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デジタルアートを75億円で販売した技術とは?NFTの仕組みを解説

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デジタルアートは無劣化での複製が可能なため、アナログの手法で制作されたアート作品と違って高値では売れないというイメージもありました。そんなデジタルアート作品がNFTと呼ばれる技術で所有権を与えられ、高額で取引されるケースが出てきています。

最近では米国のアーティストが制作したデジタルアートのコラージュ作品が、大手オークションハウスで75億円という高値で落札されて話題を呼びました。この作品はNFTと呼ばれる技術を使って資産化されていたため、高額での販売が可能になっていたのです。

ゲームアイテムの売買にも利用されているNFTの仕組みについて、初心者にもわかりやすいように情報をまとめてみました。NFTアートを販売できるマーケットプレイスについても、記事の後半で最新情報を紹介します。

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デジタルアート作品が75億円で落札

世界最大手の美術品オークションハウスと知られるクリスティーズで、米国人アーティストのBeeple氏が制作したデジタルアート作品が75億円という驚異的な金額で落札されました。クリスティーズにデジタルアートが出品されるのは、250年を超える長い歴史の中で初めての出来事です。落札されたのは5,000枚にも及ぶ画像を組み合わせたコラージュ作品で、縦横1辺あたりのサイズは2万ピクセル以上にも達します。

ブロックチェーン活用のデジタルアート、75億円で落札 - 日本経済新聞
【ニューヨーク=吉田圭織】英競売大手クリスティーズは11日、「ビープル」として知られるマイク・ウィンケルマン氏の作品「エブリーデイズ:最初の5000日間」が約6930万ドル(約75億円)で落札されたと発表した。デジタル化された同作品は作者や...

作品を制作したBeeple氏は2007年から14年間にわたって、デジタルアート作品を毎日公開し続けてきました。75億円で落札されたコラージュ作品は14年分の5.000作品を1つにまとめた巨大データの集積物で、画像を拡大することで1つ1つの作品を鑑賞できるように作られています。

落札されたデジタルアート作品の支払いで、暗号資産(仮想通貨)のイーサリアムが利用されたという点も画期的な出来事です。Beeple氏は2020年の末にも同じように複数のデジタルアート作品を組み合わせて出品し、日本円にして約3.6億円で落札されています。

デジタルアートの高額販売を可能にしたNFTとは?

NFTというのはNon-fungible tokenの略で、「非代替トークン」を意味する英語です。NFTにはブロックチェーンの技術が応用され、デジタルデータでありながら複製できないように作られています。

ブロックチェーンと言えば、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)でも使われている記録方式です。NFTの技術で制作されたデジタルアート作品には、暗号資産の一種イーサリアムのブロックチェーンが利用されています。

トークンという言葉はプログラミングや通信用語でも使われていますが、この場合は暗号資産のような「代用貨幣」を意味する用語です。暗号資産は代替可能なのと比べ、NFTは同じものが世界に1つしか存在しないため代替ができません。本来いくらでもコピーできるデジタルアート作品にブロックチェーンの技術を組み込み、過去の取引データがすべて記録されているのがNFTの特徴です。

このようなNFTの技術を利用すれば、デジタルアートや動画・音楽などのデータを所有者と紐付けられるようになります。一種の認証コードのような役割を果たすNFTによってデジタルデータの所有権が保証され、大量のコピーが出回っても唯一無二の元データを「所有」することが可能になるというわけです。

デジタルアート作品は複製が容易なだけに、従来は所有権を担保するのが困難でした。ブロックチェーンの技術を使えばデジタルデータの所有権とその履歴がすべて記録され、誰でも検証できるため記録の改ざんは不可能です。ブロックチェーンの信頼性が機関投資家の間でも認められるようになったからこそ、2021年に入ってからビットコイン相場の高騰が続いているとも言えます。

こうしてアナログの手法で制作されたアート作品と同様に、デジタル作品にも「複製ではないオリジナル作品」であることが証明された一点物の価値が生じるようになります。NFTの仕組みを利用すれば、売却したデジタルアート作品が転売されるごとにロイヤリティが入るような設定も可能です。

NFTが利用されている分野

ゲームの分野では他に先行してNFTの導入が進み、ゲームのキャラクターやアイテムなどが取引の対象とされてきました。主にブロックチェーンゲームの分野でNFTアイテムの売買が活発に行われ、ゲーム資産を「所有」するという概念が生まれています。

同じイーサリアムを利用したブロックチェーンゲーム同士なら、ゲーム資産を他のゲームに持ち込んだりすることが可能です。ゲーム内の仮想空間にある土地区画もNFTを利用して売りに出され、1億円以上の高値で購入される例も出てきています。

米国プロバスケットボールリーグのNBAに所属するスター選手のシュートやブロックなど、名場面を集めた動画のNFT版も数千万円の高値で取引されている状況です。アニメやマンガ・Vtuberなど、NFTを使って販売されているデジタルコンテンツの分野は多岐にわたります。クリプトパンクと呼ばれる24×24ピクセルの絵文字が8億円で落札された一件も、NFTでデジタルコンテンツの希少性が証明された実例の1つです。

最近も2006年に投稿された世界初のツィートが、オークションに出品されたことで話題となりました。NFTの技術を使えばゲームアイテムから短文投稿まで、あらゆるデジタルデータに唯一の価値を付与し得ます。アートの分野では作品の売買で巨額のマネーが動いてきただけに、NFTの登場で大きな変革が起きるのではないかと注目されているのです。

NFTのジャンルについては、以下の記事で詳しく解説しておきました。

一攫千金も夢ではないNFTとは?9大ジャンルの最新情報を総まとめ
NFTは暗号資産(仮想通貨)と同様にブロックチェーンを利用したトークンですが、デジタルデータに唯一の価値を付与できる点で異なります。一攫千金も夢ではないNFTの可能性について、ゲームやアートなど9つのジャンル別に最新情報をまとめてみました。

NFTアートのマーケットプレイス

デジタルアート作品はいくらでも複製できるデータとして販売するよりも、複製が不可能な一点物の所有権として販売した方がはるかに高値で売れる可能性があります。そのためにはNFTアートの取引を行う場として、マーケットプレイスの存在が不可欠です。

日本国内ではNFTの認知度が高くなかったために、そうした取引を行う市場が整備されていませんでした。海外にはNFTのマーケットプレイスが複数存在しますが、その中でもOpenSeaは世界最大手の取引市場です。OpenSeaではデジタルアートだけでなく、ゲームアイテムやデジタルトレーディングカードも扱っています。

NFTアートを販売しようとする場合にも真っ先に名前が挙がる存在でしたが、OpenSeaで売買するには暗号資産のイーサリアムを保有している必要があります。大手暗号資産取引所のコインチェック傘下に入ったmiimeは、世界で初めて日本円による決済を可能にしたNFTアイテムの取引所です。これまでmiimeでは主にゲームアイテムの売買に利用されてきましたが、今後はデジタルアート分野にも利用拡大が期待されています。

最近になって日本国内でもNFTのマーケットプレイスが続々と誕生する動きが見られ、特にゲームアイテム売買の分野は活況を呈しています。日本初のNFTマーケットとして2021年にサービスが開始されたTOKENLINKでも、取引されているのはブロックチェーンゲームのアイテムが中心です。

そうした中で4月にリリースが予定されているnanakusaは、クリプトアーティストが参加できるNFTマーケットプレイスとして注目されます。この場合のクリプトアートはデジタルアートの一種で、NFTを利用したアート作品を意味します。

審査に合格して公認クリプトアーティストとして登録されれば、nanakusaでNFTアート作品を販売できるようになるという仕組みです。募集されているアーティストは美術ジャンルに限らず、作家やミュージシャン・動画クリエイターなど多彩なジャンルが対象に含まれます。

NFTのマーケットプレイスに関しては、以下の記事で最新情報をまとめておきました。

NFTのマーケットプレイス総まとめ!国内外の12サイトを一挙紹介
ゲームやアートの分野を中心に話題を呼んでいるNFTの取引を行うには、OpenSeaなどのマーケットプレイスに出品する必要があります。国内外でサービスを開始しているNFTマーケットプレイスを12サイト選び、それぞれの特徴をまとめてみました。

まとめ

コロナ禍で多くの美術館が休館や企画展の中止を余儀なくされ、多くのアーティストたちが作品発表の場を失いました。個展は作品が購入される機会でもあるだけに、コロナ禍はアーティストの生活にも大きな影響を及ぼしています。

ここに来てNFTアート作品の高額落札が相次ぎ、マーケットプレイスが続々と誕生しているのも、そうした背景と無関係ではありません。ちょうど文芸や書籍の分野に電子書籍が大きな変革をもたらしたように、デジタル作品に所有権と価値を与えるNFTがアートの世界を変えつつある状況です。億単位の高額落札には及ばなくても、デジタル作品の販売で収入を得られるようになれば、アートで生きる道も開けてきます。

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