楽天ポイントやdポイント・Tポイントなど、クレジットカードの利用や買い物で付与されるポイントにはいろいろな種類があります。ポイントを使った節約術に余念がないという人がいる一方では、なかなか使う機会がなくポイントが貯まる一方という人も少なくありません。
そんな人たちの間で近頃話題を集めているのが、ポイント投資と呼ばれる新たな投資の手法です。副業の手段としても注目されつつあるポイント投資とはどのような稼ぎ方なのか、ポイントを換金せずに行う疑似運用型との違いも含めた基本情報をまとめてみました。ポイント投資は副業の一種とも見なされていますが、収入を増やす手段としてどれだけ有効なのかという点についても記事の後半で解説します。
ポイント投資とは?
投資と言えば普通は資産運用を行うための元手として、証券口座やFX口座・投資信託口座など専用の口座に現金を振り込む必要があります。最近は数百円から数千円程度の少額から始められる金融商品も増えているとは言え、始めようと思えばある程度の現金を用意しなければなりません。投資を行っても確実に利益を出せるという保証はないだけに、たとえ少額でも現金を投入するのは勇気が要るものです。
その点でポイント投資なら買い物などで貯めたポイントを現金同様に投資の元手として使えるため、働いて稼いだお金を投じるのと比べて心理的ハードルが低いというメリットがあります。万が一投資に失敗して元本を失ったとしても、「おまけにもらったポイントがなくなっただけ」と考えれば気が楽です。
楽天ポイントやdポイント・Tポイントなど主要なポイントごとにポイント投資ができるサービスが存在し、株式投資やFX・投資信託といった金融商品に投資できます。ポイント投資は副業の一種としても見なされていますが、現金を元手にした投資と同じく資産運用に含まれるため、副業禁止の会社や公務員でも始めることは可能です。
証券会社を利用したポイント投資
ポイント投資には証券会社を利用する方法と、疑似運用型とも呼ばれるポイント運用の2種類があります。証券会社を利用する方式は提携するポイントをいったん換金した上で口座に入金し、株や投資信託などの金融商品を購入して運用するのが一般的です。
したがってこの方式のポイント投資を始めるには、事前に証券口座を用意する必要があります。証券口座を開設するには運転免許証やマイナンバー確認書類などを提出して本人確認を行い、審査を経て口座番号が記載された書類が郵送されるまで数日から1週間以上を要するのが普通です。楽天証券やSBI証券などのネット証券なら証券会社の窓口に赴く必要はなく、オンラインで口座開設の手続きが完了します。
楽天ポイントの投資
まずは楽天市場や楽天クレジットカード・楽天銀行など、楽天のサービスを利用した際に付与されるポイントで投資を行う方法を紹介します。楽天証券の口座を開設した上で楽天ポイントコースに設定すれば、手持ちの楽天ポイントを使った投資ができるようになる仕組みです。
楽天証券のポイント投資には、国内株式と投資信託・バイナリーオプションという3種類の金融商品があります。このうち国内株式を選んだ場合は、税制面で有利なNISA口座での取引も可能です。1ポイント1円として計算し、各銘柄の最小買付単位に応じて株式を購入することになります。
期間限定ポイントや他のポイントと交換した楽天ポイントなどは利用不可で、通常ポイントだけが投資の対象です。ポイント投資で得た収益は日本円の現金として受け取ることが可能で、楽天ポイントを現金化する手段としても利用されています。
Tポイントの投資
TSUTAYAを始めとしたさまざまな店舗やサービスで使えるTポイントで投資を行うには、SBIネオモバイル証券かSBI証券で証券口座を開設する必要があります。SBIネオモバイル証券でもTポイントを利用して国内株式が購入できるだけでなく、楽天ポイント投資にはないFXの取引も可能です。
SBI証券のTポイント投資は投資信託に限られますが、取引に応じてTポイントが貯まるマイレージ制度は見逃せません。普段から買い物や飲食・Yahoo!のサービス利用などでTポイントが貯まっているという人は、現金を投じることなしに投資を始められるチャンスです。
dポイントの投資
NTTドコモのサービスなどを利用した際に付与されるdポイントに関しては、ポイント投資を始めるのに必ずしも証券口座を開設する必要がありません。公式サイトで運用ポイントに変換し、コースを選択するだけで投資を開始できるという仕組みです。
運用コースは2つのコースからなる「おまかせ運用」と、8つのテーマから選べる「テーマで運用」の2種類に分かれます。おまかせ運用で株式に比重を置いたアクティブコースはハイリターンが特徴で、債権に重きを置くバランスコースは安定志向の人におすすめのプランです。
「テーマで運用」には以下のような8種類のテーマが用意されています。
- 日経平均株価(日経225)
- 新興国
- コミュニケーション
- 生活必需品
- ヘルスケア
- 米国大型株(THEO+ docomoの口座開設が必要)
- 金(ゴールド)
- クリーン・エネルギー
疑似運用型との違い
一般的にはポイント投資の一種に数えられていますが、疑似運用型とも呼ばれるポイント運用サービスは換金せずにポイントのまま運用するという点で異なります。証券口座を開設しなくてもポイントを運用して増やせることから、ゲーム感覚で気軽に始められる点が人気の一因です。
楽天ポイントを管理するアプリとして人気の楽天PointClubにも、投資の疑似体験ができるサービスがあります。100pt以上の通常ポイントが運用の対象で、dポイント投資の「おまかせ運用」と同じように以下2つのコースが選択可能です。
アクティブコース
日々の動きが大きく積極的な運用を目指すコースです。楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)の基準価額の値動きを原則反映します。
バランスコース
日々の動きが小さく安定的な運用を目指すコースです。楽天・インデックス・バランス・ファンド(債券重視型)の基準価額の値動きを原則反映します。
(出典:https://point.rakuten.co.jp/invest/introduction/楽天PointClub)
「いきなり証券口座を作って投資を始めるのはちょっと…」という人は、このような運用サービスから入った方が始めやすいものです。
ポイント投資は副業になり得る?
株式会社ゼニスが実施した調査によると、「どのような副業をしていますか?」という質問に対して「ポイントサイト・ポイント投資」が男性で3位、女性は2位でした。ポイントサイトや1位の「アンケートモニター」とともに、ポイント投資も副業の一種として認識されている点を示す結果です。
この結果を踏まえるとポイント投資も副業として十分に成り立っているように思われがちですが、一般的な副業と違って確実に稼げるという保証があるわけではありません。たとえ原資は仕事で稼いだ給料のお金ではなく付与されたポイントであっても、「投資」の名がつくからにはある程度のギャンブル的な要素もあります。順調にいけばポイントが増えて収入に結びつきますが、運用に失敗して元手を失うリスクもゼロではないのです。
これがコンビニや飲食店でアルバイトをする副業なら、時給1,000円で週に10時間程度働けば月に4万円ほどは稼げます。副業として人気が高まっているクラウドソーシングの場合でも、1件1,000円の報酬がもらえる仕事を1日1件ずつこなしていけば月に3万円の稼ぎになる計算です。
ポイント投資の場合はそういう計算が成り立たず、下手をすれば月の収入がゼロになる可能性もあります。稼いだ給料を元手にする通常の投資と比べ、証券口座に現金を追加で振り込まない限りはポイント投資で赤字になるリスクはありません。せっかく付与されたポイントがなくなれば「もったいない」と思うにしても、現金を失うよりは痛手が小さいものです。
とは言えポイント投資で副業と言えるほど安定した収入が得られるとは限らず、うまくいったとしても普通はお小遣い稼ぎ程度の金額にとどまります。よほど高額のポイントを貯めている人なら大きく稼げるチャンスはありますが、ポイント投資の魅力は少額からでも投資にチャレンジできるという手軽さです。少額の投資ではポイントを増やすのに成功したとしても額はそれほど大きくありませんので、ゲーム感覚で投資の雰囲気を味わいながら資産運用のコツを身につけるのが無難な始め方だと言えます。
ポイント投資の始め方まとめ
不足しがちな給料を補う目的で副業を始めようという人にとって、ポイント投資では以上のような理由で目的を十分に果たせない可能性もあります。運良くポイントが増やせたとして、翌月以降も安定した収入を稼げるとは限りません。
ゆくゆくは本格的な投資にチャレンジしようと考えている人にとっては、不確定要素のあるポイント投資も試してみる価値があります。いきなり現金を原資にするよりは、普段なかなか使う機会がなく貯まる一方だったポイントを使って投資の練習をしてみるのも一興です。
万が一失敗してポイントを全部失ったとしても、働いて稼いだ給料を失うよりはダメージも小さく済みます。そうやって失敗した経験を次に生かしていけば、より大きな投資で失敗する確率を低く抑えられるようになるはずです。