読み終わった本や本棚で眠っている本は古書店に買取してもらうことでお金に換えられますが、思ったより安い値段でしか売れなかったという例も珍しくありません。特に全国チェーンの大手古書店に買取を依頼すると、たいていは二束三文で買い叩かれてしまうものです。同じ本を街の古本屋さんで査定してもらったら、何倍もの値がついたという話もよく聞きます。
このように買取を行う店によって査定額に大きな差が出るのはなぜなのか、古本を高く売るために知っておきたいポイントと合わせて基礎知識をまとめてみました。記事の後半では買取よりも高く売れる可能性がある古本せどりについても、仕入れや出品のテクニックを紹介します。
古本買取に出した本が二束三文で買い叩かれる理由
全国各地の主要都市に店舗がある大手古書店チェーンのブックオフは、古本を身近な存在にしたという点で画期的なビジネスモデルです。豊富な品揃えの古本が安く手軽に買える店舗を地方都市にまで展開したことで、それまでにない客層にも古本を買って読む習慣が浸透しました。
古本の購入先としてはブックオフも大いに利用価値はありますが、逆に本の買取店舗として見れば決して有利な売り先とは言えません。ブックオフで一度でも本の買取を依頼した経験のある人ならわかるように、提示される査定額は売り手の期待値とは大きくかけ離れています。
同じように買取を依頼した古本が二束三文で買い叩かれる例は、店舗数が最も多いブックオフだけではありません。古本とともにCDやDVD・ゲームなどを扱う大小のリサイクル店でも、査定額は全般に低い水準です。
大手古書店チェーンやリサイクル店は街の古本屋さんと違って、本の目利きができる査定スタッフが在籍していません。マニュアル通りの査定しかできないアルバイトのスタッフが査定を担当する店も少なくないために、たとえ希少価値のある本であっても発行年が古く状態が悪ければ、値段がつかないことは珍しくないのです。
大手古書店チェーンで本を査定する仕組み
短期間で急速に店舗数を増やしたブックオフは薄利多売ビジネスモデルの典型だけに、買取を依頼された本の査定も高度に合理化されています。査定を行うスタッフに古本の目利きを採用していては、人件費が割高になって経営を圧迫しかねません。時給1,000円程度のアルバイトでも査定できるようなマニュアルが完備されており、古本の希少性などは一切無視されます。
ブックオフの査定マニュアルで最も重視されているのは、本がきれいかどうかという点です。どれほど希少価値の高い絶版本でも、出版年が古かったり表紙に汚れや手垢がついていたりする場合は0円に査定されてしまいます。本の中身にシミやヤケ・書き込みが見られる場合も、査定額が下がってしまう理由の1つです。
店に在庫がある本は状態が良くても値段がつかない場合がありますので、少し前のベストセラー本などは買取でどうしても不利になってしまいます。基本的には新品に近い状態の本ほど査定ランクは高くなりますが、最も高い特Aランクでも100円前後にしかなりません。直営店かフランチャイズ店舗かによっても査定基準は異なり、直営店ほど査定がシビアな傾向も見られます。
古本買取で少しでも高く売るコツ
以上のような理由から、古本を少しでも高く売りたいという人にはブックオフでの買取はおすすめできません。当ブログを運営するYAMATOも、20年近く前にブックオフで古本を買取してもらおうとしたことがありました。数十冊の本を店頭に持ち込んで査定したもらったところ、半分ほどは「値段がつかない」と言われて持ち帰った覚えがあります。残りの本も新刊で買ったときは数千円した専門書が、1冊平均100円いくかいかないかの安値で買い叩かれてしまったのです。
別の機会には入りにくい雰囲気のある街の古本屋さんに査定を依頼したところ、ブックオフで値段がつかなかった本も含めた数十冊が合計1万円以上で売れました。1冊平均にすれば数百円ですが、希少価値が高いと認められて1,000円以上の値がついた本も少なくありません。
そうした苦い経験を積んだことで、古本を少しでも高く買取してもらうには高く売れそうな店を選ぶ必要がある事実を学びました。街の本屋さんであればどのような本でも高く買取してもらえるというわけではなく、在庫がある本やその店の得意分野でない本は安く査定される傾向も見られます。
入手困難な絶版本で今も根強い需要がありそうな本は高く売れる可能性がありますので、リアル店舗での買取にこだわるなら専門の古書店に持ち込むのがおすすめです。古本の目利きが査定を行う街の古本屋さんでも本の状態は重視しており、表紙が汚れていたり本が傷んでいたりすると査定額に響きます。買取を依頼する前に本の状態をチェックし、表紙の汚れはアルコールで拭き取るなどして、できるだけきれいにしておくといいでしょう。
古本買取よりも高く売る古本せどりのテクニック
最近は実店舗を持たないネット古書店も増えており、古本買取の手段はブックオフや街の古本屋さんだけに限らなくなりました。宅配買取などの手段で古本の査定を行っている買取サービスも多くありますが、査定額に満足できなかったという人も少なくありません。
買取を希望しない場合は返送してもらうことも可能とは言え、この場合は送料を自分で負担する必要があります。宅配買取はどちらかと言うと査定額にはあまりこだわらず、本をまとめて処分して楽をしながら「少しでもお金になれば」と考える人向けの方法です。
古本を少しでも高く売りたい人は、ネットオークションやAmazonマーケットプレイスに出品するという手もあります。自分で読み終えた本を出品して売るのではなく、販売目的で購入した古本を転売して利益を得るのが「古本せどり」と呼ばれる手法です。
絶版本など希少価値の高い古本をヤフオク!に出品すれば入札価格が釣り上がり、高値で落札される可能性もあります。ヤフオク!以上に古本の巨大マーケットとなっているAmazonは、古本せどりの手段として最も多くの人に利用されてきました。古本せどりで稼ぐには仕入れも必要になってくるため、継続的に取り組むなら古物商許可の取得が欠かせません。
古本買取の場合は買取業者の側で売値が決められてしまいますが、ネットオークションやAmazonを使えば自分で自由に売価設定することが可能です。と言っても売価を必要以上に高くしすぎるとなかなか売れなくなり、安すぎると利益が出なくなってしまいます。古本せどりで利益を出すには仕入れも重要になってきますので、高く売れる本をいかに安く入手するかがポイントです。
高く売れる本を安く仕入れる方法
古本せどりの王道パターンとして定着しているのは、ブックオフの店頭から安く仕入れた古本をAmazonマーケットプレイスに出品して売りさばくやり方です。ブックオフはどうしても買い叩かれやすいので古本買取には不向きですが、古本の仕入先として見れば十分に使えます。ビジネス書や実用書・専門書・ゲーム攻略本などは高く売れる本が多く、ブックオフで安く売られているのを見つければしめたものです。
ただ最近はブックオフでもせどりを禁止している店が増えており、店頭でスマホを使いながらAmazonの販売価格を調べていると店員に注意されるようになりました。以前と比べてブックオフを使った古本の仕入れはやりにくくなったという声もありますが、セールをうまく利用したりすることで掘り出し物を見つけることは可能です。
インターネット上で完結する電脳せどりの手法としては、古本も数多く出品されているメルカリを仕入先として活用するという手が考えられます。メルカリを販売先として自分で出品することも可能ですが、値切られる場合もあるため高く売るには不利な環境です。
実際にメルカリに本を出品している人の中には、古本の価値がよくわかっていない人も少なくありません。高く転売できる本がびっくりするような安値で出品されることがあるという点では、メルカリもブックオフと似たような状況にあります。安く仕入れた古本をヤフオク!やAmazonでそれなりの適正価格で出品すれば、需要のある本ならそれほど時間がかからずに売れるものです。
リサーチの重要性
仕入れが必要な古本せどりで利益を出していくには、事前の商品リサーチも重要になってきます。仕入れる本の選択を誤るとなかなか売りさばけずに、在庫を抱えて赤字を出すリスクがあるという点には要注意です。
仕入れに投じた資金を回収するには、確実に売れると見込まれる本を厳選して仕入れながら商品の回転率を高める必要があります。少し前に話題となったベストセラー本はAmazonでも最低価格の1円にまで売値が下落しているケースが多く、ほとんど儲からないので手を出さないのが無難です。
むしろ発行部数が少なくても一定の需要がある専門書や学術書・語学書などは、値段が少々高くても売れる傾向が見られます。定番の売れ筋商品となっているビジネス書も含め、ブックオフやメルカリでAmazonの最低価格より安く売られているようであれば即買いです。漫画は利益を出しにくいとも言われていますが、全巻揃いのセットを安く入手できれば高収益商品になり得ます。
古本買取で損をしない方法まとめ
読み終えた本を古書店で買取してもらってお金に換える方法から始まって、古本せどりにまで話が拡大してしまいました。仕入れや出品・梱包発送作業が必要なせどりになると、古本買取の範囲を越えてビジネスの域に達します。最初は自分の本棚に眠っている本を売ることから始め、慣れてきたら以上に紹介したような方法で安く仕入れた本の転売にもチャレンジしてみるといいでしょう。
街の古本屋さんなど買取先の店を上手に選べば二束三文に買い叩かれずに済みますが、ネットオークションやAmazonを使えば古本がもっと高く売れる可能性があります。かつては古書店街だけで完結していたせどりの手法が今ではインターネット空間にまで拡大し、「せどらー」人口が一気に増えました。統計学的手法を駆使した事前のリサーチで仕入れる商品を厳選すれば、古本の目利きでなくてもせどりで利益を出せる時代となったのです。
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