傾聴力とはどんなスキル?仕事に活かす傾聴のコツを解説

いろいろな話に耳を傾ける女性学び

人間関係を構築する上では自分の考えを相手に伝えるだけでなく、相手の話をしっかりと聴いて理解しようとする姿勢が大切です。仕事の現場でも「聞く力(聴く力)」が重視されるようになったせいか、「傾聴」という言葉を耳にする機会も増えています。

接客業や営業の仕事にも役立つ傾聴力とはどのようなスキルなのか、人と接する仕事をする上で知っておきたい基礎知識をまとめてみました。この記事で解説する「傾聴のコツ」を身につけておけば、「話を聞いてあげるだけ」の副業でお金を稼げるようになります。

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傾聴とは?

たくさんの?マーク

デジタル大辞泉によると、「傾聴」は以下のように定義されています。

耳を傾けて、熱心に聞くこと。「傾聴に値する意見」「傾聴すべきお話」
出典:「傾聴」の意味や使い方 Weblio辞書(小学館『デジタル大辞泉』)

「耳を傾ける」というのは、相手の話に熱心に聞き入る状態を表した慣用句です。「傾聴」の反対語(対義語)としては、「聞き流す」という言葉が最も近いと考えられます。

要するに「傾聴」とは相手の話を聞き流したりせず、真剣に耳を傾けながら聴いてあげる態度を示す言葉です。そうした姿勢は相手にも伝わり、「自分のことを受け入れてくれている」という安心感につながります。安心感はやがて信頼感に変わり、理想的な人間関が構築できるようになるというわけです。

ちなみに「聴く」と「聞く」は同じ意味として捉えがちですが、「傾聴」の「聴く」は「聞き流す」の「聞く」と明らかに違います。「聞く」は単に耳に聞こえるというだけの状態を示すのに対し、「聴く」は共感をもって相手の言葉を受け止めながら理解しようとする行為です。つまり「聴く」と「聞く」では、心の作用が加わるか加わらないかという大きな違いがあります。

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傾聴力を仕事に活かす

以上のように定義される傾聴力は、医療や介護など専門分野の仕事で重視されてきました。近年は傾聴の重要性が広く認識されるようになり、接客業や営業などさまざまな仕事の現場で取り入れる動きが広がっています。総理大臣ですら「聞く力」を長所としてアピールし、イメージアップを図ろうとする時代です。

小売業やサービス業など接客を伴う仕事の現場では、顧客の要望や悩みを知ることが企業の業績アップに欠かせません。厄介なクレーム対応の局面においても、傾聴力を身につけていれば問題解決につながります。

顧客の要望を傾聴する女性スタッフ

顧客と信頼関係を築き上げるために傾聴スキルが欠かせない点では、営業マンの仕事も変わりありません。職場で部下を束ねる立場にある管理職も含め、傾聴力向上を目的とした社内研修が活発に開催されている状況です。

傾聴力を身につけておけば、副業を始める際にもいろいろと役に立つ場面が出てきます。ココナラや類似サイトは、個人で相談系のサービスを出品して報酬が得られる副業の代表格です。

電話で相手の愚痴を聴くだけというサービスも、世の中には結構な需要があります。電話占い師やコールセンターの在宅バイトなども含め、傾聴のスキルが役立つ副業は他にも数多く挙げられます。

傾聴のコツ

コツをつかむイメージ

「聞き上手」という言葉があるように、相手の話を聞くのがうまい人もいれば、そうでない人もいます。話すことが決して得意でないのに人望が厚くて友達が多いという人は、傾聴のコツを無意識のうちに身につけているものです。心理カウンセリングの仕事をする上では必須のスキルとなるため、傾聴の心得は心理学の教科書にも掲載されています。

心理学を学んでいる人の間では有名な「ロジャーズの3原則」は、以下のような3つの「積極的傾聴」からなる概念です。

ロジャーズの3原則

1.共感的理解 (empathy, empathic understanding)
相手の話を、相手の立場に立って、相手の気持ちに共感しながら理解しようとする。

2.無条件の肯定的関心 (unconditional positive regard)
相手の話を善悪の評価、好き嫌いの評価を入れずに聴く。相手の話を否定せず、なぜそのように考えるようになったのか、その背景に肯定的な関心を持って聴く。そのことによって、話し手は安心して話ができる。

3.自己一致 (congruence)
聴き手が相手に対しても、自分に対しても真摯な態度で、話が分かりにくい時は分かりにくいことを伝え、真意を確認する。分からないことをそのままにしておくことは、自己一致に反する。

出典:傾聴とは|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト(厚生労働省)

心理カウンセラーを目指す人にとっては基本中の基本ですが、一般の人にとって「積極的傾聴」は少々難しい面もあります。そこで筆者は心理カウンセラーが書いた一般読者向けの入門書を参考にしながら、仕事に役立つ傾聴のコツを以下のようにまとめてみました。

傾聴のコツ
  • 相手を受け入れる基本姿勢
  • 感情を受け止める共感の力
  • うなづきと相づちのコツ
  • 受け答えのコツ
  • 傾聴に効果的な質問の仕方

それぞれ詳しく解説します。

相手を受け入れる基本姿勢

高齢女性の話を聴く女性スタッフ

傾聴に当たっては、相手を無条件でありのまま受け入れる姿勢が大切になってきます。終始「相手ファースト」の姿勢で話を聴くことに徹するのが基本ですので、相手の話を否定したりアドバイスしたりするのはNGです。
話の中で言いたいことが出てきても、自分の意見は横においておきます。基本的には自分の話をせずに、相手の話を聴くことに徹する必要があります。自分の価値観を相手に押しつけず、人間誰でも持っている承認欲求を満たしてあげるのが傾聴における基本姿勢です。

相手の見た目や出自・経歴などでレッテルを貼ってしまうと、傾聴の妨げになってしまいます。ステレオタイプな見方で相手の経験や感情を決めつけず、1人の人間として相手と真摯に向き合う姿勢が求められます。

傾聴がうまくできないという人は、以上のような基本姿勢が十分に整っていない可能性があります。筆者も仕事の関係で傾聴を試みた際に、最初のうちはうまくいかなかったものです。傾聴できない原因と克服方法については、そのときの経験を踏まえながら以下の記事で考察してみました。

感情を受け止める共感の力

共感のイメージ

傾聴に欠かせない共感とは、相手の立場になって感情移入し、相手の経験を理解しようとする心理作用です。共感の力は想像力と言い換えることも可能だけに、日頃からあらゆる物事に興味を持って想像力を鍛えている人ほど高い傾聴力を持ちます。

共感は同情にも似ていますが、同情は相手の不幸や悲しみの感情に対して「かわいそう」と感じる心の働きです。あくまでも対等の立場から相手の感情を理解しようとするのが共感ですので、上の立場で相手を不憫に思う同情とは異なります。

相手を自分と同じ1人の人間として尊重した上で、同じ立場になって相手の身になって味わった感情を想像し受け止めてあげるのが本物の共感です。傾聴に当たっては、あくまでも自分を保ったまま相手に共感する姿勢が求められます。相手の感情に飲み込まれて冷静さを失い、自分自身が泣いたり怒ったりしていては役割を果たせなくなるからです。

うなづきと相づちのコツ

対面で傾聴を行う際には、話の合間に適度なうなずきや相づちを入れるのが効果的です。控えめなうなづきよりも、相手の顔を見ながら大きくゆっくりとうなづいた方が共感が伝わりやすくなります。

電話で相談を受ける場合は対面より相づちの言葉を多くして、「話を聴いている」というメッセージを伝えるのがコツです。相手が話すスピードや声のトーンに合わせて、相づちも臨機応変に変えていくように心がけてみるといいでしょう。

相づちのイメージ

「はい」とか「ええ」といった単純な相づちだけでなく、「へー!」「えっ!?」「ほーっ!」など、状況に応じて感嘆や驚きの感情を込めた相づちを入れるのも効果的です。「それはショックですねー」「許せませんねー」「ラッキーでしたねー」などと、相手の気持ちに寄り添う言葉を使った相づちを打つことで共感がリアルに伝わります。

相手に共感しながら話を聴いていると、うなづきや相づちも自然と生き生きした表現になるものです。そうした合いの手を入れることで共感が相手にも伝わり、話しやすい雰囲気が形成されていきます。

相手が沈黙してしまうと気まずいムードになりがちですが、意思や心理状態を表している点では沈黙も言葉と変わりありません。無理に沈黙を埋めようとするよりも、相手が口を開くのを辛抱強く待てるだけの粘り強さが必要になってきます。「聴く力」だけでなく、「待つ力」もまた傾聴力を構成する1つの要素なのです。

受け答えのコツ~オウム返しはNG?

首を傾げるオウム

傾聴の際には相づちを打つ代わりに、相手の言葉を繰り返してあげるのも効果的です。鍵になる言葉を繰り返すことで話し手も気持ちが整理され、自分自身への理解が進みます。

と言っても機械的なオウム返しではかえって逆効果になる場合もありますので、傾聴の途中で受け答えを入れる場合は使い方に注意が必要です。単に言葉尻を捕まえて反復するのではなく、自分なりに重要だと思うポイントを短いフレーズに言い換えて返してみるといいでしょう。

受け答えの言葉が長すぎると、相手が自分の悩みや心の問題を整理できなくなってしまいます。可能な限り一言で表現できるようなフレーズで受け答えを入れるのが、傾聴をスムーズに進めるコツです。特に気持ちを表す言葉の繰り返しは共感の姿勢を示すのに効果的とあって、プロの心理カウンセラーも傾聴のテクニックに取り入れています。

傾聴に効果的な質問の仕方

YesとNoのプレートを持つ女性

傾聴と言えばただ相手の話を聴くだけの行為のように思いがちですが、逆に聞き手が質問する場面もないわけではありません。話の流れに合わせて適度に質問を挿入すれば、相手も話しやすくなります。筆者も初対面の人と話すのはあまり得意な方ではありませんが、絶妙なタイミングで質問を入れてくる人とは話しやすいと感じました。

ただし相手のことをもっとよく知ろうとするあまり、事情聴取のように根掘り葉掘りと質問責めにするはNGです。相手が流れるように話をしている中であれば、合間合間に短い質問を入れることで会話が弾みます。

会話が順調に進んでいる場合でも、「なぜ」「どうして」というニュアンスの質問は避けるのが無難です。打ち明け話の最中に理由を問うような質問をされると、聞き手が共感してくれていないように感じてしまいます。

傾聴の途中で質問を入れる場合は、「Yes」か「No」で答えられるような質問を選ぶのがコツです。Yesの答えが予想されるように質問すれば、相手も肯定的な気分になりやすいものです。つらい体験など話しづらい事柄に関しては質問を減らし、相手が自分から打ち明けてくれるのを辛抱強く待ちます。

傾聴に関するおすすめの本5選

ピックアップのイメージ

傾聴のスキルは奥が深いだけに、以上のような概要だけでは「物足りない」と感じる人もいることでしょう。ブログの記事で傾聴について詳しく解説していては、あまりにも長文になってしまいます。

そこでもっと詳しく学びたいという人のために、筆者も参考にした本を5冊厳選してみました。初版の刊行から年数が経っている本もありますが、10年前のスキルが今でも十分に通用するのが傾聴の力です。インターネットで手に入る無料の情報よりは信頼がおけますので、「あまり費用をかけずに傾聴力を独学で身につけたい」という人に以下の5冊をおすすめします。

(1)プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術(古宮 昇・著/ナツメ社)

初版の刊行年が2012年で古めの本ですが、Amazonでは現在でも新品で注文が可能です。著者は心理療法を行うプロのカウンセラーで、本書を読めば傾聴の基本姿勢から実践テクニックまで幅広い内容が学べます。

(2)マンガでやさしくわかる傾聴(古宮 昇・著、葛城かえで・シナリオ制作、サノマリナ・作画/日本能率協会マネジメントセンター)

傾聴力について解説した他のブログ記事で、多くの人がおすすめの本として挙げている1冊。前述『プロカウンセラーが教えるはじめての傾聴術』の著者がマンガの制作チームと組んで、傾聴の専門スキルをわかりやすく解説しています。マンガパートと解説パートに分かれていますので、「文字ばかり多い本を読むのはが苦手」という人におすすめです。

(3)傾聴のコツ―――話を「否定せず、遮らず、拒まず」(金田 諦應・著/知的生きかた文庫)

本書の著者は曹洞宗の僧侶で、東日本大震災の被災者2万人と向き合いながら傾聴活動に従事してきました。傾聴の具体的スキルと言うよりは、傾聴を実践するに当たっての基本姿勢や考え方を学べる1冊です。

(4)1分で信頼を引き寄せる「魔法の聞き方」(渡辺 直樹・著/朝日新聞出版)

著者は大手通信会社のコールセンターでオペレーション業務を担当してきた実績の持ち主だけに、本書も傾聴の実践的スキルを満載したビジネス書の趣があります。「傾聴力を身につけて仕事に活かしたい」という人におすすめです。

(5)知識ゼロからの人を動かす「聞く力」(菊間 千乃、志賀 俊之、野口 敏、外山 滋比古、心屋仁之助・共著/幻冬舎)

本書も2014年刊行で古めの本ですが、傾聴のスキルを仕事に活かすアイデアが見つかります。傾聴力を体系的に学びたいという人よりは、傾聴力を突破口として仕事の悩み解決につなげたい人におすすめのビジネス書です。

傾聴のコツまとめ

さまざまな仕事の現場で注目されている傾聴力は、以上のようなコツさえつかめば誰でも習得可能なビジネススキルです。接客業や営業職など本業の仕事に役立つのはもちろん、相談系の副業を始める際にも傾聴のスキルは欠かせません。

傾聴のコツは、以下の5つに集約されます。

  • 相手を全面的に肯定して受け入れる基本姿勢
  • 相手の感情を理解する共感力
  • 適度なうなずきと相づち
  • 相手の言葉を繰り返す受け答え
  • 話の流れに沿った質問

傾聴に関する本を読めばさらに多くのテクニックを学べますが、以上の5大要素はどの本にも必ず言及されていました。傾聴のプロによるアドバイスには重みがありますので、この記事で紹介したコツを自分の仕事にも活かしてみるといいでしょう。

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