきます。売上から引かれる手数料の部分をゼロにできるという点は、ブログやSNSで集客するメリットの1つです。
ココナラを通じてサービスを提供した場合、売上の22%が販売手数料として引かれます。タイムチケットの手数料は売上の金額に応じて16.5%~27.5%、SKIMAは11%~22%です。集客力のあるプラットフォームを利用できて決済も代行してくれるだけに、それくらいの経費は仕方がありません。
ブログやSNSを通じて仕事を獲得した場合は手数料がかからない代わりに、集客にかなりの努力が必要です。料金をやり取りする決済の手段も、自分で用意しなければなりません。
スキルマーケットを利用するのと比べて稼ぐハードルは高めですが、サービス提供の自由度が高いところはブログやSNSで集客するもう1つのメリットです。スキルマーケットで利用規約に抵触するようなサービスでも、法律に違反しない限りは自由に提供できることになります。実際に「読書代行」のGoogle検索結果で上位に表示されたサイトでは、「読書感想文代行」もサービス内容の1つとなっていました。
いかにも個人が運営しているという感じのブログではなく、企業並みにホームページを作成した方が信頼されやすいかもしれません。ブログは時系列に沿って記事を投稿するスタイルですが、ホームページは固定ページで構築するという違いがあります。多くの個人ブロガーが利用しているWordPressでも、固定ページは作成可能です。
もちろんブログやSNSでも、上手に運用すれば集客の手段に使えます。読書代行の需要を持つ人(または企業)も決して多いとは言えませんので、読書の実績をアピールしながらの地道な運用が求められる仕事です。書評ブログを運営しながら、読書代行の仕事を随時募集している人もいます。
まとめ
読書代行の仕事で一番手っ取り早く稼げるのは、学校で出された読書感想文を代わりに作成する仕事です。集客力のあるココナラのようなスキルマーケットでは、学校の課題を代行するサービスの出品が禁止されています。
その他の代行業者でも信頼のおける企業で、読書感想文代行のサービスを提供しているところはほとんどありません。求人を募集する企業がないのでは、読書代行のアルバイトも見つからないわけです。
ブログやSNSを利用すれば、スキルマーケットを通さずに仕事を請け負うこともできなくはありません。読書感想文を含む宿題代行サービスに対しては、教育現場や識者から批判の声が上がっています。
読書代行の仕事で稼ごうと思えば、公序良俗の問題と直面することも避けられません。仕事を引き受けてから後悔しないように、モラルの部分をよく考えてから始めることをおすすめします。
批判の声が多い読書感想文の代行以外でも、読書代行の需要はいろいろとあるはずです。ビジネス書の要約や本の内容に関連したコーチングなど、社会人向けの需要を掘り起こしてみるといいでしょう。