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ワーケーションは究極の働き方改革?普及を阻む3つの問題点を解説

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新型コロナウイルスが再び勢いを取り戻している中、菅官房長官の口から「ワーケーション」という耳慣れない造語が飛び出しました。ワークとバケーションを組み合わせたこの新しい働き方はテレワークとも似ていますが、休暇を兼ねるという点が異なります。

ある意味では究極の働き方改革とも言えるワーケーションに対しては、SNS上でも否定的な声が少なくありません。政府の目論見通りには普及が進まないと見られている理由について、テレワークとブラック企業・コロナという3つの観点から解説していきます。

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政府が提案するワーケーションとは?

5月の後半から6月前半にかけてはいったん沈静化したかに見えたコロナ禍も、経済活動の再開に伴って感染が全国的に再拡大しています。現在の状況は明らかに第二波の様相を呈していますが、政府は緊急事態宣言の再発令には慎重です。

4月の緊急事態宣言当時とは感染の状況が違って重症者が少なく、医療体制にはまだ余裕があると政府は考えています。経済活動を再びストップさせてしまうとダメージが大きすぎることから、感染が再拡大する中でも政府は反対を押し切る形でGo Toトラベルキャンペーンを強行しました。青色吐息の観光業界を救うには、コロナと共存しながら経済を回していく必要があるというのが政府の立場です。

そうした文脈の中で菅官房長官がワーケーションに言及したわけですが、米国ではすでに2000年代から実施されていました。日本で実施しているのは日本航空など一部の大手企業に限られ、ワーケーションの存在も今回の件で初めて知ったという人が大半です。

唐突に持ち出された感もあるワーケーションとは、観光地で休暇を取りながらテレワークを利用して仕事もこなす働き方を意味します。休暇中にZoomなどを使ってテレビ会議に出席することも可能で、仕事の報告や決裁なども滞在先からオンラインで済ませようと思えばできないことはありません。

ワーケーションの普及を阻む3つの問題点

仕事と休暇を兼ねられるという点でワーケーションは究極の働き方改革とも言えますが、SNS上での評判は決して肯定的と言えないのが現状です。賛否両論と称するには否定的な意見の方が支配的で、歓迎の声は一部にとどまります。

いつの時代も新しい働き方や制度が登場すると、古い仕組みに慣れた人たちから反対の声が起きるのは当然の反応です。ワーケーションも働き方の実態とあまりにもかけ離れているために否定的な意見が多いと見られますが、普及を阻む理由としては以下のような3つの問題点が挙げられます。

  • テレワークができない業種や職種は最初から無理
  • 休暇中も仕事に縛られる可能性がある
  • コロナ感染拡大を助長させるリスクがある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

そもそもテレワークができない人には無理

ワーケーションは従来から行われていたワーキングホリデーやリゾートバイトなどと違って、アルバイトで働きながら旅費を賄うような休暇のあり方は想定されていません。あくまでも企業が社員を対象に、休暇を取りながらリモートワークで仕事を行うことを認めるのがワーケーションのコンセプトです。

したがってワーケーションの実施にはテレビ会議システムなどテレワーク環境の整備が不可欠で、緊急事態宣言下でも在宅勤務が可能だったような業種や職種に限られます。医療従事者や介護職をはじめ、スーパーやドラッグストアの店員など、エッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちはテレワークが困難です。工場勤務者や工事現場の作業員なども含め、他にもテレワークが想定できない人たちは大勢います。

緊急事態宣言発令中には一時的にテレワークを実施する企業が増えましたが、宣言解除後は実施率が低下傾向です。そもそもテレワークが実施できるだけの社内体制が整っていない中小企業が少なくない現状を考えると、ワーケーションが広く普及するのも当分は難しいと見られれます。

休暇中も仕事に縛られる可能性

 

コロナ禍をきっかけとしてテレワーク実施に踏み切った企業は確かに増えましたが、そういう業種でもワーケーションを実施するのは簡単なことではありません。テレワークですら実際に取り組んでみると、仕事と私生活の境界があいまいになりがちな点が問題とされました。

長期休暇中に観光地やリゾート地でテレワークによる仕事をこなすワーケーションでも、同様の困難が予想されます。せっかくの長期休暇もテレワークシステムで会社とつながっていては、心の底からゆったりとくつろぐことができません。

1日だけ会議に出席しなければならないようなケースならワーケーションも効果的と言われているだけに、普及すれば長期休暇が取得しやすくなるのは確かです。とは言えワーケーションを実施するすべての企業が休暇を優先させてくれるとは限らず、仕事の方に軸足を置いた休暇を強いられる可能性も排除しきれません。

ワーケーションに関する否定的な意見の中には、休暇中も仕事に縛られる結果になるのではないかという不安の声が目立ちます。ワーケーションという言葉にはどことなくブラック企業的な響きも感じられないではないだけに、せっかくの新しい働き方が企業に悪用されないことを願いたいものです。

コロナ拡大の助長リスク

ワーケーションの普及を妨げる3つ目の要因として、新型コロナウイルスの感染が第二波の様相を呈している現状が挙げられます。たとえ第二波が一段落したとしてもさらなる第三波の襲来が予想されるだけに、ワクチンや治療薬が確立されないうちは安心はできません。

そうした中でも人の移動を完全には制限せず、経済活動との両立を図ろうというのが最近の風潮です。経済を重視し始めた政府の方針に対しは賛否両論があり、観光客を受け入れる側も足並みは揃っていません。Go Toトラベルキャンペーンですら「今ではない」として問題視する声が少なくない中で、ワーケーションまで推進させたのではさらなる混乱が予想されます。

Go Toトラベルキャンペーンは最大の人口を擁する東京都がスタート時点で除外されてしまいましたが、ワーケーションを実施可能な大手企業の多くは東京都に本社を置いています。そのへんの整合性をどう取るのか、政府の方からは現時点で明確な方針表明がなされていません。そうした不信感が国民の間で根強いことから、ワーケーションに対しても厳しい意見が支配的となっているのです。

ワーケーションの問題点まとめ

以上、いろいろとネガティブな問題点ばかり列挙してきましたが、ワーケーションの概念そのものは全否定されるほど悪い制度というわけではありません。理想的な形で企業が取り入れていけば、「働きすぎ」と言われる日本人でも他国並みに長期休暇が取得しやすくなる可能性があります。

コロナ禍で露呈された東京一極集中の弊害に関しても、テレワークさえ普及すれば本社機能を地方に移転することで改善が可能です。コロナをきっかけに地方移住を検討し始めた人が増えていると言われますが、ワーケーションもまた地方創生につながる働き方改革だと言えます。そうした意味ではふるさと納税生みの親でもある菅官房長官がワーケーションを提案したという点に、地方を活用しようとする意図を読み取るのもそれほど的外れな見方ではありません。

日本人の働き方を大きく変える可能性を秘めたテレワークをさらに拡大させれば、日本国内のみならず海外リゾート地までがワーケーションの場として視野に入ってきます。そんなワーケーションの理想が実現されるためにも、一刻も早いコロナ禍の終息が待たれる状況です。

コロナが終息したとしてもワーケーションが広く普及するには課題山積の状況ですが、日本人の働き方を変えるという点で今が時代の節目に当たっているのは間違いありません。今はワーケーションに縁がないという人でも、ITテクノロジーが進化すれば将来的に何らかの恩恵を受けられるようになる可能性はあります。

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