ヒップホップやクラブミュージックといったジャンルの音楽では、バッキングトラックの制作を担当するトラックメイカーが欠かせません。楽曲の制作はパソコンを使って手軽にできるようになっただけに、副業の手段にしたいという人も少なくないかと思います。
たとえ副業であってもトラックメイカーを仕事にするには、楽曲の制作を何らかの形で収益化することが必要です。自身が制作した楽曲を販売または無償提供して収入を得るには、大きく分けて5つの方法が考えられます。それぞれのやり方と注意点について、収益化に利用できるサイトの情報をまとめてみました。この記事を読めば、趣味の音楽制作でお金を稼げるようになります。
トラックメイカーを副業にする方法
音楽業界ではトラックメイカーの仕事を本職にしているプロも存在しますが、バッキングトラックの制作だけで生計が成り立っている人はほんの一握りです。トラックメイカーを名乗っている人の多くは副業で、他に何らかの仕事をしているものと推定されます。
音楽に関連した仕事を本業にしている例が大半とも見られますが、音楽とはまったく関係のない普通の会社員の副業にもなり得る仕事です。良い楽曲を提供できるだけの才能さえあれば、本業でどんな仕事をしていようと関係ありません。
楽曲の制作作業そのものは主にパソコンを使用し、会社の仕事を終えて帰宅した後の夜間や休日に自宅で行うことも可能です。ラッパーや企業からの依頼で納期が指定されている場合は別ですが、基本的には自分のペースで楽曲の制作に専念できます。完成した楽曲の販売や配信も同様に、プライベートな時間を利用して行うのが一般的です。
楽曲の制作そのものについては今回の記事のテーマからは外れますので、別の機会に譲ることにします。今回は「制作した楽曲をどうやってお金に換えるか」という点がテーマです。いずれも副業での対応が可能な収益化のパターンとして、以下のような5種類の稼ぎ方が考えられます。
- 楽曲販売サービスを利用する
- ASPカートを使って販売する
- 個人レーベルを設立する
- 楽曲コンペに参加する
- YouTubeで楽曲を配信する
それぞれのやり方について、詳しく解説していきます。
楽曲販売サイト
トラックメイカーが収入を得る手段として最も多く利用されているのは、インターネット上の楽曲販売サイトです。以下のような音楽配信代行サービスは、プロのミュージシャンにも利用されています。
いずれもApple MusicやSpotify・Amazonなど、主要な音楽配信サービスに楽曲を配信できるのが特徴です。アマチュアでも楽曲の配信は可能ですので、副業のトラックメイカーとして収入を得る道が開けてきます。
Bandcampはインディーズ・アーティストが中心で、無名の個人でも楽曲を販売しやすい配信サイトです。ヒップホップなどのダンスミュージックに関しては、BeatStarsやAirbitなど海外のビート販売サイトもよく利用されています。
海外の販売サイトは敷居が高いという人には、ココナラのような国内のスキルマーケットでトラックを販売するという手もあります。「ヒップホップのトラック制作します」などという形で、注文に応じてトラックを制作するというサービスを出品する販売方式です。
この他にもAudiostockやAudioJungleなど、BGMや効果音などロイヤリティフリーの音声素材を扱うダウンロードサイトに楽曲を提供するという稼ぎ方も考えられます。
ASPカート
以上のような楽曲販売サイトに頼らず、自分で販売サイトを立ち上げてトラックをダウンロード販売するという手もあります。個人が利用できるネットショップ作成サービスの多くは、音声トラックのようなデジタルデータの販売に対応しているからです。
ASPカートとも呼ばれるネットショップ作成サービスを利用すれば、決済機能が最初から組み込まれています。簡単な操作で楽曲のダウンロード販売サイトを構築できますので、Webデザインやプログラミングの専門知識は必要ありません。
以下のようなASPカートには、初期費用・月額料金無料のフリープランが用意されています。
楽曲販売サイトの中にも「何トラックまでは手数料無料」というサイトはありますが、無料で配信できるのはせいぜい10トラック程度です。ASPカートを利用すればそういった制限もありませんが、コンテンツが売れた場合には売上から手数料が引かれます。
ASPカートの決済手数料はフリープランでも5%前後で、他の楽曲販売サイトよりは手数料が少なく済みます。有料プランは手数料が低く設定されていますので、販売が軌道に乗ってきたら有料プランへの移行も検討してみるといいでしょう。
BeatStarsのようなプラットフォームを利用する場合と比べ、ASPカートを利用したトラックの販売は集客面が課題となってきます。SNSやYouTubeなどを活用して情報発信しながら、自分の販売サイトにフォロワーを誘導するのが常套手段です。
個人レーベル設立
稼ぐハードルは楽曲配信サイトやASPカートより高めですが、個人でインディーズレーベルを設立するという選択肢もあります。ホームページ上やSNSなどで「レーベルを設立しました!」と宣言してしまえば、設立そのものは意外と簡単です。あとは前述の音楽配信サービスを利用して楽曲を配信するなり、昔ながらのやり方で自主制作CDを発売するなりして、収益化を目指していくことになります。
後者の場合はCDジャケットのデザインやCDプレスなどの工程で、それぞれの専門業者を利用するのが一般的です。自主制作CDを流通させるにはUltra Vybeのようなディストリビューターを利用する方法と、Amazon e託販売サービスを使って委託販売する方法があります。いずれも発売したCDが売れなければ赤字になるリスクはありますが、個人でもレーベルを設立してCDを販売できるという点では夢のある稼ぎ方です。
楽曲コンペ
個人レーベル設立より稼ぐハードルはさらに高くなりますが、企業などが募集する楽曲コンペに参加して賞金獲得を狙うという手もあります。トラックメイカーを対象とした楽曲コンペの中には、高額賞金がかかる例も少なくありません。最近は大手プロダクション所属のアイドルグループでも、楽曲にヒップホップやラップを導入するケースが増えています。
コンペに参加しても採用されなければ1円も稼げないため、副業の手段とするには確実性の低い方法です。募集状況は随時変動していますので、GoogleやYahoo!で「トラックメイカー コンペ」などのキーワードで検索して最新情報をチェックしてみるといいでしょう。
YouTube配信
トラックメイカーを副業にする手段の最後に紹介するのは、動画投稿サイトのYouTubeを利用した楽曲の配信です。
先に紹介した楽曲販売サイトと違って、YouTubeに投稿した楽曲は基本的に無料で公開することになります。自分が制作したトラックを有料販売するわけではありませんが、YouTubeにはクリエイター向けの収益化プログラムが用意されています。パートナープログラムへに加入すれば、楽曲を無料で公開しても広告収入で稼げるようになる仕組みです。
他にも投げ銭や企業案件などでYouTubeの収益化は可能ですが、無料で利用できるフリートラックには大きな需要が期待できます。良質なトラックを無料で公開していればチャンネル登録者数も1,000人以上集まり、パートナープログラムの加入条件をクリアできるようになるはずです。
同じように楽曲を無料で公開して広告収入が得られるサイトとして、音声ファイル共有サービスのSoundCloudがあります。楽曲を有料販売するより無料で公開した方が利用されやすいのは明らかですので、自作のトラックを収益化する手段として広告収入は侮れません。
まとめ
トラックメイカーを副業にして収入を得るための手段について、5種類の稼ぎ方を紹介してきました。有料販売がいいのか、それとも無料で公開して広告収入で稼ぐのがいいのか、優劣については意見が分かれるところです。
どれも簡単に稼げるというわけではありませんが、ヒップホップアーティストやラッパーは常に新しいバッキングトラックを求めています。需要があるところへタイミングよく供給できれば、無名の個人が作ったトラックでも収益化は十分に可能です。今回の記事で紹介した方法の中から、自分に合った稼ぎ方を試してみるといいでしょう。