ゴミ拾いと言えば日本では無償で行う奉仕行為を意味するような共通認識があります。公園や海岸などで定期的に行われているゴミ拾いの多くはボランティアで、普通は収入を得るための仕事にはなりません。
とは言えアルバイト求人サイトを見ると、「公園清掃スタッフ」といった名称で求人が募集されている例もあります。ゴミ拾いを本業にして生計を立てていくのは難しいですが、そういう求人が存在するなら副業の手段にはなり得るはずです。そこで今回は日本人にとって馴染みが深い「ゴミ拾い」の仕事を取り上げ、求人の募集状況についても調べてみました。ゴミ拾いで収入を得る手段にはアルバイトと有償ボランティアの2種類がありますので、両者の違いについても詳しく解説します。
ゴミ拾いは日本の文化
観光やビジネスのために日本を訪れた外国人の多くは、自国と比べて日本の街がきれいな事実に驚きます。日本でも道端や駐車場などにゴミが落ちていることは珍しくありませんが、他の国に比べるとゴミが圧倒的に少ないと言われているのです。
2018年にロシアで行われたサッカーW杯では、試合後に会場のゴミ拾いをする日本人のサポーターたちの姿が報じられて世界に称賛されました。海外の国々と比べて日本の街にゴミが少ないのも、ボランティア団体や地元の住民が定期的にゴミ拾いを行っている証拠です。
残念ながらゴミのポイ捨てをする人は日本人の中にもいるだけに、捨てられたゴミを溜め込まないよう定期的な美化活動が重要になってきます。日本人にとっては当たり前のことですが、海外の国々では必ずしもそうではありません。
自ら進んでゴミ拾いをする人が日本人に多い理由の1つとして、小学生時代から教室や校舎内の掃除を自分たちで行う習慣が身についていることが挙げられます。そういう意味ではゴミ拾いもまた、和食や漫画・アニメなどと並んで世界に誇る日本文化の1つなのです。
ゴミ拾いで収入が得られるケース
多くの日本人は金銭的な見返りがなくても、自分から進んでゴミ拾いをしています。毎日ゴミを拾い歩いているわけではなくても、ゴミ拾いのボランティアに参加した経験があるという人は少なくないはずです。そういうお国柄だけに、ゴミ拾いで対価を得ようとするのは後ろめたい部分がないでもありません。
とは言え世の中にはいろいろな仕事があるもので、ゴミ拾いに給料を支払うアルバイトも実際に募集されています。いかにきれい好きな日本人と言えども、無償のボランティアだけで国土の隅から隅までゴミをなくすことは無理というものです。ボランティアの活動が行きわたらない場所に対しては、お金を払ってでもゴミ拾いや清掃をしてもらおうという動きも当然出てきます。
落ちているゴミに対しては敏感な国民性を持つだけに、日本では金銭的な対価が得られるゴミ拾いの仕事が多く募集されているほどです。公園を管理する自治体や団体からの委託を受けて、造園業者などの民間企業が求人を募集しているケースが多く見られます。
ゴミ拾いボランティアを主催する団体にもいろいろな種類があって、謝礼や交通費が支給される例も珍しくありません。そうした有償ボランティアまで含めると、ゴミ拾いで収入が得られる機会は結構あるはずです。日本人にとってはそれほど抵抗なしに参加できるゴミ拾いが副業の手段になれば、これと言ったスキルや経験がない人でも収入を増やせるようになります。
公園清掃バイトの仕事
副業の手段にもなり得るゴミ拾いで、最も求人が多いのは公園清掃バイトの仕事です。ただしこの仕事は草むしりや掃き掃除・トイレ掃除・ごみの分別など、他の作業を伴うことも考えられます。公園をきれいにする仕事の1つと見なされているため、必ずしも園内のゴミ拾いだけをやっていればいいというわけではありません。
3人程度の数人が一組になって行動する例が多いですが、作業そのものは基本的に1人で行います。公園清掃スタッフにはシニアの女性が多いというイメージもありますが、それほど力仕事でない上に家事のスキルを応用できるというのが主な理由です。
定年退職後に収入の手段を確保する仕事として、男性の間では警備員や守衛が定番となっています。女性の場合は屋内施設も含めた清掃スタッフの仕事を選ぶ人が多く、公園清掃スタッフは屋外作業が中心で開放感を味わいながら働ける点が人気の一因です。
勤務時間や曜日を自分で選べる求人も多く、土日を選べば会社員の副業にもなり得ます。給料の相場は地域によって異なりますが、首都圏の公園清掃バイトは時給1,000円から1,100円程度が平均的な相場です。公園清掃バイトは定年後のシニアだけでなく、社会勉強を兼ねた学生アルバイトや主婦のお小遣い稼ぎにも利用されています。
ゴミ拾いバイトとボランティアの違い
一部の公園ではトイレ掃除なども含めた園内の清掃を普段から民間企業に委託していますが、すべての公園で清掃業務を業者に委託しているわけではありません。予算などの関係で民間委託をしていない公園では、どうしてもゴミのポイ捨てが目立つようになります。
そういう公園では地元の有志が定期的に集まり、ゴミ拾いや清掃のボランティア活動を行っています。公園以外でも全国各地の街や河川敷・海岸などで、同じようにゴミ拾いのボランティアが活動中です。花火大会や野外ライブなどのイベント会場でも、ゴミ拾いのボランティア団体が活躍しています。
それらのボランティアはゴミ拾いの仕事をしても給料がもらえるわけではないという点が、アルバイトと比べた場合の一番の違いです。ボランティアでも収入が得られる可能性はありますが、謝礼をもらえる場合でもゴミ拾いバイトの給料よりはだいぶ少なくなります。ボランティアに参加しても謝礼は出ないのが普通ですので、ゴミ拾いの仕事をしたからと言って必ず稼げるわけではないという点に注意が必要です。
ゴミ拾いボランティアで謝礼の出ない例が多い理由
ゴミ拾いボランティアを行う団体の中にはgreenbird(グリーンバード)のように著名なNPO団体も存在しますが、メンバーは金銭的な見返りを期待してゴミ拾いの活動をしているわけではありません。ボランティアは無償で行うのが原則で、公園清掃バイトのように企業に雇われて給料をもらう仕事とはコンセプトが異なります。
公園やショッピングモール・テーマパークなどの施設は、レジャーや買い物を目的に不特定多数の人が訪れる場所です。いずれも管理している自治体や団体・企業が存在し、経済活動との結びつきも出てきます。そういう場所ではゴミ拾いを含めた清掃作業が欠かせないため、有志によるボランティア活動だけに頼るというわけにはいきません。金銭的対価を払ってでも、清掃を行う人材を募集する必要が出てくるというわけです。
街や河川敷・海岸などの場所はそうした必要性が薄いせいか、金銭的対価を払ってゴミ拾いをしてもらおうという企業や団体はほとんどありません。それでも街や海岸などのゴミを放置しておけないのが、きれい好きな日本人らしいところです。ゴミ拾いのイベント開催が告知されると、金銭的な見返りがなくても人が集まってきます。
稀に有償ボランティアが募集される場合もありますが、この場合は「給料」ではなく「謝礼」の名目で金銭が支給されるのが一般的です。給料はあくまでも労働の対価として支払われる金銭を意味し、最低賃金法の制約を受ける上に必ず現金で支給する必要があります。
謝礼はボランティア活動に対する謝意を示す意味で渡される金銭で、最低賃金に満たなくても問題ありません。謝礼ではなく交通費だけが支給される場合や、食事などを提供する場合も有償ボランティアに含まれます。
ゴミ拾いバイトの求人募集状況
ゴミ拾いの仕事でしっかりと稼ぎたい人は、公園清掃などのアルバイトとして働くのが最も確実な方法です。勤務先となる地域には偏りも見られますが、公園清掃バイトであれば求人の募集も比較的多く見られます。トイレ掃除や草むしりなど他の作業が加わる場合も少なくありませんので、ゴミ拾いだけをしたいという人は仕事内容をよく確認してから応募してみるといいでしょう。
公園以外では駐車場内や駅周辺など、特定の場所でゴミ拾いを行うアルバイトの求人が募集されることがあります。仕事内容がゴミ拾いだけというアルバイトは決して多くはなく、公園清掃バイトと比べてもレアな求人です。
商業施設やテーマパークの敷地内でゴミ拾いを行う仕事でも、トイレ掃除や窓拭きなど他の作業が加わる場合が少なくありません。求人の募集件数としては、店舗やオフィス・各種施設などの屋内で作業を行う清掃バイトの方が圧倒的に多い状況です。
有償ボランティアは副業にならない?
ゴミ拾いボランティアの中には謝礼金がもらえる場合もありますが、謝礼は給料と違って税金の対象にならないのが普通です。有償ボランティアとしてゴミ拾いをして謝礼を受け取っても、その分に関しては確定申告の必要はありません。副業禁止の会社に勤務している人や公務員でも、有償ボランティアであれば参加できるはずです。
ボランティア活動はたとえ有償であっても、副業には当たらないものと見なされています。ゴミ拾いのボランティア活動も謝礼を受け取ることが目的ではなく、ゴミ拾いを通じた地域や社会への貢献が主な目的です。
そのため収入を増やすという意味での副業には当たりませんが、本業の仕事では得られない充実感や体験を得られます。そうした点を重視しながら収益を度外視した副業に取り組んでいる人も少なくありませんので、その意味では有償ボランティアも広い意味での副業に含まれるとする考え方は可能です。
ゴミ拾いで収入を得る方法まとめ
一般的な意味での副業としてゴミ拾いの仕事をするには、公園清掃スタッフなどのアルバイト求人に応募するのがほぼ唯一の方法です。ゴミ拾いを行う有償ボランティアの募集が見つかれば、いくばくかの謝礼がもらえる可能性もあります。謝礼は税金の対象とならないため普通は副業と見なされませんが、働く充実感を得ながら少しでも副収入につながる点では副業と変わりありません。
いずれもしても日本ではゴミ拾いを無償で行う文化が根付いているため、お金を出してまでしてゴミを拾ってもらおうとする雇い主や依頼主は限られます。まずは無償のボランティア活動に参加することから始め、活動を通じて築き上げた人脈を頼りに有償ボランティアの仕事を紹介してもらうのも1つの方法です。