清掃スタッフのアルバイトは特別なスキルも不要で、基本的には誰でもできるような仕事だと言われています。深夜・早朝や土日のみの求人も多く募集されているだけに、清掃バイトは副業の手段にも利用されてきました。
仕事としてはありふれた存在の清掃バイトもスタッフの平均年齢が高く、「きつい仕事」というイメージもあって若い世代からは敬遠されがちです。実際の仕事はどれだけ大変なのか、なかなか長続きしないとも言われる清掃バイトの実態について調査してみました。
清掃バイトの求人募集状況
清掃バイトとして働くには清掃会社に直接雇用される働き方と、依頼を受けた施設に清掃スタッフを派遣している会社に登録する働き方の2種類があります。中には病院や鉄道会社・マンションなどが専属の清掃スタッフを募集している例もありますが、求人数は決して多くありません。
清掃会社や派遣会社が募集する清掃スタッフは求人数が多い上に、大半の求人は「未経験可」となっています。求人雑誌や求人サイトには清掃バイトを募集する求人が常時掲載されているため、条件に合った仕事を探すのにそれほど苦労しません。清掃バイトは週2日からOKという求人や深夜・早朝の時間帯だけ働ける求人が多く、副業の手段にもなり得ます。
作業の手順はどの施設を清掃するかによって異なりますが、手順を一度覚えてしまえば後は単純作業の繰り返しです。清掃バイトの仕事はある程度の体力を要するとは言え、工事現場作業員や引越しスタッフほど重いものを持ち運びさせられるわけではありません。本業の仕事に支障のない時間帯を選んで働く限りにおいては、副業としても十分に続けられる仕事だと言えます。
清掃バイトの種類
一口に清掃バイトと言っても掃除を行う施設の違いによってさまざまな種類があり、場所ごとに作業内容が違ってきます。駅の清掃はトイレ掃除やゴミ回収・ホーム清掃・車内清掃が中心で、JR各社など鉄道運営会社が直接募集している清掃バイトの求人も珍しくありません。学校や役所など公共施設の清掃は、自治体から委託を受けた清掃会社のスタッフが担当するのが一般的です。
オフィスビルの清掃は早朝に清掃を行うケースが多く、オフィスの床や壁・給湯室・トイレの清掃が中心となります。床への定期的なワックスがけの他、天井や空調設備などの清掃も仕事内容に含まれてきます。オフィスビルの外回りを清掃する仕事の場合は、ビルの外壁や窓ガラス・屋上などの清掃で高所作業を伴う可能性もあります。
ショッピングモールやスーパーなど商業施設の場合は、来店客のいない深夜や早朝に清掃を行うのが一般的です。パチンコ店でも閉店後や開店前に清掃を行うケースが多く、パチンコ・パチスロ台の清掃や床掃除・トイレ掃除に灰皿・ゴミ回収が加わります。ホテル清掃は客室の掃除とゴミ回収・リネン類の交換・アメニティ補充の他、トイレやバスルームの掃除も欠かせない仕事です。
病院の清掃は受付や待合室・トイレの他、診察室・検査室・手術室・病棟などを清掃します。ゴミの回収や医療機器の洗浄・除菌も仕事内容に含まれ、他の施設よりも衛生管理の徹底が求められる点が病院清掃の難しいところです。
一般住宅を対象とした清掃スタッフの仕事は、家事代行とハウスクリーニングの2種類に大きく分けられます。家事代行は基本的には家事の延長としての掃除が中心で、洗面所やキッチン・トイレ・バスルームなど水回りの掃除も加わります。ハウスクリーニングの仕事は掃除機がけや拭き掃除だけでなく、エアコン掃除や換気扇掃除など専門的な清掃作業を伴うのが特徴です。
マンション清掃はエントランスや廊下・階段など、共用部分の床清掃やゴミ回収が中心です。遺体の発見が遅れた場合に実施される特殊清掃の仕事はさらに専門スキルが必要で、消臭や消毒・害虫駆除・原状回復など特殊な作業を伴います。
清掃バイトの時給相場
以上のような種類の違いによって給料にも差は出てきますが、清掃バイトの時給は1,000円前後が全国の平均的な相場です。都心などオフィスビルや商業施設の清掃が多い大都市は清掃バイトの時給相場が高めで、1時間あたり1,300円以上の求人も少なくありません。日給制の場合は1日あたり8,000円程度が平均的な相場ですが、給与水準の高い都市部では10,000円以上の求人も見かけます。
時給制のバイトだと清掃の仕事が早く終われば給料がそれだけ少なくなってしまいますが、固定給なら仕事が早く終わっても給料は変わりません。仕事を早く終えれば時給換算で稼げる金額が上がる計算になるため、スタッフも手際よく作業を進めようとする傾向が見られます。
家事代行サービスやハウスクリーニング業者の中には個人事業主と業務委託契約を結んでいるケースも多く、時給換算では一般的な清掃バイトより高めの1,000円から1,500円が報酬の平均的な相場です。家事代行マッチングサービスとして人気のタスカジに登録されているスタッフのうち、3分の1ほどの人は時給2,100円で仕事を請け負っています。
清掃バイトが「きつい」と言われている理由
清掃バイトは誰でもできる仕事と思われがちですが、自分の部屋を掃除するのも億劫だという人は仕事が「きつい」と感じる可能性があります。汚れと格闘するような仕事で悪臭に悩まされることも珍しくないだけに、長続きできるかどうかは根性しだいです。
清掃バイトの仕事が体力的にきついと言われるもう1つの理由は、さまざまな清掃道具を持ち運びながら作業を進めなければならないという点にあります。確かに清掃の仕事にはブラシやモップなど一般的な掃除用具だけでなく、業務用の清掃機械や各種の洗浄剤も必要です。それらの清掃用具は専用のカートに積んで移動するのが普通で、通常は運搬するのに体力はそれほど必要でありません。
円形のブラシやパッドを回転させることで床を磨き上げるポリッシャーは、オフィスビルや商業施設で床を洗浄したり古いワックスを剥がしたりするのに欠かせない清掃機械です。清掃会社によってはポリッシャーを使うのは社員に限られ、アルバイトは手作業での清掃を任せられる場合もあります。トイレの床などでなかなか落ちない汚れを手作業できれいにするのは大変な仕事だけに、機械を使って清掃した方が効率的なのは間違いありません。
同じ清掃バイトでも作業内容は雇われた清掃会社や派遣会社によって異なりますので、仕事のきつさ加減には当たり外れのあるのが普通です。きつい職場に当たってしまった場合はかなりの体力消耗を強いられる可能性もありますが、楽な清掃の現場は軽作業が中心でそれほど重労働の仕事でもありません。「ホテル」と「病院」「駅」「商業施設」を対象とした代表的な4種類の清掃バイトについて、どういった点がきついのか詳しく解説します。
ホテル
清掃バイトの中でも体力的にきついという声が多いのは、ベッドメイクの仕事が加わるホテルの客室清掃です。ゴミの回収や掃除機がけ、バスルームとトイレの清掃などは自宅で行う掃除の延長と言えます。
いずれも家事に慣れた人であればそれほど大変な思いをせずにこなせる範囲内ですが、ベッドメイクはかなりの力仕事です。限られた時間内でシーツや布団カバー・枕カバーを手際よく交換する必要があるため、熟練の技が求められます。しわにならないようにシーツやカバーを交換するにはコツが要りますので、慣れないと仕事が余計にきつく感られてしまうのです。
客室に備え付けてあるアメニティを交換する作業も、ベッドメイクと同じように清掃バイトが担当します。大量のシーツやアメニティ類を満載したワゴンを移動させ、部屋ごとに運び入れるのも体力的にきつい作業の1つです。
病院
ホテルの清掃と並んで「きつい」と言われているのが、病院の清掃バイトです。ホテルの客室も常に清潔な環境を保つ必要はありますが、病院はさらに徹底して衛生環境を維持する必要があります。
清掃を担当する場所は廊下やトイレなどの共用部分だけでなく、外来の待合室や診察室・病室・ナースステーション・検査室・手術室など多岐にわたります。病棟やナースステーションなどは24時間稼働していますので、病院スタッフや入院患者に配慮しながらの仕事です。清掃バイトは接客の必要がなく自分のペースで働ける点がメリットの1つですが、病院の清掃に関しては何かと他人に気を使う場面が多い仕事だと言えます。
病院には体調の悪い人や怪我をした人が多く訪れるだけに、床や備品などが血液や吐瀉物で汚れる例も珍しくありません。処理の仕方を間違うと感染などのリスクもありますので、病院内では細心の注意を払いながら清掃を行う必要があります。マスクや手袋の着用と消毒により感染対策を徹底させるのはコロナ以前からの常識で、作業の前後には念入りな手洗いも欠かせません。
駅
駅の構内を担当する清掃バイトの働き場所は、ホームやコンコースの通路・トイレ・喫煙所などさまざまです。床掃除やゴミ回収・トイレ掃除などが仕事の中心で、ホテルの清掃バイトなどと比べて力仕事が多いわけではありません。
病院清掃ほど徹底した衛生環境が求められる仕事でもありませんが、駅の清掃には特有の大変さがあります。営業時間中に不特定多数の人が出入りする場所を清掃する仕事で、どうしても人目につきやすい点はデメリットの1つです。
トイレも多くの人が利用する中で汚れやすい場所だけに、悪臭や汚れへの耐性が高くない人は「きつい」と感じる可能性があります。利用客の多い駅の構内で清掃を行う際には、人の流れをよく見ながら邪魔にならないように作業をする必要もあります。
商業施設
ショッピングモールやスーパーなどの商業施設は、開店前や閉店後の早朝・夜間に清掃を行う仕事と、営業時間中に清掃を行う仕事があります。床掃除やワックスがけ作業は業務用の機器や清掃用具を使用し、閉店後や開店前に行うのが一般的です。
24時間営業や深夜営業の店舗では、来店客が少ない営業時間に清掃を行います。大規模な店舗ほど広い面積を清掃することになるため、長い距離を歩き回るだけの体力が必要です。
それ以外の店舗でも大型店では清掃スタッフが見回りを兼ねて営業時間中の店内を巡回し、ゴミを回収したりトイレ掃除をしたりしています。店内が汚れるようなトラブルが発生した際には、そうした定期作業を中断させて現場に急行しなければなりません。休憩中にも呼び出される可能性があるため、気の休まる暇がないという点を「仕事がきつい」理由に挙げている人もいます。
開店前や閉店後に行う床の清掃なら、決められた手順に従って作業を進めるルーティンワークが中心です。その代わり深夜や早朝の勤務を強いられるため、睡眠時間はどうしても不規則になってしまいます。そうした点では体力的にきつい仕事ですが、時給は割増賃金が加わる分だけ営業時間内の清掃バイトより高めの水準です。
筆者がかつて店長をしていたスーパーは規模のそれほど大きくない店で、月に1回程度の頻度で閉店後に清掃業者の床掃除が入るのが常でした。作業間は店長が店を代表して居残り、清掃が終わるまでバックヤードで待機する必要があります。
清掃業者とも顔見知りになりましたが、世間話の中で清掃の仕事の大変さも聞かされました。この仕事をやっていて一番きついと感じるのは、夜勤が多いだけに家族と生活サイクルが合わないという点だと言います。夜昼逆転の生活も慣れればそれほどきついと思わなくなるそうですが、慣れないうちは睡眠障害に悩まされたという話です。
清掃バイトに向いている人
清掃の仕事はチームを組んで進める場合もありますが、基本的には1人で黙々と作業を進める場面が多いものです。同僚の清掃スタッフにも無口な人が多く、接客を伴うような仕事が苦手なために清掃バイトを選んだという人も珍しくありません。
清掃バイトのスタッフには風変わりな人も少なくないと言われていますが、それは前述のように「仕事がきつい」と感じる人が多いという事情が関わっています。清掃バイトの仕事を長く続けられる人は決して多くはなく、仕事を始めてもすぐに辞めてしまう人が大半です。
清掃スタッフを募集する会社でも慢性的な人手不足に悩まされており、求人も頻繁に募集することになります。未経験可の求人が多いだけにいろいろな人が清掃バイトにチャレンジしていますが、長年にわたってこの仕事を続けている人は一握りに過ぎません。
そうした中でも職人かたぎと言われるような性格の持ち主は仕事ぶりがていねいで、受け持ちの場所をとことんきれいにすることにこだわりを持っているものです。そんな職人肌の清掃スタッフには黙々と働くのが性に合っている人が多いだけに、離職率が高いと言われるこの仕事も長続きする可能性があります。
清掃バイトのメリット
世の中には公共施設から宿泊施設に至るまで、誰かが掃除をしなければ運営できなくなる場所が無数と言っていいほど存在します。施設を運営する職員や社員が清掃を担当している例は稀で、大半の施設では清掃を外部に委託しているのが現状です。誰もが嫌がる清掃を引き受けてくれるスタッフがいるおかげで、訪問客も汚れを気にせずに施設を快適に利用できるようになります。
清掃バイトの仕事はある程度の体力が必要な作業が多く、ゴミや汚れを扱う仕事に慣れるには精神面でもタフさが必要です。そうした環境になかなか適応できない人は「仕事がきつい」と思いがちですが、汚れていた場所を自分の手できれいに磨き上げる作業からは一種の爽快感も得られます。清掃バイトの仕事を通じて掃除のスキルが身につき、日常生活でも何かと役に立つという点も清掃バイトを副業に選ぶメリットの1つです。
早朝や深夜の清掃なら人目にもつきにくく、日中働くバイトより時給が高めという点もメリットに数えられます。清掃バイトは楽をしてお金を稼ぎたいという人には不向きの仕事ですが、いかにも「働いた」という実感を得たいとい人にはおすすめの副業です。
まとめ
清掃バイトは自宅を掃除するのと違って、面積の広い場所を移動しながら清掃作業を行う仕事です。店舗や駅・病院などの営業時間中に清掃を行う仕事は人目にもつきやすく、相手に気を使いながらの作業を強いられます。
仕事内容は清掃を行う場所によって異なり、ホテルのベッドメイクなどはかなりの力仕事です。体力的な負担がそれほど重くない清掃バイトの仕事もありますが、慣れないうちはゴミを回収したり汚れを落としたりする作業を「きつい」と感じるのも無理はありません。深夜や早朝に床掃除を行う清掃バイトは睡眠時間が不規則になりがちなだけに、別の意味で体力的にきつい仕事です。
清掃バイトの中でも仕事のきつさ加減に差があり、体力面や精神面での負担が大きい職場の求人ほど時給が高めに設定されています。清掃の仕事に不慣れなうちは時給が低めでも負担が重くない職場を選び、やれる自信がついたところで時給が高めの仕事に挑戦してみるのが無難です。
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