農業をやってみたいけれどまったくの未経験で、会社を辞めてまでして就農するのは不安…
野菜作りに興味があっても、実行に移せないでいる会社員の方も少なくないのではないでしょうか?
安定したサラリーマン生活を捨てて農家に転職するのは、確かに勇気の要る行動です。日本の農業を取り巻く環境は、それだけ厳しい状況にあります。
でも諦めることはありません。自宅から通える範囲にシェア畑があるなら、会社を辞めずに週末農業の形で野菜作りにチャレンジできます。
筆者は地方に住んでいて近くにシェア畑がないため、庭の家庭菜園で野菜作りに取り組んできました。当ブログを通じて、農業に関する情報も積極的に発信しています。通える範囲にシェア畑があったら、とっくに利用していたと思うほど魅力的なサービスです。
そこで今回は、農業の初心者に人気のシェア畑を徹底解剖してみました。知れば知るほど、シェア畑は利用価値のあるサービスです。
シェア畑で週末農業を始めれば、採れたてのおいしい野菜が食べられる上に食費の節約にもつながります。慣れてきたところで借りる区画を広げていけば、野菜の販売を副業にして収入を増やすことも可能です。
週末農業の初心者にはシェア畑がおすすめ!
野菜作りの初心者が週末農業を始めるなら、サポート付きレンタル農園のシェア畑がイチオシです。全国に100カ所以上あるシェア畑の農園には、初心者でもすぐに野菜作りが始められる環境が整備されています。
自宅の庭を家庭菜園にしたり市民農園を借りたりするのと比べ、シェア畑を利用した野菜作りのハードルは高くありません。ある程度の利用料金は必要ですが、家庭菜園や市民農園で野菜作りをするにも道具やら何やらで費用がかかります。せっかく費用をかけて野菜作りにチャレンジしても、失敗に終わったら無駄な出費になりかねません。
シェア畑なら野菜作りに使うものを自分で用意する必要がない上に、菜園アドバイザーのサポートを受けられます。「週末農業に挑戦してみたいけれど、できるだけ失敗はしたくない」という人におすすめの農園です。
シェア畑の利用者は幅広い年代に及んでいて、定年退職後の趣味として野菜作りを学びたいというシニア層の利用者も少なくありません。食育を兼ねて「子どもと一緒に野菜作りを楽しみたい」というファミリー層にも人気を集めています。
普段は会社の仕事でデスクワークばかりしているサラリーマンは、ストレスや運動不足がたまる一方です。シェア畑を借りて週末農業を始めれば、運動不足の解消や気分転換にもつながります。
シェア畑とは?
近年は農家の高齢化と担い手不足により、使われなくなった農地や遊休地が急増しています。放置されていた農地を有効活用する目的で、2012年に貸し農園のシェア畑がスタートしました。使われていない遊休地を貸し農園として再生し、複数の利用者で野菜作りに使えるようにしたサービスです。
農業の初心者が野菜作りを始めるには、普通は以下のものが必要となってきます。
- 野菜を植えるための土地
- 鍬や鎌・ハサミ・ジョーロなどの道具
- 支柱やマルチシート・防虫ネットなどの農業資材
- 野菜の種や苗
- 肥料や堆肥・土壌改良材
- 水場
初心者は知識ゼロの状態からスタートすることになるため、野菜作りの入門書を買ったり講座を受講したりする費用もかかってきます。
筆者の場合は近くにシェア畑がなかったため、庭を家庭菜園化して野菜作りを始めるのがなかなか大変でした。シェア畑なら必要なものがすべて農園に用意されていますので、身ひとつの手ぶらで通えます。都市に住む人が野菜作りを始めるには高い壁がありますが、シェア畑はそのハードルを低くした画期的なサービスなのです。
シェア畑の運営会社
シェア畑を運営する株式会社アグリメディアは、2011年に設立された農業系ベンチャー企業です。同社はシェア畑以外にも、以下のような施設やサービスを運営しています。
農業者と消費者をつなぐ流通事業も展開している会社だけに、社会的な貢献度という面でも信頼に値する企業と言えます。
シェア畑はどこにある?
シェア畑は首都圏と関西圏を中心に、2023年1月末時点で全国に約130カ所の農園を展開中です。区画数は全国合わせて約16,792区画に及び、レンタル農園としては国内最大級の規模を誇ります。
都市と農業をつなぐというコンセプトで事業を始めた経緯があるせいか、シェア畑の農園は東京・神奈川・埼玉・千葉といった首都圏に多いのが特徴です。首都圏以外では愛知県と大阪府・京都府・兵庫県・福岡県にもシェア畑の農園があります。「借りたいけれど近くに農園がない」という人は、シェア畑のHPから開園予定に関する情報を問い合せてみるといいでしょう。
シェア畑で育てられる野菜
自分で野菜を育てようという場合、種や苗をホームセンターなどで購入するのが普通です。シェア畑を借りて栽培する場合には、農園に用意されてある種や苗を使って種まきや植え付けを行うことになります。用意されている野菜の種や苗は、収穫量が多くて病害虫にも強い品種です。
病害虫に強く収量が多い接木苗をホームセンターで購入するとなれば、実生苗より値段が高くなります。苗の選び方も結構難しいだけに、農園に用意されてある苗をそのまま植えられるのは楽です。
シェア畑のHPでは、以下のような種類の野菜が紹介されています。
【春・夏に育てられる野菜】
- トマト
- ミニトマト
- ナス
- ピーマン
- きゅうり
- とうもこし
- インゲン
- 枝豆
- 人参
- カブ
- オクラ
- スイカ
【秋・冬に育てられる野菜】
- 白菜
- キャベツ
- いちご
- ブロッコリー
- 大根
- ルッコラ
- 落花生
- 玉ねぎ
- ナバナ
- さつまいも
以上のような野菜を、1年間で15種類から20種類ほど育てることが可能です。他の野菜を育ててみたいという場合は、農園のスタッフに問い合わせてみるといいでしょう。特殊な野菜でなければ、自分で種や苗を購入した野菜を栽培できる可能性があります。
1つの区画でどれくらいの野菜が収穫できる?
シェア畑のHPには、1つの区画を4畝に分けた作付けレイアウトの例が紹介されています。春・夏と秋・冬ごとに、それぞれ10種類前後の野菜を育てることを想定した栽培計画です。約2m×0.6mの1畝でミニトマトときゅうり・ピーマンの3種類を栽培する場合、順調にいけば以下のような収量が予想されます。
- ミニトマト200個
- きゅうり50個
- ピーマン50個
野菜の収穫量は、天候などの条件によっても大きく左右されます。あくまでも目安ではありますが、家庭で消費するには十分な量なのではないでしょうか?
シェア畑が初心者に人気の理由
当ブログの記事で最初に取り上げた2020年の時点では、シェア畑の農園は全国7都府県で約100カ所でした。現在は農園の数が130カ所ほどに増え、利用者数も約64,000人に達するということです。シェア畑がこれだけ活況を呈しているのは、野菜作りの初心者から支持されている証拠とも言えます。
シェア畑が初心者に人気を集めている理由として、多くの利用者が挙げているメリットは以下の通りです。
- 農具や資材が揃っていて手ぶらで通える
- トイレや駐車場・水場も完備されている
- 菜園アドバイザーのサポートが受けられる
- 栽培テキストや講演会で野菜作りが基礎から学べる
- 安全性の高い野菜を栽培できる
それぞれ詳しく解説します。
農具や資材が揃っていて手ぶらで通える
畑を耕したりするのに使う鍬(クワ)やスコップなどの農具は、大きくて重いので持ち運ぶのが大変です。肥料も大きい袋で購入するとなれば、何十キロもある重い袋を扱うことになります。鎌や剪定バサミのような刃物を持ち運ぶ際には、ケガしたりしないよう注意が必要です。
シェア畑なら野菜作りに使う農具や肥料がすべて農園に備え付けてありますので、わざわざ自分で用意する必要はありません。シェア畑は1つの農地を複数の利用者で共有するだけでなく、道具類も会員間でシェアし合う仕組みです。支柱やマルチシート・防虫ネットなどの農業資材も、農園にすべて揃っています。
これらの農具や資材を自分で全部買い揃えるとなれば、かなりの出費となってしまいます。家庭菜園で野菜を作っても節約にならない?費用節約のポイントを解説でも取り上げたように、食費節約を目的とした家庭菜園は意外と難しいです。まったくの初心者が家庭菜園で野菜を作っても、費用の方が上回ってしまうという例が珍しくありません。
シェア畑を利用すれば道具や資材が定額料金で使用できるため、結果的に費用を安く抑えられます。農作業で汚れても問題ない服装だけ自分で整えておけば、農園まで手ぶらで通える点は最大のメリットです。
トイレや駐車場・水場も完備
公営の市民農園では、駐車場やトイレがないところも少なくありません。シェア畑ならほとんどの農園でトイレが用意されています。別料金は発生しますが、シェア畑には駐車場を備えた農園も多いです。休憩所がある農園を選べば、農作業で疲れたときに一休みできます。
市民農園には水場がないところも多く、あったとしても水やりに使える程度です。シェア畑ではほとんどの農園で、水道や井戸などを利用した水場が設けられています。水やりはもちろん、収穫した野菜を洗ったり靴についた泥を落としたりするのに便利です。
菜園アドバイザーのサポートが受けられる
設備面の充実ぶりと並んで、サポートが充実している点もシェア畑の強みです。それぞれの農園には、豊富な経験を持つ菜園アドバイザーが在籍しています。
一部の農園を除いて、菜園アドバイザーの出勤日は土日を含む週4日以上です。土日に来園すれば高い確率で菜園アドバイザーが勤務しているため、野菜の栽培でわからないことが出てきた場合に教えてもらえます。アドバイザーの出勤日は会員サイトで確認できますので、初心者は出勤日に合わせて来園するのがおすすめです。
菜園アドバイザーは利用者が来園しない間も畑を手入れし、農園内をきれいに保ってくれます。限られた日にしか来園できない週末農業のサラリーマンにとって、農園を管理しているアドバイザーは心強い存在です。
栽培テキストや講演会で野菜作りが基礎から学べる
シェア畑の農園では、実演付きの講習会も月に1回程度の頻度で実施されています。菜園アドバイザーが野菜作りの作業を目の前で実演してくれるため、動画で見るよりわかりやすいという話です。
シェア畑に入会すると、野菜作りの基礎が学べる「野菜づくりBOOK」の栽培テキストが配布されます。野菜作りに関するさまざまな資料が貼られた掲示板も、初心者には何かと参考になるはずです。
安全性の高い野菜を栽培できる
シェア畑ではどの農園でも、化学薬品を使用した農薬は使用していません。野菜作りに欠かせない肥料も化学肥料ではなく、牛糞や鶏糞・堆肥・油かすといった有機肥料です。
有機栽培は難しいというイメージもありますが、シェア畑なら野菜作りの初心者でも気軽にチャレンジできます。農薬や肥料に関する方針は農園全体で徹底させているため、隣の畑からマイナスの影響を受けるということがありません。
シェア畑で作った野菜は採れたてで新鮮な上に、化学肥料や化学農薬を使っていないので安心して食べられます。食の安全に敏感な人にもシェア畑はおすすめです。
シェア畑にもデメリットはある?
メリットだらけのように見えるシェア畑にも、デメリットがないわけではありません。初心者にとっては至れり尽くせりですが、栽培の自由度が低いという声もあるからです。野菜作りに慣れてきて「自分の好きなように栽培してみたい」という場合には、物足りなさを感じる可能性があります。
とは言え野菜作りの経験がない人にとっては、「何でも好きなように栽培してみてください」と言われても戸惑うばかりです。栽培の自由度が高くないというデメリットも、初心者のうちはそれほど気になりません。
シェア畑は他の農園と比べて料金が高いという声もありますが、初心者は必要な道具を買い揃えるところから始めることになります。野菜作りをこの先もずっと続けるなら、道具類を自分で買い揃えても何年か後には元が取れます。
自分には不向きだと判断してやめてしまった場合、道具類の購入にかかった費用が無駄になりかねません。初心者のうちはどれくらい長続きするかわかりませんので、サブスクの形態で野菜作りに挑戦してみるのは合理的とも言えます。
シェア畑はどこにある?で触れたように、シェア畑の農園は首都圏や関西圏が中心です。全国的に見ると、利用できる人が限られるという点もデメリットの1つです。
シェア畑は1年単位で契約が自動更新される仕組みだけに、解約する際のタイミングが難しいという声もありました。違約金が発生しない退会方法については、シェア畑の退会・解約方法で後述します。
シェア畑の料金
シェア畑を利用するのにかかる費用には、入会金と月額料金の2つがあります。契約時に支払う入会金は、税込で一律11,000円です。
月額料金は契約する農園の区画によって異なります。月額料金は2畝~4畝ほどの1区画で、7,000円から10,000円前後が平均的な相場です。
地方の農園には、月額6,000円前後で借りられる区画もあります。東京など都市部の区画になると、地価の関係もあって月額料金が全般に高めです。
シェア畑で2区画以上を契約すれば、利用料金が5%割引になります。駐車料金は農園によって異なりますが、月額1,200円程度を1年分まとめて支払う仕組みです。
2023年7月1日から31日まで、「シェア畑をもっと楽しもう!キャンペーン」が実施されています。追加で1区画を契約すると、5000円分のデジタルギフトがプレゼントされるキャンペーンです。5%割引と同時に適用できますので、「もっと広い面積を借りて野菜作りをしたい」という人は検討してみるといいでしょう。
料金の支払い方法
入会金と月額料金の支払い方法は、以下の3通りです。
- 1年分を銀行振込でまとめて支払う
- 1年分を口座引き落としでまとめて支払う
- 口座引き落としの月々払いで支払う
銀行振込で支払う場合は、手数料は利用者側の負担です。口座引き落としを選んだ場合でも、月々払いは年間2,000円の事務手数料がかかります。「1年分を口座引き落としでまとめて支払う」のが、最も安く済む方法です。
月額料金は契約更新ごとにどんどん割引!
シェア畑は「料金が高い」という声もありますが、2年目以降も契約を更新すれば月額料金が割引となります。1ヶ月ごとに割引される金額は以下の通りです。
- 2年目:250円
- 3年目:500円
- 4年目:1,000円
- 5年目:月2,000円
月2,000円の割引でも、年間にすれば24,000円もの差が出てきます。シェア畑が気に入ったら、2年目以降も利用を継続するように検討してみるといいでしょう。
シェア畑の会員が利用できるサービス
手ぶらで通える上に手厚いサポートも付いている点がシェア畑の人気の秘密ですが、他にも会員が利用できるサービスはいろいろとあります。
- 景品と交換できる来園スタンプ
- イベントも盛りだくさん
- 会員限定の便利なアプリが使える
- 忙しい人には栽培代行サービスも
- 里山シェアを割引価格で利用できる
それぞれ詳しく解説します。
景品と交換できる来園スタンプ
シェア畑には来園するごとにポイントを貯められるスタンプの仕組みがあります。以前はラジオ体操のようなスタンプカードを発行していたようですが、現在はスマホから会員サイトにアクセスすることで来園スタンプを押せる仕組みです。
来園スタンプのポイントを貯めれば、シェア畑オリジナルの軍手やタオル・エプロンなどのさまざまな景品と交換できるようになります。ポイントを多く貯めることで、カタログギフトや季節の農産物との交換も可能です(景品の内容は随時更新されています)。
イベントも盛りだくさん
シェア畑の各農園では、季節ごとにさまざまなイベントが開催されてきました。新じゃがを使ったカレーのイベントや、秋の芋掘り・焼き芋イベント、冬も芋煮会や鍋のイベントが行われています。イベントに参加するのに、追加料金は必要ありません。
過去には写真部門や料理レシピ部門のシェア畑コンテストも開催され、入賞者にはギフト券などの賞品がプレゼントされていました。今後も同様のイベントが実施される可能性があります。
会員限定の便利なアプリが使える
シェア畑の会員になれば、「みんなの栽培記録」という会員限定のWEBアプリが利用できるようになります。気温や天気・作業内容・生育状況など、野菜の栽培に関するデータを写真つきで保存しておける便利なアプリです。栽培の振り返りがスマホで簡単にできるだけでなく、他の会員の栽培記録も閲覧できます。
忙しい人には栽培代行サービスも
シェア畑では草取りや害虫防除などの作業を行うのに、週に1回の来園が推奨されています。夏場は野菜の成長が早いので、2~3日に1回ほどの頻度で来園するのが理想です。
会社の仕事が忙しくて週1回も通うのが難しいという人には、有料オプションのお世話サポート付プランも用意されています。追加料金は必要になりますが、農園に通えない間の世話をスタッフが代行してくれる仕組みです。
栽培代行サービスを利用すれば、月に1回か2回程度の来園も可能になってきます。週末に急な予定が入って農園に行けないような場合にも、単発で利用できるサービスです。
地域によっては、お世話サポート付きの区画も用意されています。実際にやってみて週1回通うのが困難になってきた場合は、担当の菜園アドバイザーに相談してみることといいでしょう。
里山シェアを割引価格で利用できる
シェア畑を運営する株式会社アグリメディアでは、神奈川県大井町で里山シェアというサポート付きレジャー農園も運営しています。シェア畑の農園と似ていますが、普段は野菜の世話を在籍スタッフで行うところが違います。里山シェアの会員は要所要所で来園し、野菜の植え付けや収穫などを体験できる仕組みです。
シェア畑では基本的に野菜作りしかできませんが、里山シェアでは田植えや稲刈り・果樹の収穫もできます。ジャム作りや味噌作り・そば打ちなどさまざまな体験イベントも開催されていて、週末農業というよりレジャー施設に近い農園です。シェア畑の会員になれば、里山シェアも会員価格で利用できるようになります。
シェア畑と他の農園の違いは?
ここまでシェア畑のサービス内容について解説してきましたが、他の農園と比較しないことには優劣が判断できません。自分の農地を持たないサラリーマンが週末農業を始めると想定した場合、主な比較対象としては以下の3つが考えられます。
- 公営の市民農園
- 他の民間レンタル農園
- 自宅の庭を家庭菜園にする場合
それぞれ比較してみた結果を公表します。
市民農園(公営)との違い
シェア畑ではなく公営の市民農園を借りて野菜作りをする場合、以下のようなメリットがあります。
- 1区画あたりの料金が安い
- 料金が安いわりに区画が広い
- 栽培の自由度が高い
シェア畑で貸し出している農園は、1区画あたりの面積が4~8畳に相当する6~13㎡程度です。自治体や農園によって異なりますが、公営の市民農園は1区画あたりの面積が30㎡前後あります。
面積が広いわりに利用料金は年に数万円程度で、安く借りられる点が市民農園を利用するメリットです。栽培の自由度もシェア畑より高く、自分の好きなように野菜を栽培できます。
一方で公営の市民農園は原則1年間しか借りられず、募集期間も短いという点がデメリットです。年1回の応募期限を逃してしまうと、翌年まで借りるチャンスがありません。
市民農園は応募者が多いために抽選で選ばれる例も多く、当選しても翌年以降に継続して借りられるわけではない点に注意が必要です。シェア畑なら契約の更新が可能で、月額料金も契約を更新するごとに割引率が高くなります。
市民農園は自治体が運営しているだけに、サービス面は必要最低限です。野菜の種や苗はもちろん、農具や資材なども自分で用意する必要があります。
シェア畑と違って、市民農園には菜園アドバイザーが在籍しているわけではありません。テキストや講習会もありませんので、わからないことが出てきたら自力で解決する必要があります。駐車場やトイレなどは完備されていない市民農園が多く、水場があっても水やりに使える程度の簡易な設備です。
忙しいサラリーマンが市民農園を借りて野菜作りを始めても、管理しきれずに失敗するリスクがあります。1区画あたりの面積が広いという市民農園のメリットは、初心者にとってはかえってデメリットになりがちです。栽培に成功したとしても、個人で消費するには収穫量が多すぎます。
それでいて市民農園は、営利目的で借りるのを想定していないケースが大半です。自家消費を超える分に限って販売が可能な農園もありますが、販売禁止の農園も少なくはありません。
総合的に見ると市民農園は、野菜作りにある程度慣れた中級者以上に向いた農園です。初心者はシェア畑から週末農業をスタートさせ、慣れてきたところで市民農園での野菜作りを目指すのが無難と言えます。多忙なサラリーマンなら、中級者以上でもシェア畑で週末農業を続けるメリットがあります。
マイファームとの違い
週末農業を始めようという場合、他のレンタル農園も候補に挙がってきます。中でもマイファームは、シェア畑と並ぶ大手の民間レンタル農園です。公営の市民農園と比較すると、以下の点ではシェア畑と共通します。
- 農具や肥料が用意されてある
- アドバイザーのサポート付き
- 多彩なイベントを開催
マイファームの体験農園は全国に100カ所以上あって、所在地はシェア畑とある程度重なります。農薬を使わず有機肥料を使用して野菜を作るという点も、シェア畑と共通する部分です。近くに両方の農園があるという人は、シェア畑とマイファームのどちらを利用するか迷うところでしょう。
入会金に相当する費用は、両方とも11,000円で変わりありません。マイファームの入会金は「運営費」の名目で1年目は11,000円、2年目以降は3,850円ずつ毎年支払うことになります。シェア畑の入会金は1年目だけで、継続利用する場合の2年目以降は不要です。
月額料金はどちらも農園によって、1区画あたりの金額に差が見られます。マイファームは地方の農園が多いせいか、月額5,000円以下で借りられる区画も少なくありません。月額料金はシェア畑の方が高めですが、東京など都市部から通える農園が多いというメリットもあります。
シェア畑とマイファームの一番の違いは、野菜の種や苗を自分で用意する必要があるかどうかという点です。マイファームのHPには利用者自身で用意するものとして、「種・苗」「汚れてもいい服・靴」「農園にない資材」が挙げられています。
シェア畑には野菜の種や苗が用意されているので、自分で購入する必要はありません。種や苗の選び方で失敗するのが不安という野菜作りの初心者は、シェア畑の方が安心です。
家庭菜園との違い
週末農業を始めるもう1つの選択肢として、自宅の庭や空き地などを利用した家庭菜園も挙げられます。集合住宅に住んでいたりして庭がない場合でも、ベランダを利用したプランター栽培は可能です。
土が乾きやすいプランターで野菜作りをする際には、毎日の水やりが必要になってきます。シェア畑なら保水力のある畑に地植えで栽培することになるため、毎日水やりする必要はありません。
栽培する野菜の種類によっては、週末だけの農作業でも勝手に育ってくれます。家庭菜園でもそれほど手間をかけずに育てられる野菜はありますが、大玉トマトのような人気の野菜を週末だけの作業で栽培するのは困難です。
家庭菜園だと野菜の種や苗はもちろん、野菜作りに必要な道具や資材も全部自分で用意しなければなりません。栽培していて何かわからないことが出てきた場合でも、自分で調べて解決していく必要があります。
筆者の場合もそうでしたが、初心者は失敗の連続です。食費の節約を目的に野菜作りを始めながら、かえって費用を無駄にしてしまうということがよくあります。慣れないうちは「お金のかかる趣味」と見なして、少しでも無駄をなくすように工夫していくしかありません。
シェア畑の利用方法
メリットだけでなくデメリットも承知した上で、実際にシェア畑を利用するまでの流れは以下の通りです。
- オンライン説明会に参加する
- 農園を無料で見学してみる
- 本契約を結んで利用スタート
オンライン説明会に参加する
シェア畑では利用を検討している人に向けて、無料で参加できるオンライン説明会を随時開催しています。会場まで足を運ぶことなしに、スマホやパソコンを使ってセミナー形式の説明会に参加できます。オンライン説明会の申し込みページでカレンダーから希望日時を選び、必要事項を入力して「申し込む」ボタンを押せば手続き完了です。
申し込み後はシェア畑の事務局から、登録したアドレスに説明会の案内がメールで届きます。オンライン説明会にはZoomを通じて参加し、所要時間は20分程度です。シェア畑についての説明に続いて質疑応答が行われ、見学場所の予約もできます。
農園を無料で見学してみる
オンライン説明会に参加したら、実際に農園を訪問して見学できるようになります。申し込みサイトのカレンダーで日時と農園の場所を決めて予約しておけば、見学会への参加そのものは無料です。
見学に要する時間は30分程度で、実際に野菜を栽培している農園を視察できます。農園内の農具・資材置き場や、水場・掲示板・トイレ・休憩所も見学の対象です。道具置き場や通路から近くて、作業しやすい区画が空いているかどうかをチェックしておくといいでしょう。
見学会に参加する際には利用する場合を想定して、自宅から楽に通える農園を選ぶのがコツです。見学会にも利用予定の交通手段で行き、通いやすいどうかチェックしておくことをおすすめします。
気に入ったら本契約へ
シェア畑の農園見学会に参加しても、必ず契約しなければならないというわけではないので安心です。見学だけで帰る人も少なくありません。とりあえず見学だけしてみて、帰ってから契約を検討してみるといいでしょう。
見学会に参加してその場ですぐに契約したいという場合には、スタッフが契約内容も説明してくれます。ぷち農業体験ができる農園を選んで見学会に参加すれば、土作りや種まき・収穫などの作業を体験した上で検討することも可能です。
シェア畑の退会・解約方法
シェア畑は基本的に1年単位で契約し、借りた農園の区画で野菜を栽培することになります。月単位での契約プランは用意されていませんので、途中で退会したくなった場合には注意が必要です。
1年分を前納した料金のうち退会日以降の分は返金されますが、契約期間の途中だと20,000円の違約金が発生します。どうしても退会したい場合には、違約金が発生しないタイミングで解約するのがおすすめです。
解約の手続きを行う際には、退会日の3ヶ月前までに申請する必要があります。契約を更新する月の3ヶ月前に退会の申請をすれば、違約金は発生しません。最初に契約したのと同じ月より3ヶ月早く解約の申請をすることで、契約を更新せずスムーズに退会できるようになるからです。
いざというときの退会方法を心得ておけば、シェア畑と安心して契約できます。通うのに便利な場所にある農園で、野菜作りがやりやすい区画は早いもの勝ちです。
シェア畑は人気が年々高まっているサービスですので、迷っている間に他の人に取られてしまう可能性があります。オンライン説明会と見学会に参加するだけなら無料ですので、実際に農園を見学してから利用を検討してみるといいでしょう。
まとめ
農地を持たない普通のサラリーマンでも、シェア畑を利用すれば農業にチャレンジできます。シェア畑なら野菜作りに必要な種や苗・道具類が農園に用意されている上に、菜園アドバイザーのサポート付きなので安心です。まったくの初心者が何も持たずに野菜作りを始めるには、これ以上ないほど充実したサービと言えます。
筆者も近くにシェア畑があれば今すぐ利用したいところですが、田舎に住んでいるため家庭菜園で我慢するしかない状況です。シェア畑を利用できる環境にある人がうらやましいと思っています。
- 週末農業に興味があるけれど、始め方がわからない
- 農業に関してはまったくの素人なので不安
- 野菜作りを基本から学びたい
こんな人は今すぐシェア畑のオンライン説明会に申し込むことをおすすめします。
空きがあるシェア畑の農園でも、条件の良い区画は早いもの勝ちです!
作業しやすい区画が他の人に取られないうちに、近くの農園を見学してみることをおすすめします。
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