壊れた家電製品や動作保証なしのパソコンなどは、リサイクルショップで「ジャンク品」として安く売られています。ジャンク品を専門に扱うショップも存在するほどで、マニアの間では「宝の山」として根強い人気を集めてきました。
そんなジャンク品がリサイクル店や専門ショップで買取されているからには、一見価値がないと思いがちな故障品や動作未確認品にもそれなりの需要があるはずです。そこで今回は意外に奥深いジャンク品の世界について取り上げ、買取が可能な理由や少しでも高く売るコツをまとめてみました。買取以外の方法でジャンク品をお金に換える方法についても、記事の後半で詳しく解説します。
ジャンク品の定義
英語の「junk」には「廃品」や「くず」「ガラクタ」の意味があり、「価値がない」「不要な」を意味する形容詞としても使われています。リユース業界の用語として使われているジャンク品も、「故障品」「不要品」を意味する言葉です。
リサイクルショップやPCパーツショップでは以前からジャンク品コーナーが設けられ、掘り出し物を狙うマニアがジャンク漁りをする姿も珍しくありませんでした。そうした店ではさまざまな事情からジャンク品を販売しているため、言葉の定義としてはあいまいな面もあります。
故障して使えなくなったパソコンや液晶の割れたモニター・スマホなど、普通の中古品としては販売できない品をジャンク品として格安価格で売るのが代表的な例です。店舗の従業員が動作確認を行うだけの余裕がない場合や、電源ケーブルなど動作確認をするのに必要な部品を欠いている場合にも、普通の中古品と区別したジャンク品として販売されています。
ジャンク品が買取されている理由
リサイクルショップに買取を依頼して査定を受けると、状態が悪かったり型が古すぎたりして、値段がつかないと言われることも珍しくありません。そういう品を店側が無料で引き取り、ジャンク品として販売する例もあります。
ジャンク品コーナーの中にはメーカーが放出した在庫品や売れ残り品が紛れ込んでいる場合もありますが、個人から安く買取したり無料で引き取ったりした品が大半です。さまざまな事情でジャンク品扱いとなった品々のうち、故障などで本来の使い方ができない品でも使い道があります。
よくあるのはジャンク品のパソコンを格安で購入し、故障した他のパソコンを修理するために部品取りをするケースです。部品取りを目的にジャンクPCを購入しているのは個人の自作PCマニアだけではなく、データ復旧業者などの法人でも安定した需要が見込まれます。自作PCには高価な高性能パーツが使われている例も珍しくないだけに、ジャンク品として購入できればパーツを中古で単体購入するより安上がりです。
古いオーディオ機器やビンテージ物の楽器は修理しようにも部品が生産中止になっているため、部品取りできるジャンク品は特に重宝されます。完全に故障していて修理が難しい品でも、分解して内部構造を研究したり観賞用やアート作品の材料に使ったりすることは可能です。
ジャンク品として売られている品々の中には外観に傷があるだけで、動作には支障がない訳あり商品も含まれます。「動作未確認」としてジャンク品扱いとなっている品でも、実際には問題なく使える場合は少なくありません。そうしたさまざまな利用価値があるからこそ、動作が保証できない品や故障品でも買取されているのです。
筆者もリサイクルショップでジャンク品コーナーを漁るのが好きで、気がつけば1時間も2時間も経っているということは珍しくありません。新品で買えば10万円近くするデジタル一眼レフカメラをジャンク品コーナーで見つけて1,000円で購入し、問題なく動作したという掘り出し物の例もありました。古いデスクトップPCを復活させるのに必要なPCIグラフィックボードを部品取りするために、500円で売られていたジャンク品の自作PCを購入した例もあります。
ジャンク品買取で稼ぐコツ
普通のリサイクルショップに持ち込んでも値段がつかないような家電製品は、ジャンク品専門ショップで買取してもらった方が少しでも高く売れる可能性があります。一般的なリサイクルショップでは人員が不足しがちのため、動作確認にも十分な人手をかけることができません。
ジャンク品を専門に買取している店舗では修理スタッフが常駐しており、少々の故障なら修理して再販できる強みを持ちます。傷がついたスマホやパソコン・オーディオ機器なども修復する技術を持っており、少々の故障品なら中古品レベルまで整備することが可能です。したがって何でも扱っているようなリサイクルショップよりは、ジャンルに特化したジャンク品専門ショップの方が高値で売れやすいと言えます。
そうしたジャンク品専門の買取業者にはスマホやパソコンなどの家電製品を中心に扱う店もあれば、時計を専門とするショップやカメラを専門とする店舗もあります。たとえジャンク品でも外観の良い方が買取で有利になってきますので、普通の中古品買取と同様に汚れを拭き取るなどして少しでもきれいな状態にしておくのが基本です。
ジャンク品で稼ぐ買取以外の方法
自宅に眠っているジャンク品をお金に換える方法は、以上のような買取だけに限りません。ヤフオク!に代表されるネットオークションサイトにもジャンク品は出品可能で、リサイクルショップに買取してもらうより高値で売れる可能性があります。
メルカリやラクマなどのフリマサイトでもジャンク品の出品は増えており、ネットオークションより気軽に売り買いできる点がメリットです。上級者になればリサイクルショップで安く買ってきたジャンク品を自分で修理し、仕入れ値に上乗せした価格設定で転売するという裏技もあります。
ヤフオク!やメルカリにジャンク品として出品
ネットオークションでわざわざ「ジャンク品」と明記して出品するのは、高値で売りにくくなって不利のようにも思いがちです。ヤフオク!にジャンク品を出品する際には1円からスタートすることも多く、他に入札する人がいなければ最低価格で落札されてしまう可能性もあります。
たとえジャンク品でもマニアが存在するコアなジャンルや、部品取りの需要が期待できるパソコン・オーディオ機器などは入札価格が上がりやすいものです。最終的に思わぬ高値で落札される場合も珍しくありませんので、ジャンク品を少しでも高く売りたいという人は試してみる価値があります。
ネットオークションと仕組みが違うメルカリの場合は、送料を出品者持ちにして手数料も引かれた上で利益が出るような価格設定が必要です。メルカリではジャンク品の意味をよく理解していない人も多く利用しており、そういう人が価格の安さに釣られて購入する可能性があります。動作を保証しかねるという点や傷があるという点を明記し、商品の写真もできるだけ多く掲載するのがトラブルを避けるコツです。
せどり・転売の手段にジャンク品を活用
ジャンク品はさまざまなジャンルの品を格安で手に入れられる手段だけに、自分で修理できればせどりや転売にも使えるようになります。パソコンや家電製品・オーディオ機器などのジャンク品せどりでお金を稼ぐには、当然のことながら修理のスキルが必要です。故障して動作しなくなった家電製品でも、壊れた部品さえ交換すれば元のように使える可能性が出てきます。
首尾よく修理に成功してジャンク品が動作するようになれば、「動作確認済み」という新たな付加価値をつける形での転売も可能です。修理に手間がかかるため時給換算では稼ぐ効率は低くなりがちですが、ジャンク品転売は修理に要した手間賃の分だけ利益率を高く設定できます。
リサイクルショップのジャンク品コーナーには前述したような理由で、ろくに動作確認もしないまま捨て値で売られてる品が多く含まれています。そういう動作未確認品の中には、普通の中古品と変わりないほど正常に動作する良品も少なくありません。そんな掘り出し物が運良く見つかったら、特に修理をしなくても高値で売れるようになります。
ジャンク品せどりやジャンク品転売の仕入先は、商品を実際に目で見て確認できるリサイクルショップの実店舗を利用するのが無難です。リサイクルショップのスタッフに頼めば、自分で持参したバッテリーなどを使って動作確認させてもらえる場合もあります。ネットオークションやフリマサイトに出品されている商品は自分の目で直接確認できませんので、ジャンク品転売の仕入先としてはあまりおすすめできません。
ジャンク品で稼ぐ方法まとめ
以上のようにジャンク品を利用してお金を稼ぐ方法には、買取と転売という2つのやり方があります。リサイクルショップなどを利用して自分が使い古した品を買取してもらう方法なら、古物商許可は不要です。ジャンク品を買ってきて自分で修理を行い、利益を上乗せして転売する場合は古物商許可が必要になります。
どちらの方法もリサイクルショップやネットオークション・フリマサイトがなければ、ごみとして捨てられる運命にあった品々に光を当てる稼ぎ方です。自分にとっては取るに足らないガラクタでも、必要とする人の手に渡れれば十分に利用価値があるお宝になります。
そういう意味でジャンク品を利用した買取や転売は、まさに現代の錬金術とも言えるお金の稼ぎ方です。ジャンク品買取や転売の対象となる品は、以上に紹介したような家電製品やパソコン・音響機器だけではありません。時計やカー用品・自転車・家具・ブランドバッグ・ジュエリー・貴金属・フィギュア・プラモデルなど、あらゆるものが同じ錬金術でお金に変わる可能性があるのです。