スマホのカメラ機能が大きく進化して写真撮影がぐっと身近になり、デジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラにも根強い人気があります。自分で撮影した写真をダウンロード販売して副業収入を稼ぐ人も増えていますが、写真投稿サイトに登録しても最初はなかなか売れないのが普通です。
初心者が写真で収入を得るには、フリー素材サイトに投稿するという手もあります。フリー素材サイトは広告収入で運営されているため、写真が無料でダウンロードされても報酬が発生する場合があるのです。写真販売の副業より稼ぐハードルが低いフリー素材サイトへの投稿について、収入が得られる仕組みや効率よく稼ぐコツを解説します。
自分で撮影した写真で収入を得る2つの方法
まずは自分で撮影した写真を使って収入を得る方法について、副業になり得る2つの方法を確認しておきましょう。企業から写真撮影を依頼されるような仕事や、個人から依頼を受ける撮影代行の仕事を除くと、写真撮影で収入を得るには大きく分けて2通りの方法があります。
- 撮影した写真をストックフォトサイトで販売する
- 撮影した写真をフリー素材サイトに投稿して広告収入を得る
写真をダウンロードする人から見ればストックフォトサイトは料金がかかるのに対して、フリー素材サイトは無料でダウンロードできるという大きな違いがあります。有料ダウンロードで収入が得られるのはわかりやすいですが、無料で公開した写真で収入が得られる仕組みについては説明が必要です。収入を得るための難易度や報酬の単価にもかなりの差がありますので、それぞれの特徴について詳しく解説していきます。
ストックフォトサイトで写真を販売
GoogleやYahoo!で「写真 収入」「写真 副業」というキーワードを打ち込んで検索すると、上位には写真販売で稼ぐ方法について解説したページがずらりと並びます。自分で撮影した写真を販売するのに利用されているのは、インターネット上で写真素材をダウンロード購入できるようにしたストックフォトサイトです。ShutterstockやAdobe Stock、PIXTAといったところが代表的なストックフォトサイトで、最近はスナップマートなどスマホ写真に特化したサービスも人気です。
ストックフォトサイトに作品を登録しているのは、写真撮影を職業としているプロだけではありません。撮影を趣味としている会社員や主婦が写真を販売している例も珍しくない状況で、ストックフォトは副業の手段としても利用されてきました。写真撮影で収入を得る副業としては最もポピュラーな方法ですが、誰でも簡単に稼げるわけではないという点には注意が必要です。
初心者にとってはストックフォトサイトの審査が難関で、販売のスタート地点にすらなかなか着けないという事態もあり得ます。何とか審査をクリアして写真を販売できるようになっても、必ず売れるとは限りません。
ストックフォトで写真を購入しているユーザーの大半は、広告や出版への利用を目的とする企業です。企業のニーズを満たしていない写真はなかなか売れないのが常で、似たような作品が多くなりがちな風景写真のジャンルは激戦区となっています。初心者の場合は写真が売れたとしてもまとまった収入にならないことが多いだけに、写真販売が副業として成り立つようになるまで時間がかかるのが普通です。
写真を無料で公開して広告収入を得る
ストックフォトサイトは基本的に写真を有料でダウンロードできるようにしたサービスですが、ネット上には無料でダウンロードできるフリー素材サイトも数多く見られます。個人でブログを運営している人の多くはこうしたフリー素材のサイトから写真をダウンロードし、アイキャッチ画像や記事中に挿入する画像として利用している状況です。
フリー素材サイトで写真をダウンロードする際には料金を払わなくても済むため、そのままでは写真を投稿した人の収入になりません。金銭的な見返りがなければ、写真を無償で提供しようという人も集まりにくいはずです。
フリー素材サイトは広告収入で運営されている例が多く、写真を投稿した人に収益が分配される仕組みを持ったサイトもあります。広告収入が還元されるフリー素材サイトを利用すれば、写真を販売しなくても収入が得られるようになるというわけです。
報酬が発生するには投稿した写真がダウンロードされる必要があるとは言え、無料ならダウンロードしてもらえる確率も有料販売よりずっと高くなります。写真の質が高いに越したことはありませんが、画質はストックフォトほど重視されません。収入を得るためのハードルが高いストックフォトサイトと比べ、フリー素材サイトは初心者でも稼ぎやすいのが特徴です。
フリー素材サイトで広告収入が得られる仕組み
フリー素材サイトは写真が無料でダウンロードできる代わりに、サムネイル一覧の一角やページが切り替わるタイミングで広告が表示されます。フリー素材サイトの大半で採用されているGoogleアドセンスは、個人ブログの運営にも多く利用されているインプレッション報酬型の広告です。
アドセンス広告が表示されただけで報酬が発生するため、不特定多数の訪問ユーザーを集めるようなブログやサイトの運営で収益を得るのに適しています。アドセンス広告の収益を増やすには、PV数(ページが表示された回数)を増やすのが最も効果的です。
写真投稿サイトのPV数を増やすには、需要のある写真を数多く掲載する必要があります。フリー素材サイトでは投稿した写真がダウンロードされても課金はされないため、普通にやっていてはいい写真を投稿してもらえません。一部のフリー素材サイトがクリエーターに広告収入の還元を始めたところ、多種多様な写真が集まるようになったというわけです。
フリー素材サイトに投稿される写真は玉石混交の状況ですが、ストックフォトサイトほど厳しくないとは言え審査もあります。需要のあると判断された写真が数多く公開されるようになると、サイトを訪問するユーザーも増えてくるのは当然の流れです。
PV数が増えれば増えるほど広告収入も増え、写真がダウンロードされたクリエーターにも収益を還元できるようになります。フリー素材サイトに写真を投稿しただけでは収入になりませんが、投稿した写真がダウンロードされるごとに収益が発生する仕組みです。
自分でブログを開設して写真を投稿し、無料でダウンロードできるようにした上で広告を掲載すれば、同じように広告収入が得られる可能性はあります。個人ブログで広告収入を稼げるようになるには時間がかかるのが常で、まとまった収益を得るほどのPV数を稼ぐのは至難の業です。多数のクリエーターが登録していて大量の写真を公開しているフリー素材サイトが存在する限りは、個人で太刀打ちするのは難しいと言えます。
ストックフォトとフリー素材サイトでどっちが稼げる?
以上のようにストックフォトサイトとフリー素材サイトでは、登録クリエーターが稼ぐための財源が違ってきます。写真をダウンロードするユーザーが対価を直接支払うストックフォトサイトでは、販売価格から手数料を引いた残りの金額が自分の収入になる仕組みです。
国内最大級のストックフォトサイトとして知られるPIXTAの例で見ていきましょう。販売価格は640×480ピクセル程度のSサイズで550円、最も大きいXLサイズ(5200×3900ピクセル程度)は5,500円となっています。
PIXTAで手数料を引いた金額の割合を意味するコミッション率は、一般クリエーターが27%~47%です。専属クリエーターになると35%~65%に上がり、人物専属クリエーターの最大値は85%に達します。コミッション率27%の初心者でSサイズの写真1枚が売れた場合の販売報酬は148円で、XLサイズが売れれば1,485円稼げる計算です。
これに対してフリー素材サイトに写真を投稿した場合は、写真1枚あたりで稼げる金額はずっと少なくなります。写真ACの例で見ると、投稿した写真が1回ダウンロードされるごとに人物写真で11円、人物以外の写真で3.25円分のポイントを獲得できます。AI学習用素材として利用を許可すれば、ポイントがさらに加算される仕組みです。
写真ACで獲得したポイントは1pt=1円のレートで、5000pt以上貯まれば現金と交換できるようになります。登録した銀行口座に、獲得したポイント分の報酬が振り込まれます。
それでもストックフォトサイトで写真を販売するのと比べてだいぶ少なくはなりますが、有料か無料かという違いも無視できません。有料だとなかなかダウンロードしてもらえないのが実情で、1枚も売れなかった場合は収入0円に終わってしまいます。写真ACのようなフリー素材サイトから写真を無料でダウンロードしているユーザーが圧倒的に多いだけに、報酬の単価が低くても初心者にとっては現実的な稼ぎ方です。
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写真投稿で広告収入を稼ぐコツ
ストックフォトサイトよりは報酬発生のハードルが低いとは言え、フリー素材サイトに写真を投稿しても必ず収入が得られるとは限りません。投稿した写真をユーザーにダウンロードしてもらえなければ、ストックフォトサイトで1枚も売れなかった場合と同じ結果となってしまいます。
フリー素材サイトに写真を投稿して無料で公開する場合でも、収入に結びつけるための戦略は有料販売と基本的に変わりありません。写真をダウンロードしてもらえるかどうかは、どちらのケースでも「その写真に需要があるかどうか」という点にかかってきます。
風景写真などはライバルも多く埋もれがちなのと比べ、日常の何気ない一コマを切り取ったような写真は思ったほど多くありません。当ブログでも記事に挿入する画像をフリー素材サイトで探していますが、イメージに合った写真が見つからない例が結構ありました。
自分で検索してみてちょうどいい写真が見つからないような題材には、そうした意外な需要が隠れている可能性があります。仕事で毎日見飽きているような職場の風景や道具でも、他に写真を投稿している人が見当たらない題材ならダウンロードされるチャンスが出てくるのです。
1枚1枚の写真では1日にダウンロードされる確率もたかが知れていますが、チリツモ方式でいけば結構なボリュームとなります。1ダウンロードごとに還元される広告収入はわずか数円程度でも、何百枚何千枚と写真を投稿していればまとまった金額になるはずです。
写真投稿では検索を意識する
企業は他社と差別化するために有料の写真を使う場合も少なくありませんが、個人の多くはフリー素材サイトを利用しています。よくダウンロードされる写真には共通点が見られるとは言え、フリー素材サイトには風変わりな写真も紛れ込んでいるのが1つの特徴です。
企業の購入が中心となっているストックフォトと比べ、フリー素材サイトの写真はユニークな構図や題材の写真でもダウンロードされやすい傾向が見られます。SNSでシェアされるような写真にも一定の需要がありますので、企業向けの写真とはまた違った発想で撮影してみるのも1つの手です。
いずれも膨大な枚数の写真がサイト内に掲載されているため、ユーザーが目的に合った写真を探す際にはキーワードを打ち込んでの検索が欠かせません。フリー素材サイトで写真を投稿する際には、特定のキーワードで検索されやすくするためにタグを設定しておくのが一般的です。
X(旧Twitter)やインスタグラムのようなSNSでも、投稿に#(ハッシュタグ)を付けることで検索されやすくしています。フリー素材サイトに写真を投稿する際にはどのような場面で使われるかを想像し、ユーザーが検索するキーワードを予想した上で複数のタグを設定するといいでしょう。
1枚の写真からイメージを膨らませてさまざまな単語を連想し、タグを複数入力しておけば検索される確率が高まります。検索結果は写真がダウンロードされる入口となりますので、タグの入力は写真の撮影そのものと同じくらいに重要な作業です。
まとめ
ダウンロード購入のハードルが高いストックフォトサイトでは、決して多いとは言えない販売枚数の枠を過剰気味のクリエーターたちが奪い合っている状況です。一方のフリー素材サイトにも膨大な写真が登録されていますが、有料販売と比べて何倍ものダウンロード数が日々発生しています。
そうした中でクリエーターに還元される収益の財源は、フリー素材サイトの運営をまかなっている広告収入の一部です。写真をダウンロードしたユーザーが直接支払う方式ではないため、写真投稿サイトでクリエーターが得られる報酬の単価はどうしても低くなります。
数を多くこなすことで単価の低さをカバーしていけば、初心者が写真の有料販売に挑戦するよりは稼ぎやすいはずです。写真販売の副業を始めようとする際にはまず無料で公開して広告収入を得る稼ぎ方からスタートし、自信がついてきたところで有料販売へと移行するのが無難なやり方だと言えます。