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野草茶を個人で販売するのに許可は必要?食品衛生法に基づいて解説

野草茶を個人で販売するのに許可は必要?食品衛生法に基づいて解説 副業
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どくだみ茶やよもぎ茶など、野草茶を手作りして楽しんでいる人も多いかと思います。野草茶を作るには手間がかかるだけに、商品化して売れば稼ぐチャンスです。実際にメルカリでは、個人が手作りしたさまざまな野草茶が出品されています。

メルちゃん
メルちゃん

でも野草茶だって食品の一種だから、販売するには保健所の許可が必要じゃないの?

確かに、個人が製造した食品を販売するには、食品衛生法という法律の壁が存在します。食品衛生法が改正されたことで規制が厳しくなり、漬物などの製造分野では廃業する人が相次いでいる状況です。

当ブログでは以前にも、手作りクッキーの販売で営業許可を受ける方法について取り上げました。幸いにして野草茶の販売は営業許可が不要ですが、保健所に届出をする必要はあります。保健所によって判断が違ってくる部分もありますので、今回はそのへんの事情について基本情報をまとめてみました。

記事の後半では手作りの野草茶を販売するまでの手順について、食品衛生法に基づいて解説します。手作りの食品を売るのは初めてという人でも、この記事を読めば安心して販売できるようになります。

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野草茶を販売するのに営業許可は不要!

営業許可証

3年の猶予期間を経て、2024年6月には改正食品衛生法が完全施行されます。漬物などの農産物加工品を製造・販売するには、原則として保健所の許可が必要です。どくだみ茶やよもぎ茶など、手作りの野草茶を販売するにも営業許可は必要なのでしょうか?

食品衛生法上において、食品を扱う業種は以下の3種類に大きく分けられます。

  1. 保健所の営業許可が必要な業種
  2. 保健所への届出が必要な業種
  3. 届出対象外の業種

野草茶の製造・販売は漬物よりも加工の程度が軽いと見なされているせいか、「保健所の営業許可が必要な業種」には含まれていません。「届出対象外の業種」にも該当しないため、手作りの野草茶を販売するには保健所への届出が必要です。

営業許可を得るには、保健所の立入検査を受けることになります。専用の加工施設を整備しておかないと、許可は下りません。

営業許可には2万円前後の手数料が伴う上に、有効期限が切れるタイミングで更新も必要です。漬物などを製造・販売しようとする人にとっては大きな負担となりますが、野草茶なら営業許可なしで販売できます。

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届出が必要かどうかは保健所によって異なる

手作りの野草茶を販売するのに営業許可を得る必要はありませんが、保健所への届出は原則として必要です。営業許可を受けるのと違って、紙を1枚提出するだけで手続きは済みます。

農家が自分で栽培・収穫した野菜を乾燥させて販売する場合は「採取業」と見なされ、保健所への届出は不要です。野草茶の場合も「採取業」と見なしてもらえる可能性はありますが、どの保健所でも届出を免除してもらえるとは限りません。

野菜を単純に乾燥させるのと比べ、野草茶を作るには「細かく切る」「蒸す」などの工程が加わる場合もあります。採取業に入るかどうか判断するのが難しいだけに、保健所によって対応が違ってくるわけです。手作りの野草茶を販売する前に、所轄の保健所で問い合わせてみることをおすすめします。

個人で手作りの野草茶を販売する手順

器に入れたよもぎ茶

届出が必要かどうかは保健所によって判断が分かれますが、必要という前提で手作り野草茶の販売方法を解説します。すでに庭などから野草茶の材料を収穫し、乾燥の工程を終えていると仮定した手順です。

法律をきちんと守った上で手作りの野草茶を販売するには、原則として以下のような手順を経る必要があります。

  1. 食品衛生責任者の養成講習を受講
  2. 保健所に届出
  3. 食品ラベルの作成
  4. 野草茶を販売

それぞれ詳しく解説していきます。

食品衛生責任者の養成講習を受講

手作りの野草茶を販売するのに届出が必要だと保健所で言われた場合、手続きの前に食品衛生責任者の資格を取得しておく必要があります。保健所に提出する届出の用紙に、食品衛生責任者の氏名を記入する欄があるからです。

すでに食品衛生責任者の資格を持っている人や、有資格者との共同作業で野草茶の製造を行う場合は、新たに取得する必要はありません。食品衛生責任者は、1施設ごとに設置するのが決まりです。1人で野草茶の製造から販売までこなす場合は、自分自身が食品衛生責任者になる必要があります。

会場集合型の養成講習会に参加すれば、通常は1日で資格を取得できます。スケジュールが合わないという人でも、eラーニング型の養成講習なら24時間いつでもオンラインで受講が可能です。

受講料は自治体によって異なります。東京都食品衛生協会が実施する講習会は12,000円で、大阪食品衛生協会の講習会は10,500円です。

メルカリに手作りの野草茶を出品している人の中にも、氏名欄を隠した上で食品衛生責任者修了証の写真を掲載している人がいます。資格の証明なしでも出品は可能ですが、安心して購入してもらうためにも明示するのがおすすめです。

保健所に届出

食品衛生責任者の資格を取得したら、保健所に営業届出を提出できるようになります。所轄の保健所に出向いて窓口で手続きする方法に加え、厚生労働省の食品衛生申請等システムを利用したWeb申請も可能です。

営業許可を受ける場合と違って、野草茶の製造・販売は届出をするだけで手続きが済みます。保健所の立入検査や、許可証の交付を受ける必要もありません。有効期限もありませんので、一度届出をしたら更新手続きは不要です。

食品ラベルの作成

実際に手作りの野草茶を販売する際には、食品表示法に沿った食品ラベルの貼り付け義務が生じます。営業許可が不要で届出だけの業種であっても、販売する商品には以下の内容について記載したラベルが必要です。

  • 商品名
  • 原材料名
  • 原料産地
  • 内容量
  • 賞味期限または消費期限
  • 保存方法
  • 製造者

栄養成分表示も原則として義務付けられていますが、茶葉のように栄養成分が微量の場合は省略可です。

■以下①~⑤のいずれかに該当する場合は表示を省略できます。
(中略)
③ 栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの(次のいずれかの要件を満たすもの)
ア)たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムの量並びに熱量の全てについて、0と表示することができる基準を満たしている場合(32頁「(ウ)0と表示することができる量」参照)
イ)1日に摂取する当該食品由来のたんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の量並びに熱量が、社会通念上微量である場合
⇒例えば、コーヒー豆やその抽出物、ハーブやその抽出物、茶葉やその抽出物、スパイス等が考えられます。ただし、スパイス等のうち一度に多く使用する場合が想定され、かつ、その場合に栄養の供給源となり得るものについては、栄養成分表示を省略できません。

(後略)
出典:〈事業者向け〉食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン(消費者庁)

GoogleYahoo!で検索すれば、商品ラベルの無料テンプレートが数多く見つかります。大量に販売することを想定しているなら、専用のラベルプリンターも導入を検討してみるといいでしょう。

野草茶を販売

保健所への届出を済ませて食品ラベルも用意したら、あとは野草茶を販売するばかりです。個人だと販路も限られてきますが、以下のような販売方法が考えられます。

  • 近くのスーパーや土産物店
  • 道の駅や農産物直売所の委託販売
  • フリーマーケットやイベント会場
  • フリマサイトに出品
  • ハンドメイドマーケットに出品
  • 個人でネットショップを開業
  • ワークショップを開催して販売

実店舗に販売する場合、基本的には店を訪れた人にしか売れません。メルカリのようなフリマサイトに野草茶を出品すれば、販路を全国(場合によっては海外も)にまで拡大することが可能です。

実際にメルカリではどくだみ茶やよもぎ茶・スギナ茶・たんぽぽ茶・松葉茶・柿の葉茶など、複数種類の野草茶で販売実績を持つ出品者が存在します。minneのようなハンドメイドマーケットの食品カテゴリも、手作りの野草茶をネット販売する手段の1つです。

最初のうちは低めの価格設定で販売実績を積み、慣れてきたところで利益を上乗せした価格設定に変更するという手もあります。複数の販売方法を併用すれば、売れる確率が少しでも上がってくるはずです。

まとめ

どくだみ茶

個人が手作りの野草茶を販売するために必要な手続きについて、販売方法と合わせて解説してきました。手作りのクッキーと違って、野草茶なら保健所に届出をするだけで販売できるようになります。わざわざ保健所の窓口まで出向くまでもなく、Web上で手続きすることも可能です。

食品衛生責任者の資格を取得するのに、1万円前後の費用はかかります。保健所や食品衛生申請等システムで届出を済ませておけば、以後の更新も必要ありません。

実際に手作りの野草茶を販売する際には、食品表示法に沿ったラベルの貼り付けも必要になってきます。きちんとルールを守って販売すれば、庭に生えている雑草がお金に化ける商売です。趣味と実益を兼ねた副業として、チャレンジしてみるといいでしょう。

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