野外には流木や木の実・山菜・キノコ・苔など、自然から採取したものを売ってお金を稼げる手段が数多くあります。山や川・海岸に落ちている石もまたお金に換えられる自然物の1つで、希少価値が高い石を発見できれば一攫千金も夢ではありません。
とは言えそのへんに落ちているただの石を拾ってきて売ろうとしても、買ってくれるところがないのが普通です。
一般のリサイクルショップに持ち込んだのでは、高価な宝石でもない限り買取してはもらえません。そう簡単には売れない石の販売方法について、実際に買取している店舗と出品して売るオークションの情報をまとめてみました。
石を集める趣味はブームが去ったとも言われていますが、鑑賞石や翡翠などは今も熱心な愛好家が少なくないものです。化石や隕石なども含め、高く売れる石のジャンルについても記事の後半で詳しく解説します。
拾ってきた石を売る方法
石は道端にも落ちているほどありふれた物体のため、拾ってきてお金に換えようなどという発想を持つ人は少数派に過ぎません。とは言え一口に石と言っても非常に多くの種類があるだけに、希少価値がある石なら売れる可能性が出てきます。
ダイヤモンドやルビー、オパールのような宝石は鉱山で採掘される例が多く、珊瑚や真珠など海に産する宝石も簡単には採集できません。見た目が美しく入手が困難な石ほど高値がつきやすいのは当然ですが、少しの努力や工夫で採集できるような石にも一定の需要があるものです。観賞用の石として購入する人もいれば、パワーストーンとしての神秘的な力を信じて購入する人もいます。
そうした天然石は実用価値のある道具類ではないため、リサイクルショップでは買取してくれないのが普通です。拾ってきた石を売る手段には鑑賞石や天然石など石を専門に買取している店舗を利用する方法と、ネットオークションやフリマアプリなどを利用して自分で売る方法の2通りが考えられます。それぞれ詳しく解説していきます。
自然石の買取が可能な店舗
石を買取している店舗は水石や菊花石などの鑑賞石を専門に扱う店と、パワーストーンなどの天然石を買取している店の2種類に大きく分けられます。鑑賞石を買取している店は骨董品や美術品も扱っている例が多く、石の持つ美的価値を高く評価して査定を行う点が特徴です。
いちのややくまねこ堂、ますけんといった店では、鑑賞石を一種の骨董品として買取しています。鑑賞石の価値は産地と紐付けられているため、高く売るには証明書や鑑定書・箱などの付属品が欠かせません。産地を証明するものがあるのとないのでは、買取価格にも大きな差が出てくるのです。
そういう店ではよほど貴重な石でもない限り、山や川・海岸から自分で拾ってきた石にはなかなか値段が付きません。石買取屋などパワーストーンの買取を行う店であれば、拾ってきた原石でも売れる可能性があります。
オークションに出品した方が高く売れる?
砂を敷いた台座や水盤に自然石を置いて鑑賞する水石は昭和40年前後にブームとなり、全国各地の川原が探石を行う人で賑わいました。めぼしい石はブームの際に採り尽くされてしまったため、現在では鑑賞石にするほど希少価値の高い石は見つけにくくなっています。
つげ義春の漫画『無能の人』に収録されてている「石を売る」にも水石は取り上げられていますが、作品が書かれのはブームが去って久しい昭和60年でした。
漫画家や中古カメラ屋で失敗した主人公は川原で拾い集めた石を売る店を始めますが、河川敷という出店場所が悪かったせいもあってなかなか売れません。そこで主人公は石の雑誌に出ていたオークションの広告に目を留め、拾い集めた石のコレクションを出品します。
「無能の人」の漫画では売上ゼロという厳しい結果に終わりましたが、石を売る手段にオークションが有効という点では今も昔も変わりありません。多種多様な鑑賞石が出品されているYahoo!オークションは石の市場としても最大級の規模を誇り、数十万円以上の高値で落札された例もあるほどです。鉱物標本や天然石・化石などの石が多数出品されるミネラルショーも全国各地で随時開催されており、自分で拾ってきた石や趣味で集めたパワーストーンをフリーマーケットのように売ることができます。
メルカリにも鑑賞石やパワーストーンは多数出品されていますが、自分で拾ってきたような石を買ってくれる人がいるかどうかは石の種類しだいです。本当に価値のある石であれば、ネットオークションに出品するのが最も高く売れやすい方法だと言えます。
高く売れる石のジャンル
以上のような手を使えば石を売ってお金を稼ぐことはできますが、山や川・海岸へ行ってただ闇雲に石を拾って帰れば売れるというものでもありません。少しでも高く売るには、高く売れやすい石のジャンルについて知っておく必要があります。
鑑賞石は室町時代に始まったと伝えられているほど古い歴史を持つだけに、サイズの大きな銘石はほとんど採り尽くされてしまいました。小さい石であれば今でも採取できる可能性はありますが、産地はどうしても限られてきます。この他にも翡翠や化石・隕石など、高値で売れやすい石ほど見つけるのが困難です。
鑑賞石
引用:CC 表示-継承 3.0, photo by Sage Ross
菊花石や梅花石などの鑑賞石は銘石とも呼ばれ、古くから好事家に愛好されてきました。菊の模様が特徴の菊花石は鑑賞石として最高ランクに位置し、大きい石が見つかれば高値で売れる可能性が大です。
とは言え代表的な産地だった岐阜県の根尾谷では菊花石が特別天然記念物に指定され、現在は指定区域内の採取が禁止されています。多摩地方の山岳地帯や群馬県の下仁田町付近・高知県仁淀川上流なども菊花石の産地ですが、大きい石はほとんど採り尽くされた感があるため発見するのは困難です。
北海道の空知川や夕張川・北九州市門司区の青浜海岸が産地として有名な梅花石は、関東地方でも荒川上流などで採取されています。今では簡単に見つからなくなりましたが、一攫千金を狙う人は探石にチャレンジしてみるのも一興です。
翡翠
引用:CC 表示-継承 3.0, photo byImmanuel Giel
日本列島は水晶や琥珀・真珠・珊瑚・瑪瑙など、さまざまな宝石の産地でもあります。そうした中でも半透明の緑色をした翡翠は縄文時代から珍重されていたほどの古い歴史を持ち、日本の代表的な宝石として愛好されてきました。日本国内における翡翠の産地は新潟県の糸魚川流域や富山県の宮崎海岸などに限られるだけに、現在でも採集可能な中でも特に希少価値が高い石です。
縄文時代から翡翠の産地として知られていた糸魚川流域では、現在では大半の川原で採取禁止となっています。川から流れ出して海岸に打ち上げられた翡翠なら採取も可能とあって、河口付近の海岸では宝探しに興じる人の姿も珍しくありません。青や紫の翡翠は特に希少価値が高いだけに、運良く見つけてネットオークションに出品すれば数万円から数十万円で落札される可能性もあります。
化石
アンモナイトや三葉虫・恐竜などの化石もまた、鑑賞石や宝石とは違った熱心な愛好家が少なくない石です。化石の産地は菊花石や梅花石・翡翠よりも範囲が広く、北は北海道から南は九州・沖縄に至るまで全国各地で発掘されています。
中でも近年になって重要な発見が相次いでいる恐竜の化石は、「恐竜王国」とも呼ばれる福井県が国内最大の産地です。恐竜の化石が出やすい地層が県内に分布している上に1980年代から発掘調査が集中的に行われてきた結果、国内の恐竜化石はおよそ80%が福井県で発見されました。
福井県では恐竜化石の発掘体験も盛んに実施されていますので、興味のある人は参加してみるといいでしょう。恐竜以外でもアンモナイトや珊瑚・菊石の化石は人気が高く、見つかれば高値で売れる可能性があります。
隕石
鑑賞石や翡翠・化石のように決まった産地が存在するわけではありませんが、宇宙からやってきた隕石もまた熱心な収集家がいる石のジャンルです。世界には隕石ハンターと呼ばれるプロの探石家も存在し、火球や隕石落下の情報をキャッチするやいなや現地に急行しています。日本でも2020年7月に関東地方で火球が目撃され、千葉県のマンション敷地内で落下したと見られる隕石が発見されて話題になりました。
過去に日本で落下して隕石と認定された石はこの「習志野隕石」を含めても、累計で50個ほどに過ぎません。それだけ他の石より希少価値が高く熱心なコレクターも存在するからこそ、海外では隕石ハンターという特殊な職業も成り立っていると言えます。
日本の法律では最初に拾った人に隕石の所有権が認められますが、私有地に埋まっている場合は土地所有者のものです。希少価値が高い隕石ほど高値がつき、海外では月隕石が約7億円で売れた例もありました。隕石はパワーストーンとしても人気があるため、アクセサリーに加工する需要も期待できます。
軽石
2021年8月に噴火した小笠原諸島の海底火山に由来する軽石が海流に乗って漂い、沖縄などの海岸に打ち上げられる例が相次ぎました。漁業や観光にも悪影響が出ていますが、海岸に漂着した軽石は高く売れるのでしょうか?
軽石は園芸用やインテリア目的で購入している人も少なくないだけに、元手が0円なら結構なお小遣い稼ぎになるはずです。実際にメルカリなどで、完売する例も出ています。安全性が不明という理由で現在は出品が禁止されていますが、当初はメルカリでも海底火山由来の軽石が出品されていました。Yahoo!オークションでは出品が禁止されなかったため、結構儲けた人もいるはずです。
出品が禁止される前にメルカリで完売した例を見ると、箱いっぱいに詰めた軽石が1,000円前後で売れていました。大きめの軽石が1個2,000円以上で売れた例もあります。Yahoo!オークションでも箱満杯にした軽石が、1,500円から3,000円ほどで落札されていました。
石を拾って持ち帰るのは違法?
拾った石を売って収入を得ようとする場合に心配されるのは、川や海岸から石を勝手に持ち帰る行為が違法にならないかどうかという点です。それぞれ河川法や海岸法の規制を受けるため、法律が厳密に適用されると違法になってしまいます。
実際には個人が趣味の範囲で数個程度の石を持ち帰る程度であれば、普通は窃盗罪に問われることもありません。地形が変わってしまうほど大量の土砂を採取するのは問題ですが、川や海岸に落ちていた石を「常識の範囲内で」持ち帰る程度なら大目に見てもらえるはずです。
この「常識の範囲内」というのがなかなかの曲者で、販売目的で石を採取する際には法的なグレーゾーンに踏み込む場合もあり得ます。石の扱いに関しては条例で細かく定めている自治体もありますので、川や海岸で石拾いをする前に念のため管轄区域の役所に問い合わせてみるといいでしょう。
国立公園や国定公園・都道府県立自然公園に指定されている場所では、石を含めて一切のものが持ち出し禁止です。たとえ石1個でも持ち帰ると完全な違法行為となりますので、どれだけ貴重な石でもその場で鑑賞するしかありません。川や海岸で石拾いをする場合には、その場所が自然公園法の対象区域でないかどうか確認することをおすすめします。
石を売ってお金を稼ぐ方法まとめ
以上のような事情があるため拾った石を売ることで生計を立てるのは困難ですが、小遣い稼ぎ程度なら収入を増やせる可能性も十分にあります。実際にメルカリでは水槽のアクアリウムやガーデング用として、拾ってきた石が出品されている例も珍しくはありません。拾ってきた石を自分で加工し、パワーストーンとして出品するという手もあります。
そのような石は高く売れたとしても数千円程度ですので、石の販売を副業にするのは時給換算で割りに合わないと感じるかもしれません。ハイキングやキャンプなどのついでに綺麗な石を見つけて持ち帰れば、レジャーを兼ねた石拾いになります。発見できず徒労に終わるリスクも承知の上でなら、鑑賞石や翡翠など希少価値の高い石探しにチャレンジしてみるのも悪くはありません。
コメント
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[…] 軽石に限らず、海や川・山などで拾ってきた石を売ってお金を稼ぐ「副業」は以前から存在しました。当ブログでも石を売ってお金を稼ぐ方法とは?鑑賞石買取やオークション出品を解説の記事で紹介しましたが、希少価値の高い石を見つけて愛好家に売れば結構な収入になります。今回の軽石出品もそうした文化の延長線上として、「元手0円でお金を稼ぐ方法」の1つと見なすことは可能です。 […]