焼き物作りには根強い人気があるようで、全国各地で陶芸教室が活況を呈しています。自分も陶芸家になって、焼き物作りを仕事にしてみたいと思っている人は少なくないのではないでしょうか?
陶芸教室が人気を集めている一方で、「陶芸家になっても食べていけない」という噂もあります。作品を売って生計が成り立っているのは、陶芸家全体でもほんの一握りに過ぎないという話です。
陶芸の仕事だけで生活していくのは確かに大変ですが、副業にするための収入源なら5つほど考えられます。
そこで今回は陶芸家になる方法と、陶芸で稼ぐ収入源について情報をまとめてみました。この記事を最後まで読めば、趣味の陶芸を仕事にしてお金を稼げるようになります。
陶芸家は「食べていけない」と言われる理由
画家や彫刻家など他の芸術ジャンルの作家と同様に、作品を売って生計が成り立っているような陶芸家はほんの一握りに過ぎません。陶芸家の大半は会社員の平均年収の半分以下しか収入がないため、別の仕事をしたりして生活を維持しています。そこそこ売れている陶芸家でも、陶芸教室を開いて収入の柱としている例は少なくないものです。
陶芸作品を作り上げるにはさまざまな道具が要る上に、最終的な工程として焼成作業が欠かせません。陶磁器を高温で焼き上げるのにどうしても窯が必要になるため、作品の制作には画家や彫刻家以上に費用がかかってきます。
一度に大量の作品を焼き上げる大きな窯を作るとなれば、百万円単位の高額な資金が必要です。作品が売れたとしても、費用を差し引くと収益が少ししか残らないという例も珍しくありません。
作品が高く売れなかった場合は、費用の方が上回って赤字になるケースもあります。陶芸だけで食べていけるだけの収入が得られずに、家族に扶養されながら活動を続ける人もいるほどです。
一方では湯呑1点が1万円以上で売れる有名陶芸家も存在しますので、まったく稼げない仕事というわけではありません。人間国宝クラスになると、陶芸作品に何百万円という高値がつくこともあります。
茶碗や皿などの陶磁器は日常生活でも使われていますが、芸術性を鑑賞する陶芸作品の市場規模は決して大きくありません。陶芸作品に高いお金を出して購入してくれるのは、一部の好事家や富裕層に限られます。
昭和のバブル期には、高価な器が飛ぶように売れたという話もありました。海外製を含めた安価な製品が大量に出回るようになった今の時代に、陶芸家が太刀打ちしていくのは容易でない状況です。
陶芸家の仕事内容
陶芸教室に生徒として通う中で体験できるのは、焼き物作りでも一部の工程に限られます。生徒にとって難易度が高い工程は、教室のスタッフや講師が代わりにやってくれるからです。
プロの陶芸家が作品を制作する際の、完成までの主な工程は以下の通りです。
- 作品をデザインする
- 原料を採取・購入して土作りを行う
- ろくろやヘラなどの道具を使って器の形を作る
- 成型した作品を乾燥させる
- 乾燥させた器に下絵付けを施す
- 素焼きを行う
- 釉薬を塗る
- 本焼きの工程を経て完成
この他に作品の販売や窯の管理も、陶芸家の仕事内容に含まれてきます。陶芸教室を開く場合には、生徒を募集したり指導したりするのも仕事の1つです。
陶芸家になるには
陶芸家になった人のうち何割かは焼き物が盛んな地方で陶芸一家に生まれ、家業を継ぐ決心をした人たちです。有名人や資産家が道楽で陶芸を嗜むようになり、自身の人脈を生かして作品を販売しているような例も珍しくありません。
陶芸の伝統に連なるバックボーンを持たない人の場合、何らかの形で技術を身につける必要があります。全国各地で開かれている陶芸教室は主に一般の人を対象として、陶芸を趣味として体験してもらうための場です。プロの陶芸家を目指そうと思えば、さらに一歩踏み込んだ取り組み方が求められてきます。
陶芸家になるのに年齢は関係ありません。若くして陶芸家を志す人もいれば、定年退職後に趣味で始めた陶芸を極めようというシニアもいます。
この記事は陶芸の世界と接点がなかった人を想定していますので、まったくの未経験から陶芸家を目指す方法について紹介します。一般の人が陶芸家を目指す方法は、以下の5通りです。
- 陶芸家に弟子入りする
- 美術系の学校で学ぶ
- 窯元の会社で働く
- 独学で陶芸家を目指す
- 公募展やクラフトフェアに作品を出品する
それぞれ詳しく解説します。
陶芸家に弟子入りする
陶芸家になる一番の近道は、すでに名声を得ている陶芸家のもとに弟子入りするという昔ながらの方法です。師匠について学びながら自分の作品を制作していけば、作品展に出品するチャンスが出てきます。師匠の所有する窯で自分の作品を焼かせてもらえる場合もありますので、独学で陶芸家を目指すよりは断然有利な立場です。
昔は陶芸家に弟子入りしても、最初のうちは無給で働かされるのが普通でした。有名な陶芸家になると、簡単には弟子入りさせてもらえません。弟子入りが許されてもしばらくは修行期間となり、雑用などもこなしていく必要があります。
陶芸家が開いている陶芸教室のアシスタントとして採用された場合は、働いた分だけきちんと給料が出るのが普通です。教室で使用する窯で自分の作品も焼かせてもらえる可能性はありますが、どうしても生徒の制作した作品が優先されます。若手の陶芸家同士で組んで1つの窯を共有したり、貸し窯を借りたりして作品を焼いている人も少なくありません。
美術系の学校で学ぶ
美術系の大学や専門学校で造形の基礎から学び、卒業後に陶芸家を目指すのも1つの方法です。陶芸コースのある大学や専門学校はそれほど多くありませんが、芸術(美術)学科や工芸学科・デザイン学科でも陶芸家を目指せます。
大学や専門学校で学んだからと言って、卒業後すぐに陶芸家として独立できるというわけではありません。結局は有名陶芸家に弟子入りするか、窯元と呼ばれる工房に就職するか、陶芸家を目指す他の方法と併用することになります。大学や専門学校に通うとなれば、陶芸教室に通うよりも高額の学費が必要です。
窯元の会社で働く
陶芸が盛んな地域には窯元と呼ばれる工房があって、分業制による共同作業で焼き物作りを行っています。そんな窯元の会社で働くのが、陶芸家を目指す3つ目の方法です。正社員や契約社員・アルバイトなどの待遇で採用されれば、働きながら陶芸の技術を身につけられるようになります。
窯元の会社に雇われた場合、焼き物作りの仕事ばかりしていればいいとは限りません。併設された店舗での販売業務や陶芸教室のスタッフ業務など、接客を伴う仕事が加わる場合もあります。
個人の陶芸家として独立する場合と比べ、安定した固定給がもらえる点は窯元に就職するメリットです。個人で独立して陶芸家になるには、作品をどうやって焼くのかが問題となります。窯元に就職すれば、自分の作った陶芸作品を会社の窯で焼かせてもらえるケースもあります。
その代わり窯元に所属していると会社の仕事が優先され、陶芸家として自由に活動できない点はデメリットです。窯元の会社が存在するのは陶芸が盛んな地方が中心で、都市部の求人は多くありません。窯元で働いて腕を磨いた後、陶芸家として独立するのも1つの方法です。
独学で陶芸家を目指す
以上のようなルートを経ない独学でも、陶芸家を目指せないことはありません。陶芸教室への参加をきっかけとして焼き物の魅力に目覚め、猛勉強して陶芸家になったという人もいるからです。
独学で技術を身につけるには、窯元への就職や弟子入りの何倍も時間がかかります。ろくろを回したり成型したりする技術だけでなく、土の性質や陶芸の歴史に関する勉強も欠かせません。
陶芸家が運営しているYouTubeチャンネルの動画を見て教材にするという手もありますが、実際にやってみると動画のようにはうまくいかないものです。試行錯誤の連続で費用の無駄も多いだけに、陶芸家として稼げるようになるまで時間がかかります。
窯業の会社では分業化が進んでいますが、独学だとすべて自分1人で作品を完成させなければなりません。陶芸家として独立するには、多額の資金も必要になってきます。釉薬を使ったり窯を使用したりする費用は、基本的に自分持ちです。もともと有名人だったり資産家だったりして、資金を用意できる人の方が有利と言えます。
公募展やクラフトフェアに出品
いずれかの手段で陶芸の技術を身につけた人に限定の方法ですが、公募展に作品を出品するのも陶芸家を目指す方法の1つです。公募展は陶芸家の登竜門とされているだけに、受賞すれば実力を広く認められるようになります。上位入賞者には高額の賞金が授与される公募展も少なくありません。
全国各地で開催されるクラフトフェアも、陶芸家が腕試しをできる機会の1つです。数千円から1万円前後の出展料がかかるのが普通ですが、作品を気に入った人が購入してくれる可能性も出てきます。クラフトフェアの会場には業界関係者も出入りしますので、作品を展示しておいて損はないはずです。
陶芸家になるのに資格は必要?
陶芸に関連した資格としては、都道府県知事が実施する国家検定の陶磁器製造技能士があります。近年は受験者の減少を受けて、受験区分「絵付け作業」だけが実施されている状況です。
国家資格の伝統工芸士や民間資格の認定陶芸士・認定講師などもありますが、これらの資格がないと陶芸家を名乗れないというわけではありません。誰でもその気になれば、陶芸家を自称することは可能です。
有名な陶芸家でも、陶芸関連の資格を保有していないという人は珍しくありません。陶芸の仕事で食べていくには、作品作りのセンスや実績・人脈の方が重要になってきます。
陶芸家に向いている人
陶芸も造形芸術の一種ですので、手先が器用な人に向いています。ハンドメイドやDIYなど、ものづくりを趣味としている人は適性があると言えるでしょう。
大量生産される安価な食器類と違って、陶芸家が作る器は一点ものの芸術作品です。すでに多種多様な器が制作されている中で新たな作品を生み出すには、独創的なアイデアが求められます。他の陶芸家にない独自のセンスを持っていて、アイデアを形にできるだけの能力も必要です。
技術を持っているだけでは陶芸家としてまだまだ不十分なだけに、発想力が豊かで美的センスを持っている人も陶芸家に向いています。一人前になるまで年単位の時間がかかるのが普通ですので、コツコツと努力できる人でないと長続きしません。
陶芸家の大変なこと
一般の人が陶芸家に対して、思い浮かべるのはどのようなイメージでしょうか?
せっかく焼き上げた作品を「失敗作だ!」と言って、惜しげもなく割ってしまうのがステレオタイプ化された陶芸家のイメージです。それだけ焼き物作りは、思い通りにいかないことが多い作業とも言えます。
著名な陶芸家になると1つの器に何百万円という高値がつくこともありますが、見えないところで膨大な数の失敗作を生み出しているはずです。そんな陶芸家を仕事に選んだ場合には、以下のような点で大変な思いをすることになります。
- 体力的にきつい
- 根気がいる仕事
- 収入が不安定
体力的にきつい
陶器の材料となるのは山から採取した粘土だけに、20kgぐらいある重い袋を持ち運ぶのに体力も必要です。長時間座ったまま作業をすることが多いせいか、陶芸家の中には腰痛持ちの人も少なくありません。
素焼きの工程では窯の温度が700℃から800℃、本焼きになると1200℃以上に達します。真夏でなくても、窯の近くにいるだけで暑い思いをするのは避けられません。窯による焼成作業には危険も伴いますので、暑さ対策とともに安全対策も必要です。
陶芸家は土をこねたり水を扱ったりする作業が多いだけに、どうしても手荒れが生じやすくなります。素焼きした器を扱うだけでも肌が乾燥しがちになりますので、ハンドクリームなどの肌荒れ対策が欠かせません。
根気がいる仕事
陶芸の世界では昔から「土練り三年、ろくろ八年」という言葉があるように、一人前になるまでの修業に長い年月がかかります。1つの器を完成させるには大変な手間をかける必要があるだけに、とにかく根気強さが求められる仕事です。
作品の完成までに何ヶ月もかかるのが当たり前で、年単位で大作に取り組んでいる陶芸家も少なくありません。何事も長続きしないほど飽きっぽい人には不向きな仕事と言えます。
収入が不安定
手間ひまをかけて渾身の力作を完成させたとしても、必ず売れるとは限らないところが陶芸の難しいところです。焼成に失敗して焼きむらが生じたり割れが出たりして、多額の費用が無駄になる場合もあります。
作品が売れる月と売れない月で収入に差が生じるため、陶芸家はどうしても収入が不安定になりがちです。作品を売って生計を立てていくには、芸術的なセンスや技術力以外にマーケティング能力も求められてきます。売れている陶芸家は業界関係者や富裕層との人脈を大切にしながら、販路の拡大に努めているのです。
陶芸家の年収
陶芸家の年収は200万円から300万円という例が多く、平均年収は250万円と言われています。一流どころの陶芸家でも、年収500万円以上なら稼いでいる方です。
そこそこ名前の知られた陶芸家ですら、年収は会社員の平均程度という例が少なくありません。陶芸家で年収1,000万円を超えるのは、作品に数百万円の値がつくような人間国宝クラスに限られます。
マーケティングの能力があれば、若手の陶芸家でも年収1,000万円以上を実現できないことはありません。作品の販売だけで高年収を稼ぐのは難しいですので、陶芸家の収入源で紹介するような複数の手段を併用した稼ぎ方が求められてきます。
陶芸を副業にすれば解決!
陶芸家が食べていえないというのは、本業の仕事にする場合の話です。平日は普通に会社員として働き、土日などを利用して販売用の陶芸作品を制作するという手もあります。
副業のスタイルであれば、収入は本業の仕事である程度確保できるはずです。作品が売れなかったとしても、食べていけなくなる心配はありません。趣味と実益を兼ねた副業として陶芸に取り組み、作品が売れれば儲けものぐらいのつもりでいた方が楽になります。
とは言え副業の範囲内で陶芸家の仕事を本格的にやっていくのは、実際問題としてなかなか大変です。本業の仕事である程度は融通がきくようにしておかないと、副業の陶芸で失敗することになりかねません。
単なる趣味で陶芸を楽しむのと違って、副業にする場合は「仕事」という意識が必要です。休む暇もないくらいに働く覚悟でないと、会社員と陶芸家という二足のわらじで生きていくのは難しいとも言えます。
陶芸家の収入源
ほとんどの陶芸家は、複数の収入源を持っていて使い分けています。1つの収入源だけでは食べていけなくても、他の収入源と併用することで生計を成り立たせることは可能です。
別の仕事を本業にして生活費を確保できていれば、陶芸で得た副業収入で生活に余裕が出てきます。収入源を分散させておいた方が、どれか1つで稼げなくなっても他でカバーできるというものです。
陶芸を副業にする場合も含めると、収入源は以下の5通りが考えられます。
- 作品を売って稼ぐ
- 陶芸教室を開く
- 陶芸教室のアシスタント
- 陶芸ブログを運営して広告収入で稼ぐ
- YouTubeに陶芸動画を投稿
それぞれ詳しく解説します。
作品を売って稼ぐ
陶芸家も画家と同じように、制作した作品を売って生活していけるようになるのが理想です。陶芸家は「食べていけない」と言われる理由でも触れたように、今の時代は陶芸作品がなかなか売れません。作品の販売だけで食べていくのは難しいですが、販売機会を増やす手段ならいろいろと考えられます。
陶芸家が作品を売るために利用しているのは、以下のような手段です。
- 個展を開く
- 展示会や陶器市に出品する
- 陶磁器を扱う店舗で売ってもらう
- 窯元の会社と契約を結ぶ
- ネット販売
それぞれ詳しく解説します。
個展を開く
作品の購入者が現れるのを期待して個展を開催するのは、絵画など他のアート分野でも主流となっている販売の手法です。他の陶芸家と共同でグループ展を開催し、会場使用料の負担を軽減させるという手もあります。
ギャラリーと呼ばれる展示会場の関係者から個展開催の話を持ちかけられた場合は、立ち止まって冷静に検討することをおすすめします。安いところだと1週間5万円程度で借りられますが、高いところになると20万円以上というケースもあるからです。
個展を開催するには会場使用料の他に、宣伝費や関連グッズの製作費用がかかります。作品が売れた場合には、送料と梱包費用も必要です。会場が遠方にある場合、交通費や宿泊費用などもかかってきます。
いろいろとコストのかかる販売方法ではありますが、個展の開催を1つの目標としている若手陶芸家も少なくありません。陶芸家もアーティストの仲間ですので、自分の好きなようにプロデュースできる点が個展のメリットです。
展示会や陶器市に出品する
クラフトフェアのような展示即売会も、個人の作家が制作した陶芸作品を販売する手段の1つです。自信作を出品して展示しておけば、会場を訪れた業界の関係者から声をかけかけられる可能性も出てきます。
陶磁器の生産地では窯元が中心となって、季節ごとの陶器市や陶器まつりも開催されています。個人の陶芸家でも出品できる場合がありますので、最新の開催情報を検索してみるといいでしょう。
出展料は数万円というケースもありますが、1日あたり数千円程度で出展できるクラフトフェアや陶器市も少なくありません。個展を開催するより費用を抑えられるという点は、予算に余裕のない陶芸家にとっては大きなメリットです。
陶磁器を扱う店舗で売ってもらう
百貨店や雑貨店など、陶磁器を扱う店に作品を置かせてもらうのも1つの販売方法です。自分で店舗を開業するとなれば多額の費用がかかってきます、委託販売なら開業費用は必要ありません。商品が売れた場合に、売上から販売手数料を引いた残りが陶芸家の収入となります。
販売手数料は店舗によって異なりますが、40%から50%程度が平均的な相場です。同じような委託販売でも農産物直売所や道の駅は15%~20%が相場ですので、陶磁器の販売手数料は高めと言えます。自分の取り分をもっと増やしたいという場合は、後述するネット販売も1つの選択肢です。
窯元の会社と契約を結ぶ
陶芸家としての実績が認められるようになると、窯元の会社から声をかけられる例も出てきます。窯元に代わって陶磁器の制作を受注し、注文に応じた作品を納品する販売方法です。
個人で作品を販売するのと比べて、窯元なら大口の注文が入ることもあり得ます。自分のペースで作品づくりに専念できないデメリットもありますが、安定収入につながりやすい点はメリットです。
中にはホームページなどを通じて、陶芸職人を募集している窯元もあります。大手の転職サイトでは募集がなかなか見つかりませんが、求人検索エンジンは地方の求人にも強いのが特徴です。興味がある人はIndeedや求人ボックスで検索してみるといいでしょう。
ネット販売
最近は若手作家を中心として、フリマサイトやハンドメイドマーケットを利用した陶磁器のネット販売も盛んに行われています。自分だけのネットショップを開業して売ることも可能ですが、SNSやブログなどを活用した集客の努力も必要です。複数の販路を開拓しておけば、作品が売れるチャンスも増やせるようになります。
今は個人でも、安価な費用でネットショップを開業できる時代です。以下のような3つのネットショップ作成サービスには、初期費用・月額料金0円のフリープランもあります。
商品が売れた場合に売上から引かれる販売手数料(決済手数料を含む)は、フリープランでも10%未満です。雑貨店などの店舗に商品を置かせてもらう委託販売と比べ、手数料を大幅に安く抑えられます。
売上が軌道に乗って売上が増えてきたら、販売手数料がさらに低い有料プランに移行するのが得策です。月額料金がかかっても、フリープランよりトータルで安く上がるようになります。
陶芸作品を少しでも高く売ろうと思えば、購入能力を持つ客層と接点を持つ努力も欠かせません。富裕層に属する人たちは、価値があると認めた作品には大枚をはたいてでも手に入れようとします。美術界や茶道・華道など業界の関係者も含め、作品購入につながる人脈を形成できるかどうかが1つの分かれ目です。
陶芸教室を開く
多くの陶芸家は作品の販売だけでは食べていけないため、陶芸教室を開いて収入の不足分を補っています。作品が売れなくても、生徒からの月謝で安定した収入を稼げるからです。趣味としては根強い人気があるだけに、陶芸教室を開催すれば生徒が集まる可能性は十分にあります。
ただし陶芸教室を開くには、設備を整えるのにかなりの費用が必要です。自分1人で作陶するのと違って、一度に教える人数分の場所を確保しなければなりません。水を入れる容器やろくろ・ヘラ・なめし革などの道具類に加え、作業台も人数分揃えておく必要があります。
電気窯を使う場合は電気代の、ガス窯を使う場合はガス代のランニングコストも馬鹿になりません。生徒数が増えれば増えるほど窯も大型のものが必要になり、百万円単位で設置費用がかかってきます。月謝収入からそれらの費用を差し引くと、陶芸教室だけでは食べていけないという例も少なくないという話です。
陶芸教室を開催することで、生徒が講師の作品を購入してくれる場合もあります。生徒が紹介してくれた知り合いの人にまで販路を拡大できれば、月謝の不足分をカバーすることも可能です。
陶芸教室は全国各地で開催されているとは言っても、教室がない地域もあります。陶芸家としての実績が少ないうちは、競合相手がいないエリアを狙うのがおすすめです。
陶芸家として有名になれば、テレビの陶芸講座に講師として出演するチャンスも出てきます。そこまで有名でなくても、ネット上のスキルマーケットを利用して陶芸を教えることは可能です。ココナラやストアカといったスキルマーケットには、陶芸教室や陶芸に関するサービスが出品されています。
陶芸教室のアシスタント
陶芸を副業にしようという場合には、他の陶芸家が開いている陶芸教室でアシスタントの仕事をするという選択肢もあります。規模の大きな陶芸教室になると、講師1人では生徒を指導しきれません。複数人の講師やアシスタントを採用し、生徒への対応に当たることになります。
雇われ講師やアシスタントの立場なら、個人の陶芸家と違って費用を気にする必要はありません。働いた分だけ給料が出ますので、陶芸の仕事で安定して稼げるようになります。陶芸教室で使う窯で空きがあれば、自分の作品を焼かせてもらうことも可能です。
陶芸教室の講師やアシスタントには、見ず知らずの人ともうまく会話できるコミュニケーション能力が求められます。どちらも欠員が出ないと募集されませんので、求人がなかなか見つかりにくい仕事です。
陶芸教室は東京などの大都市でも開催されていますが、陶芸が盛んな地方の窯元や地方在住の陶芸家が主宰している教室も少なくありません。地方の陶芸教室でアシスタントを募集する場合、予算の都合で大手の求人サイトには求人広告を出さないという例もよくあります。地方の求人に強いのは、Indeedや求人ボックスのような求人検索エンジンです。インターネット上から求人情報を拾ってきて一覧表示させる仕組みだけに、地方で募集されている陶芸教室アシスタントの求人も見つかる可能性があります。
アシスタントの時給は1,000円前後から1,500円程度で、金額にはかなりの幅が見られる状況です。地方の求人と比べると、都市部にある陶芸教室のアシスタントほど高額の傾向も見られます。
陶芸ブログを運営して広告収入で稼ぐ
陶芸作品の市場規模は縮小傾向にあると言われていますが、陶芸そのものは根強い人気を誇る趣味のジャンルです。陶芸に興味を持つ人は、全国各地でそれなりに存在するものと推測されます。
作品の販売や陶芸教室で十分な収入を稼げない場合には、陶芸に関する情報をブログで発信してみるのも1つの手です。レンタルサーバーを借りてWordPressでブログを運営すれば、投稿した記事に広告を自由に掲載できるようになります。ブログを訪問した人が広告を利用することで、成果に応じた報酬が発生する仕組みです。
陶芸教室の講師やアシスタントと違ってすぐに稼げるようになるわけではありませんが、地道に続けていれば稼ぐチャンスも出てきます。陶芸を副業にする手段の1つとして、ブログ運営も検討してみるといいでしょう。
YouTubeに陶芸動画を投稿
陶芸に関する情報発信で広告収入を稼ぐ手段は、文字情報が中心のブログだけではありません。動画投稿サイトのYouTubeも、陶芸を副業にする手段の1つです。
エンタメ分野が人気の中心となっているYouTubeでは、陶芸は比較的マイナーなジャンルかもしれません。1つの動画で何百万回も再生されるというのは難しいですが、陶芸のやり方を動画で学びたいという人も少なくないはずです。
独学志向の人にうまくアピールできるような動画を制作できれば、YouTubeを通じて陶芸教室を開催しているのと同じことになります。動画そのものは無料で公開しても、YouTubeには収益化につながる手段がいろいろと用意されているからです。
YouTubeに投稿した動画で広告収入を得るには、チャンネル登録者数1,000人以上などの条件を満たすことが必要です。収益化には高い壁もありますが、スーパーチャットの投げ銭など広告収入以外にも稼ぐ手段が残されています。
陶芸のジャンルでも、1万回以上再生されている動画は結構あります。アイデアしだいでは副収入を稼ぐことも可能な方法ですので、動画配信に興味がある人はチャレンジしてみるといいでしょう。
まとめ
陶芸家は作品がなかなか売れず、食べていけないという問題について考察してきました。作品の販売だけで生計が成り立っているような陶芸家は、全体から見るとほんの一部に過ぎないのは事実です。大多数の陶芸家は陶芸教室を開いたり、他の仕事をしたりして収入の不足を補っています。
陶芸家として独立するには多額の資金を必要とするだけに、よほどの高収入を稼がないことには割に合いません。陶芸の仕事を本業にするのは茨の道ですが、副業で少しでも収入になれば儲けものです。
陶芸を副業にするための収入源には、以下のような5つの稼ぎ方があります。
- 作品を売って稼ぐ
- 陶芸教室を開く
- 陶芸教室のアシスタント
- 陶芸ブログを運営して広告収入で稼ぐ
- YouTubeに陶芸動画を投稿
始めやすい方法からスタートして収入を少しずつ増やしていけば、プロの陶芸家になる道も開けてくるはずです。自分に合った方法を選んで、陶芸の副業にチャレンジしてみるといいでしょう。