PR

家庭菜園の野菜を販売するのは違法?許可が必要なケースを解説

家庭菜園の野菜を販売するのは違法?許可が必要なケースを解説 副業
記事内に広告が含まれています。

家庭菜園で採れた野菜は自分で食べるだけでなく、欲しいという人に販売してお金に換えることも可能です。趣味と実益を兼ねた副業にもなり得ますが、農家でもない素人が野菜を売るのは法律的に見て大丈夫なのでしょうか?

そんな心配はご無用です。家庭菜園で採れた野菜の販売そのものは、決して違法ではありません。プロの農家でなくても、趣味で作った野菜や果物を売って副収入を得ることは十分に可能です。

農作物にプラスアルファの付加価値をつけて販売しようという場合には、許可が必要なケースも出てきます。そこで今回は野菜や果物の販売で違法になるケースについて、許可を得る方法と合わせて基本情報をまとめてみました。

趣味の家庭菜園を副業にしたいという人も、この記事を読めば安心して販売できるようになります。

スポンサーリンク

家庭菜園で採れた野菜の販売そのものは違法でない

野菜の無人販売所

野菜や果物などの農産物は、「プロの農家でないと売ってはいけない」などという法律はありません。農家が法律面で優遇されているのは事実ですが、農産物の自由市場は農家以外の個人にも解放されています。収穫した野菜をそのまま販売するのであれば、違法性に問われることもありません。

ただし販売方法によっては、農産物を売るのに許可が必要なケースがあります。違法と判断されるのは、必要な許可を得ていなかったという例が大半です。フリマアプリや通販サイトを通じて野菜をネット販売する際の注意点については、記事の後半で詳しく解説します。まずは販売に許可が必要になるケースについて、3種類の販売方法に共通するポイントを見ていきましょう。

スポンサーリンク

家庭菜園の野菜を販売して違法になるケース

レッドカードを掲げる弁護士と六法全書

地方に行くと、道路沿いなどに野菜の無人販売所が設置されているのをよく見かけます。自分の土地ではない他人の所有地や公道に無断で販売所を設置し、家庭菜園で採れた野菜を売るのは言うまでもなくNGです。自宅の敷地内など自分の所有地に販売所を設ける場合や、他人の土地であっても許可を得て販売するのであれば、法律上の問題はありません。

家庭菜園の野菜を売って違法にならないのは、あくまでも「採れた野菜をそのまま販売する」場合の話です。収穫したままの状態だと売れにくいせいか、いろいろな工夫を凝らして野菜を販売している人も少なくありません。

野菜に高付加価値をつけて販売しようとすると、法に触れる可能性も出てきます。必要な許可を得ていれば合法の範囲内ですが、無許可で販売すれば違法になるのは当然です。販売に許可が必要なケースとして、以下の3つの事例が挙げられます。

  1. 有機栽培や無農薬と表示して販売するケース
  2. 野菜を加工して販売するケース
  3. 登録品種の種や苗を販売するケース

それぞれ詳しく解説します。

有機栽培や無農薬と表示して販売するケース

プロの農家は作物を効率的に収獲する目的で、化学肥料や農薬を使用するのが一般的です。化学肥料を使用しない有機栽培の野菜や、農薬不使用の野菜が健康志向の人たちから人気を集めています。

プロの農家ほど効率性が重視されない家庭菜園では、化学肥料や農薬を使用しな自然栽培で野菜を育てている人も少なくありません。自然栽培で収穫した野菜を販売する際に、「有機栽培」「無農薬」などと表示できれば売れやすいと思いがちです。

実際には「有機栽培」や「無農薬」「減農薬」など、高付加価値につながる表示のハードルは高く設定されています。素人が家庭菜園で作った野菜の販売で適用するのは、極めて困難な状況です。販売する野菜に「有機栽培」と表示するには農林水産省に申請し、検査認証を受けて「有機JASマーク」を取得する必要があります。

生ゴミを堆肥にするコンポスト

農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」によると、「無農薬」「減農薬」といった表示は優良誤認を招きやすいという理由でNGです。農薬を使用せずに栽培した点を販売時にアピールする際には、「農薬:栽培期間中不使用」と表示するしかありません。

以上の規定に反して販売した場合、家庭菜園の野菜と言えども違法性に問われる可能性があります。どうしても「有機栽培」と表示したい場合は農林水産省に申請して、有機JAS認証の書類審査と実地検査を受けてみるといいでしょう。

野菜を加工して販売するケース

野菜の付加価値を高める目的で何らかの加工処理を行う場合は、加工方法によって保健所の許可が必要なケースも出てきます。家庭菜園で採れた野菜を漬物や乾物にしたり、収穫した果物でジャムを作ったりするような事例です。それらは食品衛生法に規定された加工食品に該当するため、販売するには保健所に届け出をする必要があります。

令和3年に食品衛生法が改正されたことで、野菜や果物を加工して販売するための条件が厳しくなりました。収穫した野菜を洗って土を落としたり、不要な根を切り落としたりする程度なら、法律上の食品加工には該当しません。「家庭菜園で採れた野菜をそのまま販売する」範囲内に収まります。

乾燥野菜の形に加工する場合も営業許可は不要ですが、都道府県によっては届け出が必要です。漬物やジャム・ジュースなどの形に加工する場合は、保健所に届け出をした上で営業許可を受けないと販売できません。加工食品に該当すると判断される場合には、管内の都道府県に問い合わせてみるといいでしょう。

登録品種の種や苗を販売するケース

ホームセンターや園芸店などで売られている野菜の種や苗は、ほとんどが登録品種です。登録品種というのは種苗法に基づいて、農林水産省のデータベースに登録された野菜や果物などの品種を意味します。

令和4年に改正種苗法が施行され、農家が登録品種を自家増殖する際には育成者の許可が必要になりました。家庭菜園については趣味の範囲内で登録品種の種や苗を採取する限り、育成者の許可は不要です。

家庭菜園で採れた野菜を販売するとなれば、「趣味の範囲」を越える事例も出てきます。登録品種の種を採取したり苗を育てたりした場合に、その種や苗を第三者に販売するようなケースです。

著作権

農産物の品種にも音楽作品や小説・漫画などの著作権と同じように、育成者の知的財産権を保護する法律が適用されます。登録品種の種や苗を採取する行為は、作品をコピーして増やすのと変わりありません。個人の趣味の範囲内でコピーするだけならOKでも、著作権者に無断でコピー作品を販売するのは違法行為です。

著作権者の許可を得れば、コピーを販売できるようになります。登録品種の野菜や果物を栽培して採取した種や苗を販売する際にも、育成者を探し出して許可を得る必要があります。許可を得た上で登録品種であることをきちんと表示して販売すれば、違法にはなりません。

登録品種にも著作権や特許と同じように、有効期限というものが存在します。登録されてから25年(品種によっては30年)が経過すれば有効期限が切れ、許可を得ずに種や苗を販売できるようになる仕組みです。固定種や在来種など最初から品種登録されていない野菜や果物にも、こうした種苗法の規制は及びません。

家庭菜園の野菜をネット販売する際の注意点

ネット販売のイメージ

最近は農家の中でも収穫した野菜をJAに出荷せず、インターネットで販売する例が増えています。JAに出荷できない規格外の野菜を有効活用する目的で、ネット販売を始めた農家も珍しくありません。

家庭菜園で採れた野菜でも、同じ手段を用いればネット販売は可能です。BASESTORESカラーミーショップなど、個人でも簡単にネットショップを作成できるサービスが人気を集めています。

プロの農家ではない個人であっても、通信販売の手段を用いる場合は販売業者として特定商取引法の対象です。販売価格や代金の支払時期・方法、商品の引渡時期などの情報に加え、事業者の氏名・住所・電話番号もサイトに記載するよう定められています。消費者からの請求に遅滞なく提供できる状態にあれば、事業者の氏名・住所・電話番号などは表示を省略することも可能です。

メルカリやヤフオクなどを利用して野菜を販売する際には、個々の出品者がこうした表示をする必要はありません。同じ商品を継続的に反復して販売するような場合、フリマサイトへの出品でも販売業者と見なされる可能性はあります。余った野菜をフリマサイトで不定期に販売する程度であれば、特定商取引法の対象にはなりません。

まとめ

収穫したばかりの人参

野菜の販売ひとつにも、いろいろな法律が関わってくることが理解できたかと思います。家庭菜園で採れた野菜を加工せずにそのまま販売するだけなら、販売方法を間違えない限り違法にはなりません。

違法になるのは許可を得ないで「有機栽培」などと表示したり、野菜を加工したりして販売した場合の話です。登録品種の種や苗を採取して販売する際には、育成者の許可を得る必要があります。

個人でネットショップを設置して家庭菜園の野菜を販売する場合には、特定商取引法に基づく表示も必要です。現状ではメルカリやヤフオクのようなフリマサイトに出品する販売方法が、家庭菜園の野菜を売るのに最も手軽な手段だと言えます。

その代わりフリマサイトは同業のライバルが非常に多く、プロの農家による大量出品も少なくありません。価格競争も避けられませんので、少なくとも過去1年間の価格調査は欠かせません。野菜の販売が軌道に乗ってきたら、独自の販売ルート開拓につながるネットショップの開業も検討してみるといいでしょう。



タイトルとURLをコピーしました