飲食店で主に接客業務や配膳・片付けなどを担当するホールスタッフは求人が多く、学生のアルバイトや主婦の副業として定番になっている仕事の1つです。ホールスタッフバイトはある程度のコミュニケーション能力と体力があれば誰でもできる仕事と見られていますが、体力的にきついという声も少なくありません。
仕事の募集が見つけやすかったホールスタッフバイトも、新型コロナウイルスの影響で収入激減のピンチに直面しています。国や都道府県からの休業要請と営業自粛の風潮を受け、アルバイトのシフトを減らす店が続出しているのです。休業手当もなかなか受けられないケースが多いホールスタッフバイトの不安定な雇用状況はこれから先も続くのかどうか、今後の見通しに関する最新情報をまとめてみました。
ホールスタッフバイトとはどんな仕事?
求人情報誌や求人サイトに掲載されているホールスタッフバイトの求人には、大きく分けて2種類があります。最も多いのはレストランやカフェ・ラーメン店・回転寿司店・焼肉店・居酒屋など、飲食店が募集するホールスタッフの求人です。飲食店バイトにはホールスタッフの他にキッチンスタッフや宅配スタッフがあり、店長やマネージャーの指示に従いながら役割分担された各自の仕事を担当しています。
主に調理を担当するキッチンスタッフや注文客の自宅まで配達を行う宅配スタッフと違って、飲食店の店内に関する業務を担当するのがホールスタッフの仕事です。ホールスタッフの役割は来店客を席まで案内して注文を承り、キッチンスタッフに伝えることから始まります。出来上がった料理を注文客の席まで運んで配膳し、後片付けやテーブルの掃除と会計が主な役割です。店によっては人手不足を補うために、ホールスタッフが調理の仕事を手伝うこともあります。
ホールスタッフとして募集されているもう1種類の求人は、パチンコ店で台の清掃や来店客のサポートを行う仕事です。パチンコ店のホールスタッフは出玉を入れたドル箱と呼ばれる重い箱を持ち運ぶ仕事が加わり、飲食店のホールスタッフより体力的な負担が大きくなります。客層や店内の環境も一般的な飲食店と違ってくるため、パチンコ店のホールスタッフは独自の接客スキルが求められる仕事です。パチンコ店の店内では絶えず大音量の音で会話が聞き取りにくいだけに、騒音が苦手な人には不向きな仕事だと言えます。
時給はキッチンスタッフとどっちが高い?
飲食店のホールスタッフは時給の全国的な平均相場が900円台で、都道府県による格差も目立ちます。最も時給相場の高い東京都は1,100円を上回りますが、地方では900円未満の県も少なくありません。ホールスタッフバイトより宅配バイトの方が稼げるという声もありますが、キッチンスタッフとの差はごくわずかです。
数十円程度の差とは言え、キッチンスタッフはホールスタッフの平均的な時給相場より高めとなっています。接客や配膳・片付け・店内の清掃を担当するホールスタッフよりも、調理を担当するキッチンスタッフの方が難易度が高い仕事と見られている証拠です。とは言え地域間の時給格差に比べると、職種による時給の違いはそれほど大きくないとも言えます。
ホールスタッフバイトの仕事がきついと言われる理由
調理が得意な人に向いたキッチンスタッフと比べ、ホールスタッフのアルバイトは誰でもできる仕事と思いがちです。実際にはほとんど立ちっぱなしで忙しい店だと絶えず動き回っている必要があるため、ホールスタッフバイトはある程度の体力がないと務まりません。料理によっては結構な重量を持ち運ぶことになり、器の中身をこぼしたりしないように配膳するにはコツも要ります。お客さんが食べ終わった食器類をまとめて回収したり、テーブルの拭き掃除をしたりする仕事も量が多いと結構な重労働です。
そうした体力面の負担が決して小さくないせいか、ホールスタッフのアルバイトは「仕事がきつい」とも言われてきました。ちょっとした不満に対してクレームを申し立てるお客さんも少なくないだけに、接客を担当するホールスタッフの仕事には精神的な面でのストレスも付きものです。料理に関する苦情はキッチンスタッフの手落ちですが、接客の矢面に立たされるホールスタッフが代わりに謝罪しなければなりません。
一言謝っても納得しないお客さんに対しては、店長やマネージャーを呼んで対処してもらうことになります。ホールスタッフバイトは店の責任者に引き継ぐのが役割とは言え、接客には人一倍気を使わなければならない仕事です。人付き合いが苦手な人にとっては体力的な面だけでなく、精神的な面でも「仕事がきつい」と感じられる可能性があります。
コロナ禍でホールスタッフバイトに収入激減のピンチ
新型コロナウイルスの影響で観光業やイベント関連・エンタメ産業は大打撃を受けましたが、飲食業界も例外ではありません。緊急事態宣言が発令されていた頃は休業要請されていない店舗でも営業を自粛する動きが広がり、夜間の営業自粛が求められた居酒屋やスナックでは売上が激減しました。
来店客の側でも行動に大きな変化が生じ、外食を控えて自宅で食事を済ませる人が増えています。テイクアウトや出前で新たな需要に応えようとする飲食店も少なくないとは言え、店内で来店客の対応に当たるホールスタッフにとっては雇用の存続に関わる大ピンチです。
実際に売上が大きく減ってしまった飲食店の中にはホールスタッフバイトのシフトを減らし、強制的に休ませることで対処しようとしている例が目立ちます。緊急事態宣言が解除された後は飲食店にも徐々に客足が戻りつつあるとは言え、コロナ以前の盛況にはまだまだ及びません。
緊急事態宣言の前後にはパチンコ店でも営業自粛の対象とされ、休業要請を無視して営業を続けた店舗に非難が集中する現象も見られました。店が休業する事態となっては、パチンコ店で働くホールスタッフバイトも収入減が避けられません。飲食店のホールスタッフも含め、コロナ禍による営業自粛は時給単位で給料が支払われるアルバイトの生活を直撃したのです。
休業手当はもらえる?
政府もこうした事態を受けて対策に乗り出し、雇用調整助成金などの支援策を打ち出してはいます。雇用調整助成金は企業に対して休業手当の全額を支給する制度で、雇用保険の適用を受ける労働者が対象です。
アルバイトやパートとして飲食店・パチンコ店に雇用されているホールスタッフは、通常は雇用保険に加入していません。そのための救済措置として、雇用保険の適用を受けない非正規労働者も休業補償が受けられる緊急雇用安定助成金も支援策に追加されました。
しかしながらこれらの助成金は申請が煩雑で支給されるまでに時間もかかるため、対象となる企業の間では利用率が今ひとつ伸びません。いつ支給されるかわからない助成金を当てにするよりは、シフトを減らしたアルバイトやパート従業員の休業手当を支払わずに済ませた方が資金繰りで楽になります。
ホールスタッフバイトの場合も休業手当がもらえるかどうかは店側の対応しだいで、応じてくれない店が少なくないのが現状です。そんな人でも自分で申請すれば、月額最大33万円の助成金が受け取れる新型コロナ休業支援金が実施される運びとなりました。中小企業で働く労働者に限定されるという条件もありますが、条件に当てはまればホールスタッフバイトにも休業前賃金の80%が支給されます。
ホールスタッフバイトの今後は?
コロナ禍による経済的な混乱で最も割を食っているのは、ホールスタッフバイトのような弱い立場にある非正規雇用の労働者です。営業自粛で売上が大きく落ち込んでしまった店側でも正社員は可能な限り守ろうとしますが、アルバイト従業員はどうしても捨て駒のように扱われてしまいます。
ホールスタッフの仕事は特殊な技能を必要としないだけに、雇用する店側から見れば「代わりはいくらでもいる」と見なされがちな立場です。これからホールスタッフバイトの仕事を始めようとする人は、非常時には切り捨てられる可能性があるという点を頭に入れておく必要があります。
多くのホールスタッフから仕事を奪ったコロナ禍を経ても、飲食店やパチンコ店の需要が完全になくなったわけではありません。感染状況が落ち着けば店にも客足が戻り、接客業務を担う人手が多く必要になるはずです。そうなればホールスタッフバイトの求人も元のように増えると予想されますが、いつまた今回のような災厄に見舞われるかわかりません。
休業や時短勤務を強いられて収入が減ってしまう可能性も視野に入れながら、いざというときは他の手段で収入を補えるよう常に準備しておくのが賢明です。世の中には以下の記事でも紹介しているように、収入を増やす副業の手段が数多く存在します。
ホールスタッフバイトの最新情報まとめ
立ち仕事が多いホールスタッフバイトは体力的にきつい面があるとともに、接客で不愉快な思いをさせられる可能性もあります。特にお酒を出すような店ではトラブルも起きやすくなりますが、アルバイトが責任を負わせられるようなケースは決して多くありません。来店客からクレームを受けたりトラブルが発生したりした場合には、店長などの責任者を呼べば対応に当たってくれます。
ホールスタッフのアルバイトはそうやって多種多様な来店客と接する中で対応力が鍛えられ、接客スキルが身につく仕事です。学生時代にホールスタッフバイトの仕事で身につけた接客スキルが社会人になってから役立ち、営業の仕事で好成績を収めたという人もいます。
コロナ禍のような想定外の災厄に見舞われた場合には真っ先に切り捨てられる可能性がある立場とは言え、平時であればホールスタッフバイトは求人が多く最も稼ぎやすい仕事です。いざというときに備えていつでも他の手段でお金を稼げるように準備しておけば、店が急に休業となった場合でも慌てる必要はありません。
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